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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784150704667
作品紹介・あらすじ
「こちらはクライド・アムニー、弁護士だ」午前六時半。一本の電話が私立探偵フィリップ・マーロウを眠りから覚まさせる。列車で到着するはずの女を尾行せよとの依頼。弁護士の高圧的な口調に苛立ちながらも、マーロウは駅まで出向く。しかし女には不審な男がぴったりとまとわりつき……。シリーズ最終作の新訳版
感想・レビュー・書評
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19冊目『プレイバック』(レイモンド・チャンドラー 著、村上春樹 訳、2018年9月、早川書房)
私立探偵フィリップ・マーロウを主人公とする長編小説としては7作目であり、チャンドラーの遺作でもある。村上春樹が翻訳するマーロウシリーズとしてはこれが6作目。
「優しくなければ…」のセリフで有名な作品ではあるが、内容そのものの評価は芳しくないらしい。
なぜそこで?と首を傾げたくなるベッドシーンがあるのだが、その理由は翻訳者のあとがきを読む事で理解する事が出来た。
〈優しくなれないようなら、生きるに値しない〉詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
▼(本文より)
常識というのは、決して計算間違いなぞしない、グレーの背広を着たちっぽけな男だ。しかしその男が計算しているのは常に他人の金だ。
▼(本文より)
この街の売りのひとつは、ここで働いている人間にはここに住むような経済的余裕はないということです。
▼フィリップ・マーロウ長編を発表順に再読しよう計画の最終章。第1作「大いなる眠り」は作者49歳くらい。最後の「プレイバック」は作者69歳くらい。マーロウの年齢は言及されずにあまり老けていない印象ですが、小説そのものは、より練られて、より枯れてきて、そしてややタガが緩んでいる印象。それはそれで滋味深いのですが、やはり「ロング・グッドバイ」が他をよせつけない強靭さと分厚さとオモシロさであることは確かですね。 -
チャンドラー作品六作目。あの有名な台詞はこちらに収録されていました。終始なにが起きているのかわからず…(中・終盤あたりでわかってくるので安心してくださいw)。しかし、独特な描写で読者を離さないチャンドラーはさすがだなと。訳もマッチしててとても好きだ。
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「優しい心を持たずに生きのびてはいけない。優しくなれないようなら、生きるに値しない」あの有名なセリフの村上春樹訳である。「プレイバック」の小説そのものよりもこのセリフの方が有名である。
「タフでなければ生きていけない。優しくなければ生きていく資格がない」という有名な訳は生島治郎によるもののようだ。
田口俊樹訳だと「タフじゃなければここまで
生きてはこられなかった。」になる。
こんな話だ。朝の6時半、マーロウは知らない弁護士からの電話で起こされる。列車で到着する若い女性を尾行してくれという依頼だった。マーロウは駅へ行き、女性を見つけ尾行するが、彼女の周りにはおかしな男たちがまとわりつき…。前半は事件らしい事件は起こらない。依頼してきた弁護士は何者か?この女性は?彼女にまとわりつく男たちは?何が起きているのか、わからないことだらけである。
途中で死体が出てくるがすぐ消えてしまい、今ひとつ盛り上がらない。最後にはすべてが明らかになるのだが、依頼主になるベティーにマーロウは言う。「私が求めているのは金なんかじゃない。自分がいったい何をしているのか、なぜそんなことをしなくちゃならないのか、それが知りたいだけだ」なんだこの理屈。何がしたいんだ?
この作品では事件は派手には起きない。その点では地味だ。そして何よりいつものマーロウと違う点は、簡単に女性に言い寄られ、簡単に一緒に寝てしまう点だ。これまでのマーロウは悪漢から女性を守るなどの流れがあって女性から何か言われてもさらりと断るのだ。しかしこの話では女性は脈絡なくマーロウに惚れて、マーロウも今までの我慢の反動のように女性を受け入れる。あまりオススメしたくないマーロウである。
翻訳では創元推理文庫の田口俊樹版も良いと言われるが、ハヤカワ文庫の村上春樹版が読みやすいのは確か。どうぞフィリップ・マーロウが崩れ始めるチャンドラー晩年の長編小説を愉しみましょう。
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ほとんど何も起きない。
マーロウがテンポよく喋り続けるだけ。
駄作とは思わないけれど、個人的にはどうなんだろうと思ってしまう。
ヒロインもラスボスもピリッとしないし。 -
ある程度は理解できた。
これが私にとってのチャンドラー長編の最後の一作。
最後に出てきたリンダ・ローリングがわからなかったが、あとがきで、長いお別れに出てきた登場人物だと書いてあった。
全く覚えていない。 -
タフでなければ生きていけない。優しくなければ生きていく資格がない。という言葉を目指して、大いなる眠りから読み始めて、やっとプレイバックを読了しました。
チャンドラーに出会えて、フィリップ・マーロウに出会えて良かったです!
タフに優しく生きていきます! -
『これほど厳しい心を持った人が、どうしてこれほど優しくなれるのかしら?』、彼女は感心したように尋ねた。
『厳しい心を持たずに生きのびてはいけない、優しくなれないようなら、生きるに値しない』
これを読みたかったから、読書をしていたのかもしれないな。 -
特に印象に残った箇所は以下の通り
・「どこの誰かは知らないが、そういう台詞を思いつくには、うんと苦労したことだろう」と私は言った。「しかし苦労には才能の代理はつとまらない」(p.129)
・失敗の可能性なきところに成功はあり得ないし、凡庸なるものの抵抗なくして芸術はあり得ない(p.219〜220)
・「厳しい心を持たずには生きのびていけない。優しくなれないようなら、生きるには値しない」(p.293) -
マーロウ最後の一作。もうこれでマーロウに会えないかとおむと寂しい。リンダが出てくるのが少し驚きである。
村上春樹が7作の翻訳をやっている。改めて、なぜ彼がチャンドラーが好きなのか考えてみた。彼はバイオレンスも銃も私立探偵も好きとは思えないし、ハリウッドの金持ちライフにも興味はないと思う。でもエッセンスで共通点はある。主人公の男は、自分のルールを持ち、他人の価値観や世間体や慣習には関係なく、あくまでも自分のルールに従ってとことん行動する。ここは共通。あとは一つ一つの文章が簡潔で短い。でも主人公の話し方は少しひねくれていて、回りくどいしきどっているし余計な比喩や修飾語がやたらと多い。ここらへんは共通である。
その意味でハードボイルド小説のエッセンスが、自分のルールを第一に、他人の迷惑など顧みずに予定調和も無視しして突き進み、結局誰も幸せにはならないということにあるとすれば自分もその解釈に同感である。 -
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文学ラジオ空飛び猫たち第29回紹介本。 「ロング・グッドバイ」の続編、「プレイバック」を取り上げました。 今作には有名なセリフが登場します。 「強くなければ生きていけない、優しくなければ生きてる資格はない」 このセリフも訳者によって訳し方は様々。ラジオでは清水俊二訳と村上春樹訳の違いを話しています。表現が違うと印象も変わってくるのがおもしろいです。 ラジオはこちらから→https://anchor.fm/lajv6cf1ikg/episodes/29-epnjs1
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私が知らないだけでフィリップ・マーロウの有名な台詞が登場する作品。
内容はミステリー要素ありつつどうも煮え切らず、登場人物のマーロウを除く全員が好き勝手にやってる感じでまとまりがない。
尾行する対象の女性の過去ももう少し深掘りしてほしいところだし、追う側の背景ももっと描写があってもよかった。
この回もマーロウがただただ振り回されて、それでも何とかハンドルを握ってマーロウの道に戻してる感じだった。
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プレイバックがあまり好評ではなかったとの事で別作品の期待度があがった。
次はロンググッドバイ読んでみよう -
2021/01/20
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「プレイバック」(レイモンド・チャンドラー :村上春樹 訳)を読んだ。
やはり清水俊二版で育った世代なので、村上春樹版の例のセリフはちと堅苦しい感じがしてまだ馴染めずにいる。
この作品はさ、矜持こそ失ってはいないもののかなりお疲れ気味のマーロウがいてちょっと違和感があるよ。
やれやれ。 -
"タフでなければ生きていけない。優しくなければ生きている資格がない"というセリフが有名な作品。ややプロットが強引で納得しかねる部分とかあるんだけど、全般ハードボイルドなカッコいい感じ
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私立探偵フィリップ・マーロウの物語も遺作となった今作を以て一旦その幕をを閉じる。死体消失トリックのおざなり感に加え、女性たちと脈絡なく一夜を共にするマーロウは過去作で築き上げたストイックな人物造形が揺らぐ程に通俗的。それを『今回も(良くも悪くも)“らしい"作品だな』と受け入れられる私も随分とチャンドラー節にこなれてきたようだ。ロマンスを成就させたマーロウが次作(遺稿を別作家が加筆)にて如何なる変化を遂げるのか興味はあるが、私はここで読み納め。波乱万丈な作家の生涯に作品を通して触れる事が出来たのも感慨深い。
著者プロフィール
レイモンド・チャンドラーの作品
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