飛越 (ハヤカワ・ミステリ文庫 フ 1-6 競馬シリーズ)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150707064

感想・レビュー・書評

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  • 競馬シリーズ5作目。

    ヘンリィは伯爵の跡継ぎでありながら、
    金持ちの娘と結婚させようとする家族への反骨心からか、
    馬と飛行機を愛する気持ちからか、
    周りの反対を振り切って競走馬の空輸に同乗し馬を引き渡す仕事につく。

    貴族階級を敵視し、暴力をふるってくる同僚とやりあいながら、
    仕事を続けているうちに、
    ミラノで恋に落ち、また、友人の不正に気が付く。

    ハッピーエンド好きでバッドエンドが好きではないが、
    この話は「エンド」すらない。
    ヘンリィはどうにか大型飛行機を操縦して無事着陸したが、
    銃で撃たれた恋人の生死もわからぬまま、話が終わってしまった。
    ひどすぎる。

    競走馬をヨーロッパへ、南米へ、アメリカへ飛行機で運ぶとは、
    おそるべし競馬業界。

  • 最後、あそこで終わりなのかー!ガブリエラは?ヤードマンは?気になりすぎる・・・でも多くを語らず飛行機を着地させて終わる・・・さすがディックフランシス。

  • いつもながら期待を裏切らない面白さ

  •  何度目かの読み直しを経て、そして作者の全長編を読み終えた目で見て思うのだが、この作品は非常にレベルの高い、この作者らしい傑作なのではないだろうか。

     それは、犯人という名の敵と戦うと同時に(いや、それ以上に)、自分との戦いがテーマとなっているからだ。フランシスといえば「内なる敵との戦い」というイメージは、おそらく「利腕」以降のものだと思うけれど、この作品はそれの先駆けと言っていい。まさに主人公は、あるべき自分の姿を求めて歯を食いしばるのである。

     貴族であるという主人公の設定は、ある意味わかりにくい。日本人であれば、たとえば天皇家の一員が、自分と同じ職場で肉体労働のようなことをやっているのをイメージすると、ある程度わかると思う。貴族であることで、ある種の逆差別を受けるのもわかるし、「貴族であることではなく、自分が自分であることで他者に認められたいのだ」という主人公の思いが伝わってくる。極端な設定のようにも思うけれど、そういうアイデンティティの問題を描き出すには、とても明確な設定だと思う。

     対する敵の描き方も、実にはっきりと作為的で、でもそれが作品としての風通しをよくしている感じがする。主人公に共感できるし、心から声援を送ってしまう。例によって、やや都合よく進んでいく感がないわけではないのだけど、それでも大詰めの緊張感はすばらしいと思う。

     恋の話も、ほほえましくて楽しくて好きだ。

     今読むと冷戦を背景にした犯罪の有り様はやや古くなっているのかもしれないけれど、そんなことを差し引いてもあまりあるほど、主人公の「こだわり」と「めざめ」が身にしみてくる傑作だと思う。

  • 飛行機物としては非常に面白いです。
    身分が高いが故に偏見を持たれる主人公の試練が大変。
    でも恋愛度は高い!

  • 5−6
    今いち…


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