- Amazon.co.jp ・本 (314ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150719043
感想・レビュー・書評
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実にイメージしたとおりのネロ・ウルフで嬉しくなる。アーチー君の毒舌も期待通りで、この凸凹コンビ(主人と使用人ではあるのだけど)の、ほとんど掛け合い漫才と言っていいような雰囲気はとても楽しい。
手がかりが秀逸で、これは本当にびっくりした。手がかりと言うよりも「モロ」なんだもの。それから、全編を通じて鍵となる「赤い箱」の正体というか「扱い」も素晴らしい。何となくシニカルな感じがする結末なのだけど、全体としてユーモラスな雰囲気で包んであるから、いい感じでバランスがとれるのだろう。
人気のあるシリーズであるということは納得。もう少し読んでみたくなる。
2009/11/7 -
1937年の作品です。
仕事では決して家を出ないと決めているネロ・ウルフだったが、蘭への偏愛をくすぐるリュー・フロストにのせられて、モデル殺人事件の調査に洋装店に出かけた。そこは超一流の洋装店で休憩中のモデルがほかのモデルとともにチョコレートを食べて、ただ一人毒死したのだ。イヤイヤ出かけて関係者に質問し、事務所に戻ったネロ・ウルフにリューは手を引いてくれと懇願し、拒絶されると、とてつもなくうるさいフロスト一族が現れた。どうやら、リューのいとこでモデルのヘレンに質問されたくなかったらしい。そして、このヘレンこそがフロスト一族の富と関心の源だったのだ。調査を継続するうち、とんでもない事件が勃発する。洋装店オーナーがウルフの自宅で毒殺された!自分が死んだら彼に「赤い箱」を遺贈すると言い残して。
この殺人で、これはウルフにとって単なる事件ではなく、犯罪となった・・・・
例によって、関係者とのさまざまな会話から事件の全貌を洞察し掴み取るネロ・ウルフですが、今回は証拠がなく解決に苦戦します。
その様子がアーチーとの掛け合いを含めて実に面白い。初期の傑作、といわれるのも当然でしょうね〜。
何より、登場人物が実にまざまざと描き出されているし、むかつくとビールを飲み過ぎるウルフが、空きビンは隠すのに栓は引き出しにしまっておくところなど、随所にユーモアが散りばめられていて、飽きさせません。アーチー君は相変わらずいじらしいほど可愛く、笑えます。一昔前の上質なミステリの代表でしょう。
犯人とその動機もまずまず納得できました。一箇所ちょっと説明不足かなあと言うところは有りましたけど。