長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ文庫 フィリップ・マーロウ)

  • 早川書房 (1976年4月17日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (544ページ) / ISBN・EAN: 9784150704513

感想・レビュー・書評

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  • そういえば読んでいない、……と思う名作シリーズ。

    言わずと知れたハードボイルド!
    かたゆで卵!

    想像していたよりも読みやすく、想像していたよりも推理小説していた。

    独特の文体で、しかも一癖ある描写が妙。
    それにしても描写がちとウザイかな。一人一人の服装なんかは特に興味ないので、最初はおもしろく読めていてもだんだん冗長に感じて来る。

    セリフ回しなどもストレートなものはなく、それが気に入る人は心酔するだろうし、気に入らなければくどいだけに感じるだろう。

    入り込めれば、まあ、おもしろく読めた。


    な~がいあ~い~だ~♪
    ま~たせて(読まずに)ご~めんね~♪

    なぜか読み始めるときはKiroroの「長い間」を口ずさんでいたわ(笑)

    • 土瓶さん
      へえ~。
      でも、着ている服で心の中を推測すんのは俺には無理やな。
      心理描写があってもハードボイルド言ってもいいと思うし、新宿鮫シリーズな...
      へえ~。
      でも、着ている服で心の中を推測すんのは俺には無理やな。
      心理描写があってもハードボイルド言ってもいいと思うし、新宿鮫シリーズなんかそうだなー。北方謙三なんかも心理描写があってもハードボイルドと言っていいと思う。
      読んだ感じでハードでボイルドだな~(?)と感じたらそれでいいわ(笑)
      2024/07/07
    • ひまわりめろんさん
      まぁ、スタートはそうなのよ
      ハメットとかチャンドラーとかね

      今は話の中身や主人公の立ち振舞なんかでそう言われることが多いので、まきちゃや土...
      まぁ、スタートはそうなのよ
      ハメットとかチャンドラーとかね

      今は話の中身や主人公の立ち振舞なんかでそう言われることが多いので、まきちゃや土瓶さんの言ってることも正しいのよそれは
      2024/07/07
    • ひまわりめろんさん
      まぁ、スタートはそうなのよ
      ハメットとかチャンドラーとかね

      今は話の中身や主人公の立ち振舞なんかでそう言われることが多いので、まきちゃや土...
      まぁ、スタートはそうなのよ
      ハメットとかチャンドラーとかね

      今は話の中身や主人公の立ち振舞なんかでそう言われることが多いので、まきちゃや土瓶さんの言ってることも正しいのよそれは
      2024/07/07
  • 昔、大型書店でバイトしていた頃、バカ売れしていたレイモンド・チャンドラー。読んでみたいと思っていた元祖ハードボイルドミステリーを初めて手に取った。
    主人公のフィリップ・マーロウがカッコ良すぎ。極上のいい女も登場。ミステリーに引き込まれ面白くて一気読み。どんでん返しもあり、十分に楽しめた。
    大金持ちの妻を撲殺したと言う友達を逃亡させる私立探偵のマーロウ。友達の無実を信じ続ける。次の依頼人は金髪の美しい女。アル中の人気作家である夫が行方不明で探して欲しい、と言う。そして、2つの事件が交差していく。
    マーロウの癖が強い。ストーリーも粗削り。警察は殴りまくりの違法捜査するし、マーロウは隙だらけで普通は逮捕される事案。事件の結末も謎が残る。そして題名通り…長い。
    でも良いんです。空気感が素晴らしいから。秒で別世界に連れて行かれる。マーロウと女達の描き方が美しい。オシャレな会話に痺れた。
    有名なセリフを記しておこう。

    「さよならをいうのはわずかのあいだ死ぬことだ」
    「ギムレットにはまだ早すぎる」

    本作から来てたのか。
    いろいろな訳者が翻訳されている。今回は、オーソドックスな清水俊二訳を選んだが、読みにくさもあった。次は他の方の訳で読んでみよう。理解も感じ方も違うのだろうなぁ。

  • ハードボイルドミステリー小説。
    二転三転する展開と意外性のある結末でミステリー作品としては好みの部類だった。

    が、酒、裏社会、女性とのワンナイト…みたいな描写はカッコ良いんだろうけど個人的にはあまり得意ではない世界観だった。

  • フィリップ・マーロウの魅力が最も際立つ名作。 どこかニヒリスティックな印象の漂う普段のマーロウとは裏腹に、思い入れのある友人を探すために奮闘する彼の姿には胸が熱くなった。

  • ロマンティックな男は手ごわかったです。
    わたしの覗いたハードボイルドの世界にあったもの。酒とタバコとコーヒー。皮肉と痩せ我慢の美学に隠れた男の優しさ。忘れてはならないのが美女とのひと時の逢瀬と必ず訪れる別離。
    そして、さよならの向こう側で佇む男の友情。

  • 『大いなる眠り』の感想でも述べたが、私が最初に手に取ったチャンドラー作品がこの『長いお別れ』だった。
    これには理由がある。まず私はハヤカワミステリ文庫版から手をつけていたのだが、チャンドラーの背表紙に付けられた番号が1番であったのが『長いお別れ』だったのだ。順番を意識して読む私は当然刊行された順というのは古い順だろうと思い込んでいたが、それは間違いだった。そして私はいきなりこの名作から手をつけてしまったのだった。

    本作の何がすごいかといえば、『湖中の女』、『かわいい女』とあまり出来のよくない作品が続いた4年後にハードボイルドの、いやアメリカ文学史に残る畢生の名作を書いたということだ。一説によれば、チャンドラーが『湖中の女』の後、ハリウッドの脚本家に転身したのは作家として行き詰まりを感じていたのだという。そのハリウッドで苦い経験をした後、書いた作品『かわいい女』の評判もあまりよくなく、チャンドラー自身でさえ、「一番積極的に嫌っている作品」とまで云っている。そんな低迷を乗り越えて書いた作品が世紀を超え、ミステリのみならずその後の文学界でも多大なる影響を今なお与え、チャンドラーの名声を不朽の物にしたほどの傑作であることを考えると、単純に名作では括れない感慨がある。

    テリー・レノックスという世を儚んだような酔っ払いとの邂逅から物語は始まる。自分から人と関わる事をしないマーロウがなぜか放っておけない男だった。
    この物語はこのテリーとマーロウの奇妙な友情物語と云っていい。
    相変わらずストーリーは寄り道をしながら進むが、各場面に散りばめられたワイズクラックや独り言にはチャンドラーの人生観が他の作品にも増して散りばめられているような気がする。

    「ギムレットにはまだ早すぎるね」
    「さよならを言うことはわずかのあいだ死ぬ事だ」
    「私は未だに警察と上手く付き合う方法を知らない」

    心に残るフレーズの応酬に読書中は美酒を飲むが如く、いい酩酊感を齎してくれた。

    チャンドラーはたった7作の長編しか残していないが、その7作でミステリ史上、永遠に刻まれるキャラクターを2人も創作している。1人は『さらば愛しき女よ』の大鹿マロイ。そしてもう1人が本作に出てくるテリー・レノックスだ。
    大鹿マロイが烈情家ならばレノックスは常に諦観を纏った優男といった感じだ。女性から見れば母性本能をくすぐるタイプなのだろう。どこか危うさを持ち、放っておけない。彼と交わしたギムレットがマーロウをして彼の無実を証明するために街を奔らせる。

    本作は彼ら2人の友情物語に加え、マーロウの恋愛にも言及されている。本作でマーロウは初めて女性に惑わされる。今までどんな美女がベッドに誘っても断固として受け入れなかったマーロウが、思い惑うのだ。
    恐らくマーロウも齢を取り、孤独を感じるようになったのだろう。そして本作では後に妻となるリンダ・ローリングも登場する。

    本書を読むと更に増してハードボイルドというのが雰囲気の文学だというのが解る。論理よりも情感に訴える人々の生き様が頭よりも心に響いてくる。
    酒に関するマーロウの独白もあり、人生における様々なことがここでは述べられている。読む年齢でまた本書から受取る感慨も様々だろう。

    そう、私は本書を読んでギムレットをバーで飲んでやると決意した。しかもバーテンダーがシェイカーで目の前でシェイクしたヤツを。そしてそれを果たした。期待のギムレットは意外に甘かった。多分この本に書かれていたドライなヤツではなく、揶揄されている方のヤツだったのだろう。ただギムレットはチャンドラーのせいで、あまりにもハードボイルドを気取った飲物のように受け取られがちだったので、それ以来飲んでいない。

    そんな影響を与えたこの作品の評価は実は5ツ星ではない。全然足りないのだ、星の数が。
    ×2をして10個星を与えたいくらいだ。
    ミステリと期待して読むよりも、文学として読むことを期待する。そうすれば必ず何かが、貴方のマーロウが心に刻まれるはずだ。

  • 「サヨナラを言うのは少しだけ死ぬことだ」

    世界的名作のハードボイルドミステリー、レイモンド・チャンドラーの「The Long Goodbye」

    偏屈で厭味ったらしくも確固たる自分を持った私立探偵フィリップ・マーロウがとある縁で知り合ったテリーレノックス。
    前半部分でのこの二人の奇妙な友人関係は変わっていてもどこか憧れる魅力がある。
    馴れ合いや依存ではない、ただ夜にバーでギムレットを飲むだけの友人。そんな友人テリーが何か事件に関わった様子でマーロウの元へ現れる。テリーを国外に逃す手伝いをマーロウは引受るが、テリーは逃亡先で自殺してしまう。

    自殺で片付けられた事件だったが、違う事件に関わるうちにマーロウはテリーの死の真相に近づく。

    テリーの死の真相に近づくにつれ、様々な人がマーロウの周りに現れ、その人々と関わる偏屈なマーロウの魅力は言葉では言い表せない。


    そして、事件の真相にたどり着いた時がこの作品の最大の見せ場。トリックだとかの驚きではなく、謎が明かされると同時に広がる全体を包む寂寥感が素晴らしい。

    この作品はミステリーを読む人もそうでない人も是非一度読んでもらいたい。

  • ハードボイルド小説の金字塔的作品。初読は30年以上前ですが、何年か毎に定期的に読んでいる私の愛読書。男の友情の全てがここにあります。

  • 翻訳本の中では、わたしの最も好きな本。

    レイモンドチャンドラーの魅力は、その個性的な登場人物と味わい深い会話。どのページから開いても独特な空気感を味わうことができ、何度読んでも飽きません。
    村上春樹訳も清水俊二訳好きですが、装丁は古くからある清水さんの方が好きです。
    物語終盤の「ギムレットには早すぎるね」が決め台詞。

    あいにくとギムレットの味がよくはわかりませんが、まあ、とりあえずやられちゃいますね。

  • 再読。60年以上前の翻訳なので、使われている日本語が古くて分かりにくいところもあるが、雰囲気がたまらなくよい。

  • チャンドラーの小説は初体験でした。
    登場人物が多いので、多少、混乱しましたが、文章自体は、それほど難しくなく読みやすかったです。
    とはいえ、文章における表現の大人っぽさは充分に感じられる、これがハードボイルドなのだなぁ、と改めて実感させられました。

    ハードボイルドとはいえ、ミステリーとしても本格派で、予想外のラストに驚かされました。
    マーロウとテリー・レノックスの短いながらも、結びつきの強い友情に胸が打たれました。

  • 言い回しがひねくれていて行間が読めない。
    それとも、惑わすために言っているだけで、意味なんてないのか?
    外国の文章が苦手な私には難しかった。
    こういう場合は挫折するものだが、なぜか読みきってしまった。

    マーロウは、ローリング夫人のことは忘れてしまっても、テリーのことは忘れないだろうと思う。

  • 自分が小説にハマった原点は、
    高校時代に読み漁った
    アガサ・クリスティーと
    レイモンド・チャンドラー。
    (初めて小説を読んだのは赤川次郎だけど笑)


    特にチャンドラーの
    ハードボイルドな世界観は、
    甘っちょろい16歳のガキだった自分には
    かなり衝撃的でした。


    それまで男というものの価値は、
    力がすべてで、

    力を誇示し
    強いものがカッコいいって
    単純に思ってたけど、

    『男は強くなければ生きていけない。
    優しくなければ、
    生きていく資格がない』

    に代表される、

    本当は
    堪えることがカッコいいという、
    日本の武士道にも通づる
    「痩せ我慢の美学」を教わったし、

    強さや優しさの
    本当の意味に気付き、

    自分の横っ面を
    思い切りシバかれた感じでした(^_^;)


    当時の悪い先輩や(笑)
    バンド仲間や
    好きなロックバンドたちが、
    こぞって
    チャンドラーを支持していた理由も
    読めば読むほど分かったんです。


    だから
    我慢の美学という点で言えば、
    寅さんの『男はつらいよ』シリーズや、

    悪漢の陰謀に
    堪えに堪えて、
    引っ張って引っ張って
    最後に読者を涙させる漫画
    『ワンピース』や、

    痛みや喪失感に堪え抜く主人公を描いた
    村上春樹の小説なんかも
    実はれっきとした
    ハードボイルドなんですよね☆



    で、チャンドラーの作品の中で
    一冊を挙げろと言われれば、
    やはりコレ。


    現代の騎士・
    私立探偵フィリップ・マーロウは、
    今作品でも
    殴られて
    痛めつけられても、
    テリー・レノックスとの友情のため、
    仁義のために
    堪えに堪え抜きます。


    ダンデイズムあふれる世界観と
    詩的でストイックな文体、

    散りばめられた
    宝石のような名言の数々。


    エモーショナルに胸を打つ
    ドラマチックなストーリーと
    ラストのどんでん返し。



    10代、20代、30代と
    10年ごとに
    何度となく読み返してきたけど、
    やはり一生付き合える逸品だと改めて感心したし、

    上質なワインのように
    時が経てば経つほどに
    より芳醇な味わいに気付く、
    ハードボイルド小説史上に
    燦然と輝く金字塔です。


    カッコいい男が知りたければ
    読むべし!

  • 本というものには読むタイミングが存在すると思う。
    同じ本でも、読む人間に合う年齢、季節がそれぞれの読者で違う気がしている。
    「長いお別れ」は、自宅にあったのでずっと昔に読んだことは確かだけど、全く内容を覚えていなかったので再読した。きっと以前に読んだ時はただ字を追っていただけで中身が入ってきていなかったのだと思う。読むタイミングが合っていなかったんだろうなぁ。
    ほかの方の感想を読んでも、歳を重ねて読んだらよく読めたと書いている方が多くいるようだった。

    今回再読して改めて、なんて渋くて面白い話なんだ…と思った。
    マーロウの男っぷりといい、脇キャラも個性的で良い。ハンサムでお洒落でどことなく危険なハウスボーイ・キャンディが気に入った。
    時代背景もあるが、ザ・男社会!酒!煙草!金持ちの美女!ギャング!闇医者!のテンプレートのようで令和だったら大問題の描写が多数。それでもめちゃくちゃスマートで洒落ているのは、訳のセンスもあるのだろうか。
    ちょうど真夏に読んだのもとても良かった。
    あと、お酒の描写がみんな美味しそうだった。
    まさに冷たくて強い酒みたいな小説。
    じりじり照りつける暑い日に、よく冷えたお酒と共に読むのが合いそう。

  • 何かを隠すということは本当に難しいものだと思った。人を殺したこと、殺した人を知っていること、自分が殺したのではないこと、自殺したこと、自殺しなかったこと、すべてが苦労に苦労を重ねられて隠されようとしていたが、どこかしらから誰かしらに見つかっている。
    だが、単に悪いことはできないねという話ではなかったと思う。まず、何か「悪い」ことなのかがはっきりしないと思う。イギリスで会ったことか、結婚したことか、行方不明になったことか、忘れられなかったことか、金を持っていることか、道徳がわからないことか、首を突っ込んだことか、首を突っ込まなかったことか、いったい何が誰が悪い「から」こうなったのだろうと考えてみて、結局は社会が悪いからだとしてしまえば済むようには思うが、「社会」ではそれぞれがそれぞれの考えで生きているのだから、つまりは「長いお別れ」をすることになってしまったのは仕方がなかったことだ、どうしようもなかったのだとしか結論づけられないことになってしまうように思う。
    しかし、本当にどうしようもなかったのかと考えてみると、いやほかの方法はあったのではないかとか、一言あれば違ったのではなど、他人目線でなら思えはする。
    社会の中で、すべてを正直にして生きることはできないはずである。名前を言わないでおくとか、気持ちをごまかすとかはぐらかすとか、その時の一瞬のうちに当たり前に行なっていることである。なら、「ほかの方法」も「一言」も、あったかもしれないがなかったのがその時の「正解」であり、そうでなければまた別の何かが起こっていたかもしれない。
    「金にならないこと」を考えてばかりで、そのおかげで隠された何かに気づく主人公マーロウも、こういうことを考えたりもしたのではないかと思っている。

  • 村上春樹訳
    長編ミステリー読んだの初めてだけど楽しめました。
    エピローグ難しかったけど読み応えあって私みたいにただただ読んでた身としては、なかなか言語化できないこの作品の魅力を伝えていた。
    そして、フィリップマーロウが最高に魅力的なので他のシリーズも読んでみたいと思った。
    ミステリーとして楽しむのはもちろんだけど、人間関係とか当時のアメリカの空気感、ジャンルの枠を超えて評価されるべき作品だとかんじた
    あと、個人的に寝る時にみる夢で作品をみるとかなり没頭してると捉えてるんだけど、今回はそれでした。夢にでてきました。こういうオールドアメリカの世界観に弱い

  • ボリューミーな物語とマーロウの格好良さ全開の一冊だった。
    あの名言の元ネタが本書とは…
    自分の無知が恥ずかしいと思った。
    春樹さんが翻訳した版も読んでみたいな~♪

  • 村上訳と比べたくて読んだが勿論こちらも素敵だった。わかったのはムラカミさんのが春樹節ではまったく無かったこと。
    でも何もかもわかった上で別の訳者さんの本を読むのはなかなか時間がかかりました。

    おふたりの訳本を読み比べても長いお別れはマーロウのカッコ良さが溢れまくりで、最後は本当に長いお別れで終わる切なさよ。

    情景もまざまざと浮かぶし、古い作品だけど今の時代に読んでも少しも色褪せてない。とても面白い本でした。

  • 清水訳にしてよかったと思います、言い回しは年代もあってか古く小難しいですが慣れたらそれすら味があります…。粋な台詞や皮肉がずっしり効いていて素晴らしいです。マーロウの乾いた面とたまに滲む色気のバランスが素敵でした。何より私はロジャーがどうしようもなく愛しく感じてしまいました。それゆえにもう歯痒く悔しく切ない。その彼の家での出来事を読んでいる時、西加奈子さんの窓の魚を読んだ時に感じた歪みとどことなく似たものを感じました。これぞハードボイルドな重厚さがあるのですぐまた読みたいとはなりませんが、すこし忘れた頃にでも手に取りたいくらい好きです。

  • 何度も咀嚼して読むことで味が出そうな小説。ただストーリーを追うだけで読み進めた自分には途中間延びしたところがあったりでテンポが悪く感じる。
    物語のキーマンであるテリーとの友情が唐突な気がしたり、何故にリンダローリングと寝ることになるのか、その夫である医師は曲者だけど話の筋にはほぼ関わらないひとだったりと納得出来ないところがあるが再読で納得できるのかも。
    タイトルはテリーとのお別れがしばらく経ってもう一度訪れるから、と解釈していいのかな。であれば最後まで読まないと合点できないタイトルで好きです。

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著者プロフィール

Raymond Chandler
1888年シカゴ生まれの小説家・脚本家。
12歳で英国に渡り帰化。24歳で米国に戻る。作品は多彩なスラングが特徴の一つであるが、彼自身はアメリカン・イングリッシュを外国語のように学んだ、スラングなどを作品に使う場合慎重に吟味なければならなかった、と語っている。なお、米国籍に戻ったのは本作『ザ・ロング・グッドバイ』を発表した後のこと。
1933年にパルプ・マガジン『ブラック・マスク』に「脅迫者は撃たない」を寄稿して作家デビュー。1939年には長編『大いなる眠り』を発表し、私立探偵フィリップ・マーロウを生み出す。翌年には『さらば愛しき女よ』、1942年に『高い窓』、1943年に『湖中の女』、1949年に『かわいい女』、そして、1953年に『ザ・ロング・グッドバイ』を発表する。1958 年刊行の『プレイバック』を含め、長編は全て日本で翻訳されている。1959年、死去。

「2024年 『プレイバック』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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