ドルリイ・レーン最後の事件 (ハヤカワ・ミステリ文庫 ク 3-45)
- 早川書房 (1996年3月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (494ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150701451
感想・レビュー・書評
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2020/05/22
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あー、そう持ってきたかー。
シェークスピアに関する事件が扱われているのだけど、
シェークスピアでないといかんのよね、これ。
最後に持っていくために逆順で作った感じで、
本格推理としては穴もあったりするのだけど、まあこれはこれで。 -
X・Y・Zの悲劇に続く最後の悲劇はドルリー・レーンの死で終わる。名探偵役ドルリー・レーンが最後の真犯人だった。
全てはラストページ、ベンチに座り首をもたげ冷たくなっているドルリー・レーンのワンシーンのためにあった――と解説にあるが、これは納得だ。確かにそのシーンはきれいである。でもあまりにそのシーンを重要視したせいか、幕切れはあっけないし消化不良な感だ。
本作は紙魚殺人事件の邦題もあったらしいが古書を扱ったミステリー小説である。古書に隠された1枚の紙片は、貴重なシェイクスピアの自筆かつ、彼の死が他殺であり殺人犯の告発も行っていた。あまりに貴重な一片を保管しようと殺人まで犯すドルリー・レーンと、殺人犯の子孫であり先祖の罪を永遠に闇の中へ葬ろうと動く犯人。この動機を納得できるのか、その謎が魅力的であるのか、わたしはあと一歩魅力的な謎に及ばなかったと感じた。
登場人物の魅力が足りないのもあるし本人が双子であるというのもあまりにあからさまに告げられているし、それなのに冗長なやり取りが延々と続くのに飽き飽きした。
4部作を振り返ってみればXが大傑作で、他は別に読むほどのこともなかった。Yが人気なのはなぜなんだろうか? -
ミステリの古典をきちんと読みたくなって、まずはドルリイ・レーンのシリーズを順によんでみた。子供のころ、ジュニア向けに易しく訳されたものを読んでいたから、トリックや犯人を途中で思い出してしまったのが残念。
でも、子供のころには分からなかった時代背景や文化が分かるようになっていて、それが面白かった。
文体は時々イラッとするほど周りくどく感じたけど、これは好みの問題かな。
残念ながら、子供のころ初めて読んだ興奮や、解決した時のカタルシスはもう味わえなかったけど、面白かったです。
後書きによると、この最後の事件はどちらかというと評価が低いらしいけど、シェイクスピア関連の貴重な古書が絡む本作が一番好みでした(*^_^*) -
X、Y、Zの3悲劇に続く4部作の4作目、最後を飾る作品です。
全4部の全てに仕掛けられた巧妙な伏線が最後の最後で完成を見せます。
この意味はこの本を最後まで読めば分かることでしょう。
本書はシェークスピアを題材としていて、シェークスピアに対する深い造詣と愛情に満ちています。
初めの方は一向に事件が起きないので、少し退屈気味に感じられるかもしれません。
ですが、途中からぐんぐん盛り上がってきます。
実は私、本作はラストの印象が強すぎて他の部分をあまり覚えていないのです。
ラストはとても悲しい気持ちになりました。 -
これは最初から予想できたし根拠にも気付けた。難易度はかなり低いと思う。
しかし、うーん、ある身体的特徴が犯人断定の決定的な要素になるわけだけど、これ実は論拠としては不十分なのである。というのも、真犯人と同じ身体的特徴と動機を持っている人なら誰でも犯人になり得るためだ。
その辺の弱さが気になったが、しかし相変わらず読後の鮮やかさは見事で、さすがエラリークイーンと言ったところ。
クイーンの小説って読後感が肝だと思う。