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Amazon.co.jp ・本 (416ページ) / ISBN・EAN: 9784150707187
感想・レビュー・書評
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40年くらい前の作品ですよ
すごっ
ぜんぜん今読んでも面白いんだけど
やっぱりノスタルジックな想いが少し乗っかっている気もします
冷静に考えるとやっぱり今の時代には合ってないのかなと思ったりもして
というのは、かっこいい男の基準がやっぱりちょっと違うような気がします
石のような精神力で何ものにも屈しないヒーロー
本編の主人公シッド・ハレーも一度は敵の脅しに屈しそうになりますが、自分の心と会話を交わすうちに精神的な復活を遂げます
今ならきっと自分の弱さを認めつつ、ときには仲間を頼ったりもしながら強さを身に着けていくみたいなヒーロー像のほうが受け入れやすいのかなって思います
それにしても我が本棚ながら、凄いバラエティにとんだ本棚になってきたなー詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
かつて花形騎手だったシッド。だがレースで事故にあい左手が義手になった。今は相棒のチコと競馬界まわりの探偵稼業をしている。レースに勝つこと、それが第一の目標だったシッド、家庭はその次、それがもとで妻とも離婚してしまった。冷静さと頑強さ、ちょっとフィリップ・マーロウの雰囲気がする。
今回は、競走馬4頭の体調と成績がどうもおかしいと、かつて自分を育ててくれた調教師の妻、競馬シンジケートを持つ人物、当の競馬界の調査委員長から、調査を依頼され、おまけにかつての妻が詐欺に手を貸す羽目になってしまった、とそちらの調査も依頼される。馬の方は驚くべき事実が・・ 妻の方は、だまされた男の正体を突き止める。その間、熱気球に乗るはめになったり、ドラマにしたらさぞおもしろいのでは?という場面が盛りだくさん。
ディック・フランシス、漢字二文字の題名は前から知っていたが、「海外ミステリ・ハンドブック」で”かっこいいヒーロー”の部門であがっていたので初めて読んでみた。これは1979年発表で今から40年前の時間感覚で粛々と物語は進む。訳文がいい。競馬シリーズでは第4作目。「大穴」の続編とも言える作とあり、そちらも読んでみたい。
☆早川海外ミステリハンドブック2015:かっこいいヒーロー&アンチ・ヒーロー
1979発表
1981.1.31初版(単行本) 図書館 -
ディック・フランシスの小説にはかつては同じ主人公が出てこないことになっていたが、シッド・ハレーだけが例外だった。初期の作品『大穴』に出てきたあと、この『利腕』に登場した。
その後、キット・フィールディング君が二作続けて登場したが、そのあと『好敵手』でシッド君が三度目の登場となり、やはりフランシス作品のなかの存在感ナンバー1の座を印象付けた。で、このあと、最愛の妻を亡くして一度は引退したフランシスが息子の応援を得て書いた『再起』も、やはり一番人気のシッド君に登場してもらったので、シッド君は都合四回出てきたことになる。
さて、4回の登場中、もっとも好きなのがやっぱり『利腕』。
初回に登場したとき、すでに競馬の事故で右腕を怪我していたシッドだけどそれをものとせずにかっこいいところを見せつけた。
ところが、この作品では悪者に追い詰められて、その怪我した右腕をさらに痛めつけられてしまう。
さしもの好漢、シッド・ハレーも、右腕を失うかもしれない恐怖には勝てず、一度は悪者に屈してしまうのだ。
このへんの心理描写はじつに巧み。
読んでいるこちらのハートが試されているかのようだ。
フランシスの描く主人公はつねに冷静沈着、誇りを重んじ、それを貫く強さを持っている。
しかし、そんな主人公の心のなかで起きている葛藤を見事に描いて、彼らの本当の姿を浮かび上がらせることに成功したのがこの作品が頭ひとつ飛びぬけているポイントだ。
もうひとつ『度胸』という作品も同様のテーマで、「度胸とは何か?自尊心とは何か?」ということを描いている。
それでいつもどっちがどっちだったかわかんなくなっちゃう。 -
フランシスの一つの到達点と言っていいのではないか。シリーズの中で唯一3回主人公になる(それ以外の作品にも探偵社の名前だけ登場したりもする)シッド・ハレー作品が、何故毎回名作に、この作者の代表作と言える傑作になるのだろうか。
ハレーが初登場する『大穴』も初期の快作だった。作家という新しい道に踏み入ったフランシスが、俗に言う「一皮剥けた」的に深みを備えたサスペンス作家になったと思わせる作品だった。
それからこの『利腕』に至るまでの作品はフランシスの円熟に向けてのプロセスとも思える旅路で、ストーリーの多様さ、視点の操り方、主人公の体験や葛藤の掘り下げ方など、様々な面でフランシスの魅力が完成していったように思える。
そしてこの作品だ。前作で生きる意欲も自信も持てない状態から再生したハレーが、再び全てを失う瀬戸際に立たされる。そう、フランシスの主人公は常に自分が抱える恐怖心と向き合わされる。再登場する主人公であるなら、前作の恐怖(それは本人も、読者にとっても忘れられない体験である)を上回る思いをさせられることを意味する。
それを描くために、フランシスには書く力が必要であっただろうし、前作からの様々な試行錯誤がその力を育んだということなのだろうか。
とにかくフランシスの筆力がみなぎっている。力のある作品だ。これを読むために、ここまでのフランシスを読んできた、とすら言える。実際、読み続ければ次のシッド・ハレーに行き当たる、と楽しみに読み進めて来て、その期待は全く裏切られることなく喜びを与えてくれた。
#競馬シリーズ全部読む -
大穴に続きシッドハレーもの2作目。今回は失った左手に義手をつけ、探偵業も板につき順調な出だしだ。だが元妻の詐欺事件や昔の知り合いからの依頼等、複数の事件を追っているうちに、自負心を粉々にされる場面になってしまう。その時の葛藤がとてもリアルで読んでいて苦しい。結局は立ち直るわけだが、その過程に特別なきっかけがあるのでなく、苦しみもがいた末に絞り出した勇気であることに感動する。格好いいだけの主人公は嘘臭いが、作者は格好良く生きるために努力する主人公の姿をきちんと描いていて、好感が持てる。面白かった。
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今作の主人公は、ディック・フランシス競馬シリーズの中では珍しく2回目登場のシッド・ハレー。
前作で生ける屍だった彼は絶望の中から自分を取り戻し、今作ではフリーの敏腕調査員となっている。とはいえ、やはり輝かしい騎手時代への未練は捨てきれないようだ。
次々とレース生命を絶たれていく競走馬&競走馬のシンジケートに関する不正を追う中で、凶暴な悪党から壮絶な脅迫を受けるハレー。本作はそんなハレーの恐怖を軸にストーリーが展開していく。
なぜタイトルが「利腕」なのかを理解できた時、ページを読み進める手が進まなくなるほど恐ろしかった。
なんと、本作では不屈のヒーロー・ハレーが恐怖におののき悪党から一度は尻尾を巻いて逃亡してしまうのだ。
屈辱、自己憐憫、罪悪感、精神的基盤の崩壊…。前作よりも深い奈落の底からいかにしてハレーが這い上がってくるのかが、本作の見どころである。
「自分が永遠に対応できない、耐えられないこと…ようやく、鮮明、確実に理解できた…それは自己蔑視である。」
この決意とともにハレーが完全復活する瞬間は、まさに鳥肌もの。
他の登場人物も細やかに描写されており、陽気で頼りになる相棒チコがいい味を出しているのは勿論、これまでハレーに辛く当たってきた元妻ジェニイの知られざる本音や、ジェニイの父チャールズとの変わらない友情など実に味わい深い。
ちなみに、結末はあのジェフリー・ディーヴァーも真っ青のどんでん返し!!
この発想はなかった。改めてフランシスの技量に脱帽。ラスト1ページまで気を抜けず、手に汗握る素晴らしい作品であった。 -
シッド・ハレー物第2作。
フランシスの作品は競馬シリーズといっても基本的には単発で、すべて一作ごとに完結しています。主人公の中で、3作描かれているのは彼だけ。
それだけ登場した時の印象が強く、意志の強さや勘の良さは典型的でもあります。性格は冷静なようでも内面は激しく、孤独がちなほうで、それだけにヒーローっぽいんですね。
元は競馬のトップ騎手で、落馬事故で手を痛め、深い心の傷を負っていました。前回の事件で精神的には立ち直ったものの、手の方はついに切断していますが、最先端の義手を試している時期ですね。
離婚した妻との葛藤とうらはらに、義父とは離婚後も親しく、最初は娘にふさわしくない相手と全く存在価値を認めなかった義父との関係が深まっていくのも面白いところ。
1981年、MWA最優秀長篇賞受賞作。 -
シッド・ハレー#2。元騎手。ハードボイルド。
シッドの推理っぷりもさることながら、利腕をめぐる葛藤や挫折や闘いが胸をうつ。ひりひりしすぎて、思わず自分の腕を押さえたくなる。 -
サスペンスあり冒険ありのエンタメ性十分な作品だが、翻訳に難あり。残念。楽しめなかった。
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まさかのシイド・ハレー続編!「大穴」から読まないとダメ!
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この、ディック・フランシスさんの小説のすごいところは、
中盤とかで、主人公が死ぬ訳ないのに
本当にハラハラしてしまうところ。
今回も、「こんな真ん中辺りで、シッドが死ぬ訳ないじゃない!」と
自分に言い聞かせるほど、
もう、緊張したり心配したりしてしまった。
「利腕」はディック・フランシスさんの作品中、
同じ主人公が登場する珍しいもの。
それだけ、ディックさんも
シッド・ハレーに思い入れがあったのかな。
シッド・ハレーは競馬の騎手であったが、
レース中の事故で片腕を失う大けがをし引退、
今は探偵(!)として働いている。
相棒のチコが良い味だしているね!
今まで読んだ、どの作品もそうだけど、
主人公が決してスーパーマンじゃない、
弱音もはいたり、怖気づいたり、
でも乗り越えて活躍するってところが、
とてもかっこいい!
シリーズ中の最高傑作と言われるだけあって
読んでいる間中、「良い小説!」と
にんまり嬉しくなってくる、楽しい作品。
読み終わってしまって、なんだか寂しくなるほどだ。
まだまだ読んでいない二文字の題名の作品がたくさんあるから
探して読んでみよう。 -
「大穴」に続けて15年ぶりに再読。フランシスはこれが最高到達点だと思う。
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時間があれば。
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何度目かわからないけどまた読了。本当に素晴らしい。
銀の霧雨が細く降るラストシーンのうつくしさは、何度読んでも胸が熱くなる。 -
1979年。シッド・ハレーものの第2弾。競馬レースで相次ぐ不正疑惑と、ジョッキイ・クラブをめぐる不祥事捜査、ハレーの元妻が巻き込まれた詐欺事件というトリプルコンボなので、トラブルがてんこ盛り、最後まで気が抜けない。ハレーが受ける脅迫も怖いが、元妻のシッドに対する態度も相当に怖い。D・フランシスは、読者をヒリヒリさせるような心理描写が巧いと思う。とくに、夫婦の関係において(愛が残っていてもいなくても)。
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再読了。
ディック・フランシス作品の初心者は、この作品から入らない方が良い。
今作の評判がいかに高かろうとも、せめて4作目の「大穴」を読み終えてから手を出す方が良い。
これは再生の物語である。ペシャンコに破壊された男が、雄々しく立ち上がる物語である。震えながら、怯えながら、汗まみれ傷まみれで掴む自尊心の物語である。
読めば気合が入る。そんな本はなかなか無いが、これはそんな稀有な一冊だと思う。 -
競馬シリーズっていう名前に腰が引けてしまう人もいるかもしれないけれど、競馬にまったく興味のない人も楽しめる。食わず嫌いは損だっていう代表みたいな本だ。
ミステリに分類されるから、事件があって探偵がいて、犯人を突き止めるって話なわけだけど、この本の魅力はそんなことにはない(もちろん推理小説としても水準以上の出来だけど)。作者が描き出す人物が、ただひたすらかっこいいのだ。ただかっこいいと言っても、スーパーマン的なものではない。自分の弱さに悩み、傷つきながらそれを克服していく姿が、圧倒的に感動なのだ。
事故で片腕を失った主人公が、ねばり強く犯人を追いつめていく物語だけど、特にラストシーン、最後の一行にうならされる。ミステリなんて好きじゃないっていう人にこそ、読んで欲しいと思う本だ。 -
調査員になった元ジョッキー、義手のシド・ハーレーの元に依頼がよせられる。本命馬が続々と敗れていく。彼の元妻が罪を被せられ詐欺で訴えられそうだ。レースで不正が行われているのではと考える馬主。調べていく内に彼と相棒のチコは脅迫と暴力の中に巻き込まれていく。
おもしろいんだけど重いんだよね。このシリーズって。人間の根底にある悪意があばかれていくというか。
ディック・フランシスの作品
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