読者よ欺かるるなかれ (ハヤカワ・ミステリ文庫)

  • 早川書房 (2002年4月11日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (416ページ) / ISBN・EAN: 9784150704124

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

不可能犯罪をテーマにしたこの作品は、読唇術師ペニークが念力で人を殺すと予告し、その通りに事件が展開するという緊迫感溢れるストーリーです。ペニークの怪しさと完璧なアリバイが、読者の疑念を引き立て、物語に...

感想・レビュー・書評

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  • 思念で人を殺せると自称する男を登場させ、遠隔殺人を扱った本書。この作品はカーの最たる特徴であるオカルティズムが十分に堪能できる作品である。

    とにかく読心術が出来、思念で人を殺せると主張するペニイクなる人物が縦横無尽に物語を駆け巡り、あのHM卿でさえも翻弄され、思念で人を殺していると半ば信じるほどだ。

    そして同一時間に離れた場所に出現し、殺人を犯すという設定で当然考えるのは双子のトリックだが、嬉しい事にその脱力感を与えられる真相は今回は避けられていた。

    しかしその代わり―というのは適切ではないかもしれないが―のトリック(もう1人がペニイクのマスクを被る)はちょっとがっかりかも。外の窓に浮かび上がるぐらい近いのだから、ばれてしまうと思うのだが。

    物語、事象が裏返る手法はカー作品の特徴でもあるが、今回もそれが十分に発揮できている。
    とにかくこの作家はダブル・ミーニングの投げ方が巧い。最初読む話では全く自然の流れであった表現が真相を与えられるに当たって全く意味の違う意味に変わってしまう切れ味は健在である。

    そしてこの読者への挑戦状ともいうべき題名。原題は“The Reader Is Warned”つまり文中の訳文を引用するのなら『読者に一度警告する次第である』となるが、この表現が随所に出てきて、挑戦意欲を駆り立てる。

    とはいえ、この真相は、解らんでしょう!
    死者が一時蘇生するという真相は推理で当てるのは専門知識を要するので一般読者が当てるのは無理があると思うが、個人的にはこういうサプライズは大歓迎。セイヤーズ作品を読んでいるみたいだった。

    しかし第1の殺人の真相が非常に面白いのに対し、第2の殺人の真相がその亜流でしかもちょっと無理があるだろうと思わされるものだったのが残念。ちょっと綱渡りしすぎた。

  • 犯人の長台詞で犯行が明らかになるのはミステリとして薄味になるものだが、カー=カーター・ディクスンなら許す。出来不出来の激しい作家だが、これはAクラス。

  • あら、これ、続き物なんですね。

    初のディクスン・カー。
    舞台装置の設定が面白いですね、
    殺人の予告があり、超能力で人が死んでいくとは。

    すいすい読めます。

    ただし、トリックは・・うーん・・
    謎解きを楽しんでいく種類の推理物とは違う気がします。
    私はクイーンが好きなのですが、この小説だと
    「あっ、そうだったんですかあ・・・」という感想で限界。

    トリックがべつだんすぐれているというわけではないんですよね。
    ただ「超能力を持っていると自称する人間の裏で殺人をする」という着想は面白い気がします。
    現実にありそう、という意味で。

    カーはもう一作くらい読んでみてから判断したいところ。

  •  H・M卿モノ。
     あの死に際の状況は、正直あまり納得できない。やや、苦しいのでは、と珍しく思ってしまった。他の部分は面白く、さくさく読めた。

  • 念力で殺人、しかも予告します。
    面白かったです。
    H・Mは直接の褒め言葉に弱いんですね。
    かわいらしいところもあるんだなと思いました。

  • 一年くらい前に、古本屋で買った本。そして、何故か今の今まで読まないままにクローゼットに積んであった本でもある。 

    夫の「死に際」の状況とかは強引じゃないか、とか思う。
    でも、予想以上に面白かった。

  • 念力により人が殺せると豪語する読心術師。屋敷の主人、妻…と予言通りに人が死んでいく。はたしてこの『念力による死』は本物なのか?

    で、見事に欺かれました。トリックはネタ的にアレなところはありますが、各キャラの動きや犯人の動機、何よりH・M卿の犯人を追い詰める作戦、その根底にある探偵側としての動機に痺れました。
    カーの中ではベストじゃないけど、そこそこ楽しめる作品でした。

  • H・M卿シリーズです。
    タイトルがおもしろいので気になっていた本です。
    相変わらずの不可能犯罪です。
    読唇術師のペニークは念力で人を殺すと言って殺人予告をするのですが、本当にその予告のとおりに人が死んでしまうのです。
    このペニークがまた怪しく、どうしてもこの男を疑いたくなるのですが、ペニークには完璧なアリバイがあるのです。
    最後は一体どう解決するのかと思っていましたが、見事にカーはやってくれました。
    これは素晴らしいアイディアです。
    タイトルも納得のタイトルです。

  •  テレパシーで人を殺す話である。特殊な能力を持つと自称する男が、この時間にこの人を殺すと予言し、その時間に実際にその人が死ぬ。予言者には完璧なアリバイがあり、被害者はまったく外傷がなく毒殺でもない。大したもんだ、これを最後で鮮やかに説明するのだから。
     カーター・ディクスン(ディクスン・カー)の作品は、トリッキーな謎が飛び出してきて、そいつをどうやって合理的に解決してくれるのだろうとわくわくしながら読むのだが、実は最後まで読んでも、何がなんだかわからずに終わってしまうことがけっこう多い。が、この本は、最後で「なるほどこの手があったか」と納得してしまった。よくできてる。面白かった。
     また、トリックなどもなかなかいいのだが、物語の進み方もなかなかいい。伏線のちりばめ方なども含め、楽しかった。最後の解決のために書いているって印象ではなくて、途中途中がハラハラしながら楽しめた。いいミステリだった。

  • タイトル通りのことを言いたいです。
    「読者よ欺かるるなかれ」
    でもあの展開からするとついつい
    そのメインに出てくるあの人を
    疑いたくなってしまうのですわ。

    これまた奥にはとんでもない
    事情が隠されているのです。
    しかも真実がああいう結果になっていると…
    驚かざるを得ないことでしょう。

    ある意味残忍な犯罪です。
    言葉どおりに受け取っていると
    命取りです。

  • 念力で人を殺す!?とにかくインパクト大です。真相も一部かなりぶっ飛んでます。さすがカー。面白かった。

  • インパクトの強いタイトルなので弥が上にも期待してしまったが、いつも通りの展開だった。と言っても決してつまらないという意味ではなく、この作家の平均レベルはクリアしている。不可能犯罪が巧い作者だが、本作品はその中でもヘビー級。テレフォースという怪奇的な要素も加わって、カーター・ディクスンのフルコースを味わうには申し分ない。真相そのものは納得したが、動機などの点で未解決の部分もままある。この分野に動機の解明などは野暮かもしれないが、すべてがクリアになれば、読後の充実感もまた違ったのかもしれない。もうひとつ残念だったのは、サーンダーズ博士の存在が邪魔だったこと。構成上、なくてはならない人物なのだが、その人物像に共感できなかったため、存在そのものが鬱陶しくて仕方がなかった。

  • 超能力を題材にした推理小説。サーンダーズ博士と婚約者がどうなったのかも気になる…

  • ん⁈
    うーん、

    犯人がわかって、なるほどね、と思う。
    読んでいるあいだ、ほんの少し、犯人かもしれないという疑いが頭をよぎったかもしれないけれど。
    結局、犯人は見当もつかないまま、探偵の謎解きを待つだけでした。

    時代は、1930年代。
    ちょうど、アガサ・クリスティーが、ポアロを主人公に小説を書いていたころ。
    アガサの生年は、1890年。
    本作の作者は、1906年生まれ。

    場所も、ロンドンを中心として描かれており、背景は似ています。



    『the reader is warned』というのが、もともとの題名のよう。翻訳では『読者は警告される』?
    「読者よ欺かるるなかれ」という邦題は、なかなか、ツッコミたくなるモノだけれど。

    古めかしい館、集まった人々。
    何かが起こりそう、、、
    そこで、殺人!

    ありそうといえばありそう。
    本作には、オカルトっぽい雰囲気を漂わせる怪しい人物が登場。

    その人物に欺かれるなということか?
    その人物は、あまりに不審すぎて、犯人とは思えない。思えないけれど!!

    犯人かも?と思われる人物が、見えてきたかもしれない!
    でも、、

    最後に、一気に犯人に迫るというのも、お決まりのパターン。
    もう、早く教えて、と、焦れてくる感じ、ミステリーならではですね。

    本書の著書は、カーター・ディクスン。
    じつは、ジョン・ディクスン・カーとして知られる推理小説作家。

    今の時代だと、オカルトとかホラーも、もっとドギツイものだったりするかもしれないけれど、この時代の薄暗い雰囲気は、これはコレで浸るのが楽しいと思う、ミステリーです。。

  • 1939年発表のH・M卿シリーズ第9作。超自然的な要素を絡めた稀有なミステリとして、カーファンならずとも海外ミステリを読む者であれば誰であれ避けては通れない一作。 "絶対的な不可能犯罪"を如何なる方法で解決へと導くのか。トリックに多少苦しいところがあるのも事実だが、語り手の配役や解決の演出、全体を流れるプロットに、カーにしか生み出せない独創的なアイデアが詰まっている。前作『五つの箱の死』から継続して登場する人物がいるので、順番に読むのが吉。

  • 2020/06/14読了

  • 友人であるチェイスに誘われれてサム・コンスタブルの屋敷にやってきたサンダース博士。サムの妻マイナの連れてきた読心術師ハーマン・ペニイク。サムが死ぬというペニイクの予言。マラリアを患ってから寒さに気を使っていたサム。サンダース博士が発見したサムの遺体。死因が不明のままペニイクを弾劾するマイナに対し殺害予告をするペニイク。再び実現した予言。サンダース博士とヒラリイを巡って対立するペニイク。

     2009年2月19日購入

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著者プロフィール

Carter Dickson (1906-1977)
本名ジョン・ディクスン・カー。エラリー・クイーン、アガサ・クリスティーらとともにパズラー黄金時代を代表する作家のひとり。アメリカ合衆国のペンシルベニア州に生まれる。1930年、カー名義の『夜歩く』で彗星のようにデビュー。怪事件の連続と複雑な話を読ませる筆力で地歩を築く。1932年にイギリスに渡り、第二次世界大戦の勃発で一時帰国するも、再び渡英、その後空襲で家を失い、1947年にアメリカに帰国した。カー、ディクスンの二つの名義を使って、アンリ・バンコラン、ギデオン・フェル博士、ヘンリー・メリヴェール卿(H・M卿)らの名探偵を主人公に、密室、人間消失、足跡のない殺人など、不可能興味満点の本格ミステリを次々に発表、「不可能犯罪の巨匠」「密室のカー」と言われた。晩年には歴史ミステリの執筆も手掛け、このジャンルの先駆者ともされる。代表作に、「密室講義」でも知られる『三つの棺』(35)、『火刑法廷』(37)、『ユダの窓』(38)、『ビロードの悪魔』(51)などがある。

「2023年 『五つの箱の死』 で使われていた紹介文から引用しています。」

カーター・ディクスンの作品

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