- 早川書房 (2024年10月23日発売)
本棚登録 : 280人
感想 : 16件
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784150506131
作品紹介・あらすじ
18世紀のウィーンにチェスを指す自動人形(オートマトン)が現れた。あまりに優れた性能のためたちまちヨーロッパ中で話題になるが、その真相は?
AIがまとめたこの本の要点
この本を表す言葉
みんなの感想まとめ
18世紀のウィーンで登場したチェスを指す自動人形は、当時の人々を魅了し、その背後に隠されたトリックや技術に迫る興味深いノンフィクションです。読者は、ナポレオンやベンジャミン・フランクリンとの対局を通じ...
感想・レビュー・書評
-
トム・スタンデージ『謎のチェス指し人形「ターク」』ハヤカワ文庫。
2011年12月にNTT出版から単行本として刊行された作品の文庫化。
なかなか面白いノンフィクションであった。現代でこそ、スーパーコンピュータやAIといった情報技術が進歩し、チェスや将棋といった分野で機械が人間を打ち負かすのは当たり前になっているが、1770年にチェス指し人形という物が創られていたとは驚いた。
勿論、チェス指し人形にはトリックがあるのだが、当時の機械制御の技術が垣間見ることが出来、それが後のスーパーコンピュータやAIなどにつながっていくという点が面白い。
1770年、ウィーン宮廷の官吏ケンペルはチェスを指す自動人形、オートマトンを創り出した。中東風の衣装を身に纏った自動人形は『ターク』と呼ばれ、欧米各地で興行を行ない、チェスのチャンピオンでさえも打ち負かした。
人びとが驚愕した『ターク』は本当に思考し、チェスを指す自動人形なのか。創造主であるケンペルの手を離れた『ターク』は、ベンジャミン・フランクリンを破り、ナポレオンとも対局し、エドガー・アラン・ポーがその秘密に挑む。
そして、『ターク』の系譜は1990年代の『ディープ・ブルー』、現代のAIへと受け継がれていくのだ。
本体価格1,200円
★★★★★詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
トム・スタンデージ「謎のチェス指し人形「ターク」」読了。凡そ70年もの間にナポレオンらを魅了したチェス人形の数奇な運命に引き込まれた。その中で技術革新が進む上での幻影の重要性に気付かされた。生成AIにもそれを感じるが長い目で見れば必然なのかもしれない。あと服部桂さんの解説も素晴らしい
-
17世紀にウィーンで登場したチェスを指す人形「ターク」。
果たしてこのオートマタはどのようにしてチェスを指していたのか、それが徐々に解明されていくため、自動人形の快進撃ストーリーというだけでなく、その実態にせまった謎解き本として、一種のミステリー小説のような味わいを持って読むことができる。
そしてこの謎は、人が他者に対して「知能を持っている」と感じるのはどのような瞬間なのか。あるいは「知能とはなにか」という問いへともつながっており、1770年に生まれた自動人形が、現在のAI技術へとリンクしていく過程にぞくぞくするものがあった。-
おはようございます こちらの本、傘籤さんはどんな感想を抱かれるのかなあと思ってたので、うかがえて嬉しいです
そう、まさにタークの快進撃の話な...おはようございます こちらの本、傘籤さんはどんな感想を抱かれるのかなあと思ってたので、うかがえて嬉しいです
そう、まさにタークの快進撃の話なんですよね
タークが失われた後の世でもその軌跡を継ぐ文学であったり技術が産まれていったことも感慨深くなる作品でした
タークと縁があったなら、タークと対戦することも、“タークの差し手”になってみたい気持ちも、両方あります2025/05/04 -
たけうちさんありがとうございます。
チェスの本、という以外にもオートマタが世の人を驚かせていた時代の話として、あるいは奇術のような出来事をミ...たけうちさんありがとうございます。
チェスの本、という以外にもオートマタが世の人を驚かせていた時代の話として、あるいは奇術のような出来事をミステリ小説風においかけるノンフィクションとして、そしてAIと知能について。様々な角度から楽しめる読み応えのある本でした。
エドガー・アラン・ポーやチャールズ・バベッジやベンジャミン・フランクリンやナポレオンと、登場人物の豪華さも本書の面白さで、技術が密かに歴史を動かしていく流れが興味深かったです。
どちらも魅力的ですね。小説家にインスピレーションを与えただけのことはありました。良本をありがとうございました!2025/05/04
-
-
18世紀のオーストラリア宮廷に仕える官吏ケンペレンが創造した、自動チェス差し人形“ターク”
タークは著名なチェスの差し手ですら敵わぬほどの天才的なチェスプレイヤーであり、ヨーロッパ各地で巡業を行えば絶賛の嵐となり、連日のように新聞や雑誌を騒がせ、タークをチェスを差したいと願う者、一目その姿を見たい者が後を絶たず、タークの謎を解明したいと多くの学者、知識人が自説を発表し合う、当時はまさにタークのバブルのような熱狂が起きていたのだとか
そのタークは、いかにして動いていたのか?
タークは実際に、自律性の機械人形であったのか?
それとも手品師の手妻のごとくの仕掛けがあったのか?
タークが作られてから、その所有者が変わり、各地を転々とし、ついに火災によって焼失するまでの歴史を辿る前編と、
タークがこの世に“チェスを差す自動人形”として現れ、産業革命以降の文化の発展に彼が与えた影響について解説する後編に分かれており、それらを通じて読むと、“ターク”という何とも不思議な存在に魅了されてゆく、18世紀の頃の観衆のような心地になれます
小川洋子さんの『猫を抱いて象と泳ぐ』は、おそらくこのタークの逸話を元にしていて、そしてこの作品を読んでいれば、タークの真相は知ってしまっている状態で、このノンフィクションに触れることになります
でも、タークには、今もなお明らかになっていない謎があるし、その存在は人間と人間以外の知性のファーストコンタクトだったと言えるのではないか? と熱く語られる論陣がたまりません 名著です
-
チェス指し自動人形の誕生からその真相までのノンフィクション
以下、公式のあらすじ
-----------------------
1770年、ウィーン宮廷。官吏ケンペレンによる前代未聞の発明、チェスを指す自動人形(オートマトン)がベールを脱いだ。中東風の衣装をまとい「トルコ人(ターク)」と呼ばれた彼は人の手から手に渡り、欧米各地で興行が催される。チャンピオンすら打ち負かす腕前に観客たちは驚き、困惑した。本当に機械が「思考」しているのか? ベンジャミン・フランクリンを破りナポレオンとも対局、エドガー・アラン・ポーがその秘密に挑んだ、知られざる「AIの祖先」の世にも数奇な命運と真相。『ヴィクトリア朝時代のインターネット』著者、もうひとつの傑作!
-----------------------
「猫を抱いて象と泳ぐ」(小川洋子)を読んだのと、去年末の読書会でこの本を紹介していた人がいたので読んでみた
ケンペレンにより作られた自動人形
果たして本当にすべてが自動なのか、何かトリックがあるのか
机の扉を開けると歯車などが詰まっていて、向こうの蝋燭の光が感じられる
他の扉を開けても空洞があるばかり
狭い空間に入れるような子供が中にいるのか
ケンペレンが怪しい動きをしている事から、何か操作しているのではという疑惑
仕掛けがあるとしたら、どんなものか
人々の反応と推測の歴史
マリア・テレジアの命で作られ
後に様々な偉人を魅了する事になる
ナポレオン、ベートーヴェン、エドガー・アラン・ポー等など
ケンペレン亡き後も所有者が変わりながら人々の前でパフォーマンスが続けられていた
当時、記者をしていたエドガー・アラン・ポーが、仕組みを推測し
当たっているものもあれば、外れていたものもあった
その記事が後に推理小説の元祖となったらしい
中に入っていたとされる人達の変遷
そして、コンピュータが人間のチェスマスターに勝利したエピソード
ディープブルーは人間のチェスのトップであったカスパロフに勝ったコンピュータ
チューリングテストの基準で言えば、カスパロフも指し方を認めるところとなる
今でこそコンピュータが盤上遊戯で人間より遥か上を行くようになったけど
当時の人達もどこまでチェス指し人形を信じていたんだろ?
まぁ、普通に考えれば無理な話ではあるけれども
そこはタークが披露されていたのがオートマトンの発表のメインとしての流れがあったとか
ケンペレンのパフォーマンスの妙があったとかのでしょうね -
冒頭に書かれているが、いわゆるチェスをうつ自律した機械の話、ではなく、そう見せかけた機械と取り巻く人のお話。
本文に生成AIの話が登場せず、初めは違和感を覚えたが、文庫版の出版は2024年、元になった単行本は2011年ごろみたい。
タークがいわゆるAIの元祖かと言われると、そう言うものじゃないでしょと言う印象。
もっと原始的な、機械と人の関係性の話と捉えるのがただしい。人と機械の違いとは何か?知能、思考とは何か?
構成上仕方ないかもしれないが、よっぽど注意して読まないと出来事の時系列を追うのは難しかった。年号と人の名前を覚えるのが苦手で歴史を取らなかった怠慢な学生時代を送った身としては、述べられる出来事の前後関係がほぼ分からなかった。 -
2025-04-15
ポーの「メルツェルのチェスプレイヤー」を読んだのは高校生の頃だったろうか。本書を読むまで、あれは事実に基づいたフィクションだと思っていた気がする。実際のタークを扱ったエッセイだったのか。
その後何かを読んでタークの存在自体は知っていたが、その誕生から、ディープブルーによる勝利までを一望できる本。思いもよらぬ偉人(バーナム、バベッジ、チューリング)が出てきて興味深い。
各章にエピグラフが添えられているが、ここには是非ともヴェルヌの「想像できるものは創造できる」を加えて欲しかった。 -
第125回アワヒニビブリオバトル テーマ「人形」で紹介された本です。チャンプ本。ハイブリッド開催。
2025.3.7 -
人を魅了するものは、優れた演出と明かすことのない秘密がスパイスになるんだなと
-
AI全盛の昨今、約250年前に作られた、チェスを指す自動機械のお話。オチは読んでもらうとして、ここからチャールズ・バベッジの解析機関や、エドガー・アラン・ポーのミステリーの元祖に繋がるとは思いませんでした。ただ、昨今のAIも、返ってくる結果が、専門家が見ると的外れなので、そういうフェイク情報をいかに排除するかが、課題だと思います。
-
1770年に作られた、チェスを指す人形「ターク」。
彼の謎をめぐるノンフィクション。
こんな魅力的な人形が、マリアテレジアの時代にあったなんてなー。当時の人たちは未来を感じたんだろう。
今やコンピューターを相手にゲームをするのは当たり前になってしまったけれど、これからは機械がプログラムの範囲を超え、自分の思考でチェスを指す日が来るのかも。 -
タークが単なる興行の出し物を超えて、現代のAIに繋がる壮大な旅を送っていたというのは、制作者の意図を超えたのだろうか、産業革命による機械の自動化と同時代を生きた人達にとって、タークは単なる見せ物から未来を予見させる、おっかない人造物に見えたのだろう。
著者プロフィール
トム・スタンデージの作品
