- Amazon.co.jp ・本 (477ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150704629
感想・レビュー・書評
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登場人物たちの交わす皮肉たっぷりの会話についていくのが大変。でも、海外小説を読む醍醐味はこういうことなのかもしれない。
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16年12月20日
良かった。長いお別れと大いなる眠りと比べても1番好きかもしれない。
『さよなら、愛しき人』というタイトルがナヨってると言われることもあるが、読んでみた感じだと、訳文の雰囲気もあるんだろうが、こっちのタイトルの方が本編最後らへんのナイーブな感じが出てて好き。
まぁ、ハードボイルドっぽくは無いけど…
最後に向けての盛り上がりは相変わらずで、クソカッコイイの一言に尽きる。
「男であるというものは時としてきついものだ」とかね。
ボタンの掛け違えのような事件の真相も、なんというか心に訴えかけてくるものがあり、良かった。 -
レイモンド・チャンドラーが1940年に発表した第2作目の長編。
原作は、長く清水俊二訳の『さらば愛しき女よ』(1956年刊行)で親しまれてきたが、本作品は2009年に村上春樹が新訳で発表(単行本。2011年に文庫化)したものである。(邦題は清水訳が優れていると思うが)
本作品が発表後70年を経ても新たな支持を失わないのは、ストーリーの展開の妙よりも、主人公フィリップ・マーロウの、クールで、ウィットに富んでいて、少しシニカルな語りと、見かけによらないタフガイ振りに魅せられる読者が多いからなのであろう。
ロングセラー・シリーズ物においては、たいてい魅力ある主人公が登場するものだが、チャンドラーが作ったマーロウはその代表と言えるだろう。
あるホテルに聞き込みに行ったマーロウが、情報を得るために切り出す場面~「好きな方を選んでくれ・・・聖書を一章読んであげてもいいし、酒をいっぱいおごってもいい。どっちがいいね?」
事件を解決した後、アン・リオーダン嬢がマーロウに語る場面~「あなたって大したものよね・・・どこまでも勇敢で、強情で、ほんの僅かな報酬のために身を粉にして働く。みんながよってたかってあなたの頭をぶちのめし、首を絞め、顎に一発食らわせ、身体を麻薬漬けにする。それでもあなたはボールを離すことなく前に前にと敵陣を攻め立て、最後には相手が根負けしてしまう。どうしてそんなことができるのかしら」
村上春樹をして、「チャンドラーの小説のある人生と、チャンドラーの小説のない人生とでは、確実にいろんなものごとが変わってくるはずだ。そう思いませんか?」と言わしめる、チャンドラーの代表作である。
(2013年5月了) -
チャンドラー長編7作目最後はこれ。いやあ、よかった。ロンググッドバイには及ばないけど、他の作品よりもストーリーも入り組んでいないし、それぞれのシーンごとマーロウの動きや言動がとっても印象的でかっこよくて入り込んでしまう。ヘラ鹿マロイや霊媒師アムスリー、ギャングのブルーネットをはじめ出てくるキャラクターも皆個性的だし、個人的にアンがとっても可愛げがあって好きなんだけど、マーロウは違うみたいだね。「男であることというのは、時々とてもきついことがある」と酒を片手につぶやいてみたいね。
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シリーズで読んだのは2作目。主人公のフィリップ・マーロウは、金字塔のような「ロング・グッドバイ」中ではどこまでもタフでクールな感じであったのに比べて、今回はどこか隙のありそうな、迷いもありそうな、それもあって人間味があって好きになれそうな感じだった。
主人公のマーロウが酒場で刑務所から出所したばかりの大男と出会い、その男が殺人を犯すところから物語は始まるのだけど、初めから終わりまで全体的に物語が変化に富んでいて飽きることなく読めた。
マーロウがいよいよ客船に乗り込む前夜、ホテルの部屋に一人で物思いに耽るシーンなんかは、物語全体の盛り上がりを静かに感じることができて好きだなぁ。 -
アムサーに会いに行った場面の短い文章による章だて、切替。緊張感を持ちながら、結末に向けて急激にスピードアップし、深くなっていく流れ。
フィリップ・マーロウの相変わらず、タフでわざわざ話をややこしくする物言い。
訳者も言っているが、主人公とその周りの登場人物達の際立つキャラクターに読んでいて楽しくて仕方ないという感覚だった。 -
これこそ!
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”タフガイ”の私立探偵がフィリップ・マーロウが活躍する
チャンドラーの小説シリーズ。
推理モノ、として楽しむよりは、
ハリウッド界隈の上流階級のスキャンダルを覗き見たり、
警察内部の人間模様を垣間見たり。
そういったいろんな人間の生き様を見ながら、
主人公マーロウをはじめ、
小洒落た台詞の押収を楽しむ、そんな小説な気がします。
基本的には、いろんな人間の横顔や裏側をだんだん解き明かす、
そんな話が好きな人にお勧めかなぁ。 -
マーロウのなんだか気障ったらしい台詞回しは、訳者である村上春樹の小説の登場人物に通じるところがあるように思った。
ハードボイルド=やせ我慢、と思ってしまうのは僕だけか?