シタフォードの秘密 (ハヤカワ文庫)

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  • 早川書房 (1985年7月16日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784150700812

感想・レビュー・書評

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  • 再読。のような気がしますが、全然内容を憶えていなかったのでもう一度楽しめました。(笑)
    雪深い山荘シタフォード荘で行われた降霊会。そこで示されたメッセージは、いまは離れた場所に暮らしている山荘の主人・トリヴィリアン大佐が殺されたというものであった。そのメッセージが気になった大佐の親友・バーナビー少佐は、吹雪の雪道をおして大佐を訪ねてみたところ、そこで発見したのは無残な大佐の姿だった。そして医師による死亡推定時間はまさに降霊会が行われた時間と重なり・・・。
    クリスティならではのプロットと驚くべきトリックにて、まずはクリスティの佳作といってよいでしょう。さらにクリスティらしく登場人物を幾度も登場させ、それぞれの個性豊かな描写が本作品に彩りを添えるとともに、疑惑感を煽るのもさすがなところです。
    今回の探偵役はナラコット警部かと思いきや、意外にも容疑者として逮捕されたトリヴィリアン大佐の甥の婚約者エミリーでしたが、知的で活動的に調査する感じはなかなか好感度抜群でこれも面白かったのではないかな。
    謎が謎を呼ぶ全体の雰囲気が読者を幻惑しますが、あまりにもきれいなトリックなので、当初の言動にさえ気を付けていれば比較的思い当たりやすかったかもしれません。
    世界一有名なあの名探偵と作者を会話の端に2度も登場させるとは!クリスティのお茶目ぶりにもニヤリときました。(笑)

  • 「アガサ・クリスティ」の長篇ミステリー『シタフォードの秘密(原題:The Sittaford Mystery、米題:The Murder at Hazelmoor)』を読みました。

    『書斎の死体』、『動く指』、『茶色の服の男』に続き「アガサ・クリスティ」作品です。

    -----story-------------
    雪に覆われ、下界と遮断されたシタフォード山荘で戯れに行われた降霊会。
    そこへ現われた霊魂は不気味な予言を告げた。
    山荘の持ち主であり、現在は片道二時間のふもとの村に住む老大佐が殺害されるというのだ。
    はたして同時刻大佐は死体となって発見された!
    難航する捜査と試行錯誤のはてにやがて明らかになる意外な犯人と動機とは? 
    発表されるや、その絶妙なトリックで、ミステリ・ファンを瞠目させた女史の会心作。
    -----------------------

    1931年に発表された作品… 『茶色の服の男』に続きノン・シリーズモノです。

    1年くらい前に、「ミス・マープル」シリーズとして映像化された『ミス・マープル2 シタフォードの謎』を観ていたのでトリックはわかっていたんですが、、、

    事件関係者はコテージの居住者ではなく、ホテルの客に改変されていることに伴い、登場人物の役割や相関関係も変えられているので、別な物語として愉しめましたね。

     1. シタフォード荘
     2. メッセージ
     3. 5時25分
     4. ナラコット警部
     5. エヴァンズ
     6. スリー・クラウン館にて
     7. 遺言書
     8. チャールズ・エンダビイ氏
     9. ローレル館
     10. ピアソン家
     11. エミリー,仕事にとりかかる
     12. 逮捕
     13. シタフォード
     14. ウィリット家
     15. バーナビ少佐を訪ねる
     16. ライクラフト氏
     17. パーシハウス老嬢
     18. エミリー,シタフォード荘へ
     19. いくつかの仮説
     20. ジェニファ伯母を訪ねる
     21. 会話〈カンバセイションズ〉
     22. チャールズの夜の冒険
     23. ヘイゼルムアにて
     24. ナラコット警部,事件を論じる
     25. デラーズ・カフェにて
     26. ロバート・ガードナー
     27. ナラコット警部,行動開始
     28. ブーツ
     29. 二度目の降霊会
     30. エミリー,説明する
     31. ラッキー・マン

     動機の創造性 田村隆一


    資産家の「ジョセフ・トリヴェリアン大佐」は海軍を引退して、10年前にデボンシャー州シタフォード村に優雅なシタフォード荘を建てて住んでいた… 「トリヴェリアン大佐」は拝金主義者といってもいいくらい金に目の色を変える人物で、投機のためにシタフォード荘の隣にバンガローを6戸作って、人に貸していた、、、

    ある冬のこと、南アフリカからきた「ウィリット夫人」とその娘「ヴァイオレット」が不動産屋を通じてシタフォード荘を借りたいと連絡してきた… 「トリヴェリアン大佐」は最初難色を示したが、拝金主義の「トリヴェリアン大佐」は「ウィリット夫人」が出すといっている高めの家賃に目がくらみ、結局シタフォード荘を貸すことにし、自身は10㎞ほど離れたエクスハンプトンに小さな家を借りて住むことにした。

    そして、まれに見る大雪となった日に事件は起こる、、、

    シタフォード荘にはバンガローに住む住人も招かれており、そのうちに降霊会をやることになった… 参加者でテーブルを囲みテーブルが振動する回数で、霊の表現を表すものだが、霊が示したのは、

     "TREV DEAD MURDER…トリヴェリアンは殺された"

    という言葉だった… ほとんどの人間が悪い冗談だという中、「トリヴェリアン大佐」の親友である「バーナビー少佐」は、大雪にも関わらず「トリヴェリアン大佐」の様子を見に行く、、、

    大雪の中を2時間以上かけて歩いた「バーナビー少佐」は、「トリヴェリアン大佐」の住まいに着いてノックするが返事がなく、不審に思って近所の派出所に駆け込み、近所の医師、警官、少佐の3人で家の裏手の開いていた窓から書斎に入ったところ、「トリヴェリアン大佐」は、ドアの隙間風を防ぐ目的で、ドアの下に置くサンド・バックで頭を殴られて絶命していた。

    死後約2~3時間、ちょうど降霊会が行われているときに殺されたのだ! 

    警察の「ナラコット警部」により捜査が始められ、近くの旅館スリー・クラウン館に泊まっていた男が、ちょうど殺人のあった時間に雪の中、旅館から姿を消し、さらに翌朝の始発列車でエクスハンプトンを離れていたことが判明… この男が「トリヴェリアン大佐」の甥の一人で金に困っていた「ジェイムズ・ピアソン」とわかり、警察は「ジェイムズ」を逮捕、、、

    「ジェイムズ」の無実を信じる婚約者の「エミリー・トレファシス」は、新聞記者の「チャールズ・エンタビー」とともに独自に捜査を始める… 一方「ナラコット警部」も「ジェイムズ」が一貫して犯行を否認していて、そのわりにはあまりに犯人にぴったりしすぎることから「ジェイムズ」は犯人ではないと考え始める。

    遺産目当てならば、「ジェイムズ」のほかにももう一人の甥の「ブライアン」や姪の「シルヴィア」とその夫の作家「マーチン・ディアリング」にも動機がある… さらにバンガローの住人達の中にも怪しそうな人物がいるし、降霊会というアリバイに守られてはいるものの、この季節に高い金でシタフォード荘を借りた「ウィレット夫人」の行為も不自然で、裏には何かあるのかもしれない、、、

    「エミリー」と「チャールズ」、「ナラコット警部」は真犯人を求めて別々に行動するが、やがて「トリヴェリアン大佐」の家の煙突に隠されたブーツから、どちらも一人の人物に辿り付く… 犯人は交霊会をアリバイに使うために、「トリヴェリアンは殺された」というお告げを自分で告げ、それを根拠に「トリヴェリアン大佐」のところに向ったのだった。

    大雪の中、「トリヴェリアン大佐」のところへは歩いて2時間かかると考えられたが、犯人はスキーを使ってわずかな時間で到着し、「トリヴェリアン大佐」を殺した後スキーを隠し、2時間かけて歩いてきたことを装ったのだった、、、

    このトリックは映像化作品と同じでしたね… まさかね、動機が遺産ではなく、懸賞で当たった五千ポンドだったとは。

    まぁ、何をしても少しだけ劣る… という劣等感が積もり積もった結果なんでしょうね、、、

    動機が最後までわからず、機会もない(アリバイがある)と思われていた人物が犯人だったので、意外性があって面白かったですね… 映像作品を観てなかったら、もっと愉しめたかな。


    容疑者の婚約者「エミリー」と新聞記者「チャールズ」が、警察の力も借りつつ、素人探偵役として活躍する展開… この二人が、なかなか魅力的に描かれており、愉しめる一因となっていましたね。

    それにしても、事件のきっかけとなった大きな疑惑… 「ウィリット夫人」と、その娘「ヴァイアリット」が、僻村のシタフォード荘を厳寒の季節に借りたかった理由… そして「ブライアン・ピアソン」がそこを訪ねた理由、、、

    これは意外でしたねぇ… まさか、ここでダートムーア刑務所からの脱獄囚が絡んでくるとは想像できませんでした。

    というか、わかんないよね、さすがにコレは… まぁ、巧くミスリードさせてもらって愉しませてもらった と好意的に解釈しておこうと思います。



    以下、主な登場人物です。

    「ジョセフ・アーサー・トリヴィリアン」
     シタフォード荘所有者。海軍大佐

    「ジョン・エドワード・バーナビ」
     トリヴィリアン大佐親友。少佐

    「ウィリット夫人」
     シタフォード荘の住人

    「ヴァイアリット・ウィリット」
     ウィリット夫人の娘

    「エヴァンズ」
     大佐の下男

    「リベッカ」
     エヴァンズの妻

    「ワイアット」
     大尉。病人

    「ライクラフト」
     心霊会会員。博物学者

    「キャロライン・パーシハウス」
     シタフォード荘隣人

    「カーティス」
     シタフォード荘園丁

    「メアリ・カーティス」
     カーティスの妻

    「デューク」
     シタフォード荘隣人

    「ロナルド(ロニー)・ガーフィールド」
     キャロラインの甥

    「ベリング夫人」
     スリー・クラウン館の女主人

    「ジェニファ・ガードナー」
     トリヴィリアン大佐妹

    「メリー・ピアソン」
     トリヴィリアン大佐妹

    「ロバート・ガードナー」
     ジェニファの夫

    「シルヴィア・ディアリング」
     メリーの娘

    「ジェイムズ(ジム)・ピアソン」
     メリーの息子。保険会社勤務

    「ブライアン・ピアソン」
     メリーの息子。オーストラリア在

    「マーティン・ディアリング」
     小説家。シルヴィアの夫

    「エミリー・トリフューシス」
     ジム・ピアソンの婚約者

    「チャールズ・エンダビイ」
     デイリー・ワイヤー紙記者

    「ナラコット」
     警部

    「ウィリアムスン」
     エクスハンプトンの周旋屋

    「ウォーリン」
     エクスハンプトンの医師

    「ダクレス」
     エミリー・トリフューシス顧問弁護士

    「ビアトリス」
     ローレル館女中

    「ポロック」
     エクスハンプトン署巡査部長

  • 訳:田村隆一
    降霊会と雪で行き来の困難になった山荘というシチュエーションは申し分なく、そういうことか~!という驚きはあったものの、推理というよりそこに思い至るかどうかだけなので過程を追う面白さが薄かった。婚約者を逮捕された女性が真犯人を見つけようと頑張るわけだけど、立場や容姿を利用した感が前面に出すぎて鼻についた。当の婚約者もまた魅力的とは言いがたい人物なので同情心も湧かないし。これが探偵が前に出ることで引きの要素が加わればもう少し違った印象になった気がする。
    そのため、全てが謎を保持するための煙幕にしか思えなかったのが残念なんだけど、すぐ目の前に動機や可能性が提示されていたのに全然気付けなかったわけで、ミステリとしては満足。クリスティはほんとさらっと重要なことを混ぜてくるのがうまいな。

    どことなく訳がしっくりこなかった。どうも文章の締めくくりに違和感を覚えることが多くて好みの問題かな~。
    あとこの本に限らず女性言葉の古めかしさは訳された年代を考えると仕方ないのか。ひょっとしたら原文に沿った良訳なのかもしれないし、このあたりは素人にはなんともといったところ。

  • ダートムアの山荘で行われた降霊会で名指しされた大佐が、そのとおり殺されていた。容疑者として逮捕された大佐の甥の婚約者が真相を探りだす。

    婚約者はエミリーといいとても快活で押しの強いタイプ。さらにネタを探す新聞記者も巻き込み事は進む。

    イギリス南西部の荒野(らしい)ダートムア。そこにある小さなシタフォード村のシタフォード山荘と6軒のバンガロー。近くの町はエクスハンプトン。地図を確かめながら読んだ。

    荒れ地、小さな村、山荘、バンガロー、降り積もる雪、植民地オーストラリア、アフリカ、と1930年代の道具立てが揃い、活発な女性エミリーが真相を解明するのは、トミーとタペンス物や「茶色い服の男」などと似ている。が「茶色い服の男」や「秘密機関」のような疾走感は無かった。


    1931発表
    1985.7.15初版 1987.7.313刷 図書館

  • #赤背表紙のクリスティーを再読するプロジェクト 010

    英国版コックリさんで予言された死が、本当に起きてしまい、利発なヒロインがフィアンセの濡れ衣を晴らすために大活躍する話。

  • 読み始めると五分で眠くなる好著。登場人物がやけに多く、ファーストネームとラストネームが混在してさらに倍に。トリック一発で謎解きは唐突。短編ならば良かったのに。

  • たくましい女性が探偵役のお話。
    女史の作品にはときにこういう
    たくましい女性が出てくるのです。
    確かサスペンスものにあったなぁ…

    そう、今回のその女性は
    愛する男の無罪を証明する一身で
    事件に踏み込んでいくのです。
    本当に頭の切れる女性。
    名探偵ものに出てきてほしいです。

    そして言うせりふもいいのですわ。
    別の人に告白されても
    ゆるぎなく愛する男に
    いくのですから。

    しかもかっこいいせりふを残してね。
    たくましい女性はかっこいい。

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著者プロフィール

1890年、英国、デボン州生まれ。本名アガサ・メアリ・クラリッサ・ミラー。別名メアリ・ウェストマコット、アガサ・クリスティ・マローワン。1920年、アガサ・クリスティ名義で書いたエルキュール・ポアロ物の第一作「スタイルズ荘の怪事件」で作家デビュー。以後、長編ミステリ66冊、短編ミステリ156本、戯曲15本、ノンフィクションなど4冊、メアリ・ウェストマコット名義の普通小説6冊を上梓し、幅広い分野で長きに亘って活躍した。76年死去。

「2018年 『十人の小さなインディアン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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