死者の中から (ハヤカワ・ミステリ文庫)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150717025

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  • 弁護士フラヴィエールのもとに、古い友人のジェヴィーニュから自分の妻を密かに調査して欲しいという依頼が来る。彼女、マドレーヌは自殺した曾祖母のポーリーヌ生まれ変わりだと自称していた。フラヴィエールが彼女のあとをつけるとポーリーヌの墓へ行ったり、ホテルにポーリーヌ名義で部屋を借りたりといった、疑惑を裏付けるような行動をしていた。そして、マドレーヌは恐れていた自殺を図る。フラヴィエールにより助けられたマドレーヌは彼とちょくちょく会い、フラヴィエールは彼女に好意を持つ。

    そして、マドレーヌの運転で郊外の村へ行ったとき、マドレーヌは塔の上へと登っていく。高所恐怖症のフラヴィエールは足がすくみ彼女を負うことができない。そして、悲鳴が聞こえ彼女は墜落死してしまう。フラヴィエールは彼女の自殺を止められなかったことを悔やんだが、夫のジェヴィーニュには嘘をつき、その日彼女とは会っていないと言った。

    フラヴィエールは四年間アフリカで過ごし、その後フランスに戻ってきた。そして、ジェヴィーニュが妻マドレーヌ殺しで容疑者とされ、その途中戦争に巻き込まれて死亡していた。フラヴィエールは自分が真実を語らなかったことを悔やみ、酒に溺れていく。療養のため転地する決心をしたフラヴィエールは電車の待ち時間の間に映画を見た。その時、ニュース映像の中にマドレーヌによく似た人物を見つけた彼は、すぐにその映像の場所に行ってみた。そして運よく彼女を見つけたが、相手はルネ・スーランジュと名乗り、自分のことを知らないと言う。当然、マドレーヌはすでに死んでいて彼女は別人のはずだが、フラヴィエールは過去にポーリーヌが生まれ変わってマドレーヌになり、今度もマドレーヌが生まれ変わってルネになったと信じこんだ。ますます酒に溺れ、ルネをマドレーヌだと盲信していくフラヴィエール。そして、そんなフラヴィエールに恐怖を抱くルネ。

    破局に近づく二人だと思われたが、ルネの外出時に後をつけたフラヴィエールは、彼女が以前部屋をとっていたホテルに入り、以前と同じようにポーリーヌの名前で部屋を借りているのを確認した。そして、彼女を問い詰めて明らかになる真実。

    妻を殺し、情婦であるルネ・スーランジュと一緒になろうとしたジェヴィーニュはフラヴィエールに嘘の話をでっち上げ、妻を尾行してくれと言ってルネの写真を見せる。ルネをジェヴィーニュの妻マドレーヌだと信じ、また、マドレーヌがポーリーヌの生まれ変わりだと感じたフラヴィエールはジェヴィーニュとルネの罠に落ちた。その後、マドレーヌが自殺した塔へ行ったとき、ジェヴィーニュと彼の本当の妻マドレーヌが後を追っていた。ジェヴィーニュとルネの打ち合わせ通り、事前に顔を砕いたマドレーヌを塔の上に隠し、ルネが塔の上へ到着したときマドレーヌを突き落とす。フラヴィエールが高所恐怖症のため上がってこれないことを知っていた二人の計画はうまくいき、フラヴィエールにマドレーヌが自殺したと信じこませることができた。しかし、フラヴィエールは真実を語ることなくアフリカに渡り、ジェヴィーニュは妻殺しの容疑者とされてしまう。ルネは一人残され暮らしていたが、そこにフラヴィエールが現れる。

    フラヴィエールはその話を聞いてもなおルネをマドレーヌだと信じ、彼女を殺してしまう。

    一人三役の変形といった物語で、読む前から意外な真実を期待させられていたため、期待が大きすぎたといった感じだった。悪魔のような女(http://booklog.jp/item/1/4150717036)と同じくサスペンスを盛り上げ、フラヴィエールの見ているものが、真実か、酒の影響なのかが曖昧になっていくところがうまいと感じた。真相の一人三役はそれなりの驚きといった程度か。

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