フォックス家の殺人 新訳版 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

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  • 早川書房 (2020年12月17日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (480ページ) / ISBN・EAN: 9784150701536

作品紹介・あらすじ

名探偵エラリイが導き出した、十二年前の毒殺事件の真相とはいったい? 巨匠クイーンの〈ライツヴィル〉ものの秀作、新訳版刊行

感想・レビュー・書評

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  • エラリイがライツヴィルで12年前の事件に挑む。もう一度調査するにつれ出てくる違和感。推論の積み重ねで真実に迫る展開は楽しかったが、真相は何とも微妙かな。解説はクイーン未読の多い私にはネタバレになるかと思い流し読み。新訳読みやすい。

  • 母を殺して有罪判決を受けた父に対して、自分は容姿も父に似ているし父・殺人者の血も入っているから自分もいずれ人殺しをしてしまうんじゃないかと悩む息子。戦争でその考え方が強まり、帰国してからは妻をいずれ殺すのではないかと苛まれる。

    キーとなるぶどうジュースだが、水差しのネタとは、日常的でわかりやすくて面白い。
    落ちは虚無感。本人も分からずやったとはいえ、なんてこった。

  • エラリー・クイーンの作品は結構読んてきたが中でも読みやすい一冊てした。
    割と最後まで、犯人が絞り込めず先が見えなかったがちょっと推理できる展開ではなかったかも。手がかりがすくないし、トラップが多い。人の親としては結構考えさせられる最後。親の愛は偉大。

  •  一九四五年発表の作品。デイヴィー・フォックス大尉ーー何人もの日本兵を叩きつぶした「英雄」ーーの凱旋を、ライツヴィルの人々が華々しく歓迎する場面から物語は始まる。しかし実際のところ、彼は戦場で心を壊してしまい帰還したのだった。ミステリー作家として、殺人事件が核となる娯楽小説をずっと書いてきたクイーンだが、戦局が激しくなってきて、改めて「人が人を殺すとはどういうことか」をきちんと示したかったのかな…と思わせる冒頭。
     後半でも、ナチスの強制収容所の話が出てくるが、それ以外はいつもの謎解きエンタメ性バッチリ。ドラマツルギー的にだいたいこういう筋書きだろうなあとは予想ができるものの、どうやってその結論にたどりつけるのかはさっぱりわからなかった。そこへ、エラリーの推理でピシッパシっとパズルのピースが埋まっていく快感はやっぱりたまりません。

     私は今『ダブル・ダブル』の新訳発売に向けて、先延ばしにしていた未読のライツヴィルシリーズを今こそ読まなきゃ〜と焦っているところ。それでも、唯一読んでいたが忘れかかっていた『災厄の家』を読み直してから臨んで良かった。懐かしい面々がたくさん登場するので、エラリーと一緒にライツヴィルに戻ってきたかのような気持ちになれます。デイキン署長、マーティン判事はもちろん、エミリーン・デュプレさえ愛おしくなる不思議。
     ニューヨーク組のパパ・リチャードとヴェリー部長刑事も、出番はほんのちょっとながらいい感じで出演してくれるのも嬉しい。巻末解説に「裏ベスト」なんて言葉もあったけれど、確かに確かに、エラリー初心者には響かずとも、エラリー作品に愛着のある読者にとってはかなり満足度の高い一作なのでは。好き。

  • 一時、離れていました。

    久しぶりのクイーンです。
    新訳という事で思った以上に読みやすかったです。

    肝心の本編も面白かった!
    12年前の殺人の再調査。聞いただけでもワクワクするじゃありませんか?

    過去を振り返りながら調査を進めるエラリィ。

    楽しませて頂きました。
    面白かった‼️

  • 名探偵エラリイ・クイーンが活躍する、「ライツヴィル」という(架空の)町を舞台にした作品の第2弾、その新訳版です。(第1弾は『災厄の町』)

    まず感じたのは、旧訳版に比べて、新訳版では第二次世界大戦(太平洋戦争)の影響を色濃く感じたこと。
    1945年に発表された、1944年が舞台の作品ですが、本書の主人公であるデイヴィー・フォックスは日本軍との激戦で、戦争の英雄となりながらも心の傷で病んだのでした。
    本書の解説によれば、旧訳版では日本軍に対するデイヴィーの感情を少しぼかした翻訳表現もあったように推察されますが、今回の新訳版ではそこをきっちりと訳されているようで、そのため、より戦争後遺症の苦しみ、すなわちデイヴィーの苦しみが感じられるようになったと思います。

    そして、そんなデイヴィーの心理には、過去に父ベイヤードが母を毒殺した事件が影響している…ということで、12年前の毒殺事件を再調査するために、探偵エラリイ・クイーンが登場します。
    この部分は、ほぼ同時期に発表されたアガサ・クリスティーの『五匹の子豚』——回想の殺人を扱った佳作——などを思い出し、興味深かったです。

    事件の真相は、作家クイーンの某作とも少し重なる印象も抱きましたが、それに対するある人物の言葉が感動的です。
    そして、「ライツヴィル」という町の変遷も楽しめるこのシリーズはまだ続きます。

    次作『十日間の不思議』もハヤカワ文庫から新訳版が出ましたので、ハヤカワ文庫からは(ライツヴィル・シリーズではありませんが)『九尾の猫』も合わせて、クイーン中期の傑作四作が新訳で甦りました。
    訳者の越前敏弥さんもおっしゃっていましたが、ぜひ、

    『災厄の町』→『フォックス家の殺人』→『十日間の不思議』→『九尾の猫』

    の順番で読んでみてください。

    ※)以上の感想は、「本が好き!」サイトに記した書評を少しまとめたものです。
    https://www.honzuki.jp/smp/book/295501/review/257188/

  • 『災厄の町』のライツヴィルという町に、
    大戦の英雄が帰ってくる!というところからストーリーは始まる。彼、ディヴィーも、迎える家族同様に過去に受けた心の傷のため、今も心を病んでいる。
    そのためにほじくり返そうという過去の殺人事件が今回の大きな軸。
    ほじくり返されたら、出てくるのは悲しい真実の他にも沢山あった…
    登場人物に向けられるエラリー・クイーンの一種、冷ややかな視線など結構楽しみながら読むことができ、最後の最後まで真犯人はわからない…ということなど充分に満足出来る一冊だった。

  • ライツヴィルシリーズのエラリーは、感情豊かで心優しい青年。エラリーの心の動きも言葉ではっきりと書かれているので、それがしっかりと読者にも伝わってくる。そのため、前作に引き続きこの作品もどこか憂いや悲しみが漂っている。
    ほんの些細な好奇心が、大切な人の命を奪い、大切な人の人生を奪ってしまった。それを何とか隠し通そうとするエラリー。残酷な事実を覆い隠すために吐く優しい嘘。それでも、真実を希求するものにはきちんと伝える信念を持っている。
    推理小説としての要素の部分で言えば、「毒は誰が、どこに仕込んだのか」という点が最後まで残る謎となっている。エラリーは事件現場を舞台に、当時の状況を詳細に再現していく。水差しに残されたぶどうジュースのすじをめぐる実験などが特に興味深かった。
    この作品の中で一番胸にきたのは、戦争を終え心に傷を負って帰還したデイヴィーの苦しみだった。PTSDやサバイバーズ・ギルトなどの概念がまだ確立されておらず、他人にはなかなか理解してもらえないのがもどかしくて苦しい。妻のリンダやその家族は理解しようと力を尽くすが、どうしてあげたらいいのかわからないというまた別の葛藤を抱くことになる。そういった中での一縷の望みがデイヴィーの父の無実を証明することだったので、エラリーは真実を捻じ曲げたのだろう。デイヴィーが抱えたこの苦しみは、フィクションと言えど間違いなく実在した誰かのもの。ベトナム戦争から帰還した兵士もそうだったはず。デイヴィーがリンダを手に掛けようとしてしまったのは父のことがあったからではなく、実は潜在的な部分で自分が母を死なせてしまったことを自覚しているのでは、と空寒くなった。
    若い夫婦を含むフォックス家の今後が、町のお節介連中にかき乱されることなく穏やかなものであってほしい。
    国名シリーズファンとしては、父親を便利使いするエラリーが見られて安心。

  • 12年の時間を隔てての困難な調査を進めるエラリイの鮮やかな頭脳。それと平行して語られるデイヴィーの心の傷の深さが痛ましい。我々敗戦国の人には知り得ない、戦勝国ゆえの苦しみ。ほんと、戦争はイヤだ‼︎

  • 十二年前の殺人事件に挑むエラリーのお話。どうあがいても不利になっていく状況を、冷静な視点と判断力で有利に変えていくエラリーが凄すぎた。ページ数の多さの割にサクサク読めるし、そこまで不快な妨害行為も無かったので面白かった。まあ遺書を盗んでエラリーに怪我させたヤツもいたんだけども。まあそれくらいはミステリのお約束ということで。無実だけを求めるだけなら良かったものの、真実を追求してしまったために悲しい結末を迎えてしまうのにびっくりしたけど、親の愛は偉大だなあと思わせるエンドだった。

  • ハッピーエンドのようでもあり、バッドエンドのようでもある。こんなミステリーは読んだことがないかもしれない。読了後になんとも言えない感情になるのはライツヴィルシリーズらしい。前作「災厄の町」に勝るとも劣らない巨匠クイーンの傑作。

  • 文章面白いし~ハラハラもいい!引き込まれる!けど、、、後味が良くない。。。かわいそ!ってなった!

  • 屋根裏探索のあたりから犯人が分かったんだけど、
    これってある意味Yの悲劇。いや、まあ、しかも本人はそのつもりないから(そのつもりというのは純粋なる悪ではなく、本当にそんなつもりはないという意味の)全然ちがうんだけどね。

    言うならば、救いのあるYの悲劇。

    レーンはあの顛末を敢えて見過ごし、エラリイはあの悲劇を優しい嘘をつくことで見過ごした。

    デイヴィーの記憶の底には自分のやらかしが潜在的に存在してて、父親の罪の問題ではなく、自身の罪の問題の発現だったとしたらめちゃくちゃ怖いし、冒頭のあれは暗示的ではある。

  • 海外作品を増やしたくて読破

    結構古い作品なので、展開やトリックが当時は斬新だったのかと予想されるが今となっては、という感想

    作者の名前=探偵の名前、というのは面白い

  •  あなたが初めて読んだエラリー・クイーンは、どの作品でしたか?
    『Xの悲劇』などのロス名義作を除けば、私の一番古い記憶は『フォックス家の殺人』(1945)です☆ クイーン中期作、ライツヴィルシリーズ第二弾★ 発表順を無視しておる……☆

     かつて、田舎町ライツヴィルで苛め抜かれたデイヴィー・フォックスは、戦地から戻った途端に英雄扱いされ、町を挙げての祝福を受けた。
     だが、輝かしい武勲と引き換えにPTSDを患っていた彼は“ある衝動”に憑かれる。
     12年前、デイヴィーの父もある事件で刑務所に送られていた。狐の家には殺しの血が流れているのか。二代にわたる事件の真相とは!? 

     デイヴィーと家族の苦悩の章は、世相に少年時代の痛手も加わり、丁寧に綴られてる分、すごく重いです★

     寝た子を起こすような『フォックス家』の事件。そこで、私事で恐縮ですが本書に出会った頃をふりかえると……。10代後半の私は「人の話を真剣にとり合い、問題解決に動くエラリー」を信頼したのでした。
     当時、私の周りには楽天家の大人が多く、何事も「気にしなきゃいいじゃんガハハ」スタイル。気のいい人たちだったのだろうけど、悩んでるときは頼れないタイプだったのです★
     物事の本質をロジカルにつきつめていく探偵の存在は、真面目な姿勢だけでもポイントを稼いだかもしれません。

     ライツヴィルのエラリーは、<国名シリーズ>の高慢お坊ちゃんキャラではなく、大人の態度です。法廷の資料を確認したり検証実験を行ったりと、丹念な調べを重ねる姿がすこぶる真摯。
     また、クールなようでも人の痛みを知る探偵となり、情けをかけるような計らいも見せるのです★

     この時期のクイーンは事件推理のみならず、単純に解けない心的問題をまなざしていて、読みごたえ充分。もしかしたら、ここに来るまでに、エラリーはとんでもない痛みを経験したのかもしれません。
     痛みがあるから考える……★

  • 珍しく犯人当てちゃった。

  • ライツヴィルシリーズ3冊目

  • 戦争後遺症に苦しむ、デイヴィー。奥さんの助言で、エラリークイーンに相談する。
    父と同じように、妻の首を絞めてしまったからだ。昔の事件を説明する。
    ライツヴィルという架空の町の話。「災厄の町」から新たなる展開があった。単なるミステリではなく文藝作品をエラリークイーンは目指したのだった。
    自分も父と同じように奥さんを殺すのでは。戦争では人を殺すことばかり。殺して殺して殺しまくる。それが出来なくなることは死ぬことだ。
    でも、もし父が母を殺してないなら、と、奥さんのリンダがエラリークイーンに過去の事件の再考察を要望した。12年前の事件。
    なんか、切ないなあ。一方を取れば・・・。
    途中の薬剤師の嘘はいらない。
    ジェシカからの手紙。
    自殺か? それともやはり。
    うううう。

  • 12年前の事件を再捜査するクイーン。
    論理パズルと回想・記憶って噛み合うのだろうかと思っていたけど、さすがに上手いねぇ。ライツヴィルシリーズの中では好みの作品だ。

  • うだるような暑い夏。在宅勤務も推奨されているし、今年はひきこもるのだ。
    ここのところコージーミステリーに嵌っていたのだけれど、今夏は基本にかえって?エラリー・クイーンにひたろう計画。

    どれが未読でどれが既読か曖昧なライツヴィルシリーズ。「災厄の町」に続く第2弾。原題は"The Murderer Is a Fox"。フォックスは人名であり、きつねであり、狡猾の象徴でもある。

    12年前の過去の殺人を調査するという珍しい形式。過去の事件のため、なかなか調査は進まない。新たな殺人も起こらない。でも先が気になる。おそらく過去にも読んでいるのだけれど、フォックスさんだらけで犯人の見当もつかず。
    国名シリーズの変人味が強いエラリーが好きだけれど、ライツヴィルシリーズを続けて読んで、大人になって多少落ち着いたエラリーもこれはこれでよいと思えるようになってきた。派手さはないけれども隠れた名作という評価に納得。

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著者プロフィール

エラリー・クイーン。フレデリック・ダネイとマンフレッド・B・リーの合作ペンネーム。従兄弟同士で、ともにニューヨーク、ブルックリン生まれ。1929年『ローマ帽子の謎』で作家としてデビュー。ラジオドラマの脚本家やアンソロジストとしても活躍。主な代表作に『ギリシア館の謎(32)、『エジプト十字架の謎』(32)の〈国名シリーズ〉や、『Xの悲劇』(32)に始まる〈レーン四部作〉などがある。また編集者として「エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン」を編集、刊行した。

「2021年 『消える魔術師の冒険 聴取者への挑戦Ⅳ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

エラリー・クイーンの作品

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