- 早川書房 (1990年8月9日発売)
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感想 : 9件
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Amazon.co.jp ・本 (464ページ) / ISBN・EAN: 9784150707231
みんなの感想まとめ
主人公が酒屋の主人である本作は、シリーズの中でも特異な存在感を放っています。競馬の要素が薄れ、主人公が勇気のなさをコンプレックスに感じる姿が描かれることで、これまでとは異なる新たな挑戦が感じられます。...
感想・レビュー・書評
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フランシスのこのシリーズの中でも、主人公が酒屋の主人であるということで大変記憶に残っていた一作。ここまでのシリーズで最も競馬がストーリーに絡まない、変わり種と言えるのでは。それともこれ以降はそのような作風になっていくのか、先を読んでみないとわからない。主人公はこれまでの作品にはあまりない、勇気がないことをコンプレックスに感じる男で、これもシリーズの中では異色といえる。
色々な面でフランシスの新たなチャレンジと言えそうな作品。酒好きの自分にとってはその点で楽しめる1作であるけど、そうでない読者にとって、何かについて詳しく愛情を持つ主人公がその専門家的視点で事件と関わるフランシス作品の面白さは伝わるだろうか。フランシス作品の主人公は、フランシスが感じてきた、馬や競馬騎手であることへの愛情が、その魅力の中心になってきた。その愛情がスターリーと絡まって極上の作品に仕上がってきているだ。果たして今作がそうなっていたかといえば、競馬話に頼らずそれができる作家になる通過点の一作のように思う。
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いつもながら期待を裏切らない面白さ
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談話室で紹介されていたので読んだ.ディック•フランシスははじめて.以前海外ミステリをたくさん読んでいたときにも読む機会がなかった.
ワイン商の主人公がウィスキーとワインを巡る不正に巻き込まれていくというストーリー.32歳の主人公のトニー•ビーチ,事件解決のパートナーとなるジェラード•マクレガーがとても人間的に描かれているのが良い感じ.
話の設定からして,具体的なワインやスコッチの名前がたくさん出てくる.ワイン通だったらもっと楽しめるだろう. -
もしかしたら、一番好きな作品なんじゃないかと思う。ミステリとしての完成度はどうかわからない。しかし、ラスト近い山場の迫力、そしてそれを乗り越えた後で主人公が、亡き妻に向かって叫ぶ言葉には、何度読んでも感動してしまう。そして、事件が終わった後に主人公がある発見をするシーン、実は自分の台本でちょっとその趣向を盗もうとしたこともあったのだけど、似ても似つかない情けないものに終わってしまった。
ワイン商を主人公にするのは、さまざまな職業の主人公が登場する作者の作品の中でも、比較的地味なのかもしれないが、彼が事件に巻き込まれていくきっかけはとても説得力があるし、ワインの知識だけで敵を打ち負かすことの意味も、感動的に伝わってくる。つまり、平凡が非凡になる瞬間のようなものが、ありありと目に見えるのである。
主人公の人柄、とても好きだ。優しく、そして意志が強い。こんな人がいるお店が、自分の住む町にあったらいいなと思う。 -
気の利いた酒屋を営むビーチが主人公。
ワインをめぐる大規模な不正と闘うことに。
最初の数冊に読むには進めませんけど。
もちろん、水準は行っているのです。 -
23
最愛の妻を急病でなくして以来、半ば死んだように生きている主人公が立ち直る話。
親から、疎まれはしなかったものの失望され、見放され、妻といる間だけが生きている実感だったワイン商。
「 妻の急死の前兆に全く気付かなかったことに罪悪感を覚え、抜け出したはずの、過去の見捨てられた子供時代の呪縛に取り付かれ、砂を食むような毎日を送っている。
その彼が、ゆっくりと歩き出して語る最後の独白。
「エマ…エマ…エマ…」と叫びながら家の中を通っていった。声が壁にぶつかって反響している。
彼女を求めて叫んでいるのではなく、彼女に告げたくて叫んでいた…彼女に聞いてもらいたかった…自分がはじめてなすべきことをした。いつまでも臆病者でいたわけではないこと、私に関する彼女の記憶を裏切らなかったこと、あるいは自分自身を裏切らなかったこと…自分のあるべき姿を具現したこと…彼女に慰められ、充実感を味わい、あくまで彼女と一体なのだと感じていること、かりに今後、彼女のために泣く事があっても、それは彼女が人生の楽しみを最後まで味わえなかったこと、生まれなかった子供、に対する嘆きであって、自分が大切なものを失ったため、寂しいため…罪の意識のために泣いているのではないことを知らせたかった。」
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