死の接吻 (ハヤカワ・ミステリ文庫 20-1)

制作 : 中田 耕治 
  • 早川書房
3.88
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本棚登録 : 457
レビュー : 53
  • Amazon.co.jp ・本 (377ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150711511

感想・レビュー・書評

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  • あ~、また大変に面白いミステリを一冊、
    読み終わってしまった!

    読み返す楽しみはあるけれど、
    やはり初めて読んだ時の衝撃と言うのは、
    一度しか味わえない。

    いつもの私のミステリガイド「東西ミステリーベスト100」で
    17位!

    この間買ってきた「海外ミステリ・ベスト100」(早川書房)では6位!
    余談だけれど、この「海外ミステリ・ベスト100」の方は、
    恐ろしいほどネタバレしていることが判明、
    これからは読み終わった本の思い出整理の為に読む也。

    さて「死の接吻」、林家正蔵(元こぶ平)が
    「海外…」の本の中で絶賛していた。
    彼はミステリファンを自認しているだけあって、
    ネタバレは一切しておらず、偉い。
    (本文の方はネタバレの嵐)

    ストーリーは、恋人同士の学生たち、
    社長令嬢のドロシィは妊娠し、結婚を迫るが、
    このままではドロシィは父親に絶縁され、
    夢見たお金を得られないと考えた彼は…

    この、第一章で「彼」の名前が明かされず…と言うのがすごいね。

    あまり書くとネタバレにそれこそなってしまうので注意しながら…。

    ともかく、わっ!となったり、ぎゃっ!となったり、忙しや~。

    ハァ~、本当にあっという間に読んでしまった!

    作者のアイラ・レヴィンはこの本を書いたときなんと23歳、
    この作品はアメリカ最優秀処女長篇賞に輝いたとのこと。

    しばらく劇作家として活動していたらしいが、
    久しぶりに出した小説二作目が「ローズマリーの赤ちゃん」!
    素晴らしい才能をお持ちね…。

    個人的には、語感からなんとなく女の人だと思っていたから、
    後ろの表紙の見返しに髭だらけのおじさんの写真が写っていて
    吃驚した。(わたし個人の問題です)

    ともかく、お相手様が歓迎しないことを無理に遂行しようとしては
    駄目だよ。貴女と、貴方と、貴女…(と登場人物の人たちへ)
    私も気を付けます。

  • 雑誌やネットで、オールタイムミステリベスト50とか100なんていう特集があれば、かならず上位に挙がってくる本作。

    古典的名作だが、ページを捲るのが止まらないほどの最高にスリリングなサスペンスだった。
    大富豪の令嬢に近づき、結婚しようとした大学生の男の悪の所業と、罠にはまる令嬢の物語に思わず手に汗を握る。

    今年は名作ミステリを集中して読もうかと思っている。
    幸先の良い出だしだ。

  •  恋人から妊娠を告げられ結婚を迫られた時、”彼”は自身の野望のため一つの計画を練り上げた。完璧な犯罪計画とそれに翻弄される姉妹を描いたサスペンス。

     第一章は倒叙サスペンスとして描かれますが、その書き方がちょっと変わっています。犯人の生い立ちやその計画の全貌も語られるのですが、犯人の名称が常に”彼は”と書かれているため、読者には犯人の名前が分からないのです。
    そしてそれがこの小説のミソでもあると思います。犯罪が上手くいくのか、という犯人の心理を1章で味わい、続く2章では犯人探しが主題に。ここで疑わしい人物が出てきて、探偵役といっしょに犯人はだれなのか、と悩み、
    そして最終3章で犯人が分かった状態で、犯人の野望を阻止できるかという風に各章ごとで趣向が少し分かれているため、これ一冊でさまざまなサスペンスを体感できるようになっているのです。

     そうした構成の妙だけでなくミステリとしても仕掛けがしっかりと施されていて、発表からあっという間に古典の仲間入りを果たしたというのも納得の完成度の高い小説でした!

    アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀新人賞

  • 原著出版が1952年というから、60年以上前の作品ということになる。
    舞台背景や小道具はなるほどところどころ古めかしいが、基本設定自体は今でも通用しそうである。

    構成はかなり凝っていて、才気走った若さが感じられる。著者23歳の処女作だ。
    打算的な美貌の青年が金持ちの令嬢を籠絡し、婿入りして莫大な財産を手に入れようと目論む。彼女を夢中にさせることにはまんまと成功したが、計算違いなことに、彼女は妊娠してしまう。厳格な彼女の父に知られれば、娘を勘当するであろうことは目に見えている。そうなったら財産は手に入らない。青年は躍起になって中絶を勧めるが、「愛」に目が眩んだ彼女は承知しない。貧乏でもやっていけると夢物語を語る彼女に業を煮やし、自殺に見せかけて彼女を殺してしまおうと決心する。
    その犯罪がうまく行くのか、というのが最初の山場である。

    本作は3部構成で、各部のタイトルは女性の名前である。これがどういう意味を持つのかは読み進めていくうちに明らかになる。
    第1部で登場する青年は、名前が明らかにされない。これが第2部に引き継がれて、読者自身も第1部の青年が第2部の中の誰であるのかわからない、不安定で落ち着かない気分を引き起こす。
    第3部で、それまで「攻め」の立場であった青年が「守り」に立たされる。
    さて、この犯罪は最終的にどうなるのか、という構成になる。
    構成全体も見事だが、細部の描写も秀逸である。第2部で女性が追われる場面では句点がなくたたみ掛けるような筆致が、女性の動きに合わせて読者の視線を疾走させ、緊迫感を誘う。第3部の製銅工場の熱気が立ちこめる場面は、青年の暗い絶望感を際立たせる。

    令嬢の父は製銅会社の社長である。発展しつつある一大産業。陽のあたる場所だ。対して青年は貧しい階層で生まれ、一度は戦地に赴き、後、大学に進学している。
    そうした対比から、上り坂の経済発展の陰の暗部を抉り出している、とも言えそうである。
    主人公の青年は、善悪の観念が欠落したサイコパス的な感じもするが、貧富の差という万力のように大きな力が人格をねじ曲げたと見ることもできそうだ。

    難を挙げれば、冷酷な青年は言わずもがなだが、女性たちも素性も判らぬ男にあまりに簡単に気を許しすぎな感じがして、全般に感情移入できる登場人物がいない点だろうか。後味がよくないのはいささか残念だ。

    巻末の訳者あとがきは、この作品の映画化・ドラマ化についても触れている。当時の空気が伝わってこちらも併せて興味深い。


    *著者は、ロマン・ポランスキー監督の曰く付きの映画『ローズマリーの赤ちゃん』の原作者。『ブラジルから来た少年』も話題作だった。

    *この著者の姓名はユダヤ系なのだろうか・・・?

    *最初の事件の手がかりの1つに「古いもの、新しいもの、借りたもの、青いもの」が出てくるのだが、これ、邦訳では、一応、何らかの形で注釈があった方がよかったのではないだろうか。あまり書いてしまうと興醒めなのだろうが、かといって日本人の「誰も」が知っているほど一般常識ではないような気もするのだが。

  • ドロシィ・エレン・マリオンと、巨大財閥三姉妹令嬢の三つの章からなる。
    だいぶ古い文庫だったので、読みにくいかなと思ったけれど、そうでもなく相当に感情移入して一気読み。

    アイラ・レヴィンの処女作。
    ストーリー仕立てもキャラも立っているので、映画化は?
    案の定、大分昔にされていてしかも、日本でもドラマ化までされていました。俳優さんの名前ほとんどわからないくらい昔に。

    さて、感想は?と言うと、私はちょっと怒っています。
    せっかく面白くなってきたのに、何でそこで彼女が死ぬの?
    中盤になってから出てくるこいつは?
    もっと、この人間の魅力引き出してよ!
    姉さんあっけなさすぎない?
    犯人追い詰めたらそこから?
    などなど。
    感情移入しすぎて怒りながら読みました。だからこその一気読み。

    5月の読書会の課題図書。
    これは語らねば。

  • 古典的名作を楽しむ

  • 第2次世界大戦終戦後のアメリカ。軍隊から帰り,明るい未来像を描きつつ大学に入った若者だったが,恋人が妊娠してしまい,夢の破綻を危惧。恋人を殺害するにいたる。物語は財産家の三姉妹の名前を掲げる三部から成り,第一部の『ドロシイ』は最初に殺された三女の名前。ということは,物語がどのように続くのか想像できそうでもあり,楽しみ。三部それぞれが持つ異なるテイストを楽しめるサスペンス小説。この完成度にして,23歳で書いたデビュー作だというから吃驚だ。

  • 海外だったり、自分の住んでる環境が全く違うのと、翻訳の言葉が難しくて想像しにくい場面がいくつかあったのが残念だった。

    青の炎を読んで倒叙ミステリにハマり、読むべきだと思って置いてる本屋をはしごして探し回った。
    青の炎と容疑者Xの献身の後だったから、あ〜こういう心情の犯人もいるか〜と、動機としては弱めなのかな?

    でも、エレンとパウエルが話していたカフェを立った後の後ろの席の描写がゾッとした。
    あの瞬間が一番動揺した。え?まさかあいつ?って。

    あとは二人が犯人に迫る描写も良かった。

  • 金持ちの令嬢と結婚したい野心を持つ若者が犯す殺人。
    完全犯罪なるか。
    紙ならではのトリックにおおおなるほど!と。

  • 歴代ベストに必ず名前の挙がる作品。
    作品の土台が良いのか、何本か映画化映像化されたらしいです。
    ジュブナイル小説としても作り直すことも可能でしょう。

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