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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784150707149
みんなの感想まとめ
競走馬の競売を舞台にしたこの作品は、主人公がアルコール中毒の兄を抱えながら、仕事人としての自分と私生活を切り分けて生きる姿を描いています。強さと孤独が交錯する中、主人公は自身の信念を貫きながらも、他者...
感想・レビュー・書評
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フランシスの面目躍如というか、これこれ、この面白さ、と思えた一作。競走馬の競売の世界がこの舞台となっていて、自分にとって未知の世界を体験できる楽しさ、その世界の人物を通して一連のストーリーを辿れる面白さがフランシス作品の魅力ではなかったか。
主人公は、アルコール中毒の兄を抱えて、実の自分と仕事人としての自分を切り分けて生きている。その2つの世界は事件を通して繋がらずにはおられず、主人公は見過ごせない、長いものに巻かれたくないという自身の戒律によって、その2つの世界に生きることを余儀なくされる。孤独に守られた生き方を変えることを自ら選ぶに至るモチベーションを呼び覚ます人物の登場。マンネリといえばマンネリ、これぞフランシスといえばフランシス、という思いにさせてくれる一作。いよいよ作家としての完成を迎えるのか、これがその予感でしかまだないのか、次の作品に興味はうつる。
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強い男をとことん描くのがこの時期のフランシスの方向である。この作品の主人公も強い。強いから敵が現れ、強いから戦いがエスカレートし、結局強さで敵をねじ伏せてしまう。とても魅力的な主人公なのだけど、ちょっと息苦しくなってしまう。
強いと言っても、肉体的なことではない。逆に肩にハンディを持っていて、そこを敵につけ込まれたりもする。不正を許さず、自らの信念を曲げない強さだ。でも、こういう強さは孤独につながりがちで、たとえば小学生のいじめだって、この物語と同じ状況が起こりうる。単に強いだけではなく、ときどきチラリとのぞく折れそうな彼の姿が逆に魅力的だ。
毎回魅力的なヒロインが登場するのもこのシリーズの魅力だけど、今回はヒロインも強い(魅力的だけど)。孤独を味方につけ、誰とも馴れ合おうとしない。だから、主人公との関わりもすっきりしていて応援したくなる。ラスト直前にある「共同作業」が感動的なのはそのためだろう。
主人公の弱点のひとつである、アル中の兄の存在。ラストシーンはすばらしく涙が出る。ただその理由は寧ろ、強い強い主人公を支えていた意外な存在が見えてきたからだと僕は思う。
しかしまあ、これだけ強さを描くのはやっぱりきつくなってくるに違いないし(エスカレートせざるを得ないからね)、結局それに押しつぶされたあげく、あの名作「利腕」が生まれるのである。 -
主人公はジョウナだった…
とすぐ思い出せるのは初期の作品に属するといえるかな。
やや暗いトーンなので、最初の数冊にはすすめませんが。
10冊も読むとこれぐらいの変調はあってもいいのよね。 -
13―14
主人公の兄がアルコール依存症です。というわけで、個人的にこの話はものすごく感動しました。
立ち直ろうとする兄。信じきれないけど、支え続ける弟。
兄は最後に、弟を助けて命を失います。その直後にかかってきた電話。
「お兄さんとお話がしたいのですが」
「申し訳ありませんが……」私が言った。「兄は……いまいないのです」
「困りました」暖かい同情を含んでいた。「とにかく……こちらはアルコール中毒自主治療協会です。きょうの夕方、お兄さんから、助力をうけたい、というお電話があって、後でこちらから電話して、よくお話を伺う、と約束したのです……」
私たちは、その後もしばらく話を続けたが、私は相手の言葉が一言も耳に入っていなかった。」
で終わるのです。
ディック・フランシスの作品
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