標的 競馬シリーズ (ハヤカワ・ミステリ文庫)

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  • 早川書房 (1996年9月6日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (480ページ) / ISBN・EAN: 9784150707293

みんなの感想まとめ

サヴァイヴァルの専門家が主人公の物語は、緻密で迫力のある描写が魅力です。作家デビューを控えた若き主人公が、有名な調教師の依頼を受けて伝記を書く中で、雪の中の横転事故に遭遇し、サヴァイヴァルの知識を駆使...

感想・レビュー・書評

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  • サヴァイヴァルの専門家・ケンドルは作家デビューが決まっていた。
    発行までの手持ちぶさたな時期に、家に滞在して伝記を書いて欲しいという有名な調教師トレメインの依頼を引き受ける。
    雪の中、横転した車の中でさっそくにサヴァイヴァルの知識を生かし、みんなの信頼を受けることになります。
    ところが殺人事件が…
    主人公がデビューしようとしている若い作家で、フランシス自身のデビュー当時を思い起こしながら書いているような清新さがあります。
    もちろん、この頃はとうに円熟した筆致。

  • 2019/11/28読了。作家。サヴァイヴァルの専門家
    ジョンケンドルが主人公。サヴァイヴァルを地で行く描写は緻密で迫力満点。すっかりディックフランシスにハマりました。

  • 競馬シリーズ29作目。

    この競馬シリーズの面白さのひとつは、
    何かのできごとによって(殺人とは限らない)、
    人生が変わっていく瞬間を目撃できることだろう。

    今回の主人公ジョンは旅行社に勤めていて、
    サバイバルの技術が必要になるよう名旅行を手配していたが、
    衝動的に仕事を辞めて作家を目指していた。
    当然お金はなく、友人のおばの屋根裏部屋に格安で住まわせてもらっていたが、
    セントラル・ヒーティングがきかなくなって家を閉めることになり、
    いたしかたなく、ある調教師の伝記を書くことを引き受けることにする。
    賄いつきで屋敷に泊めてもらえるので。
    といっても賄いは冷凍ピザのことだったらしく、
    ジョンがトーストを焼いたり、料理をすることになってしまうが。

    調教師の第一印象は良くなかったし、
    バス乗り場で待っていた出迎えの車内の雰囲気は険悪で、
    なにをもめているのかわからないところからはじまり、
    ジョンがサヴァイヴァルの技術を生かして、
    自動車事故から皆を救い、
    調教師の家族になじんでいく過程が心温まる。

    とくに、調教師の若い息子とその友人にサヴァイヴァルを教え、
    自信をつけさせ、今の生活の幸せを学ぶのを助けたのは、良かった。

    全体的に、
    ジョンが調教師家族と過ごす「緩」の部分と、
    危機的状況に陥る「急」の部分が絶妙なバランスで配分されていて、
    とても面白かった。

    謎解きについては、
    最初から妻に対する過剰な独占欲を示していた夫が、
    怪しい、というか不自然さがあって、
    これは作者の意図があるんだろうな、と思っていたら案の定だった。

    ジョンにはアマチュア騎手にでもなって、
    このまま屋敷に留まってほしかったが、
    どうも孤独な作家生活にもどるようだ。
    残念。

  • 競馬シリーズはハズレがない。単なるミステリーではなく人間を、愛情を描いていて読後感もいいです。

  • DFの傑作!

  • ジョン・ケンドル
    作家
    サヴァイバルの専門家
    旅行社の出すサヴァイバル・ガイドブックを6冊
    「ジャングルから無事帰る」
    「砂漠から無事帰る」
    「海から無事帰る」
    「氷原から無事帰る」
    「サファリから無事帰る」
    「荒野から無事帰る」
    小説1冊
    「遠く故郷を離れて」

  •  以前読んだ時にはあまり印象に残らなかった作品。読み返してみるとなかなかの傑作でびっくりした。初読時を思い出してみると,サバイバルの専門家である作家が主人公ということなので,バグリイの「原生林の追撃」とか,フランシスなら「本命」のような,マンハントから逃げ回るような派手な設定を期待していたから,肩すかしをくらったような気持ちになったのではないかと思う。大間違いである。

     主人公は作家である。今までパンフレットのようなものを書いていたので,小説家としては駆け出しで,極貧の生活をしている。ある人物の伝記を住み込みで書くことになるのだが,その人物の周辺で巻き起こる愛憎にあふれた人間模様と犯罪が,この物語の内容である。ずばりと犯罪が描かれていくまでに少し時間がかかるのだけど,そのぶん少しドロドロとした愛憎劇にたっぷりつきあうことができる。なかなか興味深い。

     主人公がサバイバルの専門家であり,実は優れた作家であることが,物語の中で大きな意味を持つ。作家であることは,観察力,洞察力,想像力を生かした「目」としての役目と係わるのだけど,優れた「目」でなければ,この物語が描き出す人間模様がくっきりと見えなかったに違いない。

     サバイバルの専門家であることは,この物語のアクション的な要素を大きく係わる。いくつかある「危機からの脱出」シーンは,かならずしもアクションとして派手ではないのだけれど,描写に優れていて胸が重くなる。最後の山場の盛り上がりに向けて,少しずつ流れをつくっていく様は,さすがに名人芸である。

     サバイバルは心の持ち方である。これが主人公の考え方のひとつである。それが大きく試されるのが最後の山場である。アクションとしてはやはり派手ではないのだけれど,じっくりと描かれている主人公の「闘い」は,中期フランシスの名シーンのひとつではないだろうか。「利腕」で明確になった「戦う相手は心の中にいる」というテーマの,設定におけるひとつの頂点なのではないかとさえ思う。

     ただ,物語として考えると,真相の後味の悪さが辛かった。さわやかな結末を望む方には,どうもお勧めできないなと思ってしまう。

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