貴婦人として死す (ハヤカワ・ミステリ文庫)

  • 早川書房 (1977年3月29日発売)
3.69
  • (4)
  • (3)
  • (9)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 51
感想 : 10
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784150704032

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 挫折 字が小さすぎ

  • カーター・ディクスンのH・M卿もの。
    H・M卿は派手だけど、全体的には地味かな・・・とも思ってましたけど、これはスゴイことになってます。
    この感じ、好きです。

  • 『皇帝のかぎ煙草入れ』が意外におもしろかったことをミステリ好きの義父に話したところ、貸してくれたなかの一冊。
    このタイトルにこの表紙(ブクログでは表示されませんが)、自分では絶対手に取ることはなかったと思うけど、これまた、面白いのだな。ヘンリー・メリベール卿のキャラクターが魅力的(いや、魅力的な人ってことではなく興味深い人物設定ってことです)で、更に他の作品も読んでみたくなった。

  • H・M卿シリーズです。
    物語のほぼ全ては年老いた医者のリュークの手記で進んでいきます。
    リタが住む家から絶壁に向かう2筋の足跡を残してリタとサリヴァンは忽然と姿を消してしまうという事件です。
    カーでは有名な「白い僧院の殺人」がこれと同じテーマですね。

  • 「ですから、あたし、離婚するしないにかかわりなく、彼を置いてきぼりにするなんてできませんわ。でも、バリーの方もあきらめられないんです。」



    ~あらすじ~

    老数学者アレック・ウェインライトの妻、リタが、医者であるリューク・クロックスリーの元へ診察を受けに来た。しかし、なにか様子がおかしい。問いただして見ると、リタは、俳優であるバリー・サリヴァンに恋をしていて、既に不倫関係であるという。

    一か月後位にアレック主催のパーティーが行われる。もちろんバリーも招待される。そして二人で部屋を抜け出すバリーとリタ。この辺でアレックは二人の関係に気付いている事が判明。漂う怪しい雰囲気… 二人は帰ってこない…

    探してみると、家から2足の足跡が「恋人たちの身投げ場」として有名な場所へ続いていた。リタは夫と不倫相手どちらをとるか悩んだ末に、「貴婦人として」誇りを持ったまま、バリーと共に「死」を選んだのだろうか?
    しかし2日後、崖から少し離れた海岸で発見された彼女らの死体には、無残にも銃痕が!

    一見ありふれた心中事件の裏には、H・M卿も匙を投げかけた、根深い謎が秘められていた!!

     
    ****************************************************************************


    と、言うわけで、ミス連の定例会で薦めていただきました、『貴婦人として死す』を。

    久々に読んだカーは、けっこう重く、読むのに時間がかかってしまいました。でも、多くのレビューで述べられているように、この作品は、現在絶版であるのがもったいない良作であることにまちがいないとは感じました。

    ほぼ全編が医者のリュークの手記という形をとっているという本作、『貴婦人として死す』で扱っているのは、家から続いた2足の足跡が、途切れることなく崖まで続いていており、その他には崖へ続く足跡が無かったという、いわゆる「雪の中の密室」と呼ばれるテーマに分類されるものです。
    カー物では『白い僧院の殺人』が有名な所ではありますが、本作もそれに匹敵するほどだと思います。お暇な方はぜひ読んでみてください。

    感想ですが、ストーリーはありふれた火サス的展開で親近感が持てました。「貴婦人だったのか、ビッチだったのか?」シンプルでいいですよね。

    それと最後の展開が、なんというか、カーらしいなあと思いました。僕の中ではカーはカップルが成立して終わる、とか、ハッピーエンドが多い印象なんですが、今作も、そういうものとは違いましたが、人情派、って感じの構成になっています。

    トリックに関しては、それ自体は単純なものではないんですが、地味と言えば地味かなと思いました。でも上手く○○が○○の○○を○○していた、って所は好きです。
    犯人がどう隠されてるか、という所も面白い。この作品が評価されている大きな理由ってここにあるのかなと思います。

    20冊くらいカーは読んでると思うんですが、まだまだ面白い作品はいっぱいありますね、マイナー所にも手を出していきたいです。

    どうでもいいけどまたイメージがないのが悲しい。絶版のせいかな……

    (玉津)

  • さすがのH・M卿も苦戦してしまう
    難事件が絡む事件。
    それは読者も同様で
    提示される状況からも
    何のヒントを得ることができないので
    すごく歯がゆいはずです。

    それと、この作品の
    評価を落としてしまったのは
    結末部で使われる表現は
    別の探偵で使われるべきもので
    H・M卿にはふさわしくありません。

    読みやすさの観点で行けば
    あまり残酷めいた表現は
    見られませんので読みやすくはありますが…

  • H.M卿

  • H・Mシリーズ

    年の離れた夫アレックを尊敬しながら若い愛人バリー・サリヴァンとの駆け落ちを計画するリタ。海に続く2人の足跡。抜かれていた電話線と車のガソリン。発見された銃で撃たれた2人の遺体。夫を探して現れたバリーの妻ベル。誰も住まないアトリエに隠されたバリーの車。車の中でバリーを待っていたベル。車ごと流砂に捨てられたベルの冒険。破産していたアレック。アレックがリタに送ったダイヤ。駆け落ち計画ならダイヤを持ち去ったはずだが・・・元の小箱の中にあるダイヤ。足を怪我し車いすのH・M。車いすでの暴走。ローマ人の恰好で推理を展開するH・M。リューク医師の推理。リュークの死後H・Mが解き明かす事件の真相。

  • 2007/02/07

  • 2006/11/15購入

全10件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

Carter Dickson (1906-1977)
本名ジョン・ディクスン・カー。エラリー・クイーン、アガサ・クリスティーらとともにパズラー黄金時代を代表する作家のひとり。アメリカ合衆国のペンシルベニア州に生まれる。1930年、カー名義の『夜歩く』で彗星のようにデビュー。怪事件の連続と複雑な話を読ませる筆力で地歩を築く。1932年にイギリスに渡り、第二次世界大戦の勃発で一時帰国するも、再び渡英、その後空襲で家を失い、1947年にアメリカに帰国した。カー、ディクスンの二つの名義を使って、アンリ・バンコラン、ギデオン・フェル博士、ヘンリー・メリヴェール卿(H・M卿)らの名探偵を主人公に、密室、人間消失、足跡のない殺人など、不可能興味満点の本格ミステリを次々に発表、「不可能犯罪の巨匠」「密室のカー」と言われた。晩年には歴史ミステリの執筆も手掛け、このジャンルの先駆者ともされる。代表作に、「密室講義」でも知られる『三つの棺』(35)、『火刑法廷』(37)、『ユダの窓』(38)、『ビロードの悪魔』(51)などがある。

「2023年 『五つの箱の死』 で使われていた紹介文から引用しています。」

カーター・ディクスンの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×