キラー・イン・ザ・レイン (ハヤカワ・ミステリ文庫 チ 1-7 チャンドラー短篇全集 1)

  • 早川書房
3.29
  • (3)
  • (10)
  • (16)
  • (4)
  • (1)
本棚登録 : 187
感想 : 18
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (537ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150704575

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 第10回福岡翻訳ミステリー読書会の課題本。

    ハードボイルドは普段読まないとはいえ、チャンドラーという作家には前々から興味があったので、わくわくしながら読み始める。
    が、すぐに暗礁に乗りあがったような気持ちになって、どうしよー、と頭を抱えた。わからないのだ。文章を目で追っても、頭に入ってこない。誰が誰だか見分けがつかないし、その人物たちの行動もうまく把握できない。最後で事件の真相が明かされても、それまでの展開が理解できていないので「??」という有様。
    これはマイッタ、と思った。

    と、そんなこんなで、一体どうやって読書会に出ればいいのだろう、と思っていたのだけど、いざ出席してみると、似たような感想を抱いている方がたくさんいらっしゃったようで、とても安心してしまった(笑)。
    以下は、読書会で私が印象に残った意見(うろ覚えですが)。

    *どれも展開が似たり寄ったり、最後は打ち合いで終わる
    *チャンドラーじゃなかったら、この本を読むのは厳しかったと思う
    *でも、ちょっとした動作やキャラクターの描写に、力強い、印象的なものがある
    *この短編集一冊だけでも、チャンドラーがめきめき成長しているのがわかる
    *やはりチャンドラーは長編の作家?
    *発表当時の時代背景(ダシール・ハメットの影響など)や、発表媒体等を考えると、まぁ仕方がないのかな、と思う部分も多々  e.t.c.

    ともかく、チャンドラーに入門するなら、短編よりもフィリップ・マーロウものの長編から入った方がよい、ということのようだ。
    他にもいろいろな意見が出て、たくさんの「なるほど」を感じることができ、とても楽しい読書会だった(ほんのちょっとを曖昧にしか覚えておらずスミマセン)。

    読書は個人的な趣味であるかもしれないが、「読み」は一人のものだけではない。「私」以外の読みを聞くことで、本の新たな広がりと楽しみを感じることが、読書会の楽しみの一つだと思う。
    そういう意味では、自分が「読めない」本ほど読書会では得るものが大きいなぁ、ともしみじみ思った。

  • 味わい深いのは「スペインの血」でしょうか?
    親友ドネガン・マールを殺されたスペイン人の刑事デラグエラ。事件の真相を探り始めるが、次々と殺人が起きて…。
    マールを撃ったのはマールの妻のベル。しかし、マールは妻を庇って、捜査を撹乱してから死んだ。デラグエラは友人の想いを受けて、刑事ではありながら、事件の真相を闇に隠した。
    まさにチャンドラーの魅力がつまった短編です。

    「バッジを返してもらった。もう前ほどきれいじゃなくなった。ほかの連中のバッジもこんなものだろうが、これ以上汚したくないんだ」

  • 2年ぶりくらいのチャンドラー。たぶん買ってから2年くらい経ってやっと強引に読み終えた。装飾が多い文章、込み入った登場人物、とても読むのに苦労した。最近はクリスティをずっと読んでたから? 長編は全部おもしろく読んだんだけどなあ。短編ならではのあっとおどろく逆転の展開は無い。どれもマーロウの原型のような探偵が出てきて、賭博場などが舞台で、殺しがあり、殺人者を挙げる。1時間ものの刑事ドラマのよう。

    「ゆすり屋は撃たない」1933発表

    「スマートアレック・キル」1934発表

    「フィンガー・マン」1934発表
     オフィスに「フィリップ・マーロウ」の名前がある。

    「キラー・イン・ザ・レイン」1935発表
     「大いなる眠り」の原型となった。麻薬びたりの娘はここではマーロウの雇い主がその子が幼い時に一人でいるところをさらってきて、大きくなった今では結婚したいと思っている、という設定になっている。

    「ネヴァダ・ガス」1935発表

    「スペインの血」1935発表

    2020.4.13読了

  • チャンドラーおもしろー!
    アメリカンでキザな台詞に笑ってしまう。チャンドラーをもっと読みたくなった。

    短編だから軽く読むのに良い。
    ゆすり屋は撃たない・スマートアレックキル・スペインの血が面白かった。

  • ハードボイルドはあまり好きなジャンルというわけではないが、有名作家ということで読み始めた。6つの短編が収録されていて、1話目の「ゆすり屋は撃たない」は登場人物や状況の説明が少なく筋があまりわからなかった。2話目以降からだんだん筋もつかめて面白くなりはじめた。表題作の「キラー・イン・ザ・レイン」が一番面白かった。全体を通した印象は、登場人物がよく銃を撃ちあい、よく死ぬ。

  • 「ゆすり屋は撃たない」小鷹信光訳
    「スマートアレック・キル」三川基好訳
    「フィンガー・マン」田口俊樹訳
    「キラー・イン・ザ・レイン」村上博基訳
    「ネヴァダ・ガス」真崎義博訳
    「スペインの血」佐藤耕士訳
    エッセイ「チャンドラーは世紀を超える」原尞

  • その話によって、出てくる主人公の探偵の能力が違います。個性も違って、そういうところに、ミステリ短篇集としての幅の広さがでているような気がします。チャンドラーはそこまで考えていないだろうけれど。

  • 読了日不明

  • まだまだハメットの影響が強く、チャンドラーらしさが希薄であまり楽しめなかった。作者のファンとして、この評価で。

  • チャンドラーに駄作なし。

全18件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

Raymond Chandler
1888年シカゴ生まれの小説家・脚本家。
12歳で英国に渡り帰化。24歳で米国に戻る。作品は多彩なスラングが特徴の一つであるが、彼自身はアメリカン・イングリッシュを外国語のように学んだ、スラングなどを作品に使う場合慎重に吟味なければならなかった、と語っている。なお、米国籍に戻ったのは本作『ザ・ロング・グッドバイ』を発表した後のこと。
1933年にパルプ・マガジン『ブラック・マスク』に「脅迫者は撃たない」を寄稿して作家デビュー。1939年には長編『大いなる眠り』を発表し、私立探偵フィリップ・マーロウを生み出す。翌年には『さらば愛しき女よ』、1942年に『高い窓』、1943年に『湖中の女』、1949年に『かわいい女』、そして、1953年に『ザ・ロング・グッドバイ』を発表する。1958 年刊行の『プレイバック』を含め、長編は全て日本で翻訳されている。1959年、死去。

「2024年 『プレイバック』 で使われていた紹介文から引用しています。」

レイモンド・チャンドラーの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×