知ってるつもり 無知の科学 (ハヤカワ文庫NF)

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  • 早川書房 (2021年9月2日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (432ページ) / ISBN・EAN: 9784150505783

作品紹介・あらすじ

自転車や水洗トイレの仕組みを説明できると思いこむ。ネットで検索しただけでわかった気になりがち。人はなぜ自らの理解を過大評価してしまうのか? 認知科学者のコンビが行動経済学やAI研究などの知識を結集し、「知ってるつもり」の正体と知性の本質を明かす

感想・レビュー・書評

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  • 人がいかに自分の無知を理解していないかを説明するとともに、そこに気づく重要性を説いた本。

    ファスナーや自転車の仕組み、(住宅ローンなど)ローンのからくりといった、多くの人が知っていると思っていることをいかに理解できていないか、色々な例を出しつつ説明されているので、説得力がある。

    また、パフォーマンスが低い人ほど、自らのスキルや成果を過大評価し、パフォーマンスが高い人は、自分の成果を過小評価する傾向が高いというのも、マインドとしては理解できる。
    この認知バイアスがかかってないか、我が身を振り返りたい。

  • めちゃくちゃ面白かったです。
    「人は自分が思っているほど、物事を知らないよ❕」という事実を、様々な研究を通じて丁寧に考察しています。
    「自分の知っている境界線を知る❕」を知るというのは大事なことだと思う反面、「俺は、何でも知っているぞ!」という自信も必要だとも思いました。
    なかなか深いテーマで面白かったです。
    ぜひぜひ読んでみてください。

  • 本書の結論は、「知能は特定の個人ではなく、コミュニティの中に存在する」です。
    個人は驚くほど無知であり、人類を発展させたのは、集団(コミュニティ)がもっている知性であることをいっています。
    巻末に、本書の三つの主題、「無知」、「知識の錯覚」、「知識のコミュニティ」が書かれています。

    「無知」
    ・個人が処理できる情報量には重大な制約がある
    ・人間は、自分がどれほどわかっていないかを自覚していない
    ・知識を全て足し合わせると人間の思考は驚嘆すべきものとなる、ただ、それは、コミュニティとしての産物であり特定の個人のものではない。
    ・たった一つのモノについてさえ、そのすべての側面に精通することは不可能だ。
    ・人間は、自分が思っているより無知である。
    ・われわれの認知システムは、要点や本質的な意味だけを抽出する。複雑な因果関係に遭遇すると要点のみを抽出して、詳細は忘れる。
    ・自分がしらないことをしらないということが往々にしてある。
    ・テクノロジーが進化していけばいくほど、それを完全に理解できる個人はいなくなる。
    ・トースターを作ろうとしても作れる人間は限られている。
    ・本当はわかっていないのに、分かったつもりになっている。
    ・私たちが知っておかねばならないことの多くは恐ろしく複雑で、どれだけ目を凝らしても理解できない。

    「知識の錯覚」
    ・前向き推論(原因から結果)のほうが、後ろ向き推論(結果から原因)より簡単だ。
    ・私たちは、近寄ると危険なものに対しては嫌悪反応をしめす。
    ・人間は共同で狩りをしたことで知能が向上した、それは、社会集団の規模や複雑性が高まったことに起因する
    ・最も優秀な人とは、他者を理解する能力が最も高い人かもしれない
    ・技術はもはや人間がコントロールできる単なる道具ではなくなった。システムがあまりにも複雑になったので、もはやどのような状態になるか、ユーザが常に把握できなくなった。
    ・知覚の錯覚がどこにあるかは個人ではわからなくなった。だから、信頼できる人の意見をそっくり受け入れざるを得なくなった。
    ・人の信念を変えることは難しい。それは価値観やアイデンティテxと絡み合っていて、コミュニティと共有されているから。ただ、頭の中にある因果モデルは限定的で誤っていることが多い。
    ・専門家でないのに、専門家のように口をきく集団となって、ますます自らの専門知識への自信を深める危険。
    ・政治的議論は、きわめて皮相的、たいした議論もせず、さっさと意見と固めてしまう
    ・優れたリーダは、人々に自分は愚かだと感じせずに、無知を自覚する手助け必要がある。
    ・また、リーダのもう一つの任務は、自らの無知を自覚し、他の人々の知識や能力を効果的に活用すること、専門家の意見に耳を傾けること。

    「知識のコミュニティ」
    ・個人の知性を表すg因子(IQの一種)に対して、集団の知性を評価できるc因子が発見された。しかも、集団知性である、c因子を重視すべきとの結果がでた。
    ・集団にとって、一番重要なのはアイデアではない。重要なのは、チームの質である。
    ・学習の目的は、知識の習得でなく、目標達成のための行動ができることだ
    ・文章を暗記していても、理解できているとはかぎらない
    ・本来の教育では、持っていない知識に目を向ける方法を身につけることもある。それには、思い上がりを捨てること、「なぜ?」を自問することが必要
    ・個人としてもっている知識は少ない。そのために、他の人々の知識や能力を活用する方法も身につけなければならない。
    ・近年学問の領域が拡大するにつれて、知識コミュニティも拡大の一途とたどっている。専門知識は意図的に分散されている。

    目次は以下の通りです。
    序章 個人の無知と知識のコミュニティ
    第1章 「知っている」のウソ
    第2章 なぜ思考するのか
    第3章 どう思考するのか
    第4章 なぜまちがった考えを抱くのか
    第5章 体と世界を使って考える
    第6章 他者を使って考える
    第7章 テクノロジーを使って考える
    第8章 科学について考える
    第9章 政治ついて考える
    第10章 賢さの定義が変わる
    第11章 賢い人を育てる
    第12章 賢い判断をする
    結び 無知と錯覚を評価する

  • あなたは自転車を知っていますか?では、自転車がどういう仕組みで動いているのかを知っていますか?おそらく1つ目はYES、2つ目はNOと答える人が多いだろう。この本はこのように「人間は思っているより無知である」ことに目を向けさせてくれる。知識は保有していると思いがちだが、実は「知識のコミュニティ」から得ていることもある。他人との話から得た知識などだ。それを自分の知識だと思い込み、錯覚する。人間の賢さの定義が変化する、今年読んで一番良かった本だった。

  • 知れば知るほど、知らないことが増えていく。

    認知的分業やコミュニティに依拠した判断についての解説が面白かった。人を動かす時には、仕組みから考えていかなくてはいけない。

  • 非常に自分にとって耳が痛い本でした。

    ・人は無知を自覚しておらず、自分と他人との知識に境界線を持っていない
    ・個人の知識はあまりにもごく僅かで、知識はコミュニティに依存している
    ・自分の無知を自覚するためには、因果的説明が適している

    これらは特に意識しなければいけないと実感した。

    なまじ本を読み、知識を持っている「つもり」なだけで、実際には説明することも難しい。
    知識がどこにあるという理解だけであったと思いしらされた。
    だからこそ、もっとアウトプットするべきだ。

    また自分の知識はコミュニティに依存しているという部分で、知識のコミュニティは良い点も悪い点もあることを知り、まずは自分がどのコミュニティにいて、自分はなにを知らないのか?どんな価値観を持っているのか?を考え直してみようと思う。

    個人の知識はコミュニティに依存しているからこそ、個人の能力ではなく、コミュニティにどれだけ貢献できるか、という考え方は改めて考え直された。

    分量も多く、読むのに時間はかかったが、認知科学という人間を俯瞰して見ることが出来る学問を少しだけでも知られて楽しかった。

  •  人間は知っていると思っていることを、実は知らない。このように、本当は良く知らないことを、なぜ人は知っていると思ってしまうのか、本書は、最新の認知科学の知見に基づき、豊富な実例をもって解説してくれる。

     また、個人レベルでは人間の認識には限界があり、間違った考えを持ちがちであるのに、どうしてこれほどに複雑で発達した世界を作れたのか?それは知識のコミュニティがあるからだ、という。

     一つひとつの事例や分析はこれまでも各所で取り上げられたり紹介されたりしてきたが、本書でのまとまった説明により、どういったことに注意し、どのように個人やチームに働き掛けていったら良いのか、大事な示唆を与えてくれた。

  • 人間は自分の知識を過大評価する生き物である。
    人は全てのことを理解することは不可能である。
    人間は知識のコミュティーに生きている。自分の無知を自覚し、適切に周囲から正しい知識を求めることができれば、賢い判断が出来るだろう。
    個人でどれだけ賢いかはあまり意味がなく、ひとつの集団内でどれだけ賢いかどのように自分が貢献できるかが大切なのかと思った。


    最近、仕事であまりに理解力がない自分に嫌気がさしていた。また、私は理解したつもりになることが多く、何を持って理解したことになるのかというのが分からなかったので、少しでもこんな自分の自分の助けになればいいなと思い、この本を手に取った。
    結論としては、私の求めていた物事を理解するとはどういうことかというような内容ではなかったものの、研究の事例を出しながら知識をコミュニティで共有する人間の本質的な性質や傾向を知ることができた。人は往々にして自分の知識を過大評価するものだという話に救われた部分もあり、よく周りを見てみると必ずしも正しいことを言っている訳ではないことに気づき、周りも自分と同じで自分を過大評価してることもあるのかもしれないと思った。また、賢い判断をする為には何でも知ってる賢い個人がいるだけでは意味がなく、集団として、賢い判断ができるようにしなければならないというのが、改めて当たり前のことに気づかされたような感覚になった。自分の無知を嘆かず知らないことをちゃんと人に聞こう(信頼出来る情報源から)と思いました

  • 理解していると思っていたのに、いざ説明を求められるとどう答えればいいか分からない。そんな「分かったつもり」の状態になっていることは自分も多々あるが、それは人間が、様々な知識を持った人々が集まり形成する知識コミュニティの中で生きているために起こる錯覚である。知識を共有してもらうことで、外から得た知識を「自分の頭の中にもともとあるもの」と混同してしまうらしい。それ故に己の無知にも気がつかない。

    大事なのは、全てのことを知るのは到底無理であると理解すること。自分が無知であるということを自覚すること。自分がどれだけ理解できているかを確認すること。そして謙虚に学ぶこと。

    本書を読んで、なるほどと思う部分も多々あったが、きちんと理解できているようには感じないので再読の必要あり。

  • 【背景】
    ①なぜ読むか
    脳の中の幽霊を読んで認知科学に興味をもった。
    ②何を得たいか
    知っていると錯覚する原因を知り、自身の無知に気づく力を得たい
    ③読後の目標
    それを抽象化し教育や自身の学習に生かす。

    【著者】
    スティーブン・スローマン
    フィリップ・ファーンバック
    【出版社】
    ハヤカワノンフィクション文庫
    【重要語句】
    錯覚、認識、無知、思考、直感、コミュニティの知識、CRT、認知的分業、AI、欠乏モデル、因果モデル、理解の錯覚
    【要約】
    人は自身の知識を過大評価する傾向がある。それは、コミュニティの知識を自身の知識と混同してしまうからだ。私たちは、コミュニティの知識に依存していることを認識すべきだ。
    【メモ】
    P41 説明深度の錯覚
    ①ファスナーの仕組みについての理解度を7段階で評価。
    ②ファスナーの仕組みについて詳細に説明する。
    ③改めて、ファスナーの仕組みについて自己評価。
    P73「自然界で最もよく理解されている神経系はカブトガニのものだ。」
    P196、L4「外から入手できる知識と頭の中にある知識を混同するため、たいていの人は自分がどれだけものを知らないかに気づいていない。」
    P252~253「地球温暖化について一般人に啓蒙する方法」
    P303、L15「個人の知能は、その個人がチームにとってどれだけ重要な存在であるかを示す。」

    【感想】
    私たちは無知であっても、認知的分業によって生活する事が出来ている。教育的には社会構成主義の前提になる内容だった。個人の知性も重要だが、それ以上にコミュニティの知識が重要である。そうなると、成績の付け方も変わっていくように感じた。
    個人的には、自分が無知であることを忘れないようにすることが大切だと思う。
    個人↔社会
    相互に作用していることも忘れてはならない。

  • 「無知の知」の科学的解説。「知識のコミュニティ」がポイント。面白くてグイグイ引き込まれた。
    目新しい話がそんなに多かったわけではないのだが、重要な示唆を与えてもらった気がする。もう少しよく考えてきちんと消化したい。

    概要
    ・思考は有効な行動をとる能力の延長として進化
    ・思考は因果的推論が得意
    →個人の思考プロセスによる「直観」とコミュニティとともに行う「熟慮」という二つの側面
    ・思考は自らの頭の内と外にある知識をシームレスに活用
    →これらのあいだに明確な線引きができない
    →自分が思っているより無知
    ・知識のコミュニティがますます拡大している中、成功のためには集団内で貢献する能力が重要。

  • この本は
    ①、我々の知識の殆どは他人(環境)任せ
    ②、我々はその事を理解出来ていない
    ③、しかし①である方が効率的
    ④、しかし②を理解していないと問題が多発する
    と言う事を、例を挙げて解説する内容が終始延々と記述されており、恐らく誰しも何となく思っていた事が殆どに感じます。

    それでも良い本だと思うのは、あとがきに書いてあるとおり、『改めて考えてみるまで、こうした考えを明らかだとは思わないから』。

    内容は具体的な事柄に対しての対策と言うよりも人生の各事柄(生活、勉学、人間関係)のどの事にも言える汎用的なもので、且つふわふわと思っていた事が明確化された事で各事柄に対するより良い選択や方向性の決定に寄与してくれる内容であり、人生を豊かにしてくれるものだと感じます。

    コミュニティにおける効率と言う強みを重視し過ぎており、少々スタンドアローンの重要性を軽視し過ぎているきらいはありますが、本の内容(コミュニティ)を鵜呑みにしないと言うのも、当の本に記述されている事だと言うことを加味して、人生(文明社会での生活)の基礎力を高めてくれる良本だと思います。

  • 知らないことをすぐに調べられるスマホがあると、考える余地もなく検索してしまう時代になった。調べて答えが出てくるから記憶しようとすることをやめてしまうことを実感しています。他にも、普段使っている道具の仕組みを説明できないことから、実は知らないことばかり。人は全ての知識を知ることはできない。だからこそ色んな仕事があって、色んな人が協力していきていく、人と生きていく生き物なんだなと思いました。

  • 脳科学や認知系の本は少し読んでいたので「そうだよね」とサクサク読めるのだけど、それも正に知識の錯覚なのでだろう。何となくは知っているけど因果関係をちゃんと説明できるかと言われると...。

    とは言え、後半は新鮮な感覚。個人として貢献度は (どんな偉人でも) 限られる。複雑な世界では 集団としてパフォーマンス、チームへの貢献度が重要。コンピュータに例えた話は分かりやすい。高性能CPU(IQ高い人)ばかり集めてもシステム全体は機能しない。単純な作業を素早くやる人も必要で大事。高いパフォーマンスを上げる集団(システム)として。第十章は良き。

  • 自分がどんだけ無知なのを教えてくれる本。

    例えば私はファスナーを問題なく使えるが、ではファスナーの開閉の仕組みを説明してほしいと言われたらどのくらい説明できるだろうか?
    ファスナーだけに留まらず、殆どの仕組みを自分は(思ったよりも)できないにも関わらず理解していると思う『知識の錯覚』に陥っている現状は何故か、その錯覚とどのように共に生きていくか、興味深くとても楽しめて読めた。

    また政治の問題を結果の枠組みで捉えるか、価値観の枠組みでとらえるかの話は長年モヤモヤしていたものが晴れた気がしてよかった。

  • ・為末大・今井むつみ「ことば、身体、学び〜「できるようになる」とはどういうことか」(扶桑社新書)に言及あり。

    ・今井むつみ「「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか? 認知科学が教えるコミュニケーションの本質と解決策」でもたびたび言及あり。読まねば。(2024.9.4)

  • 笑えてくるほどおもしろい、人間にとっての知識の本質的な本。SNS等に散見される南郭濫吹な人々も仕方ないのかなと諦観できるようになれるかも…?行動経済学や認知心理学の本を読むときの前提知識として読むべき。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/768053

  • いかに自分が「無知であるか」を知れる良書。

    知らないことは知らないと認めること、
    「なぜ?」と自問し、思い上がりを捨てることが第一歩
    (知識の錯覚を自覚する)

    認知的分業は、人が学習する内容に大きな影響を及ぼし、個人は自らの役割にさらに特化するようになる
    →その気になれば、その役割を与えられれば、人は学習する

    p374の主題のまとめ
    テーマ:無知、知識の錯覚、知識のコミュニティ

    無知は避けられないものであり、幸せは主観的なものであり、錯覚にはそれなりの役割がある
    ということを自覚する、のが本書のテーマ 

  • 人間の知性の特性と限界を教えてくれる。
    ただ、難しい記載もあり、理解しきれなかった。

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