火刑法廷[新訳版] (ハヤカワ・ミステリ文庫)

  • 早川書房
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本棚登録 : 568
レビュー : 60
  • Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150703707

作品紹介・あらすじ

広大な敷地を所有するデスパード家の当主が急死。その夜、当主の寝室で目撃されたのは古風な衣装をまとった婦人の姿だった。その婦人は壁を通り抜けて消えてしまう…伯父の死に毒殺の疑いを持ったマークは、友人の手を借りて埋葬された遺体の発掘を試みる。だが、密閉された地下の霊廟から遺体は跡形もなく消え失せていたのだ!消える人形、死体消失、毒殺魔の伝説。無気味な雰囲気を孕んで展開するミステリの一級品。

感想・レビュー・書評

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  • 全編を覆う薄気味悪い空気の描き方がうまい。疑惑の渦中にいる人物は登場こそ少ないものの、物語全体に不気味な影を落とす。正直、西洋のオカルト要素に恐怖は感じないし、不死者や黒魔術などと言われるとファンタジーかと構えてしまう。でも終盤までのオカルトに完全にはオチない紙一重の緊迫感は実に見事だった。どちらかと言うとオカルト比重の方が強く、終盤に訪れる論理的な真相解明が残念に思えるほど。お陰で納得の『評決』(好みではないけど)。どちらに転んでも細かい疑問は多々あるが、それが気にならないくらい秀逸な出来栄えだった。
    行方不明になったあの人がどこに消えたのか…はかなり気になるところ。

  • 時代故か人々の思考はちょっとオカルティックで、もっと後の時代の王道タイプのミステリと違うのかなとも思いつつ読み進めたが、そんなことは無かった。
    文化を共有できていないミステリを読むと、どっちのルールでやっているのかを考えねばいけないのが難点だと、常々思っている。

    解説にも書かれているが、なるほど当時はこの第5章を以って締まったんだろう。

  • 「広大な敷地を所有するデスパード家の当主が急死。その夜、当主の寝室で目撃されたのは古風な衣装をまとった婦人の姿だった。…」
    作品自体が凄いのは勿論なのですが、私が感動しちゃったのは、この裏表紙のあらすじです。的確に小説の筋を紹介しながら、一切ネタバレになっていません。このあらすじだけを読んで、本編を読まれた方は、それがどれだけの幸せをもたらすか知る事でしょう。編集者の方の技量にも感服した一冊です。

  • 読んでみたいと思っていたディクスン・カー。
    古典の正当な推理ものとしての面白味と怪奇ものとしての面白味と両方楽しめる作品。
    殺人、遺体消失、壁に消える女といった謎を解いた先に待っているものとは。

    読み終わると結局どういうことと悩んだりもするけれど、そういうところもこの作品の魅力なのかもしれない。

    面白く読み終えた。



    簡単な感想になっちゃった。
    大掃除の仕上げして、注連飾りつけないと。
    昨日、植木屋さんばりに植え込みを手入れして全身筋肉痛と闘っています。

  • 初めて読んだジョン・ディクスン・カーの作品。登場人物も背景も展開も、ミステリアス。読めば読むほど引き込まれていく。「Ⅴ 評決」の章が賛否両論だと言われているようだけど。


    やっぱ、マリーは○女なのでは?

    全部読んでから、最初のページを読むと、そういう意味だと思えてくる。
    「いくつかの意味で墓地のそばに住んでいた。」

    それから、マリーのぶっちゃけ。
    「わたしはあたなより歳上よ。ずっと、ずっと歳上なの。」
    これ、このときの会話でなぜ出てくるのか、ずっと気になっていたのだけれど。そういうことかと。きっと言うつもりはなかったけど、勢いで言ってしまった。隠していた女心。本当に彼を愛している。でも、きっと、、歳上すぎる。

    そして、マリーの意味深な予想。
    「何も見つからない。」
    やっぱり彼女は、なんかいろいろ知っている。

    最初のページの記述にある「読者や私(作者?)とさして変わらないエドワード・スティーブンス」には、コトの真相はわからない。

  • 「火刑法廷」ディクスン・カー◆デスパート家の当主が急死した夜、彼の部屋では一人の女性が目撃されており、彼女は壁を通り抜けて消えたという。毒殺を疑うマークは遺体の発掘を試みるが、遺体が入っているはずの棺は空だった。ミステリアスな事件に「不死者」伝説も絡んで、良い具合に不気味です。

  • 「部屋の壁の中に消えた婦人の謎」では、トリック自体は大したことはないものの、犯人によるミスリードが巧妙でした。
    「密室から忽然と消えた死体の謎」も、一連の怪奇現象を用いて不自然さを消すことに成功しています。何れもトリックというより、「ないように隠す手法」が非常に上手いなと思いました。
    最後のオチは好みではありませんが、不思議な余韻を残すことに成功しているので良く出来ていると思います。

  • 死んだ当主の寝室で目撃された謎の女はどこへ消えたのか?
    霊廟の死体はどこに消えたのか?
    さらに魔女裁判、毒殺魔とオカルトチックなネタ満載でありながら、それを理論的に解決してしまうと言う展開。
    そして最後のあの5ページ!
    なるほど、これは名作だ。

  • 確かに面白い。不朽の名作とはまさにこんな作品を指すのだろう。

    でもね、あのエピローグ読んですっきりする解を導き出せる人がいったいどれほどいるのだろうか。現実的解釈をしようにも、矛盾点多すぎて挫折。んじゃーオカルトでいってみようとパラパラ再読してみたが、壁すり抜けはそのままとしても、死体消失は誰がどうやったんだろう?霊廟への壁もすり抜けたんならもうお手上げ(笑)

    まぁ、この最高に気味悪いラストへの伏線も十分すぎるほど張られていて、些末なことは大概どうでもよくなるわけだが。

    90点(100点満点)。

  • 推理とオカルトの見事な融合。さすがカーの代表作!

    物語が二転三転し最後の最後まで結末が見えない。

    これ程推理小説で感動したのは久しぶり。

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著者プロフィール

別名にロジャー・フェアベーン、カー・ディクスン、カーター・ディクスン。1906年、アメリカ生まれ。新聞や学生雑誌への寄稿を経て、30年に「夜歩く」で作家デビュー。長年の作家活動の業績から、63年にアメリカ探偵作家クラブ賞巨匠賞、70年には同特別賞を受賞した。1977年死去。

「2020年 『帽子蒐集狂事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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