プレイバック (ハヤカワミステリ文庫)

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  • 早川書房 (1977年8月17日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784150704537

感想・レビュー・書評

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  • レイモンド・チャンドラー『プレイバック』 (創元推理文庫)清水俊二訳から2024年、表紙も新たにアメリカの画家エドワード・ホッパー作品、田口俊樹訳で出版されている。残念ながら読んだのは1977年発行本になる。因みに『ロング・グッドバイ』は 2010年の村上春樹訳で読んでいるのだが...印象が薄く覚えが悪い。1976年には『長いお別れ』で清水俊二訳、更に2022年にホッパー表紙の 田口俊樹訳で発行、機会があれば読み比べをしてみたい。

    『プレイバック』の私立探偵フィリップ・マーロウは相変わらず格好いい。薄汚れたコロンボ刑事やフケまみれの金田一耕助とは違い、いちいち立ち振る舞いが格好いいのだ。決め台詞は「タフでなければ生きていけない。優しくなければ生きている資格がない」人生で言ってみたい言葉NO.1~だがしかし、チャンドラー最後の作品『プレイバック』はなんやかんやで評価が分かれる作品らしい。

  • 人生やり直しも楽しみ(プレイバック)
    街の権力者は法でも金と権力で何とでもなると思い上がる。だが、違った街での自由気ままな発言と行動は許されない。よく政治社会に居る「思い上がり」は権力を振り翳し、街ぐるみで自分の思った通りに動かすが、現実に「長いものには巻かれろ」の如く、言われるままの地位を持った輩でさえも多いのは寂しい限りだ。真実は虚意の世の中に潜んでいる、と言うことだ。
    「優しくなれ、さすれば生きていると言う証が見つかる」そんなミステリー小説。

  • ミステリで最も印象的な文章は何?と訊かれた時に、真っ先に思いついたのはこの台詞、

    「しっかりしていなかったら、生きていられない。やさしくなれなかったら、生きている価値がない」

    だった。フィリップ・マーロウの代名詞とも云えるこの台詞が出てくるのはチャンドラー最後の長編である本作なのだ。

    マーロウは馴染みのない弁護士からある女性の尾行を頼まれる。弁護士が指示した駅に行くと確かにそこには女がいた。その女は男と会話したり、コーヒーを飲んだり、暇を潰していたが、やがて動き出した。付いた場所はサンディエゴのホテル。マーロウは彼女の部屋の隣に部屋を取り、盗聴する。やがて駅で話していた男が現れ、その女性ベティに無心する。マーロウはベティの部屋に入ってその男を殴るが、逆にベティに殴られてしまう。
    その後ホテルを移ったと思われたベティがマーロウの部屋に現れ、無心をした男ミッチェルが移転先のホテルで死体になっているという。しかしマーロウが行ってみると死体はなかった。

    長編の中でも一番短い本書はあまり事件も入り組んでいなくて理解しやすい。登場するキャラクターも立っているので十分満足できる。
    ただシリーズの最後を飾る作品としては物足りなさ過ぎる。
    逆に本作がマーロウシリーズの入門書としてもいいかもしれない。

    この頃のチャンドラーはもう精神的にも肉体的にもボロボロだったらしい。『長いお別れ』を発表してからの5年間は愛妻の死、イギリス政府と泥仕合をすることになった国籍問題、そしてそれらが心を蝕んだ故にアルコールに溺れ、治療のための入院など、まさに人生としての終焉を迎えているかのようだ。そんな中で書いたのが本作。だからなんとなくマーロウも“らしくない”。そして本作発表の1年後、チャンドラーは没する。

    そしてこの題名。これは全く内容と関係ない。“バック”と付いていることから前向きではなく、後ろ向きであることがうかがえる。これはもしかしたら既に自分の作家としての能力に限界を感じたチャンドラーが昔の全盛期をもう一度と望んだ心の叫びなのかもしれない。
    舞台がロスでないなど、マーロウにこだわる読者の中では色々と不満があるようだが、個人的にはやはりあの台詞に出逢えた事がうれしく、十分満足できた。

  • チャンドラーの遺作にしてマーロウ最後の作品。事件が終わった後にパリの女からプロポーズされるのが、プレイバックというより蛇足かも(笑)

  • かの名言が非常に映える、
    静かに展開する大人の本。
    この作品はマーロウの周りにかなりの
    女が出入りし、そのうち何人かとは
    …な関係にまでなる、かなり色香漂う本です。

    でもそれでいてムッツリでないところが
    作家そのものの技量なんですね。
    非常にいい感じでした。

    決して派手な謎解き等、出てきません。
    でも読ませてくれるのです。

  • http://blog.livedoor.jp/axis_anri/archives/1339668.html
    「あなたのようにしっかりした男がどうしてそんなに優しくなれるの?」
    「男はタフでなければ生きていけない。やさしくなければ生きていく資格がない」
    ちなみに、うちの母親はチャンドラーの日本語訳された文体がよほど嫌いらしく、会うたびに文句をつけてくるので少々鬱陶しい。
    煙草を巻くだけの描写に何行も使うところが気にくわないそうな。
    私はそこがいいのでは?と思っているので、適当に流してきた。これまでに100回以上。
    別にいいじゃありませんかね。

  • 「レイモンド・チャンドラー」の長篇ミステリー作品『プレイバック(原題:Playback)』を読みました。

    『チャンドラー短編全集3 待っている』、『さらば愛しき女よ』に続き「レイモンド・チャンドラー」作品です。

    -----story-------------
    女の尾行を依頼された「マーロウ」は、ロサンジェルス駅に着いた列車の中にその女の姿を見つけた。
    だが、駅構内で派手な服装の男と言葉を交すや女の態度は一変した。
    明らかに女は脅迫されているらしい。
    男は影のように女について回った… そして二人を追う「マーロウ」を待つ一つの死とは?

    正統派ハードボイルドの伝統を築いた「レイモンド・チャンドラー」が、名作『長いお別れ』ののち、4年の沈黙を破って発表した問題の遺作。
    -----------------------

    「レイモンド・チャンドラー」の私立探偵「フィリップ・マーロウ」を主人公とする長編シリーズ全7作品のうちの最終作品(1958年発表)… 「レイモンド・チャンドラー」にとって遺作となった作品で、これまでのシリーズとは異なる「マーロウ」の行動等があって、謎を秘めた作品とも呼ばれているようです、、、

    また、作中で「マーロウ」が語る、

    「しっかりしていなかったら、生きていられない。
     やさしくなれなかったら、生きている資格がない」

    "If I wasn't hard, I wouldn't be alive.
     If I couldn't ever be gentle, I wouldn't deserve to be alive."

    という印象的な科白が有名な作品でもありますね。


    「マーロウ」は弁護士「クラウド・アムニー」からの依頼を受け、ユニオン駅で特急から降りた女「エレナー・キング」を尾行する… 彼女は駅で男と話した後、海辺の町エスメラルダへ行きホテルに宿泊した、、、

    それを追ってホテルの隣室に泊まった「マーロウ」は、「エレナー」とユニオン駅で話していた男「ラリー・ミッチェル」の会話を盗み聞きし、「エレナー」が「ラリー」に恐喝されていることを知る… その後、「エレナー」は別なホテルに移るが、「マーロウ」は、別な私立探偵「ロス・ゴーブル」から尾行されたり、ヤクザ者「リチャード・ハヴェスト」に襲われたり、雇い主の「アムニー」と交渉したり、「アムニー」の秘書「ヘレン・ヴァーミリア」との関係を深めたりしつつ、「エレナー」との接触を試み、徐々に「エレナー」に近付いて行く。

    そして、ある夜、「エレナー」が「マーロウ」の部屋を訪れ、彼女の部屋のベランダに「ミッチェル」の射殺死体があると言って助けを求める… しかし、「マーロウ」が部屋を訪ねてみると「ミッチェル」の死体は消えていた、、、

    翌朝、ホテル側に確認すると、「ミッチェル」は夜中のうちに荷物をまとめて出発したという… しかし、「ミッチェル」の車に荷物を積みこんだと証言する車庫の夜警「セフィリノ・チャング」が死体となって発見されたことから、「マーロウ」は警察に事情を話し、協力体勢を取ることを決断する。

    そして「ミッチェル」の車が無人の砂漠で発見される… その頃、エスメラルダの警察署に、「エレナー」の舅で「キンゾルヴィング」と名乗る老人が現れ、「エレナー」と結婚していた息子が「エレナー」に殺されたとして起訴していたことが判明、、、

    無罪になったものの「エレナー」は、その土地を逃げ出し、どこか遠い土地で名前を変え、新しい人生を歩もうと西海岸へ逃げてきたのだった… 「マーロウ」は老人を追い返すとともに、「ミッチェル」が消えた謎を解き、真相を明らかにする。

    レストラン経営者「クラーク・ブランドン」が「エレナー」を愛してしまい、彼女を守るためにミッチェルを殺して運び出し、砂漠に車だけ残して、死体をヘリで運んで海に捨てた… というのが真相でしたが、「マーロウ」は「エレナー」の幸せのため、「ブランドン」の犯行に見逃し、エスメラルダを後にする、、、

    ロサンジェルスに戻った「マーロウ」に『長いお別れ』(未読ですが…)で登場した金持ちの未亡人「リンダ・ローリング」がパリから国際電話をかけてくる… 彼女の誘いを受け、「マーロウ」はパリへ飛ぶことにする というハッピーエンドっぽいエピソードで本作は締めくくられます。


    「レイモンド・チャンドラー」の遺作となった作品なので、これはこれで良かったのかな… という感じですが、、、

    古くからのファンには、ちょっと納得いかない展開とエンディングのようですね。



    以下、主な登場人物です。

    「フィリップ・マーロウ」
     私立探偵

    「クラウド・アムニー」
     弁護士

    「ヘレン・ヴァーミリア」
     アムニーの秘書

    「ベティ・メイフィールド(エレナー・キング)」
     謎の婦人

    「ヘンリー・キンゾルヴィング」
     メイフィールドの義父

    「クラーク・ブランドン」
     <ランチョ・デスカンサド>の経営者

    「ジャック」
     <ランチョ・デスカンサド>のフロント係

    「ルシル」
     <ランチョ・デスカンサド>の交換手

    「ラリー・ミッチェル」
     ブランドンの友人。恐喝屋

    「ロス・ゴーブル」
     カンサス・シティの私立探偵

    「ジョー・ハームズ」
     タクシーの運転手

    「ジャヴォーネン」
     <西風荘>の探偵兼副支配人

    「セフィリノ・チャング」
     <西風荘>の車庫の夜警

    「ヘンリー・クラレンドン」
     <西風荘>に滞在している老人

    「マーゴ・ウェスト」
     <西風荘>に滞在している婦人

    「リチャード・ハヴェスト」
     やくざ者

    「アレッサンドロ」
     エスメラルダ警察の部長

  • If I wasn't hard, I wouldn't be alive.If I couldn't ever be gentle, I wouldn't deserve to be alive.


    誰からも何も求めないかたくなな気持ち

    娘はこの本を「葉っぱの絵本」と呼んで、筆ペンでたくさんの絵を描いて、そして私の膝の上に乗って、「読んで」って何度も言ってくれました。

  • 私立探偵フィリップ・マーロウの七作目。

    違和感。
    マーロウはこんな男だったのか?

    尾行した女について行った街だからなのか。
    突然のヘリコプターの登場も、
    最後のプロポーズも違和感しかない。

    あの、有名なセリフを確認できたのは良かった。

  • フィリップマーロウという探偵が主人公のシリーズですが、普通の探偵小説とは趣が違っているこのシリーズ中でも、特に不思議な雰囲気漂う内容でした。小説内に出てくる話題も、脱線が激しく(それはそれで魅力的なのですが)、まるで話の主題はどうでも良いことのように、それ以外のいわば外野が、魅力たっぷりに勝手に主張している、そんな感覚で読ませていただきました。
    全体的に暗い雰囲気が漂っています。主人公が謎を解決していくのですが、それが気力を削いでいくような気にさせられます。なんというか、嫌な予感というものが当たっていく、それも次々に、そういう感覚でした。しばらく余韻が残りますし、しばらく読み返す気がしませんが、あと何年かしたら再度読んでみたい、その時はどう感じるだろうか。

  • 弟が名言が気になって読んだけど、面白さがまるでわからなかったっていうから、私も読んだ。私もわからなかった。
    最近読んだカズオイシグロの『充たされざる者』くらいわからなかった。

  • とらえどころのないストーリー、挿入される思わせ振りな意味のないシーン、読み終わった瞬間は怒りに似た感情すら覚えたが、これがチャンドラーの中でも異作であるとの解説を読んで納得。文章は好きでも嫌いでもなかった。

  • 続けて、また会えたね、マーロウ君!

    今回の作品は、チャンドラーさんが、「長いお別れ」ののち、
    四年半の沈黙を破って発表であり、且つ遺作でもある。

    ストーリーは、
    早朝高飛車な弁護士の電話でたたき起こされたマーロウ君、
    その電話で、ある特急電車から降りてくる女を尾行し、
    落着き先がわかったら報告する、と言う依頼を受ける。

    見付けたその女は駅構内のカフェで男と話しているが、
    どうやら脅迫されているようで…

    こちらはファンの間でも謎の多い作品と言われているとのことで、
    実際のストーリーとは関係なさそうなエピソードが
    長々と挿入されていたり、ラストである意外な人からの…
    と言うところで、みんな「へー」と考えちゃうんだな。
    あと、謎解きに関してもわりと肩透かしと言う雰囲気。

    あと今回のマーロウ君は
    女関係でちょっと感心しなかったなあ。
    それも、「へ?今?」なんてところでなんだかねえ。

    まあ、マーロウ君が上手なことはわかったよ。
    でも俺なんかはそこら辺のエピソード、
    今回ばかりは軽めに白けたけどね。
    なんだか女が煩く喋りすぎて興ざめなんだなあ。
    でも、まあ、マーロウ君だから、許してあげよ。

    今回特にマーロウ君のやせ我慢と、軸がぶれない感じは
    強めに印象に残った。

    あ~ぁ、そんなこんなで
    マーロウ君長編は全部読了しちゃったなあ~、
    せっせせっせと読んじゃってもったいなかった!
    とは言え、面白いんだもの、仕方ないよね…

    なんて思って、自分のレビュー見直していたら、
    「リトル・シスター」のレビュー、書きもらしてることに
    気付いたよ。あれれ?

    じゃ、清水さんの「かわいい女」で読み直すかな。

    あと、田中小実昌さんの翻訳バージョンも面白いらしいので
    そちらも探してみようっと。

  • マーロウが落ち着ける安息の場所へと導くために、チャンドラーはこの本を書いた気がする。途中で本筋のストーリーとは関係ない人々が出て来て、寄り道のような会話のやり取りがあった。でもこの本の訳者の清水さんもその意図がいまいち把握できてなかったような感じが多分あって、翻訳にその?がにじみ出てしまってた。結果読み手としての自分も?マークだった。何かの信念が必要なんだよと言ってる気もしたのだが…。
    村上春樹の翻訳で是非読んで見たいなぁ。着実に翻訳作品を増やしてるからでるかもね。

  • レイモンド・チャンドラーの長篇作品のラストを飾る作品

    マーロウのあの有名な台詞も出てくる

    内容は、相変わらずダラダラ続く展開に間延び間を感じてしまうが、一貫してハードボイルドな雰囲気をかもし続けている

    ラストに、まさかの人物も出てくる

    マーロウの決断はいかに

  • チャンドラーの小説は筋よりも文体、なんだけど、これはちょっとミステリとしては厳しい?あとマーロウ、好きな女がいるくせに他の女たちと寝すぎです。ところで「タフじゃなければ生きていられない、優しくなければ生きている資格がない」って有名なセリフ、この作品だったのね。

  • チャンドラーの遺作。あの名セリフがマーロウのセリフだったとは…今作のマーロウは手が早くて今までとちょっと違うけど、やっぱりカッコいいです!

  • これは名作。素直に面白い。

  • 『長いお別れ』に比べて、マーロウが色々な人に対して同情的(この言葉がぴったりとは思えないが)なように感じられた。
    だが、やはり相変わらず「この人が現実にいたらいいのに」と思わされる。

  • 相変わらずマーロウはダンディですが、
    ほかの作品よりも疲れていて孤独で自棄になっているような気がします。

    ストーリーの核になる事件も、
    気の毒な人たちが引き起こした気の毒な事件で、
    その下らないかんじが、いっそうくたびれさせているみたい。

    「しつかりしていなかつたら、生きていられない。
    やさしくなれなかつたら、生きている資格がない」

    マーロウにだって、
    幸福になる権利はあるとおもうので、
    この終わり方、わたしは好感がもてます。

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著者プロフィール

Raymond Chandler
1888年シカゴ生まれの小説家・脚本家。
12歳で英国に渡り帰化。24歳で米国に戻る。作品は多彩なスラングが特徴の一つであるが、彼自身はアメリカン・イングリッシュを外国語のように学んだ、スラングなどを作品に使う場合慎重に吟味なければならなかった、と語っている。なお、米国籍に戻ったのは本作『ザ・ロング・グッドバイ』を発表した後のこと。
1933年にパルプ・マガジン『ブラック・マスク』に「脅迫者は撃たない」を寄稿して作家デビュー。1939年には長編『大いなる眠り』を発表し、私立探偵フィリップ・マーロウを生み出す。翌年には『さらば愛しき女よ』、1942年に『高い窓』、1943年に『湖中の女』、1949年に『かわいい女』、そして、1953年に『ザ・ロング・グッドバイ』を発表する。1958 年刊行の『プレイバック』を含め、長編は全て日本で翻訳されている。1959年、死去。

「2026年 『ザ・リトル・シスター』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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