幻の女〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

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  • 早川書房 (2015年12月18日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (416ページ) / ISBN・EAN: 9784150705541

作品紹介・あらすじ

妻と喧嘩し、街をさまよっていた男は、奇妙な帽子をかぶった見ず知らずの女に出会う。彼はその女を誘って食事をし、ショーを観てから別れた。帰宅後、男を待っていたのは、絞殺された妻の死体と刑事たちだった! 唯一の目撃者〝幻の女″はいったいどこに? 新訳で贈るサスペンスの不朽の名作。解説/池上冬樹

みんなの感想まとめ

緊迫感あふれるタイムリミットサスペンスが展開される本作は、妻と喧嘩した男が街で出会った不思議な女性との出来事が引き金となり、予想外の展開へと進んでいきます。彼が帰宅すると、妻の絞殺死体が待ち受けており...

感想・レビュー・書評

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  • 「夜は若く、彼も若かったが、夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった。」

    冒頭のお洒落な一文から一気に物語へ引き込まれた。

    妻と喧嘩した男は、街で出会った謎めいた女と過ごして帰宅する。そこで待っていたのは、変わり果てた妻の姿だった…。

    誰も自分のことを信じてくれない。
    彼の唯一の目撃者である女は幻だったのか?
    真相が気になって夢中でページをめくった。

    章立てが「死刑施行日の○○日前」となっているので、執行日が迫るたびに自分まで焦ってくる。
    ネタバレを見ずに読めて本当に良かったと思える作品だった。
    事件の面白さだけでなく、劇場へ向かう夜の街など、海外作品ならではの都会的な雰囲気にも惹かれた。

    この作品をきっかけに海外ミステリーの魅力を知り、ここから私の本棚は海外ミステリーだらけになっていった。

  • 皆さんのレビューから読みたくて。有名な書き出し含めて詩的な表現と戦争間近の時代感が時限サスペンスと融合して独特の雰囲気。アリバイ証明でターゲットの人物に向かう捜査がやり過ぎ感あるが面白くてぐいぐい引き込まれた。読めてよかった。

  • 「夜は若く、彼も若かったが、夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった・・」
    ・・という、ポエミー且つオシャンティ(死語(^^;)な書き出しで有名なクラシックの名作を今更ながら読んでみる事に。

    妻と喧嘩し、家を飛び出したスコットは、とあるバーで“パンプキン”のような帽子をかぶった女に出会います。
    彼はその女性を誘って食事をし、ショーを観てから別れますが、帰宅すると妻が絞殺されていて、スコットはその場にいた警官に殺害容疑で拘束されてしまい・・。

    こ、これは・・読む手が止まらんヤツ!

    スコットのアリバイを証明できる“パンプキン帽子の女(以後、幻の女)”がどこの誰だかわからないどころか、街で聞き込みをしても皆口を揃えて“その女を見ていない”と言う始末。
    あれよあれよという間に有罪判決を受けて、死刑執行までのカウントダウンが始まってしまうという、スコットからすれば悪い夢を見ているとしか思えない状況ですよね。
    で、勾留されているスコットの代わりに、彼の友人のロンバードと、恋人(てか愛人)のキャロルが“幻の女”を捜し出すべく奔走するのですが、これがまぁ見つからないし、話を聞いた関係者達が、悉く不審死をしてしまうんですよ。
    そんなこんなでスコットの死刑執行日が刻一刻と迫ってきて・・と、この緊迫感が堪りません!
    そして、終盤での怒涛の展開とまさかのどんでん返し的な真相に“な、何だと・・!”となった次第です。
    ということで、上質なタイムリミットサスペンスを堪能させて頂きました。

    ところで、私は序盤からずーっと気になっていた事がありまして、“ま・・真相解明時にこの件も明かされるのかな・・”と、とりあえずそのモヤモヤを脇によけて読んでいたのですが・・結局、解明されず!(;´Д`)。
    それで、その気になる事というのは、
    「スコットの妻の死体の第一発見者&警察に通報したのは誰なのか」
    って事です。
    あの・・これ、書かれていませんでしたよね?え?私が見落としてる?・・と何度か確認するもやはり見つからず(;'∀')
    うーむ、私の「幻の通報者」は何処に~?!

    • ゆのまるさん
      わー!あやごぜさんが『幻の女』を読まれてる!!

      私は本屋さんでジャケ買いしたのですが(描かれた女性のオレンジの色合いがなんとも素敵です)、...
      わー!あやごぜさんが『幻の女』を読まれてる!!

      私は本屋さんでジャケ買いしたのですが(描かれた女性のオレンジの色合いがなんとも素敵です)、刻一刻と近づくタイムリミットに同じく読む手が止まりませんでした……!
      全体的に洒脱な雰囲気だし、どんでん返しにも脱帽。個人的に今年ベストな一冊です☆

      そして……あやごぜさんがモヤモヤしていた点。
      私は完全に見落としていましたが、ちょっと調べてみたらやはりその点は記載がないようで。。
      完全に”幻”になってしまった通報者ですね( ˊᵕˋ ;)
      2025/09/23
    • あやごぜさん
      ゆのまるさん コメントありがとうございます♪

      『幻の女』めっちゃ面白かったです(^^)
      ゆのまるさんが「今年ベストな一冊」と仰る...
      ゆのまるさん コメントありがとうございます♪

      『幻の女』めっちゃ面白かったです(^^)
      ゆのまるさんが「今年ベストな一冊」と仰るのも納得の、これぞタイムリミットサスペンスの名作って感じですね!

      ところで、通報者の件、やっぱり記載ないですよね~。
      まるで「水ダウ」の“人がいるシリーズ”ばりに、いきなり警察がおったんで「そもそも、あんた達は誰に呼ばれて来たん?」と、それが気になっちゃいまして_(^^;)ゞ
      まさに「ま ぼ ろ し~」ですね~(;´∀`)
      2025/09/23
  • ミステリーの古典でどんでん返しの結末、それだけでも興味津々ですが、 J・ディーヴァーのリンカーン・ライムシリーズの面白さを知った私が本作を手にするのはもはや必然だったように思います。

    エドガー・アラン・ポーのモルグ街の殺人から始まった推理小説の歴史。

    本作も不朽の名作であることは読めばわかります。

    主人公は株式ブローカーのスコット(職業は本作では全く重要ではありません)。

    妻となんとか離婚をしようとしていたスコット、それまでとは手法を変え食事と劇場に妻を誘う。

    直前になって行かないと言い出す妻と激しい言い合いの末に家を飛び出したスコットは何気に立ち寄ったバーで不思議な帽子をかぶった女性と出会い、妻と訪れるはずだった食事と劇場にその女性を誘う。

    出会ったバーで再度酒を飲み、何事もなく女性と別れ、家に帰り着くと警官が。

    スコットが外出している間に妻が絞殺されており、スコットは殺人容疑で勾留されてしまう。

    妻の死亡時刻にはバーにいたと言うスコット。

    彼がその時間にバーにいたことが証明できればスコットの無実は証明される。

    しかし、バー、レストラン、タクシー、劇場の関係者はスコットは1人だったと証言し、彼は電気椅子による死刑を宣告される。

    スコットに残された時間はわずか。

    彼の無実を証明できる唯一の存在、"幻の女“はどこに消えたのか?

    スコットは"幻の女“探しを親友であるジョンに依頼する。

    友の為、ジョンは"幻の女“を探し始め、手がかりを掴むごとに情報源となった人々が次々に不審な死をとげます。

    スコットが処刑されるまさに当日、ジョンはついに"幻の女“に辿り着く。

    ジョンと時を同じく、スコットの無実を証明しようと走り回っていたのが、彼の若い恋人(愛人)キャロル。

    裁判でのスコットの発言からもしかしたら彼は真実を語っているのかもと疑念を持ち始めた刑事バージェス。

    三者三様で追い詰めた"幻の女“。

    そこで明かされた驚愕の真実。

    もはや古典とも言われる本作ですが、全く古さを感じることなく読み終えました。


    説明
    内容紹介
    創立70周年記念作品 不朽の名作、ついに新訳版で登場!
    けんか別れした妻が殺された。そのとき、夫は街で出会った奇妙な帽子の女と過ごしていた。唯一の証人は彼女だけ……今はどこに?(解説:池上冬樹)
    内容(「BOOK」データベースより)
    妻と喧嘩し、あてもなく街をさまよっていた男は、風変りな帽子をかぶった見ず知らずの女に出会う。彼は気晴らしにその女を誘って食事をし、劇場でショーを観て、酒を飲んで別れた。その後、帰宅した男を待っていたのは、絞殺された妻の死体と刑事たちだった!迫りくる死刑執行の時。彼のアリバイを証明するたった一人の目撃者“幻の女”はいったいどこにいるのか?最新訳で贈るサスペンスの不朽の名作。
    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
    アイリッシュ,ウイリアム
    1903年12月4日ニューヨークに生まれ、1968年9月25日ニューヨークのホテルに死す。コーネル・ウールリッチやジョージ・ハプリィ名義でも作品を発表

    黒原/敏行
    1957年生、東京大学法学部卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

  • 2025/5/4読了(再読)
    言わずもがなのタイムリミット・サスペンスの名作。初読は'17年頃だったか? 「名作は、名作と言われるだけのことはある」と思った。――死刑囚スコットの無実を証明できる”幻の女”は何処にいるのか? ただでさえ乏しい手掛かりは次々に途絶え、刑執行の日は刻々と迫る。筋立ては単純だが、展開は読めず、結末まで飽きさせない。Simple is best. を体現した作品(コレのお陰で、後続は話をもう少し複雑にしないと通用しなくなったのでは、という当然の突っ込みは無視します)で、ミステリのファンでなくとも、読まないなんて勿体ないと思う。
    ところで……作中、スコットの要望に応じて、恋人キャロルの名を伏せた警察。現在だったら、そんな要望など一顧だにされず、キャロルはマスコミに追われ、SNSで晒され、ワイドショーのコメンテーター辺りが「でもこの人、法的な責任はないかも知れませんけど、事件の原因となったことでの道義的な責任はありますよねェ?」とかのたまうのだろう。こっちの方が、昔のハードボイルドな世界よりも遥かに冷酷非情かもしれない(?)。

  • “夜は若く、彼も若かったが、夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった。”
    さすがの名訳ですね。冒頭からすぐさま物語に引き込まれます。そして、新訳がとても読みやすくてぐいぐい引っ張っていってもらいました。
    一言でいえば、面白い!
    《江戸川乱歩が絶賛した大どんでん返し!》との帯の文句に、うわぁ、江戸川乱歩とおんなじ小説読んじゃったよぉ!と、勝手に親近感。本を読むということは時代や国を超えていろんな人々と繋がることが出来るんだよねと、改めて実感。
    でも、ほんと、この大どんでん返しには唸りました。犯人もだけど、その犯人に対しての最後の追い詰めかたがね、そうきたか!って。ラストまで全力疾走です。息がきれてます 笑
    私の頭の中では、奥さんを殺したと死刑判決を受けた絶体絶命のヘンダースンを助けるために、捨て身の行動を起こす恋人のキャロルが主役となって走り回っていました。健気で勇敢で、最後まで彼のことを信じて行動した彼女があってこその事件解決だったと思うんです。ほんと、もう彼女を大切にしなきゃ罰当たりますよ、ヘンダースンさん!

  • ハヤカワの『海外ミステリ・ハンドブック』から。
    こーれは面白かったです!オススメ。

    【あらすじ】
    妻と喧嘩して家を飛び出し、あてもなく街をさまよっていたヘンダースンは、”パンプキンのような”帽子をかぶった見ず知らずの女と出会う。食事をし、劇場でショーを観て、酒を飲んで別れて家に帰ると、待っていたのは絞殺された妻と警察だった――。

    第一章から「死刑執行日の百五十日前」と始まり、続く章もすべてその形式でタイムリミットが近づいていきます。
    死刑執行を待つのみのヘンダースンに代わり、親友であるロンバードが”幻の女”を探すのですが、なかなか一筋縄ではいかず。あらゆる疑念が浮かぶ中で、すっかりロンバード視点の物語に夢中になっていただけに、真相には度肝を抜かれたといってもいいでしょう。私はてっきり”幻の女”はその筋の奥方で、だから出てこないのだと思っていましたが……。
    自分の無実を証明してくれるはずの女が見つからない、というストーリーは横溝正史の短編にもありましたが、オチも同じでは、というのは全くの杞憂でした。

    本書は、プロットの鮮やかさだけでなく、詩的な文章表現も特徴的です。
    ミステリーでありながら、登場人物の内面を豊かに表す文学的な表現が多く、一般小説としても読み応えがあると思います。
    ただ、あれだけ印象的な振る舞いをした同伴者を忘れるか?!と思わなくもないのですが、これは偏見かもですが男性だったらありがちなのかな。。

    そして今回なにより感じたのが、予備知識のない状態で読むミステリーの面白さ!
    私はこれまで、”王道ミステリー”だとか”外せない名作”だとか、どうしても期待値の上がってしまう作品を手に取ることが多くありました。
    本書も、広く愛され評価の高い一冊ではあるのですが、どんな探偵だとか評価ポイントだとか、そういった事前情報はほぼゼロの状態で読み進めたので、「この先どうなってしまうのだろう」と新鮮にワクワクすることができました。

    詩的な表現に触れながら、緊張感のあるミステリーに触れたい方に、ぜひオススメの一冊です!

  •  私独自の人間分類器にかけると、この作品で嫌疑をかけられるスコット・ヘンダーソンって人も、『罪と罰』のラスコと同じタイプに入る。ほかには、『書写人バートルビー』の語り手「私」や、手塚治虫『ブッダ』のシッダールタもこの仲間。ヘンダーソンに関しては、善良さだけが取り柄で何の力もない人というか。囚われのお姫様のように、己の心の真実だけを握りしめて救出を待つのです。
     それはともかく、有名ミステリーをまたひとつ読めたので嬉しい。種明かしその一には素直にびっくりした。その二はどう受け止めていいのか考え中。

  • 「夜は若く、彼も若かったが、夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった」

    この一文から始まるサスペンス・ミステリの傑作

    妻と喧嘩し、街をさまよっていたスコット・ヘンダースンは、奇妙な帽子をかぶった見ず知らずの女に出会う。彼はその女を誘って食事をし、ショーを観てから別れた。
    帰宅後、男を待っていたのは、絞殺された妻の死体と刑事たちだった!
    自分のアリバイを証明する方法は、さっき別れた女の証言を得ることだけ
    しかし、だれに尋ねても、「そんな女は見ていない。あなたは一人だった」と言う。
    一体どういうことなのか?
    ヘンダースンの無実を証明するため、三人の人物が奔走し、「幻の女」を追いかける。果たして「幻の女」はどこに行ったのか? 妻はだれに殺されたのか?

    このあらすじに惹かれて読んでみた本書

    おもしろいのは章立ての項目で、各章には、『一. 死刑執行の百五十日前』のように、ヘンダースンが投獄され、死刑になるまでのタイムリミットが記載されている。

    これが読者を話にのめり込ませる仕掛けになっていて、じりじりと近づいてくるタイムリミットに、別に自分のことでもないのに焦ってしまう。
    この仕掛けがこっていて、
    残り時間が短くなっていることを示すために、わざわざ文のない、章の名前だけを書いたページが用意されている。

    十六 死刑執行日の八日前

    十七 死刑執行日の七日前

    ほかの小説では見たことがない、おもしろい演出だった。

    さて、内容についてなのだが、正直最初の主人公のヘンダースンの部分は、描写がいちいち情緒的で、まあ『詩的』といえば美しいのだが、
    個人的にはもう少しはっきりした文章で書いてほしいところ…。
    そして、このヘンダースンが、まあ、なんというか、奥さんとの喧嘩のあとで、心理的に安定していなかったとはいえ、そこまで『幻の女』のことを覚えていないものか? 男なら、むしろ服装とか帽子のことより、顔ばかり、いやむしろ、顔しか見ていないものでは?(と個人的には思うのだが、もちろん人によります)と、なんだか釈然としない気持ちで序盤は読んでいました。

    ヘンダースン、まじでちょっと間抜けすぎるよ…。
    それに対して、友人のロンバートや恋人のキャロルが有能過ぎる。

    この二人のパートに入ってからは、ぐっと物語に引き込まれました。

    そして、なんだか真相に近づくにつれてどきどきしてきたなあと思いはしたものの、やっと見つけたと思った手がかりが、毎度空振りに終わり、時間だけが過ぎていく
    正直、最初はそれも緊張感があってよかったのだが、同じ展開を4度、5度と何度も見せられて、ちょっと飽きてきた…。
    さっさとこの物語を終わらせよう
    結末までは流し読みで、もういいかなあ…。

    とか思ってたら…

    やられた!
    えええええ!まさかの、最後に大どんでん返し!
    いやいやいやいやいや、これはマジでやられた。全然予想できなかった。
    くっそぉ!

    ありがとうございます!

    一気に評価がひっくり返りました。
    マジかー。いやもう、感動しかないわ。
    これは確かに名作!と思わされました。

    上に書いた通り、正直最終盤までは、なんでこの本がそんなに傑作扱いされるのか、よくわからないなあ、と思いながら読んでいただけに、目が覚める思いでした。

    このどんでん返しは、ぜひぜひご自身で読んでみて欲しい
    ただ、個人的な評価としては、終盤まではそれほど面白いとは思えなかったので、終盤の巻き返し込みで★4とします。

  • “夜は若く、彼も若かったが、夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった。”


    80年前に出版された古典ミステリーの新訳版。
    無実の罪で死刑判決を受けた主人公の無実の証拠となる女を探していくのだが、章ごとに死刑までのカウントダウンになっておりハラハラしながら読んだ。

    内容も面白かったのだが、詩的な文章がとくに好みだった。
    お洒落な言い回しが随所にあるので、普段ミステリーを読まない方や文学好きも楽しめるのではないだろうか。

    ちょうど読んだ時期が某漫画家さんの悲しい出来事があったあたりなので、作品に携わる人の原作者や名訳をした故稲葉明雄氏へのリスペクトが感じられたのも良かった。(あとがきでは新訳者の熱い思いが綴られている)

    原作者の大切にしたいものをしっかりと護って送り出して欲しいと思う。

    古い作品だがミステリー好きに是非おすすめの1冊。


    こんな人におすすめ.ᐟ.ᐟ
    ・ミステリーが好きな人
    ・どんでん返しが好きな人
    ・詩的な文章が好きな人
    ・サスペンスが好きな人


  • 1942年に発表された古典ミステリー
    舞台はニューヨーク
    妻と喧嘩をしたヘンダースンはあてもなく街をさまよう…
    たまたま入ったバーで出会った風変わりな帽子(パンプキンみたいな…)を被った女を誘い、食事をし、劇場でショーを観て別れる
    その後、深夜に帰宅するとヘンダースンを待っていたのは絞殺された妻の死体と刑事たちだった
    警察は夫であるヘンダースンを疑う
    彼のアリバイを証明できるのはバーで出会った女だけ…
    しかし、誰も女を見ていない…
    そしていよいよヘンダースンに有罪の判決が下り死刑が言い渡される
    死刑執行まで87日
    ヘンダースンの友人と恋人が内密に捜査に協力し「幻の女」を追って奔走するが…

    刻一刻と迫る死刑執行にハラハラドキドキ…
    ⦿女は一体どこにいったのか?
    ⦿なぜ誰も女のことを覚えていないのか?
    ⦿妻を殺したのは誰なのか?
    ヘンダースンは冤罪で死刑執行されてしまうじゃないか…
    一体どうなっているんだ!
    もしかしてヘンダースン自身が信用できない語り手なのか?…(笑)

    ツッコミどころはあったけど…
    確かに「読んでないなんてもったいなかった」
    大どんでん返った…
    その追い詰め方がすごかった!
    まだこの作品が未読という人がうらやましい…(笑)

  • 臨場感たっぷりの物語で読んでいてドキドキしました。ただ、わたし的にはちょっと読みにくく、読み進むのに時間がかかりました。
    でも最後は色々ななぞも無事に解決し、全てスッキリ!ウィリアム・アイリッシュさんすごいです。

  • 再読。妻の殺人容疑をかけられた男が、自身のアリバイを証明するためバーで出会った「幻の女」を探すが何故かまったく見つからず、死刑執行の期日が刻一刻と近づいてくるサイコスリラー。死刑まで残り何日間かが章のタイトルで明示されるため、タイムリミットものとしての面白さもある。男が追い詰められていく様子を見ていると、次第に読者側もただの思い込みや夢にすぎなかったのか……?という気持ちにさせられ、サイコロジカルな恐怖がつきまとい素敵だ。
    また、どこか甘美で寂寥感を感じる翻訳がすばらしく、冒頭の有名な一文に限らず全編にわたって美しい文体が味わえることだろう。
    とはいえやはりこの一文は引用せずにいられない。
    「夜は若く、彼も若かったが、夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった」

  • 無実の罪を着せられたスコット。死刑執行までに彼のアリバイを証明する“幻の女”を探し出すべく、友が立つ。

    夜のニューヨークをさまよい歩く男。どうやらムシャクシャと荒れているようだ。彼スコットは、妻と離婚について争っている最中だった。知らないバーに入ってゆきずりの女と酒を飲み、劇場でショーを見る。少し気が晴れて帰宅すると、刑事たちが待ち構えていた。ベッドで妻が絞殺されていたのだ。アリバイを証明するべく、ゆきずりの女を探し出さねばならない!しかし街へ戻って聞き込みをしても、誰も彼女のことを覚えていない。皆が口をそろえて、スコットが一人で酒を飲み、一人で劇場にいたと言うのだ。彼はそのまま妻の絞殺の疑いが晴れず、死刑宣告を受けてしまう。はたして“幻の女”はどこに……。

    ミステリーの古典的傑作として有名な本作。タイトルだけがずっと頭に残っていて、昔一度読んだことがあると記憶していたが……あれ?この話は初見だ……!たぶん、何か他の作品と勘違いしている。なんだろう?

    それにしても冒頭から引き込まれる展開だ。いったい何が起こっているのかさっぱりわからない不気味さ。主人公自身にも顔が思い出せない無個性な“幻の女”の幻想性。「死刑執行まであと何日」といった章立てで、タイムリミットがあるスリル感。投獄されてしまったスコットに代わり、彼を救うべく、親友と愛人が探偵役として立ち上がるのがアツい。次々と判明する不可解な出来事に、最後まで目が離せず一気に読める。そして至る衝撃の結末とは。はたしてスコットは助かるのか?もはやこれ以上は言うまい。20世紀前半の小説なので、エンタメに慣れている現代人には古さや既視感は感じられるかもしれないが、いまだにミステリーの名作として愛される傑作。ぜひともこれはネタバレにぶつかる前に読んでほしい。

    本作「幻の女 ウィリアム・アイリッシュ」と似た感じのタイトルか作者名で、同じようなミステリーの古典を昔読んだ記憶があるのだが、なんだったかさっぱり思い出せない……。何と勘違いしている?本作を堪能した今後は、この、自分自身にとっての“幻の作品”を探し出さねばならないようだ……(笑)。

  • 2020.2.21読了

    古典の名作とのことで手に取り、時間をかけて味わった。
    表現に装飾が多くまどろっこしく感じたのは始めだけで、ストーリーの面白さに引き込まれ、どんでん返しが評価されてると知っていたはずなのに驚かされた。
    純粋に楽しめた作品。さすが古典として残り続けているだけあって、古びてない。

    しかし、世の中が便利になればなるほど、こうした味わい深いお話は生まれにくくなるだろうと思う。現在にもし置き換えたなら、人探しなどあちこちに設置されたカメラやSNSによってこれほど苦労することはなさそうに思うし、そもそも情報が多すぎて一人の死刑囚のことを誰もが知ってるという状況にはなりにくい。口止めは容易ではないし、科学捜査の精度は上がっているだろう、建築物の安全対策は法律で厳しく取り決められているし、状況証拠だけで死刑判決とはならないかもしれない。我が国で考えれば、執行日を明確にカウントダウンすることはできないだろう。

    なんてあれこれは野暮な話。お話に身を委ね行き着く先をぼんやりとしか意識せず流されていくことで鮮やかに欺かれる心地の良さは、良質の読書体験そのものと言って良い幸福な時間だ。

  • 未読だった海外ミステリ古典中の古典。

    妻と仲たがいし、苛々しながら街へくり出したスコットは最初のバーで出会った特徴的な帽子を被った女に声をかけ、その日妻と行く予定だったレストラン、観劇へ誘う。
    とらえどころのない女との一夜のデートに気が落ち着き、家へ帰ったところに待っていたのは、刑事たちと妻の死体。

    さすが名作と言われる古典。
    色褪せないリーダビリティを備えている。

    今更読むとなるといささか古めかしい構成や展開(次々と消えていく重要人物。。。)だが、タイムリミットサスペンス、どんでん返しの原型なんだろうなぁと思うと感慨深いものがある。

    幻の女のふわりとした存在感、消えゆく様はもう一つのストーリーとしてはかなく秀逸。

  • いつものように喧嘩して別れたのに
    帰宅してみたら 妻が死んでいた。

    その間 自分は見知らぬ女性と
    食事をして ショーを見ていたのに
    その事を証言してくれる人が誰もいない。

    そして死刑を求刑されてしまう。

    その後 友人が色々骨折ってくれる。
    各章のはじめに 死刑執行前 ○○日 となっていて
    時間がどんどん進んでいく様子がわかる。

    もしかして 幻の女というのは
    本当に幻あるいは 幻覚なのかと思っていたら
    証言してくれそうな人が どんどん直前で死んでしまう。

    となると 誰が犯人なのだろう?

    最後まで 予測できなかったです。








    ネタバレです



    犯人は自分を助けてくれようとしてくれた友人だったんです。
    友人は実は 奥様と不倫関係で
    彼女は 本気ではなく 遊びだったのに 友人が熱を上げていて
    ふられたので 衝動的に殺してしまった。
    ついでに 犯人を 友人にしてしまえと いう事でした。

  • 海外ミステリーの超有名作「幻の女」は絶対に読むべき作品です。
    恥ずかしいながらこの作品は知っていたものの、今まで読んでいなかったことに後悔しています。
    かなり古い作品ではありますが、かなり面白いです!
    この作品の最大の魅力はズバリ謎です!
    殺害容疑をかけられた主人公のアリバイを唯一証明してくれる「幻の女」を探し出す物語となっています。そこから明らかになる真実にあなたは必ず騙されること間違いないです!
    また、サスペンスとしての色もかなり強いと思われます。
    とにかく先が気になって手が止まりませんでした。
    読んだ方には分かると思いますが、作中に出てくるある人物がかっこよすぎです(笑)
    最近新訳版も出ていて凄く読みやすくなっています。
    まだ未読の方はぜひご覧になって下さい!

  • ほぼ30年ぶりの再読。
    本作のすごいところは
    1)「東西ミステリーベスト100」(文藝春秋)の2位、「ミステリーハンドブック」(早川書房)の堂々1位
    2)戦後まもなく本作の原書を読んだ江戸川乱歩のメモ「世界十傑に値す。(中略)。不可解性、サスペンス、スリル、(中略)、申し分なし」

    内容については何も書きません。とにかくお読みください。3回目を読んで、やはり本作が個人的ミステリーベストワンです。
    読んでない人は幸せです。

  • 東西ミステリランキング上位作品だけあり、読みやすく面白く、なにより文章が美しい。
    一節一節の翻訳に赴きを感じた。
    初手30ページで虜になりました。
    幻の女、、出会ってみたい、、

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著者プロフィール

1957年生まれ。東京大学法学部卒。英米文学翻訳家。訳書に、『コブラ』『双生の荒鷲』(以上、KADOKAWA)、『幻の女』『エンジェルメイカー』『怒りの葡萄』(以上、早川書房)、『まるで天使のような』(東京創元社)、『すばらしい新世界』(光文社)など多数。

「2022年 『ザ・フォックス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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