考える脳 考えるコンピューター 新版 (ハヤカワ文庫NF)

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  • 早川書房 (2023年7月24日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784150506018

作品紹介・あらすじ

現実の構造を認識し未来を予測する脳の能力と、AIの「知能」の違いとは? 天才ジェフ・ホーキンスの原点。書き下ろし序文収録

感想・レビュー・書評

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  • ジェフ・ホーキンスら「考える脳 考えるコンピュータ」読了。著者が唱える大脳新皮質の機構は興味深かった。それは数ミリの薄い膜の中に数層の連なりの中でそれらの信号の伝達様式により記憶に基づく類推と予測を発現させるという。昨今の生成AIの大規模言語モデルと対比し腑に落ちるように思った。

  • ポイント
    ● 知能・脳(新皮質)の主要な機能は「記憶による予測」である。これが本書の一貫した主張。
    ● 知能を備えた機械を作ることは可能。しかし、それは人間に近づけたり人間を超えることとは別の話しである。そこを理解できるかが人工知能を使う一般ユーザーが持つべき前提としての知識。
    ●脳の働き方を、組織のあるべき情報伝達に当てはめて考えながら読める。



    以下メモ

    知能・脳(新皮質)の主要な機能は「記憶による予測」である。これが本書の一貫した主張。 →読み進めると言っていることがわかってくる。

    脳ある人間は、あるがままの世界をそのままの形で知覚し、考え、行動するのではない。これまでに蓄積され、記憶された経験から、予測した世界との答え合わせで世界を見ているし、どんな知覚も行動もこの予測に基づいている。 →なるほど。と思ったしたしかにそんな感じがする。

    脳は階層構造をしており、上下には具体的な知覚から抽象的・普遍的な知覚があり、それらは上下に相互に連結し連携している。階層の横のつながりももちろんある。
    →下部は知覚を具体的・個別的に上部に送る。上部は個別具体的な情報をこれまでの経験から抽象化・一般化して理解する。上部と下部は一方通行ではなく、上部の予測は下部に伝達されそれとの比較で下部は世界を知覚しようとする。
    →会社などの組織構造にも当てはめられる考えだと思った。如何にして下部である現場部隊は、上部であるマネジメント層に、適切な情報を伝達すべきか?そしてマネジメント層はその情報を経験を活かしてどのように抽象化し、意味を与えたり見出すべきか。そしてマネジメント層からの予測や一般化と照らし合わせた解釈を現場層が如何にして照合し、添削するか。これまでの会社組織であるような上意下達の情報の流れではなく、アメリカ海兵隊のような双方向の情報の流れが、我々の脳の動き方に近いし、それ故に組織体制としてもそのような情報の流れが良いのではないかと思った。

    人工の知能の今後について。人工知能は人間の持つ感覚器官をそのまま持つべきだとは言えない。脳がどのような感覚器官であれ、脳の内部での刺激を同じような仕組みと様式で伝達している。人工の知能も感覚を最終的にコンピュータ上で伝達できる形式になっている必要があり、それは触覚や視覚、聴覚のような形態を取る必要はない。感情は旧脳の分野なので、記憶による予測を知能と定義した場合には、それは新脳の分野でしかないので、感情は不要。
    →これはむしろコンピュータ科学者がどのように人工知能を設計していくかというよりも、ユーザーがこの考え方を理解しているか、それとも理解せずに盲信するかというところに関わっていると思った。

  • 凄腕のエンジニアであり、シリコンバレーで大成功した起業家でもある著者の視点は、よくある脳神経系を専門とする神経科学者の著作物とは異なり、いっそエセ科学ともとれる領域にまで踏み込んでいて、とても興味深いものでした。

    ただし、本書は20年前に出版されたものなので、神経科学の分野では近時研究成果は様々にアップデートされており、現時点で著者の主張が妥当しない内容も含まれているようです。

    本書はまず、真に知的な機械を作ろうするこれまでの試みが、ことごとく失敗してきた理由が明確に説明されています。
    すなわち、既存のコンピュータメモリ構造上に構築された現在の人工知能は、単に情報を記憶するだけで、その情報を組み合わせて新しい概念を学習することまではできない、ということです。
    当然のことながら、人工知能は、人間の脳の働きとは大きく異なります。
    人間の脳は、感覚情報が入ってくると、既存の記憶と組み合わせることで、新しい情報を既存の枠組みに当てはめます。
    情報を組み合わせる際に、大きな働きをするのが大脳新皮質です。
    大脳新皮質は、複数の層が重なり合って構成されており、感覚からの情報はこれらの層を通過し、それぞれの層が感覚情報にさらに詳細な情報を加えて、人間に新たな行動を促すようになります。

    このように著者は考え、真に知的な機械を創るには、まず人間の脳を理解する必要があると主張しています。脳は、一見すると極めて複雑に思えますが、大脳新皮質が一貫した列に編成されており、それらはすべて同じアルゴリズムを使用しているように見える、と著者は述べています。
    つまり、そのアルゴリズムをひと度解くことができれば、脳がどのように情報を処理できるかについて、多くの理解が得られるということです。

    要するに、既存のいわゆる"AI:人工知能"によって人間の脳を超える知能を創ることは不可能であり、脳を機械化したもの、いってみれば"機械知能"によってこそシンギュラリティは可能になる、と著者は考えているのです。

    ・・・と、なるほどと思わせるものはありましたが、しかし、著者は「知能」を大胆にも「大脳新皮質」と定義しており、大脳新皮質を模倣した機械さえ開発できたならば、人間の脳の働きを再現できるかのように主張している点に、非常に怪しげな論理の飛躍を感じました。

    また一方で、人間の人体そのものを機械化することは、技術的にも予算的にもほぼ不可能(あるいは永遠ともとれる時間がかかる)と考えており、とすれば機械化した大脳新皮質の実現可能性もまた、極めて低いのではないかとも考えられます。

    それでも著者は、不可能に向かって頑張る!と決意を表明していますが、これはなかなか...。眉に唾をつけつつ著者の主張を楽しんだほうが良いかなとも思いました。

  • シリコンバレーで起業家として事業を展開しながら、人間の脳の働きについての研究を続けている筆者が、知能とは何か、そして人間の脳はどのようにしてそれを作り出しているのかについて、自らの考えをまとめた本。


    本書の大きな特徴は、「予測」することを知能の枠組みの重要な柱に据えたことである。

    筆者がこの本を著すまで、知能とは情報の分析やそれらを基にした推論を行う能力として捉えられることが多かった。そして、そのアウトプットとしての「ふるまい」こそが、知能の存在を判定するための指標とされた。アラン・チューリングが提唱した、人工知能の受け答えがどの程度人間らしいかを人工知能の水準の指標とする「チューリングテスト」は、その代表的なものである。

    しかし筆者は、知能とは過去の経験の蓄積によって脳の中に貯えられた社会に対するモデルから予測を行い、それを感覚器官などから入ってくる情報と比較しながら判断を行う力であると考えた。これは、与えられた情報だけを基に結果を推論する分析的な知能モデルとは異なるコンセプトである。

    我々の脳は日々大量の情報を受け取っているが、それらの情報をすべて同じ水準で処理することは不可能である。しかし、予測モデルと照合しながら、予測と相違のある個所に意識を集中させることで、これらの大量の情報から判断や注意が必要な情報を効率よく取捨選択することができる。

    普段生活している部屋に見慣れないコーヒーカップがあると、すぐにその一点に我々の意識が行き、その存在に気が付くことや、カバンの中に入っているものを探す時に、指がその一部に触れただけでその物の全体の姿を認識することができるといったことは、このような知能モデルからより良く説明することができる。


    筆者は、人間の脳の新皮質の構造を糸口に、このような知能モデルを考え出した。

    新皮質には感覚器官から情報を受け取り抽象的な階層に伝送していくという情報の流れだけではなく、逆に抽象的な階層から感覚器官に近い階層へと情報を伝送するルートもある。このようなルートは、受け取った情報を分析するだけの仕組みであれば必要がないものである。

    しかし、抽象的な階層に蓄積された概念やモデルを現実の社会から得られた感覚情報と照合しながら判断するという筆者のモデルにおいては、これら双方向からの情報の流れが必要となる。知能とは、この双方向の情報の流れを使いながら、概念や周囲の環境に対するモデルをどんどん更新していくことで形成されるというのが筆者の仮説である。

    予測と照合しながら判断を行い、その都度現実と擦り合わせながらモデルを更新していくという仕組みは、その後の人工知能の開発においても、自己教師あり学習という手法に展開されており、筆者のコンセプトはそれに先駆けたものであった。この本が多くの人工知能の研究者に影響を与えたと言われている理由である。


    本書でとり上げられている筆者の知能モデルは、執筆された時点ではまだコンセプトの域を出ず、また現在においても完全に証明されたものではない。しかし、出版から20年間で開発された人工知能の技術の中には、本書でとり上げられている考え方と近いものが数多くあり、そういった意味では、開発者に非常に大きなインスピレーションとブレイクスルーを与えた本であることは間違いないと思う。

    人間の知能について考える上でも、人工知能の技術を評価する視点を広げる上でも、非常に有益な本であると感じた。

  • タイトルが面白そうとは思ったが、松尾先生の推薦があったので購入した。
    内容は期待以上だった。知能がどのように実現されているのか、についての答が書かれていると思った。興味のあるテーマであったので興奮した。
    タイトルで損をしていると思う。

    さらに約20年前に書かれたものであることは驚きであった。ChatGPTなど、現在の人びとの生活への浸透が進みつつあるAIはこの理論を裏付けるものであると思う。
    この後、AIや、AIが浸透した世の中がどうなるのか、とても興味深い。自分なりに考えていきたい。

  • 考える脳考えるコンピュータ

    知能は計算

    脳の中のつながりは双方向。
    感覚器官に戻す神経が多い。

    話が下手な人は頭の構成どうなってる?

    記憶のシーケンスは、繋がっている。
    既存の行動に次の新しい行動を紐つけることは理にかなっている。


    一部から全体を想像するパターン認識。

    新皮質、記憶の形質は関係の本質を捉えたもの。

    知能は予測

    認識=感覚と脳の記憶から引き出された予測が組み合わさったもの。

    人はなぜ他の動物より長いシーケンスを立てられるのか? Q

    目で見たものは網膜上の受容器の分布が均質でないためにかなりゆがんでいる。

    人間にテンプレートはなく、画像で認識してない点がコンピュータと違う。

    新しいことを学ぶと脳はそこに集中する?
    なのでひらめく?

    記憶と予測が知能だとしたらほとんどの動物にある?
    その方法とたくみさに差がある

    あらゆる哺乳類には新皮質があり、旧脳の表面にかぶさっている。
    神経の組織の中でもっとも新しく進化した部分なのでそこで予測を立てることが出来る。

    犬や猿より人間は新皮質が大きい。

    創造性→新皮質のあらゆる領域が備えている性質。類推によって予測を立てる能力


    行動は創造そのもの。
    パターンを認識し、それを応用する。
    問題の形そのものを変えて、自分が知るパターンに落とし込む。
    創造性の問題解決のためのしかけ。

    みんなの創造性を刺激し、少しの引っ掛かりを残すのが最高の芸術。

    V1野の面積は最大3倍の個人差。
    脳の左側と右側んつなぐ神経繊維の数は男性よりも女性の方が多い。

    問題解決
    ー現実世界から手本になる解法を見つけること
    ー新皮質に蓄えられた記憶から、類似する問題の解答を引き出す

    ー行き詰まれば異なる視点から眺める。

    記憶の正体はニューロンをつなぐシナプスの変化?

    新皮質にとって、身体は外の世界の一部に過ぎない。

    パターン処理装置としての脳にとって、身体とそれ以外の世界はまったく変わらない。

    東洋人は物体の間の空間に注目、西洋人はほとんど物体だけ。

    情報は映像や音にして認識できるフォーマットとなる。

  • 【配架場所、貸出状況はこちらから確認できます】
    https://libipu.iwate-pu.ac.jp/opac/volume/585846

  • とりあえず使うだけでもAIを学ぶ方には読んで欲しい本。
    内容は素晴らしいレビューがあるので割愛するが、文庫に1400円近く出すのに躊躇した(私もそうだ)方は、P369からの松尾教授の「解説」を読めば書いたくなるはずだ。

  • 2004年に書かれた本なのに、今の大規模言語モデルを予言している。
    松尾先生の解説から読むと凄さが判る。
    まともな音声認識もなかった時代に、CNNや深層生成モデルやトランスフォーマーに近いモデルを論じている。自己教師あり学習のNext Word Predictionや画像のinpainting処理は現在のAIで基本になっている技術である。
    本書の予言のいくつか(音声認識、画像認識、自動運転、天気予報AI,タンパク質折り畳み問題を解くAI)は、すでに現実になっており、次は何かを予測して運動の命令が発せられ結果的に行動するロボットができてくるのか?すべてを同一アルゴリズムで扱うマウントキャッスルの法則に基づくロボット・・・・
    「わたしの自信の根拠は、主として、知能の問題に長い間取り組んできたことにある。 中略、 おそらく、わたしの脳には技術や化学の変化がどのように起きるかについて高レベルのモデルが構築されている。そして、そのモデルが急速な進展を予測している。いまこそ転機だと」
    もう一度 著者の脳は世界をどう見ているのか の未来予測を読み返さなければ。

  • 系・院推薦図書 3系(情報・知能工学系)
    【配架場所】 図・3F開架 
    【請求記号】 007.13||HA
    【OPACへのリンク】
    https://opac.lib.tut.ac.jp/opac/volume/468260

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