ゼロ時間へ (ハヤカワ文庫)

  • 早川書房 (1976年7月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784150700089

感想・レビュー・書評

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  • 読み終えて、まずほうっと息をついた。
    この「ゼロ時間へ」のなかにクリスティーの思う推理小説感みたいなものが漏れなく収められているのではないだろうか…まあ多作なクリスティーのことだから、そのアイデアのごく一部なのかもしれないけれど…素晴らしいよ、クリスティー!

    冒頭のロバート・グレーヴスに宛てた言葉に
    「お読みになるときはどうかあなたのてきびしい批判力を発揮なさらないように(中略)これはあなたの頭をやすめるための小説であって、文学的な鑑識眼をわずらわせるようなものではないのです!」と茶目っけをみせているのとは裏腹に、もの凄く綿密にストーリーが練られているし、きっと彼の鑑識眼にも適ったのではないかしら…と思いを馳せちゃいました。

    まず序章で登場人物の言葉をかりて「ゼロ時間」とはを語り、「殺人というものは終局なのだよ。物語は、ずっとまえからはじまっているのだ。」と説き、そしてその後に登場する人物たちが集うことで起こる不穏な緊張感を演出しつつ、やがて事件へと至っていく…
    では「ゼロ時間」に至るのはいつの地点なのか?読者は自ずとそれを意識させられることで、物語にのめり込んでいく。演出の巧みさというか、一見関係のなさそうな事柄でさえも見事に伏線となっていてるので、クリスティーはめっちゃロバート・グレーヴスを堕としにいってるよ!とヒシヒシと感じられて楽しかったです。

    個人的には今作の探偵役のバトル警視がポアロのエピソードを持ちだしていた点も楽しめました。バトル警視はポアロとは毛色の違う探偵役だけれども、実直なお父さんの一面が持ち味として描かれててよかったです。

  • 【DATA】
    “殺人は結果なのだ。物語はそのはるか以前から始まっている。ときには何年も前から。すべてが集約されるある点、クライマックスにいたるその時がゼロ時間なのだ”

    残暑長引く9月―。老齢の未亡人カミラ・トレシリアン邸に、彼らが居合わせていたという事実。
    カミラ夫人が我が子の様に手をかけ育てあげた万能スポーツマンのネヴィル・ストレンジ。彼の現在の妻ケイと、前妻であるオードリィ。ケイの友人で容姿端麗な伊達男テッド・ラティマー。オードリィの遠い従兄でマレー帰りのトーマス・ロイド。長年カミラ夫人の身の回りの世話をして暮らすメリィ・アルディンは、ネヴィルの遠い従妹にあたる。
    そして、物語は徐々に動きを見せはじめる。ゼロ時間へ向かって―。

    【感想】
    アガサ・クリスティ作品にハマったのは・・・中学生ぐらいの頃だったかな~。とにかく、おそらくは20年近く時を経ての再読でした。

    いや~今読んでもミステリーとして全然古臭い感じがしないって、凄いなぁ。もちろん時代背景を感じる節はあるし、登場人物たちの生活描写なんてのは別としての話だけど。なんだろうな~、ストーリーの紡ぎ方、切り口、心理描写の見せ方なんかが、現代ミステリーのトレンドに近いのかな?

    そしてまた、まんまとダマされるのですこれが。
    読み終えてみれば、なるほど~!と言わざるを得ないもんな。言ってしまえばタイトルからして伏線か!みたいな。
    いや、大丈夫、これだけ書いてしまっても全然ヒントにはなって無いと思う(笑)
    さぁどうぞ、レビュー冒頭に引用した“法曹界の切れ者”トリーヴス老弁護士の言葉をしっかり頭に焼きつけて、物語を読み進めてみて下さい。

    トリックよりもむしろ、物語性で読ませるタイプのミステリー好きにおすすめの1冊!

  • 怪しすぎる人が一度容疑が晴れたように見せて、でも実は犯人だったというのはポアロでもあったかな。ちょっと運任せな展開かもと思った。

  • ポアロでもマープルでもないクリスティ。どんな具合にと読み始める前は不安だったけれど読みやすくのめり込むタイミングを早めの捕まえられた。そして題名の「ゼロ時間」の意味も。なるほど、殺人ありきのミステリではなくそこに至るまでの登場人物の事情やら人間性やらが大切な原因なのだなと感じる。
    登場人物一人ひとりがまさしく生きている。

    バトル警視物のほかの本も読んでみたいと思った。

  • なんだろう……。あらすじや序章に興味を惹かれて、今か今かとゼロ時間に向かっていくのが待ち遠しいのだけど、最後の最後で微妙というか。
    途中がドキドキわくわくしすぎて、クライマックス?に盛り上がりが欠けるというか、むしろ、最後の結末をなくしてリドル・ストーリーみたいに〆た方が面白かったんじゃないかなぁと感じてしまった。

  • 久しぶりに読んだ。田村隆一さんの翻訳は読みやすい。

  • #赤背表紙のクリスティーを再読するプロジェクト 041

    映画やにドラマにもなった有名な作品。マープル主演でリメイクされたドラマのビジュアルは綺麗だったが、「ゼロ時間」という意味深長なモチーフには、オリジナル小説のバトル警視のほうが似合う気がする。小説内では、ポアロもフィクション内フィクション人物として登場するので、都合3名のボスキャラが関与している作品なのは興味深い。クリスティの書くヒロイン像は、利発活発容姿端麗というケースが多いが、本作のヒロイン2名はそうではない。ひとりは美人だけど粗野、もうひとりは奥床しいけど地味、というコントラストを醸し出している。

  • バトル警視ってポアロと共演してるのをすっかり忘れてたんだけど、ひらいたトランプでしたか。
    もう、随分忘れてるからもう1回読み直そうかなあ。
    話はクリスティらしいどんでん返しの話でしたが、
    何と言うかこれまたクリスティらしい登場人物の性格のつかめなさが若干イライラしました。
    次はポアロ読みたいなあ。

  • これも母の本棚から失敬して。

  • 結構楽しかったです。まさか犯人があの人だとは思いませんでした・・・

  • 2008.10.26

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著者プロフィール

1890年、英国、デボン州生まれ。本名アガサ・メアリ・クラリッサ・ミラー。別名メアリ・ウェストマコット、アガサ・クリスティ・マローワン。1920年、アガサ・クリスティ名義で書いたエルキュール・ポアロ物の第一作「スタイルズ荘の怪事件」で作家デビュー。以後、長編ミステリ66冊、短編ミステリ156本、戯曲15本、ノンフィクションなど4冊、メアリ・ウェストマコット名義の普通小説6冊を上梓し、幅広い分野で長きに亘って活躍した。76年死去。

「2018年 『十人の小さなインディアン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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