災厄の町 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-12)

  • 早川書房
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本棚登録 : 179
感想 : 24
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  • Amazon.co.jp ・洋書 (401ページ)
  • / ISBN・EAN: 9787503756702

感想・レビュー・書評

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  • BSフジ「原宿ブックカフェ」のコーナー「ブックサロン」で登場。

    あさのあつこさんの人生を変えた一冊。

    ー高校生の時の海外ミステリーにはまっていて、それで出会ったんです。エラリイ・クイーンという人物像にはまってしまって、小説っていうのは、こんなに人間をちゃんと書けるんだなと。彼の悩み方とかまで。『殺人』というのが入ってくるので、エンターテインメントの一環なんですが、そこに文学というものの向き合い方を感じたんですね。しかも物語としても面白い。ということろに惹かれましたね。(あさのあつこさん)


    原宿ブックカフェ公式サイト
    http://www.bsfuji.tv/hjbookcafe/index.html
    http://nestle.jp/entertain/bookcafe/

  • ライツヴィルシリーズの1作目。

    【あらすじ】
    エラリーが小説のネタを求めてやって来たライツヴィルの町。しかし、宿泊施設に空きはなく、代わりに「災厄の家」と呼ばれる一軒家を借りることになった。その家は町の開拓者の子孫が、娘の結婚のために用意したものだったが、結婚式前日に新郎が疾走して3年が経過していた。
    やがて新郎が舞い戻り、家は改めて夫婦の新居となったが、不意に見つかった三通の手紙から、夫が妻を毒殺しようとしている疑惑が持ち上がる。

    【感想】
    最初の導入部かかなり長く、町や人々の特徴付けにページ数を割いているため、間延びする印象はある。手紙の内容を来れから起こる事と思ってしまう節もエラリーらしくないと思う。しかし、事件の過程や公判でののやり取りは読んでいて面白かった。

  • クイーンもの。ライツヴィルに小説を書くために訪れたエラリー。土地の創始者一家の家に住まうことになるが、突如結婚をしたノーラ・ライトとジム・ハイトはライト家の外れの家に住むことになるが、ハロウィンのある日ノーラは本からこぼれ落ちた手紙をみて失神してしまう。エラリーとノーラの妹パットは、ジムが妻殺しを計画していると読み取れる手紙だったことに気づく……。
     面白かった。中期以降のクイーンの舞台となるライツヴィルシリーズの原点ということで、どういう町なんだろうと思いながら読んでいたので、ライツヴィルの雰囲気とかを読み取れるように読んだというのもあるし、謎部分の興味をひかれたのもあり、本作品の要素を楽しむことができた気がします。
     もっともライツヴィルは、よくある田舎町という印象でクイーンがこの町を好きになった理由はいまいちわからなかったんですが……。この事件のさなかのあの大混乱があった町が好きというのが不思議です。あの大混乱があった町ではなく穏やか町が好きではあるんでしょうが。
     よくよく考えると、クイーンはニューヨークだったり、ハリウッドだったり、喧騒の町を住んできたからライツヴィルのような、話のネタは人々の噂のような田舎町が好きになったんでしょうか。
     クイーン作品としてはこれまで初だと思うのですが、中盤以降は法廷が舞台となります。そのため、主な要素はジム・ハイトは殺人を犯したのか、それとも犯さなかったのか、犯さなかったのならそれを証明する手立ては? 真犯人は? というのが主題でした。
     そのため、これまでのクイーン作品の最初から最後まで謎に満ち溢れた人物たちが登場したりする作品ではなく、クイーンの作風がこれまでとだいぶ違いましたね。なので、これまでのクイーンの作品として読んでしまうと物足りなさがある気がします。
     とはいえ、そこはクイーンで謎を提示し興味をひきつけますし、犯人として指摘するための工程は驚きました。エラリーが知ることのなかった一つの事実から、エラリーは事件の全貌をすべて見抜くシーンは、さすがエラリーだなと。このような事件にエラリーが苦戦するのは珍しいなあ、とか思ったのですが、材料不足だったからなんですねえ。
     犯人は……さてどうでしょうね。
     ライツヴィルシリーズ第一作。クイーンの転機の作品でもあるので、新しいクイーンを発見できた面白い作品でした。

  • 結婚式の前日に姿を消した男と町の有力者の娘の結婚は、妻の死を知らせる文面の手紙で一変する。
    男は妻の殺害を企てているのか?

    中後期以降のクイーン初体験。
    あれ、普通に読めるじゃんw
    初期のクイーンは事件を描くためにドラマを作っていた印象だけど、こちらはドラマの中に事件が組み込まれているので人間がきちんと描写されている。
    自分にとってはここ大事!
    ミステリとしては犯人も動機も事件直後に分かってしまうレベルだし、動機の元となる人間関係はキャラクタが登場した時点でバレバレなんだけど、裁判を通してどこへ落とすのかサスペンスっぽい楽しみ方ができた。

  •  エラリー・クイーンのミステリは好きだけど、ライツヴィルものは初めて。国名シリーズや悲劇シリーズをディフォルトと考えている読者には、かなり異質なものに感じられ、最初は退屈だった。

     最終的に決め手になる情報はともかくとして、犯人はかなり早い段階で見当がついてしまった。人情ドラマにのめり込まなければ結論はわかりやすい。クイーンが結論を出せないのは情報が入らなかったからであり、「ギリシア」コンプレックスがうらめしい。

     まあそういう意味では、ミステリとしてはたいした作品ではないのであって、最後の謎解きなどは、なんというかミステリの形式をなぞったようなものだと思った。
     むしろこれは、良くできた人情ドラマであり、そういう気持ちで読めばとってもおもしろかった。それこそ、最初に犯人が明示された倒叙ミステリであっても、かなりおもしろいものになったのじゃないかと思う。裁判のシーンなど、そういう観点から読みたかった(というより読み直したらおもしろかった)。

     とにかく不思議な読後感で、このシリーズをもうちょっと読んでみよう。
    2007/1/17

  • 「悲劇か謎か、それが問題」というような解説を見てようやく意味が解った。
    ミステリとしての評価より、名探偵の在り方に一石を投じたことで高評価されている一編。

    個人的には薄味ロス・マクドナルド。

  • クイーンだから最後の推理は楽しめたが、力を入れた筈の小説部分は正直「?」だった。国名シリーズなどど比較されるが大して変わってないじゃん。登場人物も皆エキセントリックで首を傾げたくなる。ディケンズやコリンズの昔ならいざ知らず、クリスティと同時代ですよ。
    それと「咎めるように微笑んだ」ってどんな状態か想像つきますか?

  • 2022年10月8日読了。田舎町ライツヴィルを訪れた探偵クイーン、町の名家ライト家と懇意になるが、そこで起こる不穏な出来事に町の噂話は加速していき…。架空の町を魅力的に描きその中でエラリイをある種狂言回しとして動かす、というコンセプトが作者も気に入ったのだろう、その後も「ライツヴィルもの」としてシリーズ化された模様。閉鎖的な田舎町にエラリイのような「シュッとした男」が訪れるとそりゃあモテるものなのだろうな…エラリイの確信的なイチャイチャぶりには当てられるが、終盤に明かされる真相、人間心理に根ざした関係者たちの動機には読み終わって思わず唸らされる…。ほんと小説がうまいなあ、この人。

  • いわゆるライツヴィルシリーズの1作目。
    クィーンを読み始めたときはあまりわかってなかったのでいきなり
    ライツヴィルシリーズの途中とか読んでたのだけど、やっぱり最初から
    読んだ方がいいよね。

    まあネタとしては私は途中でWho, Why, Howを読みきったので簡単な部類かと。
    p.296あたりからの展開はなかなか面白かった。

  • 映画「配達されない三通の手紙」を途中まで見て、謎が起こるまでのあまりの悠長さに見るのを断念したことがあり、原案を読んでみるかと読み始めたが、同じように挫折。

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