- 早川書房 (2016年9月8日発売)
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感想 : 37件
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Amazon.co.jp ・本 (416ページ) / ISBN・EAN: 9784150704650
作品紹介・あらすじ
私立探偵フィリップ・マーロウは資産家の老女に呼び出された。行方をくらませた義理の娘リンダを探してほしいとの依頼だ。極めて貴重な金貨を娘が持ち逃げしたと老女は信じているのだが……。マーロウは調査を始めるが、その行く手に待ち受けていたのは、脅迫と嘘、そして死体。シリーズ中期の傑作。待望の新訳
みんなの感想まとめ
探偵マーロウが義理の娘を探す依頼から始まる物語は、金銭的な欲望や人間関係の複雑さが絡み合ったミステリーです。事件の背後には腐敗した家族や隠された真実が潜んでおり、特にミセス・マードックの不可解さが印象...
感想・レビュー・書評
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希少金貨ブラッシャー・ダブルーン(どれほどの価値か私は知らない)の盗難から始まった今回の事件には、お金の絡む裏も裏の裏もありました。ハードボイルド感は薄めです。タイトルの「高い窓」の意味が最後の方でやっとわかったのですが、ミセス・マードックという人の不可解さが印象に残りました。
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▼なんとなく
<フィリップ・マーロウをイチから再読して、続けて原りょう作品をイチから再読しよう計画>進行中。マーロウ長編第3作。高い窓。
▼いつも通り金持ちの腐敗した家族関係。そして前作「さらば愛しき人よ」にも通じる、しょーもない奥さん。それに心を支配された娘。高い窓から、セクハラ上司を突き落とした記憶。その弱みを握る男。強請。徐々に明らかになる、過去からの隠された真実・・・。
▼これまでの3作の中では、「第2作」「第3作」は普通にミステリとして面白かったか・・・。いや、第3作がいちばんそういう意味ではかっちりしていたような気もします。ただたしかに、辻褄を超えた、よくわからない<マーロウ節>みたいな響きはやや薄かったかも。でも満足です。ということはつまり、語り口そのものでかなり満足してしまっているのだろうな、と思いました。 -
『大いなる眠り』に続き、村上訳チャンドラー五作目。内容はわりかし入り組んでて、ひとことで説明するのは難しい…。
原書もこんな感じなんだろうか——というのも、村上氏の作品(ま、これも翻訳しているとはいえ村上作品と言えなくもないが…)を読んでる如し…なので。訳し方を通常の村上作品に寄せているのか、はたまた原書もこんな風なのか…気になるところ。
何作かチャンドラー作品を読んできて感じるのは、物語を楽しむというか"マーロウ"の仕草、言動を楽しむ作品だということだ。そのために事件他、すべての物事が存在するのだ。これは彼自身の作品にも通づることだと思う。ひとつひとつの比喩表現を愉しむことに——。星三つ半。
まあ、ひとことで言うのなら…ワインの香りを愉しむような作品だった——。 -
全体に地味ではあるが、複雑すぎないプロットで読みどころがわかりやすい点、マードック夫人やマールなど印象的な登場人物が多い点がシリーズでも出色。樋口有介『夏の口紅』はこの作品の影響を受けているのではないかと勘繰っているのだがどうだろう。
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今回はアクションがなかったが、それはそれで落ち着いて緊張感のあるマーロウ作品だった。事件の真相も今まで読んだ作品の中で一番整理されていたように思う。そして相変わらず、ハードボイルドな言葉がかっこいい。
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楽しく拝読させていただきました。
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2度も映画化されているという名作。ミステリとしての完成度も高かったです。ただし、ミステリ好きとしてこの作品を見て読んでいるわけではないので、そこまで謎解きやプロットが面白いわけではなく。
マーロウが出ている、それだけで話や文章が魅力的になります。
マール・デイヴィス嬢に対する騎士道的な扱いには涙が出るくらい。あまりにもロマンチックすぎる優しさですね。 -
3作目を読み終わった。そしてやっと気付いた。
マーロウは、ただお酒を飲んで殴られているだけじゃなくて、ちゃんと事件の真相に辿り着くし、ヒロインを傷付けることはない。
探偵ものだから、やっぱり殺人は起こるのだけれど、登場人物が魅力的だから、とても面白く読める(屑も出てくるけど)
そして、やっぱり皮肉っぽいところが、村上春樹訳にぴったりだなぁと思う。 -
前二作に比べて地味だが、ミステリー要素が強く、暴力描写もないので、落ち着いた雰囲気が新鮮。脇役に至るまで登場人物のキャラクターが濃いので、彼らと対峙するマーロウの駆け引きも殊更ウィットに富んでいる。相変わらず緻密な描写が積まれているが、人物も情景も自ずと立体的になり、一度味わうとこの文体から逃れられない。終盤は所謂ご都合主義的展開だが、収まるべく所にきちんと収束する。とある文芸評論家の方が『ハードボイルドは男性用のハーレクインロマンス』と評したようで、マーロウの振る舞いに痺れる私的には言い得て妙な気も…。
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2019.10.19〜2019.11.23
そこまで印象に残らなかった。 -
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この手の文学的要素が強い小説は読み進めるのがきつい時もあると思ってるけど、今回はミステリーとしても面白かった。
いつも通り、ハードボイルドな渋いフィリップ・マーロウも楽しめる。
資産家の老女エリザベス・マードックから義娘リンダを探す依頼を受けたマーロウだったが、マードック家には秘密があった…
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70
「我々が芝生を横切って近づいていくと、女は気怠そうにこちらに目を向けた。十メートル手前から見ると、とびっきりの一級品に見えた。三メートル手前から見ると、彼女は十メートル手前から眺めるべくこしらえられていることがわかった」
155
「いや、その通りだ。私はショックを受けていてね。頭が少しうわついているんだ。コーヒーをもらおう。ろくに味のしないやつを。それから紙のように薄いハムと、黴臭くなりかけたパンで作ったサンドイッチを。いや、食べるのもまだ無理かもな。それでは」
397
「その家が視界から消えていくのを見ながら、私は不思議な気持ちを抱くことになった。どう言えばいいのだろう。私を詩をひとつ書き上げ、とても出来の良い詩だったのだが、それをなくしてしまい、思い出そうとしてもまるで思い出せない時のような気持ちだった」 -
あいかわらず、最高にエンターテイメントとして面白い小説でした。他にも美点はありますが、まずそう言いたいです。主人公の魅力を十分に楽しむことができました。個人的に買って読むぞという時に、ワクワク感の伴う数少ない作家です。訳をされている村上春樹さんもそれが分かった訳し方をしていただいていると思います。
他のチャンドラーの小説と少し違って、筋や人物背景がきちんと描かれています。それを吹き飛ばす勢いが減じているのがありますが、主人公マーロウの魅力が損なわれるわけではなく、随所でその行動に魅了されました。そして全体的に謎がすっきりと解決されています。それは人によって違うのでしょうけど、私は良かったと思います。
探偵の仕事は、アニメなどで多数あるような、謎を一つの糸口にして明快に解決されるものではなく。この小説の主人公のように、泥臭い中で、一部の直感から導き出され、その結果は中途半端に煮え切らないものであるというものであること。それも他にない小説かなと思っています。 -
清水俊二訳を読んで以来の再読。何年振りか。
私立探偵フィリップ・マーロウは資産家の老女に呼び出された。行方をくらませた義理の娘リンダを探してほしいとの依頼だ。極めて貴重な金貨をリンダが持ち逃げしたと老女は固く信じているのだが…。老女の息子や秘書の振る舞いからは、なにやら裏がありそうな気配が窺える。マーロウは調査を始めるが、その行く手に待ち受けていたのは、脅迫と嘘、そして死体―二度の映画化を果たしたシリーズ中期の傑作。待望の新訳。
とは言え、映画は二作とも観ることが困難なようです。素人から見ても「これは」という場面もありました(あとがきで指摘あり)が、全体的にはまずまずでした。 -
私立探偵フィリップ・マーロウは傲慢な金持ちの老女・マードックから依頼を受ける。義理の娘・リンダを探してほしい。貴重な金貨をリンダが持ち去ったともいう。老女の秘書や息子の言動に不信を抱くマーロウ。調査を進めると行く手にいくつかの嘘と脅しと死体が。
・・というわけで、数年ぶりに村上春樹訳で再読。でも文体がチャンドラーというよりやはり村上春樹。ホントに「やれやれ」とマーロウが言うのか。いや、だからダメというわけではない(清水訳も過去に読んだけど、こちらはドライブ感があって文章のリズムがいい)。両方を読み比べるとまた違った味があっておもしろい。
ネタバレになるので詳しく書かないが、印象深いことを二つだけ。チャンドラーの小説でいつも唸るのが、人物造形の豊かさとタイトルの命名センスである。
例えば。マーロウが「この屋敷で頭がいかれてないのは、君くらいのものだな」と言って、マードック邸にある黒人少年像の頭をぱたぱた叩くところが好きだ(翻訳者自身もあとがきで書いている)。新米探偵フィリップスがマーロウに尾行を見破られ、「腕が良くないんだな」とため息をついて嘆くシーンなんかは、愚鈍さと純情を表しているようで可哀想に思う。ティーガー歯科技師のオフィスに忍び込むためビルのエレベーター案内の老人との会話も面白い。老人が目線でパス・キーの在り処をマーロウに示し「さてと、用を足してくるか」と言って立ち去るシーンなどは思わずニヤリとする。モーニーの高級ナイトクラブで大物映画監督に罵倒されたバーデンダーがマーロウに絡むシーンも映像のように目に浮かぶ。
こういう脇役たちの人物造形の上手さと機微はチャンドラー小説の特徴だし魅力のひとつだろう。
で、これが一番思うことだが、チャンドラーほどタイトルのつけ方が上手い作家はいない(自分で付けてたらの話だけど)。
名作「長いお別れ」や「さよなら、愛しい人」は言うに及ばず、どの作品もタイトルの命名が秀逸だと思う。物語の本質を一言で表してそれをタイトルにする。読者が読み終えた後、表紙を見て「お!そういうことか」と膝を打たせる。このコピーセンスは見事だ。
今作もそういうこと。つまり「高い窓」なのだ。そう。高い窓がある家の住人はろくな者じゃない。 -
村上春樹によるレイモンド・チャンドラー翻訳シリーズの第5弾。過去4作品も全て読んでいるが、やはり私立探偵フィリップ・マーロウのシニカルな語りと緊張感溢れる推理の構築の仕方は面白いし、村上春樹自身がチャンドラーから強い影響を受けていることもあり、翻訳された文章のリズムの綺麗さは言うまでもない。
本作はマーロウシリーズの中では確かにミステリーとしてのプロットの正確さが強く意識されており、「高い窓」というタイトルが意味するところが次第に見えてくる様子にはワクワクさせられる。
あとがきによると、チャンドラーの長編で村上春樹が未翻訳のものはあと2本残っているという。残り2本についても楽しみに待ちたい。 -
前2作に比べると地味。
文章の面白さもあまり感じられなかった。
ただ、散らかったこの話どうなるんだと引き込ませる。
最後、断片が繋がっていくのが気持ち良い。
探偵小説としてよくできてると思った。
マーロウの決着の付け方が好き。
特徴的なキャラクターたち、エレベーターの老人なんかも印象に残る。
じんわり好きな作品だ。
読み終えてもタイトルに違和感があり、金貨に関するものの方が良いと思ったが、もともとはそうだったらしい。納得がいった。 -
チャンドラーの乙な文体がたまらない。
お話としては刮目すべき大きな唸りはない。
ハードボイルドだからこその優しさを発見できた気がした。 -
チャンドラー作品の読破2作目。
希少な硬貨の行方を巡るところから、次々と事件が発生。
翻訳が村上さんということもあいまって、とても文体が生き生きとしていた。 -
メモ
他の作品とは違ったヒロイン?が印象的。(他の作品も含め、そもそもヒロインというくくりでいいのかは謎。)
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著者プロフィール
レイモンド・チャンドラーの作品
