カーテン: ポアロ最後の事件 (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-69)
- 早川書房 (1982年10月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150700690
感想・レビュー・書評
-
エルキュール・ポアロ最後の事件。読了は学生時代だったように思うが、ポアロ物を順番に読んできていただけに、怖くてなかなか読書開始ができなかった。
舞台はかつてのスタイルズ荘。そしてポアロにヘイスティングズ大尉。それにかつてない手段を講じる殺人者。標的にはヘイスティングズも。
全世界のクリスティ・ファン、ポアロ・ファンに捧げるためにクリスティが書いたことがうかがい知れる。
実はラストのポアロの手法には違和感を感じるのだが、一方、これしかポアロの最後の事件はあり得ないとも思うもどかしい結末でもあった。一度は、推理小説作家ならばやってみたい話でもありますけど。(笑)
まだ、構想力が落ちない時期に執筆され、クリスティ自身の死後発表のはずが、その死の前年に発表されたという。クリスティの茶っ目気ぶりも想像でき、寂しくもあるが、感慨にもひたれる作品となっている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
実行犯がはっきりしている5つの事件にかかわっているという、謎の存在X。
Xがいれば殺人事件がおこる、とポアロは言うが……。
エルキュール・ポアロのシリーズ最終作。
正直なヘイスティングズのX探しは、やや思考が単純。
彼とは別に、自分なりの視点で考えながら読む。
死後発表するためにと、前もってきちんと練られたシリーズの最後。
しかも舞台は、スタイルズ荘。
最後らしい真相で、たのしめた。 -
「アガサ・クリスティ」の長篇ミステリー作品『カーテン -ポアロ最後の事件-(原題:Curtain: Poirot's Last Case)』を読みました。
「アガサ・クリスティ」は、1月に読んだ『ミス・マープル最初の事件 -牧師館の殺人-』以来ですね。
-----story-------------
「エルキュール・ポアロ」死す!
懐かしのスタイルズ荘を訪れた「ヘイスティングズ」と「ポアロ」を再び殺人事件の悪夢が襲う。
過去五件の殺人事件を背後で操る真犯人Xは、年老いて体の自由がきかない「ポアロ」に挑戦するかのように、スタイルズ荘で次なる計画を練っていた… 奇怪な殺人事件と名探偵「ポアロ」の最期を描く衝撃作。
-----------------------
1975年に刊行された「エルキュール・ポアロ」最後の事件簿、、、
「ポアロ」最初の事件で舞台となったスタイルズ荘が、「ポアロ」の幕引きの場として用意された作品です。
年老いて身体の自由が利かなくなったが、灰色の脳細胞はまだまだ健全な「ポアロ」と、少しイラッとするほど気の利かない言動の「ヘイスティングズ」のコンビネーションは相変わらずでしたね。
過去に5件の殺人事件に関わっているが、直接的な動機はなく、全ての事件において動機を持つ別な人物が犯人とされている、、、
その真犯人が、スタイルズ荘の滞在者の中におり、スタイルズ荘で殺人事件が起きることを断言する「ポアロ」… 容疑者は限定されているのですが、誰もが疑わしい感じで、真犯人も狙われている人物も特定できないまま、
「デイジー・ラトレル」が誤射により怪我を負い、
「ヘイスティングズ」が殺人を企て(もちろん未遂に終わります)、
「バーバラ・フランクリン」が毒を飲んで自殺し、
「スティーヴン・ノートン」が銃で自殺し、
「エルキュール・ポアロ」は病死する、
という展開。
誤射は射殺を狙った意図的なものだったのか… 二人の自殺は殺害の隠蔽工作では… 「ポアロ」は殺されたのでは… 等と想像は巡らせるものの、真実はわからないまま、事件の解決は「ポアロ」が「ヘイスティングズ」に遺した手紙に委ねられます。
自分の手を汚さずに他人を使って人を殺すというキャラクターは、なかなか斬新でした… 危うく「ヘイスティングズ」も殺人者となるところでしたね。
それにしても、これまでのシリーズにはなかった、大胆な事件の解決方法、、、
まさか「ポアロ」が、この方法で真犯人を追い詰めて解決するとは… 「ポアロ」は死が訪れることを察して、この方法を選択したのかなぁ。
それとも、この解決方法を選択した「ポアロ」を許せなくて、「アガサ・クリスティ」は「ポアロ」を殺しちゃったのかなぁ。
いろいろ考えちゃいました。
『カーテン』というタイトルには、「ポアロという探偵の人生の幕を引く」という意味が込められているんだそうです。
以下、主な登場人物です。
「エルキュール・ポアロ」
私立探偵
「アーサー・ヘイスティングズ大尉」
ポアロの友人
「ジュディス・ヘイスティングズ」
ヘイスティングズの娘
「ジョージ・ラトレル」
今のスタイルズ荘の持ち主
「デイジー・ラトレル」
ジョージの妻
スタイルズ荘の泊まり客
「スティーヴン・ノートン」
「ウィリアム・ボイド・キャリントン」
「ジョン・フランクリン」
「バーバラ・フランクリン」
「アラートン」
「エリザベス・コール」
「クレイヴン」
バーバラの看護婦
「カーティス」
ポアロの従僕
「ジョージ 」
ポアロの元従僕 -
『アガサ・クリスティー完全攻略』を読んで
自分の読感とは異なっていたものがあったので再読
本作はポアロシリーズの最終作で
作者が死後に出版される予定になっていたという
紹介をもって読み始める作品
かつて読んだとき
すなわちこの感想メモを書く前なのは確かだから
あるいは10年ほども前かもしれないが
『完全攻略』の評価とは異なり
最終作というほどの印象を受けなかった
今回読み直して思ったのは
解説の影響を受けてるな過去も今も自分
というのがひとつだが
やはり犯人の動機に納得がいかない
ポアロシリーズ最終作なのに
そんな程度の事件で良いのかと思う
罪に対してどのような罰が相応しいかなどといいだせば
娯楽小説の感想と異なるが
クリスティ作品を読む前に求めるのは
健全な読後感であり
結局名探偵の最後が大団円として受け入れられない
楽しめない一読者のわがままということになるか
やがて老いたれば
その幕引きへの見方も変わるかもしれないが -
ポアロの招待で、二人の出会ったスタイルズ荘をふたたび訪れたヘイスティングズ。
滞在客の中にいる殺人事件の真犯人「X」、その新たな犯行を防ぐため、
病気で車椅子生活のポワロに協力することになる。
これもまた超有名掟破り系トリック。
妻を亡くし傷心のヘイスティングズ視点で書かれているせいか、
やたら陰鬱だ奇妙な雰囲気だという描写が多くて読みにくかった。
が、ラストの衝撃で全部吹っ飛ぶ。
そして、初めて読んだ頃には気づかなかったけど、
ヘイスティングズってかわいかったんだな……。
ポワロに大事な情報を内緒にされて、
自分だって秘密くらい守れるのに!って憤慨するも、
実際には思ったこと全部顔に出て皆にバレちゃってるところや、
最愛の娘にいいようにやられてるところ。
あとはやっぱり「鳶色の髪」の件。
シェイクスピアの『オセロ』を知っていると、より楽しめると思います。
それにしても、ポワロ~(泣) -
ストーリーは良かった。が、ポワロの最後は納得いかないのでー1。クリスティーも高齢だし、ポワロの幕引きにはベストな選択なのかも、と思うことにする。
-
エルキュール・ポアロ最後の事件。
ポアロシリーズは三冊しか読んでいなかったが、それでも感慨深いものがある。
最後の事件に相応しい内容。
シリーズ全て読んでから、もう一度読みたい! -
久しぶりの再読。舞台がスタイルズ荘、語り手がヘイスティングズってだけで、いきなり泣きそうになる。ポアロ好きにとっては最高傑作なんじゃないだろうか。
-
こりゃ分からんわ!
フェアか?アンフェアか?フェアだなぁ。
そしてこのタイトル。味わい深い。
古典は侮れない。
傑作。 -
エルキュールポワロ最後の事件。
結末は・・・。これでポワロものを読めないかと思うと、残念です。