弓弦城殺人事件 (ハヤカワ・ミステリ文庫 6-1)

  • 早川書房
3.12
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本棚登録 : 55
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150704018

感想・レビュー・書評

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  • う~ん、冗長すぎるなぁ。
    まず物語がイメージとして頭に入り込まない。これは作中でも出てくる城の見取り図がこの小説で示されないことによるところ大きく、大いに問題だ。謎解きもこの見取り図がなければ、作者が語るがままに頷くしかなく、全くカタルシスが得られない。

    捜査も回り道が多く、一向に進まない。特に狂言回しとして設定されていた城主の息子フランシスが物語を迷走させ、進行を大いに妨げ、忸怩たる思いがした。

    カー作品でもかなり初期の本作。
    唯一の救いは初期の作品からして、カー独特の語り口と物語設定とオカルト趣味が垣間見えたことか。しかし、それも単に物語を冗長にしているのに過ぎなく、切れを無くしていると思えて仕方がないのだが。

    今回のカーの狙いはうだつの上がらない人物が実は極悪非道な人物だったという人間の裏面を見せたことか。
    しかし、物語の引力が弱いのは否めないなぁ。

  • 3- 

    カーター・ディクスン名義での第一作。
    古城、怪し気な城主、不気味な甲冑室、と、雰囲気だけは最高。
    しかし翻訳の古さも手伝ってか、情景描写の曖昧さ、わかりにくさが足を引っ張る。城内の各部屋の位置関係が不明瞭。そのわかりにくさ故、物語にも入り込めず、真相が明かされる場面になってもいまいち盛り上がらない。作中では誰かが城内の見取図を作るのだが、それを読み手にも見せてくれれば良かったのに。

  • 9月の20冊目。今年の162冊目。

    初カーター・ディクスン(ジョン・ディクスン・カーも読んだことなし)。うーんこういうのって図があると本当にわかりやすいんだけどな・・・と思いました。それだけでだいぶ想像できることが多くなりますよね。まぁもっと古典を読まねばなーと思わせてくれた1冊でした。

  • イングランド東部、イースト・アングリアの海岸にのぞむ夜な夜な幽霊が現れるという古城ボウストリング(弓弦城)で密室殺人が起こります。
    2人の客が城の見物に訪れた夜、当主のレイル卿が甲冑室で殺されます。
    密室状態の甲冑室で首に弓の弦を巻きつけられたレイル卿の絞殺死体が発見されます。
    しかも、容疑者は卿の愛娘なのです。
    さらに次々と続く殺人。
    事件解決の依頼を受けたフェル博士、H・M卿の前身と言われる犯罪学者ジョン・ゴーント博士が事件に挑みます。
    盛り上がる要素はたくさんあるのに、盛り上がりに欠けていたのが残念に思いました。

  •  かなり明確な密室ものなんだけど、なぜか密室であることに関する考察が少ないのが気になる。甲冑が満ちあふれた部屋の中で、当主があっという間に絞殺されるかなりの不可能状況なのに、すっと描かれてしまっているのが少し不満。

     解決は「なるほど」と思えるものなのだけど、舞台となる城の図面がきちんと頭に入っていなかったせいか、ちょっと驚き損なった、というのが実感である。

     やっぱりフェル博士やH・M卿じゃないと盛り上がりに欠ける。王道なんだけどちょっと地味であった。
    2008/3/31

  • ジョン・ゴーント博士が探偵役。
    古城の甲冑室で密室殺人といういかにもカー好みの設定だが、盛り上がるべき要素はあるのに平坦なまま終わってしまった感じでちょっと残念。

  • 残念ながら名義が違ってもやはり
    犯人の傾向は同じ、ということを
    つくづく感じてしまいました。

    犯罪の手口は幸いにも
    結構凝っていて
    「錯覚」を用いているので
    犯人が特定できなくなっています。

    しかしながら犯人がワンパターンなのは
    少々残念であります。

  • 密室の甲冑室での殺人事件。弓弦城の主人レイル卿の死。レイル卿は甲冑の籠手で絞め殺されたはずだが弦が巻き付いていた。目撃者が聞いた「かちり」という音。膝をついたような不自然な恰好での死。膝や腿に残されたあざの謎。妊娠してくびになるはずだった女中ドリスの殺害。籠手での絞殺。ドリスの部屋に残された籠手に隠された秘密。レイル卿夫人アイァリーンの射殺体。 レイル卿の息子フランシスの奇妙な行動。レイル卿の秘書マシイの証言。事件前に盗みだされた1万ポンドの謎。犯罪学の権威ジョン・ゴーントの推理。

     2011年3月28日読了

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著者プロフィール

Carter Dickson (1906-1977)
本名ジョン・ディクスン・カー。エラリー・クイーン、アガサ・クリスティーらとともにパズラー黄金時代を代表する作家のひとり。アメリカ合衆国のペンシルベニア州に生まれる。1930年、カー名義の『夜歩く』で彗星のようにデビュー。怪事件の連続と複雑な話を読ませる筆力で地歩を築く。1932年にイギリスに渡り、第二次世界大戦の勃発で一時帰国するも、再び渡英、その後空襲で家を失い、1947年にアメリカに帰国した。カー、ディクスンの二つの名義を使って、アンリ・バンコラン、ギデオン・フェル博士、ヘンリー・メリヴェール卿(H・M卿)らの名探偵を主人公に、密室、人間消失、足跡のない殺人など、不可能興味満点の本格ミステリを次々に発表、「不可能犯罪の巨匠」「密室のカー」と言われた。晩年には歴史ミステリの執筆も手掛け、このジャンルの先駆者ともされる。代表作に、「密室講義」でも知られる『三つの棺』(35)、『火刑法廷』(37)、『ユダの窓』(38)、『ビロードの悪魔』(51)などがある。

「2023年 『五つの箱の死』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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