深夜プラス1 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 18‐1))

  • 早川書房
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本棚登録 : 1082
感想 : 100
  • Amazon.co.jp ・本 (380ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150710514

感想・レビュー・書評

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  • 良質なハードボイルドミステリー。矛盾した言い方だが大人向け少年漫画を読んでいるようだ。設定と登場人物が際立っている。元MI6のカントンことケイン、アルコール依存症の殺し屋ハーヴェイを中心とした個性豊かな登場人物。リヒテンシュタインでの株主総会という緊迫感を与える目的地と期日。モーゼル銃やシトロエンDS、ロールスロイスファントムⅡなど魅力的な小道具たち。そして息をもつかせぬ展開とどんでん返し。最後の締め括りもハーヴェイに対するケインの所作もクールだ。イギリス小説特有の品とハリウッド映画を観ているような興奮を兼ね備え、エンターテイメント小説として全く古臭さを感じない面白い小説だ。

  • 内藤陳の「読まずに死ねるか!」でこの本を知り読んだのはもう30年ほど昔のことだろうか。
    それまでは、かたくなに外国の本は読まなかったのが、内藤陳の勧めるままに海外のハードボイルド・冒険小説を読み出し、はまっていった。
    そこここに散見される言い回しが実にしびれる。

    内藤陳の言うとおり、まさに、これぞハードボイルドという本です。

    「モントルーで冬を過ごす連中は絶対に列車を利用しない。ロールス・ロイスが少し調子が悪ければ、恥を忍んでメルセデスを雇う。」

    こんなのばかり読まされたらもう、堪りません。
    確か再々読。
    という事は10年ごとに読みたくなる本なのです。

  • 海外物のハードボイルド・冒険小説の古典のひとつといわれる、1965年発表の英国の作品。日本では1967年にハヤカワ・ミステリとして発刊、1976年に文庫化された。同種の小説のランキングでは、ほぼ例外なくベスト10に入る傑作である。
    ストーリーは、第二次大戦時に諜報員だったビジネス・エージェント、ルイス・ケインが、欧州でナンバー3といわれたガンマン、ハーヴェイ・ロベルとともに、かつての仲間からの依頼を受けて、無実の罪で殺し屋と警察双方に追われる英国の実業家マガンハルト(と秘書ミス・ジャーマン)を、仏ブルターニュからリヒテンシュタインまで送り届けるというもの。
    移動を共にするケインとハーヴェイ、マガンハルト、ミス・ジャーマン、更に移動途中で様々な形で接する人物たちの心の綾、敵とのスリリングな闘い、そして予想もしなかった結末。。。
    発表後50年を経ても、陳腐さを感じることはなく、むしろ、大戦のヨーロッパ戦線の面影を一部に残し、携帯電話のような通信手段など存在しなかった時代であるが故の状況設定・ストーリー展開が、現代とはまた異なる面白さを与えているとさえ言える。
    (2015年5月了)

  • 読み返し。
    何冊か読んでみても、ハードボイルドというものの定義や面白さが未だによく分からないのですが…この作品のカントンやロヴェルの、プロフェッショナルな拘りは読んでいて心地いいです。食べているパンやコーヒーがおいしそうで羨ましい。ほんと、最後にくぎ付けになる。

  • 乾いたユーモアのある文章がハードボイルド。
    たとえば、

    「朝だが、一緒にシャンペンを飲んでいただけるかね?」
    「シャンペンは朝が一番です」
    「そのとおり。昼食時間をすぎると女の子の飲み物だ」

    もう少しで、いい酒ですな、と言うところであった。将軍たちの時代には、人に出すものは最良のものと決まっていたのだ。

    また、あえて一行削ったような、書きすぎない美学も、キマッてるし、劇的な緊張感を与えている。
    一流の文章家だ。

    物語も、紆余曲折、先を見通せない仕掛けがたくさん。
    読み終えてみれば、ヒントはあちこちにまかれていたことにきづかされる。
    なかなかに鮮やかで、名作と呼ばれるのも大いに納得。

  •  痺れてやまない大傑作! まさか、今まで感想を残していなかったとは思いもしませんでした。読後にガツンとヤられすぎて、自分なんかがコメントするのはおこがましいと感じてしまったのかもなぁ……★

     元・英国情報部員ルイス・ケインが引き受けた特殊任務は、一人の男を約束の刻限までにリヒテンシュタインまで送り届けること。その男マガンハルトは警察に追われる身であるばかりでなく、彼の命を狙う謎の難敵が背後から迫りくるのでした。執拗な追っ手をかわしかわし、車を駆るルイス・ケイン! 頑張れルイス・ケイン!
     この危険なミッションで相棒についたのが、護衛のロヴェル。凄まじいほど腕利きのガンマンなんだけど、蓋を開けたらアル中!? 彼らは敵の手をかいくぐり、刻々と近づくタイムリミットと争い、アルコールとの誘惑とも一戦を交えるのでした——

     この危険な逃走劇のなかで最高に気になったのが、いつ爆発するとも知れない、アルコール中毒のロヴェル氏ですね。この任務を遂行するにあたり彼に頼るところは大きいのに、同時に最大のウィークポイントでもある存在です。
     外からやってくる脅威だけでなく、内なる敵との戦いもある。ゆえに、この小説には、懐に時限爆弾を抱えて走るような緊迫感がみなぎっています。

     また、本書は、今日日の脆弱な純文学なぞ風圧で倒しかねない美文の宝庫でもあります☆ 男の戦いも背中も生きざまも空虚な疲労感も、綿密に練りこんで鮮やかに書き抜かれた名作です。
     車や銃など、どこか男っぽいモノ(性別を問わず愛好する方はいるのだろうけど、何となくね……)に対する知識の豊富さ、こだわりの強さが、随所にあらわれるのも読みどころです★ 私は車と銃に過度に執着するのがみっともないと考える人間ですが、今、目の前に拘泥で魅了する奴が立ちはだかりました。モノへの執着が、生まれて初めてひどくかっこいいように思えた一冊です。

  • 何度読んでも面白い

  • 人、もの、風景のディテールやクライマックスの展開に魅せられた。

    また、最後の田中光ニさんの解説をぜひ見逃すことなく読んでほしい。
    ここで面白みを余すことなく吸い取ることができる。
    氏が言う『すぐれたエンターテインメントの要素の一つは再読、いや再々読に耐えうること』には共感できた。

    『ストーリーの展開に気を取られる初回だけでは、随所にこらされた伏線、罠、さりげない会話の含みを味わい尽くせない。』というのにも納得。

    本当にカタルシスを充分に楽しめた作品だった。
    個人的に2回同じ本を読むことはないが、読んでみたいなと思った作品。

  • ハードボイルド小説の基本

  • 渇きは癒してはならない。
    飼い慣らしていく他ない。

    心中に獰猛な獣などいなかった。
    ただ、微熱の砂漠があるだけだ。

    彷徨うなら、高飛車で鬱蒼とした霧が包む
    ロンドンの裏街にしとけ。

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