三つの棺 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

  • 早川書房 (1983年7月6日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784150703530

感想・レビュー・書評

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  • さすが、先人が絶賛する本格密室ミステリー!
    疲れた脳みそと、ひっきりなしに話しかけられる環境で読むべきものではなかったが…。
    時代と生活圏が違う為、部屋の関係がいまいちしっくりこなかったり、二つの殺人の起きた場所の地理関係がつかめなかったりで、種明かしを読むときになるほどと思うことばかり。
    よく練られたトリックで、現実では決して不可能だけど、美しく決まって、理論上は納得満足。

  • ようやく読了。
    他の本と並行読みのため遅ればせながら。

    後半、加速度がついてフェル博士の密室講義が楽しくなってくる。
    やはりファンの多いミステリーには理由があった。

  • 犯人は誰か後半から面白くなっている。解らない事も多くあり難しかった。

  • ミステリ。
    フェル博士の"密室講義"で有名な作品。
    この"密室講義"、トリックの分類だけでなく代表的な作品も挙げていて、紹介された作品を読んでみたくなった。
    ガストン・ルルー『黄色い部屋の秘密』(または『黄色い部屋の謎』)の評価に関しては同意見。
    あとがきによると、"英米の代表的な探偵小説を読めば読むほど、あの「講義」の真価が分かってくる"と江戸川乱歩さんがおっしゃっていたらしい。
    この作品の密室トリックも、しっかりと分類できますね。
    ミステリ好きなら読んで損はないのでは?

    物語的には"密室講義"を読まなくても問題はなさそう。
    緻密に張り巡らされた伏線と、まさに奇術とでも言えそうな綱渡り的なトリック。
    濃密な謎解き。
    なんとも重厚な本格ミステリでした。

  • 何度も挫折しそうになりながらなんとか読み終えた。全体的にいまいち納得できず面白さのポイントもわからずじまいだった。古い翻訳で読んだので新しいものだともっと印象が違ったかもしれない。

  • やっと読み終えた。
    余りにもコマ切れにして読んでいたけど、何とか物語とトリックは理解できた気がする。
    ただ、会話が多く事態の進行が余り無いので、話が長く感じる。
    この半分のページで、同じ内容の話だったら楽しく読めたのに。

  • カーのベストを挙げよと云われたら『火刑法廷』か本作かというくらい評価の高い作品だが、私個人の評価はさほどでもない。
    本作はカーが密室物の大家としての名を確固たる物とした作品と云われている。それは2つの密室殺人が盛り込まれ、そのどれもが不可能性が高く、さらにとどめは有名なフェル博士による密室講義が挿入されていることによるからだろう。特に後者は世の本格ミステリファンの密室好きの琴線に触れ、後年多くの作家がこの講義を下地に改訂作業を行っている。

    第1のはグリモー教授の部屋での密室殺人。犯人と思われた謎の男ピーター・フレイは銃声が聞こえてすぐさま駆けつけたにもかかわらず、姿を消していた。
    第2の棺は街の袋小路で起きたそのピーター・フレイ殺害。雪の降り積もる中、しかも袋小路の只中で残されていたのは被害者のみの足跡。
    しかし不思議なことにこの事件は同時間に行われていた。ピーター・フレイはなぜ同じ時間に全く離れた場所に存在できたのか?

    この非常に魅力的な謎が解明されるが、一読した後では十分に理解できないだろう。それはあまりに複雑すぎ、さらに危ういまでに偶然が作用しており、しかもこれらの不可能状況が実に微妙なバランスの上で成り立っていることが解るからだ。
    カーが本作に密室講義を盛り込んだことからも本作を彼の数ある密室殺人物の集大成と捕らえていたのは間違いなく、本書に盛り込まれたトリックはそれまでカーが使っていたあらゆる物を盛り込み、実現させている。
    しかしそれは解るのだが、盛り込みすぎて実にギリギリのところで成り立っているとしか思えず、読んだ後は「こんなに上手く行くのかな」と首を傾げてしまった。

    もう一方の特徴、密室講義は読む価値ありだ。これは1935年当時、既に数多創作された密室を類別し、整理して非常に参考になり、また読みやすい。ただその性質上、他作家の密室物の真相を暴いている(作品名は出されていない)のは致し方ないところ。個人的に面白かったのはフェル博士が「我々は小説内の登場人物なのだから・・・」云々とメタ的発言をするところだ。
    力作であるのには間違いなく、こういうトリックの応酬が好きな人には堪らない1冊だと思うが、私としては張り切りすぎて、やりすぎだという苦笑を禁じえなかったのである。

  • 生命に関わる重要な話があるので後日訪問したい─突然現われた黒装束の男の言葉に、酒場で吸血鬼談義をしていたグリモー教授は蒼ざめた。 三日後の雪の夜、謎の人物が教授を訪れた。 やがて教授の部屋から銃声が聞こえ、居合わせたフェル博士たちがかけつけると、胸を撃ちぬかれた教授が血まみれで倒れていた。 しかも密室状態の部屋から、客の姿は煙のごとく消えていた……史上名高い〈密室講義〉を含むカー不朽の名作!

    期せずしてカーの作品を2冊続けて読んだのですが、こちらのほうがすんなり読めて面白かったかなあ。
    トリックについては、偶然に頼る部分が多い気がして、スッキリとはいかなかったけど。
    クローゼットのコートのくだりなど、混乱して訳わからなくなってしまいそうな部分があったりで、何度も読み返して確認したりして、ちょっと疲れたかも(笑)。
    この時代って、女性も含め、みんなタバコを嗜むものだったんだなと、変なトコでなるほどと思ったり。
    読んでいて息苦しいときがありました(苦笑)。
    こんなはずじゃなかったのにねえ、と思いました。

  • ほぼ初のカー作品。古典特有の文章で読みにくかったが、フェル博士の魅力にはまってしまった。トリックは微妙な感じだが、フェル博士の会話がおもしろかった。

  • ミステリファン必読といわれるフェル博士の「密室講義」を含むミステリー

    フェル博士自身が自分たちは推理小説の中の人物だ、と公言するところから始まる密室の講義の章はやはり面白い。なによりいちいちこんなことをわざわざ分類するあたりが推理ばかだなあ、と思います(笑)もちろんそれを読んでいる自分も含めて。

    事件の真相としては正直結構突っ込みどころはあります(笑)ただフィル博士のある意味では開き直りともとれるセリフを読むと、そんなことを言うのも野暮かなあという気がしますね(苦笑)

    真相はそんな印象だったのですが、伏線の張りかたや事件の視点を変えさせるミスリード、被害者の最後に残した証言の意味など、巧いなあと思わせる個所もたくさんあって、そのあたりはさすが巨匠といわれるだけあるなあ、と思いました。

  • 生命に関わる重要な話があるので後日訪問したい――突然現われた黒装束の男の言葉に、酒場で吸血鬼談義をしていたグリモー教授は蒼ざめた。三日後の雪の夜、謎の人物が教授を訪れた。やがて教授の部屋から銃声が聞こえ、居合わせたフェル博士たちがかけつけると、胸を撃ちぬかれた教授が血まみれで倒れていた。しかも密室状態の部屋から、客の姿は煙のごとく消えていた……史上名高い<密室講義>を含むカー不朽の名作!

    翻訳ものの宿命ですが、読むのに時間がかかった。
    やはり密室講義は必読です。

    琴線に触れたセリフはこちら。
    「あんたがた一般の人々は、名が通っているというだけで、その人の言葉は正確だと、いつも考えているらしい。――」

  • 5

    前回本書を手に取ったときは、私の集中力があまりにも欠けていたせいか、冒頭の情景描写が全く頭に入らず、わずか30頁未満で断念。最近は翻訳物ばかり読んでいるし、極端に読み難い訳の作品も先日何とか読み下したし、カー作品もあれから何冊か読んだし、何しろ読む気満々集中力高め、そろそろ頃合いと見てこの度2度目の挑戦。

    とても面白かった。濃厚にして濃密。あふれる不可能興味。やり過ぎなほど凝ったトリック。情景描写に巧妙に隠された微細な伏線。怪し気な登場人物たち。ある意味魂の叫び“密室の講義”。なんて素敵。

    あまりにも濃過ぎるが故に読む人を選ぶかもしれないが、趣味を自覚している人には最高の一作。読み難さも全く感じなかったし、本当に良い時期に読んだなあ。

  • 本格ミステリを読むなら必読、と色々なところで評されていたので、満を持して。

    文章や人物に仰々しさがあって、ややとっつきにくかったので、読み終えるのに少々時間がかかった。
    しかし、トリックは秀逸。真相がまったく読めなかった。しかも、この作品の『必読』たるゆえんである、『密室の講義』において、手掛かりは全て示されているのだ。
    最近立て続けに本格ミステリの名作ばかり読んできたが、この作品はやはり『必読』であった。

  • 最近、綾辻行人を中心に、現代ミステリーをちょいちょい読んでいる中で、必ず出てくる古典ミステリーのひとりがJ・D・カー。ということで、初めてのカーです。

    が、この頃の本にはよくあることに、翻訳文体が古典的すぎて、かなり読むのが大変に感じてしまいました。恐らく、可能な限り原作の表現を踏襲しようとしたんでしょうけど、特に感嘆符とかで、「そんなのもっと整理して読みやすく書けるじゃん!」と思うところがしばしば。

    いや、きっと翻訳ってそんな簡単なものじゃないことは分かっているんですけど、こればっかりは、合う合わないがあるので仕方ない。現代作家だって、文体の合う合わないを感じるわけですから、訳文も然り。

    で、肝心の内容の方ですが、なるほどこれが古典ミステリーか……なんとも大味だな、と思ってしまいました。

    もちろん、これらがあってからの、現代ミステリーではあるので、現代ものの方が洗練されているのは当然なのですが、大仕掛けやある程度の偶発的要素も入っていて、もともとまっとうに推理しながらミステリーを読む人ではないのですが、これは推理できないや、と匙を投げたくなります。

    かといって、悪いわけではもちろんないのですが、こう、期待していたのとは少し違ったざっくり感に、なんとも言えないもんにょりしたものを感じました。

    カーの代表作には、他の訳者のものもありますし、もう少し読んでみたい作家ではあります。

  • 初めてディクスン・カーを読みました!
    最初は翻訳に慣れなくて・・・意味がわからなくなるほど
    まわりくどいセリフに混乱しましたが
    まさかこんなトリックだったなんて。
    さすがです。
    密室講義、ありがたく拝読いたしました^^

  • 三つが五つとなって七つになったのです。ミステリは、謎は、増殖し、消えない。継承される。密室だって、銃撃だって。

  • 密室トリックはなかなかおもしろいが。セリフ回しが芝居がかっているし、文章に馴染めず。翻訳が古い?

  • 三つの棺読了。すごく…微妙です…。名高い密室講義を読めたのはいい経験でしたが、中二病の先駆けとも思えるあざとさだなこれ。メタって怖い。そしてこの真相、どう考えてもこんなにページ数かける価値ない。2/3で終わっても十分だ。うーむ…

  •  江戸川乱歩に、『あれは実によくできている。あらゆる密室のトリックが簡潔に網羅されている。・・・あの中にどんなに多くの作品の筋が含まれているか・・・英米の代表的な探偵小説を読めば読むほど、あの“講義”の真価が分かってくる。』と言わしめた有名なフェル博士による“密室談義”が収められた作品。それが読みたくてこの作品を手にとった。

     その前に読んだ“皇帝のかぎ煙草入れ”の読みやすさから、気を抜いて読み始めたものの、もう・・もうね・・読みにくい!!変な言葉使い、ダジャレ、時折出てくる“オッホォン!”だとか“ウッフ!ハァ!”だとかワケワカラン相づちとか、いちいち気になってしょうがない;

     やっぱり翻訳ものは苦手だ・・

     確かに、物語は魅力的で、完全な密室から消えた犯人や、街の通りで消える犯人や、魔術による殺人としか思えない不可能犯罪が、これまた綺麗に真相が解体される手法は見事。最初の密室の方なんかは、まさに魔術。

     “金田一少年”とか、この流れを汲んでいるんだろうなぁと思う。

     例の“密室談義”は確かに面白かった。かなり前に読んだ“密室犯罪学教程(天城一)”を思い出した。こんな講義が大学であったら、真面目にノート取るだろうなぁ・・・

  • 80042.170

    密室トリックのダブルヘッダーというやつで、なかなか良かった。


    ★廃盤――――――――――――――――――――――――――――

    80043.171

    高層の死角・東京空港殺人事件/森村誠一

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著者プロフィール

別名にロジャー・フェアベーン、カー・ディクスン、カーター・ディクスン。1906年、アメリカ生まれ。新聞や学生雑誌への寄稿を経て、30年に「夜歩く」で作家デビュー。長年の作家活動の業績から、63年にアメリカ探偵作家クラブ賞巨匠賞、70年には同特別賞を受賞した。1977年死去。

「2020年 『帽子蒐集狂事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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