杉の柩 (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-11)

  • 早川書房
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (329ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150700119

感想・レビュー・書評

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  • クリスティーの作品は全て読んでいるけど、一番好きなのは『杉の棺』だと断言できる。
    そして表紙のデザインは古いハヤカワ文庫版の方が絶対いい。情熱的な赤バラと控えめな白バラ。内容を端的に表している。

    人にお勧めするのは『そして誰もいなくなった』だけれど。

  • こういった作品はもしかしたら有名作以上にクリスティを感じるかもしれない。細かいところでのうまさが目立つし、読んでて楽しい。いい作品だわ。

  • クリスティは全作品読むくらい嵌ってました。
    これはポアロものですが、その中でもラブ・ミステリーとしての傑作

    エリノアは、幼馴染の婚約者が心を移した娘メアリーを毒殺した容疑で逮捕されます。
    全ての状況が彼女の犯行を証明しているかのような状況の中、彼女の無実を信じる医師の依頼でポアロが捜査に乗り出します。証言者のうそを見抜き、そのうそから真実を導き出すポアロの手並は見事です。

    クリスティならではの女性心理の描き方が秀逸。サスペンスとしても楽しめる。

  • 「アガサ・クリスティ」のミステリ長篇『杉の柩(原題:Sad Cypress)』を読みました。

    『ポワロの事件簿〈1〉』、『ポワロの事件簿〈2〉』、『ヘラクレスの冒険』、『死との約束』に続き「アガサ・クリスティ」作品です。

    -----story-------------
    婚約中の「ロディー」と「エリノア」の前に現われた薔薇のごとき「メアリイ」。
    彼女の出現で「ロディー」が心変わりをし、婚約は解消された。
    激しい憎悪が「エリノア」の心に湧き上がり、やがて彼女の作った食事を食べた「メアリイ」が死んだ。
    犯人は私ではない!
    「エリノア」は否定するが…嫉妬に揺れる女心を「ポアロ」の調査が解き明かす。
    -----------------------

    1940年(昭和15年)に刊行された「アガサ・クリスティ」のミステリ長篇、、、

    以前、映像化作品の『名探偵ポワロ「杉の柩」』も観たことがある作品… 5作品連続で「ポワロ」シリーズです。

     ■プロローグ 有罪か、無罪か?
     ■第一部
      1. 匿名の手紙
      2. メアリイ・ゲラード
      3. 二度目の発作
      4. もしメアリイがいなければ
      5. メアリイ、遺言状を作る
      6. 数々の手紙
      7. 娘は死にかけている
     ■第二部
      1. ポアロ登場す
      2. 台秤の針、くるくるまわる
      3. ナース・ホプキンス
      4. エマ・ビショップ大いに語る
      5. 何かのまちがいでは?
      6. ロディーは思い出した
      7. ポアロに難事なし
      8. 部長は自信満々
      9. 何かまだある
      10. 不思議な偶然
      11. エリノアは語る
      12. 白バラと紅バラ
      13. ミス・トゥートゥー
     ■第三部
      1. レッテルのきれはし
      2. 検事は安閑としている
      3. 弁護論告
      4. 陪審員の答申
      5. 心安らぐ人
      6. 絵ときするポアロ

     ■ポワロ・シリーズ作品リスト

    本作品は3部構成となっており、第一部で「メアリ」死亡までの「エリノア」の心理が克明に描かれ、第二部で「ドクター・ロード」の懇願によって「ポワロ」が乗り出し、第三部で「エリノア」の裁判が描かれる… という展開になっています、、、

    「エリノア・カーライル」と「ロディー・ウェルマン」は幼い頃から仲が良く、将来は結婚し、伯母「ローラ・ウエルマン」の住んでいる美しいハンターブリイに住もうと考えていた… そこに匿名の手紙が届き、伯母が危機に陥っているとの内容だったことから、二人は慌ててハンターブリイに向かう。

    伯母は門番の娘「メアリイ・ジェラード」と仲が良く、「アイリーン・オブライエン」と「ジェシー・ホプキンズ」という二人の看護婦が面倒を見ていた… 「エリノア」と「ロディー」の到着後、伯母はやがて書こうとしていた遺書を書く事も無く、亡くなってしまう、、、

    遺言書が残されていなかったことから、「エリノア」に全ての遺産が相続されることになるが… 「ロディー」が「メアリイ」に恋してしまい、「エリノア」との婚約を破棄することになる。

    そして、ハンターブリイは売りに出されることになり、邸で「エリノア」が遺品を整理していた際、「エリノア」の作ったサンドウイッチを食べた「メアリイ」がモルヒネ中毒で死亡… サンドウイッチを作った「エリノア」は、「ロディー」を「メアリイ」に取られたため、復讐したと解釈され逮捕されます、、、

    婚約者「ロディー」が「メアリイ」に心変わりし婚約を破棄した点が強力な動機と判断され、陪審におけるあらゆる状況が彼女に不利な中、「ピーター・ロード医師」の依頼により「ポワロ」が真相究明に乗り出します。

    「エリノア」は、誰かの狡猾な罠にはめられたヒロインなのか… 自己の犯罪を堂々と行い隠そうともせず、情状だけで無罪を主張するか弱い乙女の仮面を被った悪女なのか… 「ポワロ」も迷います、、、

    そして、いよいよ法廷で真相が明らかになりますが… 看護婦「ホプキンズ」の手に残った注射の痕(本人はバラの木のトゲで刺したと主張)がヒントになりましたね。

    犯行を誤魔化すために、犯人自らも服毒し、強烈な吐剤を皮下注射して嘔吐し、モルヒネ中毒から逃れていたというトリックは面白かったですね… 映像化作品を観ていたので驚きはなかったですが、良く考えられた秀逸なトリックだと思います(専門知識がないとわかんないですけどね…)、、、

    犯人は、「メアリイ」は「ローラ・ウエルマン」の隠し子だったことを知っており、その事実を暴露して「ローラ・ウエルマン」の莫大な遺産を「メアリイ」に相続させるとともに都合の良い遺書(育ての母親の妹に遺産を相続)を書かせて、「メアリイ」殺害後に自分が相続しようという謀略だったとはねぇ… そして、「メアリイ」殺害の容疑者として自分が疑われないように、身代わりとして「エリノア」に容疑の眼を向けさせたんですね。

    「アガサ・クリスティ」らしい展開でした… 面白かったです。



    以下、主な登場人物です。

    「エルキュール・ポアロ」
     私立探偵

    「ローラ・ウエルマン」
     金持ちの未亡人

    「エリノア・キャサリーン・カーライル」
     ローラの姪

    「ロディー(ロデリック)・ウェルマン」
     ローラの義甥、エリノアの婚約者

    「メアリイ・ジェラード」
     ウェルマン家の門番の娘

    「エマ・ビショップ」
     ウェルマン家の召使頭

    「ピーター・ロード」
     ローラ・ウエルマンの主治医。ランサム博士の後任。
     ポアロに事件解決を依頼

    「アイリーン・オブライエン」
     看護婦

    「ジェシー・ホプキンズ」
     地区看護婦

    「テッド・ビグランド」
     メアリイに想いをよせている青年

    「エドウィン・ブルマー卿」
     弁護士。エリノアの弁護を担当

    「サミュエル・アテンブリイ卿」
     検事。エリノアの起訴を担当

  • 事件が起きる原因から始まり、殺人事件周辺の人物が描かれる。ポアロは第二部からの登場だが、依頼人との会話は気合を入れて書かれていると感じた。総じてポアロと依頼人のピーター・ロード医師との会話は出色で印象に残る。事件と解決に関しては、手がかりが少なすぎて真犯人の指摘は唐突に感じる。説明を聞いて納得できるとは言い難い。

  • 実にクリスティらしい意外犯人。
    なるほど、そう言う手できますか。
    と言う本格ミステリな作品でありました。
    しかし、最近擦れた話ばっかり読んでたから、
    こういう複雑に見えて実はストレートな人間関係と言うのも、
    裏がありそうな気がしてならないんだよねえ。

  • # 赤背表紙のクリスティーを再読するプロジェクト 013

    叔母と恋敵を殺害した容疑をかけられた女の嫌疑を晴らすような依頼がポアロに舞い込んでくる話。真犯人の動機はやはり遺産である。

  • 1940年発表
    原題:Sad Cypress

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