幻の女〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

制作 : 黒原 敏行 
  • 早川書房
3.88
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本棚登録 : 384
レビュー : 51
  • Amazon.co.jp ・本 (407ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150705541

作品紹介・あらすじ

けんか別れした妻が殺された。そのとき、夫は街で出会った奇妙な帽子の女と過ごしていた。唯一の証人は彼女だけ……今はどこに?

感想・レビュー・書評

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  • “夜は若く、彼も若かったが、夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった。”
    さすがの名訳ですね。冒頭からすぐさま物語に引き込まれます。そして、新訳がとても読みやすくてぐいぐい引っ張っていってもらいました。
    一言でいえば、面白い!
    《江戸川乱歩が絶賛した大どんでん返し!》との帯の文句に、うわぁ、江戸川乱歩とおんなじ小説読んじゃったよぉ!と、勝手に親近感。本を読むということは時代や国を超えていろんな人々と繋がることが出来るんだよねと、改めて実感。
    でも、ほんと、この大どんでん返しには唸りました。犯人もだけど、その犯人に対しての最後の追い詰めかたがね、そうきたか!って。ラストまで全力疾走です。息がきれてます 笑
    私の頭の中では、奥さんを殺したと死刑判決を受けた絶体絶命のヘンダースンを助けるために、捨て身の行動を起こす恋人のキャロルが主役となって走り回っていました。健気で勇敢で、最後まで彼のことを信じて行動した彼女があってこその事件解決だったと思うんです。ほんと、もう彼女を大切にしなきゃ罰当たりますよ、ヘンダースンさん!

  • 海外ミステリーの超有名作「幻の女」は絶対に読むべき作品です。
    恥ずかしいながらこの作品は知っていたものの、今まで読んでいなかったことに後悔しています。
    かなり古い作品ではありますが、かなり面白いです!
    この作品の最大の魅力はズバリ謎です!
    殺害容疑をかけられた主人公のアリバイを唯一証明してくれる「幻の女」を探し出す物語となっています。そこから明らかになる真実にあなたは必ず騙されること間違いないです!
    また、サスペンスとしての色もかなり強いと思われます。
    とにかく先が気になって手が止まりませんでした。
    読んだ方には分かると思いますが、作中に出てくるある人物がかっこよすぎです(笑)
    最近新訳版も出ていて凄く読みやすくなっています。
    まだ未読の方はぜひご覧になって下さい!

  • 「夜は若く、彼も若かったが、夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった。」――という印象的な冒頭から始まる1942年刊行の名作サスペンス改訂版です。
    一夜にして最愛の人を失い、無実の罪を問われた主人公スコット。自分の無実を証明するため昨晩ともに過ごした“かなり個性的な帽子をかぶりこなした”女性を探そうとしますが、スコットの足跡を辿ると不思議なことに例の女性の痕跡が見当たりません。酒場の亭主も、タクシーの運転手も、誰一人彼女を「知らない」と言い、「スコットは一人だった」と証言します。

    読み手も、どこまでが真実でどこまでが虚構なのか混乱することに。
    「幻の女」の行方や関係者の不審死、そしてスコットの死刑執行日へのカウントダウン……謎が謎を呼ぶ焦燥感溢れる展開に一気読みでした。終始古き良き時代のフィルム映画を観ているような描写も印象的です。
    真相部分は賛否分かれそうですが、結末に至るまで読み応え十分だったので満足です。

    ==============
    ・“The night was young, and so was he. But the night was sweet, and he was sour.”

  • 「ミステリーの詩人」と言われる感じが
    随所に見られる。

    捻りのこの感じを、ディーヴァーより何年も前に
    やっていたのもすごい。
    同様に幻の女を追うことになる
    「償いは、今」よりも
    「空気感の描写の美しさ」と「展開のツイスト」の二つの良さが際立つ。
    名作と言われる理由だと思う。

  • 「夜は若く、彼も若かったが、夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった。ーー有名な冒頭の一文で始まる名作サスペンス。新訳版でも冒頭の名句はそのままでした。

    妻と喧嘩し家を飛び出した男は、パンプキンのような風変わりな帽子を被った見ず知らずの女とバーで出会う。気晴らしに彼女と食事をし、ショーを観て、酒を飲んで家に帰った彼を待っていたのは妻の遺体と刑事たちだった。彼のアリバイを証明できるのはたった一人、帽子の女だけだったが、その夜いったバー、レストラン、劇場のどこでも彼と一緒にいた女は目撃されていなかった・・・

    死刑執行150日前の章からカウントダウンしていくタイムリミット・サスペンスは章が進むごとに緊張感が高まっていく。やっと「幻の女」に繋がる手掛かりを掴んだと思った端から手からするりとこぼれ落ちるように、重要な証言者が死体となって発見される恐怖ともどかしさ。

    「第21章 死刑執行日」「第22章 死刑執行時」を読むころにはドキドキは最高潮。そして江戸川乱歩も絶賛したという驚きのラスト。
    1942年に刊行されたにもかかわらず、今読んでも決して古びることなく面白い。さすが、ミステリーの古典と呼ばれるだけのことはあります。

  • なんて格調高くて面白いんだ。今まで読んでなくてごめんなさい。

  • 1942年発行、最初の邦訳は1955年という、古典的なミステリの新訳。
    著者は、コーネル・ウールリッチ、ジョージ・ハプリィの別名義も持ち、本作以外に『黒衣の花嫁』、『死者との結婚』などでも知られる。映像化された作品も多い。

    男がいらいらしながら夜の街を足早に行く。不仲の妻を宥めようと外出に誘ったが、こっぴどくはねつけられたのだ。腹立ち紛れに入ったバーで、派手な帽子の女と隣り合わせる。男はふと思い立ち、その日、妻といくはずだったショーに女を誘う。一夜限り。下心はなし。互いの連絡先も名前も聞かない。ただ食事をして、ショーを見て、グラスを傾け、「おやすみなさい」と別れよう。妻への当てつけと憂さ晴らしのつもりだった。女は承諾する。それなりに楽しい時間を過ごし、帰宅してみると、妻は殺されており、彼は容疑者だった。
    彼の無実を証明できるのは、あの女だけ。しかし、その行方は杳として知れなかった。

    出だしがなかなかの名文である。訳者あとがきに原文が引かれている。
    The night was young, and so was he. But the night was sweet, and he was sour.

    新訳ということで、あとがきには歴代の訳を紹介する解説が記載されている。
    まだ宵のうち、これからデートを楽しもうとする街の華やぎの中を、男は苦虫を噛みつぶしたように刺々しく歩く。冒頭で読者を作品世界にぎゅっと引き込む巧みな描写である。
    冒頭に限らず、情景描写、心理描写に気が利いている印象深い箇所が多い。帽子ばかりが目を引くが、容貌は取り立てて取り柄のない女。伝票に記された番号、「13」。エキゾチックでエキセントリックな歌手。

    絶望的な状況に陥った男だが、刑事も男が真犯人なのか疑いを持ち始めていた。
    けれど、このままだと男は死刑に処される。カウントダウンが進む中、男の恋人と友人が捜査に協力する。
    「幻の女」はどこだ。しかし、女に手が届きそうになると、するりと手がかりは逃げ去っていく。このあたりの展開も計算されスリリングで、終盤に向かってサスペンスが増していく。
    手詰まりかと見せておいて、最後に意外な結末が待つ。

    難を言えば、個々の描写は小粋だが、性格描写が今ひとつに感じる。容疑者の男には妻以外の恋人がいる。妻の機嫌を取って、離婚話を進めようとしていたのがその夜の計画だったのだ。ここで、妻が非常に邪悪であるとか、男が妻と結婚してしまうどうしようもない理由があったとか、それなりの「よんどころのない事情」が絡むならばともかく、そういうわけでもない。恋人はただ美しくて優しい女性で、彼はただ真実の愛が妻との間にはないことを悟ったのだ、といわれても、今ひとつ、男やその恋人に肩入れはできない。個人的にはそのあたりが少し「薄い」感じがした。

    ともあれ、全般にはらはらさせられるページターナーとは言えるだろう。
    余韻を残す「幻の女」も印象深い。

  • 不朽の名作と名高い作品のようだけど、
    存在を知ったのは恥ずかしながらつい最近で
    新訳版が出たということで手にとってみた。

    読んでみると、さすがの名作で引きこまれて
    すぐに読んでしまった。

    1942年の作品ということだけど、
    今まで自分が読んできたり見てきた
    いろんな小説や映画の中に
    本作のエッセンスを感じ取ることができた。
    そのくらいいろんなところに影響を及ぼしている
    名作だということに今更気がついた。

  • 翻訳ミステリー小説の名訳と言われる『夜は若く、彼も若かったが、夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった。』で始まる、これを読まずして・・・という超有名なこの小説。これが1942年作ってことがミステリーや。
    結末のかなり強引な感じは否めないが、まあ、何といいますか、映画ですよ、映画、これは映画ですやん。(映画化されてますね。1943年)
    個人的には翻訳小説は表現が面倒臭くて苦手ですが、やはり名作と言われる物は今読んでも楽しめるのも事実。
    ネタバレしますと、この幻の女とは・・・・・
    おっと、誰か来たようだ。

  • こういうのを傑作という。
    最初の一文はほんま名訳、日本語って元来綺麗なもんやと再認識。

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