あなたに似た人 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 22-1))

  • 早川書房
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本棚登録 : 764
レビュー : 74
  • Amazon.co.jp ・本 (498ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150712518

感想・レビュー・書評

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  • ずいぶん前に読みかけたまま放っておいたので、前半部分はほぼ内容を忘れてしまった。
    それでも、最初の3編(「味」「おとなしい兇器」「南から来た男」)はその饒舌な語り口とともに、なんとなくその内容を覚えている。特に「南から来た男」はその上手さに舌を巻き、なんとまぁ恐ろしい話だろう、と思うと同時になぜだか愉快になった記憶がある。

    対して、中盤あたりに収録されている話はどうにも印象が薄く、語り口だけで引っ張っていたような気がする。
    ダールの語りは上手い。しかしそれはいわゆる、淡々とした、いろいろなものをそぎ落としたタイプの上手さではないと、私は思う。
    どちらかというと、ダールは「饒舌」に、「掻き立てる」ように書く作家という印象だ。「でしょう?」「まったくねぇ」「そうなんですよ」と身振り手振りを加えながら、的確に相槌を打ってくるイメージ。
    だからといってわずらわしい感じはしないのだが、中盤ではどうもその「語り」だけで引っ張りすぎたような気がして、やや強引な印象ばかりが残っている。

    この本を訳された田村さんの解説で、ダールを評した都築道夫さんの文章の引用がある。その中で都築さんは、ダールについて「アメリカ人にしては珍しくフェミニストではない」と書いている。
    これに私は大いに「確かに」と思った。ダールの女性の書き方はは、なるほど辛辣なのだ。『オズワイルド叔父さん』などを読んでもそう思った。
    都築さんはそれに対して「ダールという作家を女性はどう思うか、ちょっとうかがってみたいような気がする」と言われている。
    私個人で言わせてもらうと、ダールはかなり好きな作家だ。クセがあって、いかがわしげで、それでいて鋭い。饒舌なのに油断も隙もない。この本も、タイトルからして皮肉たっぷりである。
    で、私はダールのそういうところが好きなのである。笑。

  • ダールは奇妙な雰囲気ある作品を書く作家です。
    いわゆるブラックユーモアです。
    本書はその中でも傑作揃いの短編集です。
    「南からきた男」は始まりから嫌なものを感じつつ、物語は結末に向けて緊張は高まっていき、そして、頂点に達して一瞬で終局を迎えます。
    読んでいる間中、奇妙な緊張感が終始付き纏っていました。
    若干の恐ろしさがあって、ぐいぐいと話に引き込まれまれていく作品ばかりです。

  • さすが、ダールは本棚に入れている人も多いですね。「海の中へ」の結末その後が気になる!「わが愛しき妻よ、鳩よ」に出てくるのがスネープさん。ハリー・ポッターを想像してしまいました。

  •  15編の作品を収録した短編集。

     絶妙な語り口と独特のオチの数々。それだけに内容がちょっと分かりにくいものもあるものの、それすらもこの短編集の魅力として映るような気がします。

     最初の3編はいずれも傑作揃いなので、そこでハマれば他の独特のオチの短編も、「こういう作家性なんだなあ」と自然に受け入れられるのではないか、と思います。

     その最初の3編はワインの銘柄当ての賭けの様子を描いた「味」
    思いがけず夫を殺してしまった妻が証拠隠滅を図る「おとなしい兇器」
    ライターで連続10回火をつけることができれば高級車を手に入れられる、しかし失敗すれば指を一本失う、という賭けの顛末を描く「南から来た男」の3編。

    「味」はオチの書き方が絶妙! 単純に書けばそれまでの話なのですが、結末を微妙にぼやけさせて書くことで独特の”味”のある短編になっています。

    「おとなしい兇器」も今となってはトリックは見覚えのあるものかもしれませんが、そこに至った時のブラックな書きっぷりが見事の一言に尽きます。思わずにやりとしてしまいました。

    「南から来た男」もラストの一行が印象的。どんでん返しの衝撃というものではなく、例えるなら気づかぬうちにスッと自分の背後に何かが忍び寄っていた、という感覚のような感じです。淡々としながらも、想像すればするほど恐怖や狂気が感じられるオチです。

     比較的分かりやすかった短編としては、「南から来た男」と同じくスッと忍び寄る怖さが印象的な「皮膚」。自動で文学を描く機械の発明を描いたブラックユーモア系の「偉大なる自動文章製造機」も好きです。

     そしてオチの不可解さが印象的な短編も多いです。「海の中へ」「毒」「音響捕獲器」など、面白いのかどうか正直よく分からないのですが、なんだか忘れられない短編が多かったです。これもまた”奇妙な味”の短編集の最高峰とされるこの作品の魅力なのかな、と思います。

  • この間久しぶりに読んだ「チョコレート工場の秘密」が
    不思議なほど「面白くなかった」(!)

    読み終わって悩んだくらい。なんでだ?
    大体幼い時夢中になった本って
    大人になってから読んでも裏切られないことが大多数だったから。

    今回の「あなたに似た人」も再読なんだけれど、
    結構ラストを覚えていない話、多かったので
    初読のように楽しめた。

    好きなのは

    「味」 
    最高に気持ち悪い美食家と
    大変なものを賭けることになった
    金持ちのワイン愛好家の運命…!

    「首」
    物静かでやさしいタートン卿、尽くす執事が最高だ。

    「告別」も悪趣味のようだけど、ラストが良かった。

    賭けにほとんど興味がない私は
    (儲かるより失うほうに想像力がわいてしまうので)
    「南から来た男」は、ふーん…と言う感じ。

    ふと、そうだあの本!、と
    私のミステリーの案内書(「東西ミステリーベスト100」)
    をみてみると37位に入ってた!

  • ヒヤリとする

    人生を棒に振るほどアホなことをやってしまう人、そそのかす人達

    斧を選ばそうとする執事が怖すぎる


    あなたに似た人、っていうタイトルがまたユーモラスですな

  • 高校時、近隣大学英文学科の先生による訪問授業の教材が「おとなしい兇器」だった。単語1つ1つに隠されたもう1つの意味に感激、即購入。どこか狂ったような世界観と膨大な量に辟易して手放してしまったが、再読したいなぁ。

  • 短編の名手ダールの短編集。
    凶器トリックでは例題になるほどあまりに有名な「おとなしい兇器」、奇妙な賭けを持ちかける男の話「南から来た男」等々、恐怖、ユーモア、幻想を描いた、これぞまさに「奇妙な味」の詰められた1冊。全15編収録のうち、何作かが賭博に絡めて描かれているが、「賭け」というのものは時折ここまで恐ろしい要素を含むものか、と読後にヒヤリとさせられる。

    「奇妙な味」といえば自分はサキとダールを思い浮かべる。モダンホラーとも怪談とも異なる「怖さ」を味わいたいなら、必読かと。

  • 学生の時って、背伸びしていたなぁって思ってしまう。チョッと変わった話を求めてウロウロしていた、、、今は?

  • 実に切れ味がよい小説。
    翻訳もよかったのだろう、夢中で読んだ。

    この表紙もいいね。マル。

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著者プロフィール

ロアルド・ダール(Roald Dahl)
1916年9月13日 - 1990年11月23日
イギリス・ウェールズのカーディフにて、ノルウェー移民の両親のもとに生まれた。第二次大戦中にイギリス空軍エースパイロットとして活躍するが、事故で重傷を負う。その時代の逸話をもとに、作家デビュー。ブラックユーモアあふれる短編小説、児童文学の書き手となった。
代表作に、『チョコレート工場の秘密』。ティム・バートン監督にジョニー・デップ主演で『チャーリーとチョコレート工場』として映画化された。他にも『父さんギツネバンザイ』などがあり、『ファンタスティック Mr.FOX』として映画化された。

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