うまい犯罪、しゃれた殺人 ヒッチコックのお気に入り (ハヤカワ・ミステリ文庫)

  • 早川書房 (2004年8月25日発売)
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  • 本 ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150728533

感想・レビュー・書評

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  • 杉江松恋さんの『マストリード100』から。

    『TVヒッチコック劇場』の作品から、ヒッチコック自身が厳選した傑作集。

    1作品20ページくらいの短編17作品。
    1つが短いので時間がない時でもサクッと読みやすく、どれも捻りが効いていて楽しめる。

    ・特に好きな作品
    『気に入った売り家』
    ボロ家なのになぜか高額で売り出している謎の家…

    『親切なウェイトレス』
    ウェイトレスはなぜ親切なのか…

    『処刑の日』
    有罪判決を勝ち取って喜んでいた検察官。
    処刑が行われる日に「自分があの女を殺した」と新たに名乗り出た男がやってきて…

    どの作品も極限まで無駄な部分を省いた短い構成であっさりしている。
    ヒッチコックは小説より映像で観たいと思ってしまった。

    『ヒッチコック劇場』は観たことがないけど、子どもの頃TVで観た『鳥』がトラウマで、今だにカラスが異常に怖い(⁠>⁠0⁠<⁠;⁠)
    ★3.5

  • 往年のTVドラマ『ヒッチコック劇場』で放映された作品の中から選ばれた、ヒッチコックお気に入りの17の短編集。どの作品も奇抜なアイデアと小気味よい顛末で、読者を飽きさせずに愉しませてくれます。ヒッチコックの番組制作の5つの哲学...1.殺人は綺麗なものじゃない 2.暴力は正当な理由がなければ退屈である 3.本当の殺し屋は一人もいない 4.犯罪は引き合わないが、楽しいものであることは確かだ 5.遊びが大切だ...このウイット&ユーモアの精神みなぎるクライム作品が揃えられています。

  • おおっ、タイトルにもヒッチコックのお気に入りってあるけど、これはまさにヒッチコックっぽい。。。ってヒッチコック劇場のネタなのか。懐かしい。
    あれだね、星新一が推理小説とかの方面の人ならこんな感じだよね、きっと。いやもちろん適当に雰囲気で言ったけどね。
    実際に人が死んだりすると現実では酷い話ですよ、もう、ってなるけど、推理小説がここまで世にはびこっているのは、やっぱちょっとスカッとするというか、なるほど~となったり、エンタメ要素もあるよね。それを強化するとこんな感じなんかな。
    ともかくどれもオチとか考えられてて良いですわよ。

  • アメリカのミステリ作家「ヘンリー・スレッサー」の作品を「アルフレッド・ヒッチコック」が編纂した『うまい犯罪、しゃれた殺人─ヒッチコックのお気に入り(原題:A Bouquet of Clean Crimes and Neat Murders)』を読みました。

    「アルフレッド・ヒッチコック」がプロデュースしたアメリカの人気傑作ドラマ『アルフレッド・ヒッチコック劇場(Alfred Hitchcock Presents)』に取り上げられた作品から、「アルフレッド・ヒッチコック」が厳選した作品を集めた一冊とのことなので期待して読みました。

    -----story-------------
    ポーカーで負けた「アーヴ」は、追いはぎに金を盗られたと新妻に嘘をついた。
    が、その直後、「アーヴ」を襲っという追いはぎが本当に警察に現われて...嘘が真実になる『金は天下の回りもの』ほか、毒を飲ませる親切なウエイトレス、ボロ家を高額で売り出した老婦人など被害者も犯罪者も魅力に溢れた、奇抜な着想と絶妙なオチがてんこもり。
    TV『ヒッチコック劇場』で使われた作品の中から、「ヒッチコック」自身が厳選した傑作集。
    -----------------------

    「ヘンリー・スレッサー」作品のうち、「アルフレッド・ヒッチコック」が厳選した短篇17作品が収録されています、、、

    一つひとつの作品が20ページ程度なので読みやすかったし、ほど良くユーモアとホラーのバランスが取れていて、意外な結末が用意されている作品が多く、予想していた以上に愉しめる短篇集でした。

     ■序文 アルフレッド・ヒッチコック
     ■1 逃げるばかりが能じゃない (原題:Not the Running Type)
     ■2 金は天下の回りもの (原題:A First Full of Money)
     ■3 ペンフレンド (原題:Pen Pal)
     ■4 信用第一 (原題:"Trust Me, Mr. Paschetu")
     ■5 犬も歩けば (原題:One Grave Too Many)
     ■6 41人目の探偵 (原題:40 Detectives Later)
     ■7 不在証明 (原題:The Morning After)
     ■8 恐ろしい電話 (原題:The Deadly Telephone)
     ■9 競馬狂夫人 (原題:Something Short of Murder)
     ■10 気に入った売り家 (原題:The Right Kind of a House)
     ■11 老人のような少年 (原題:M Is for the Money)
     ■12 最後の舞台 (原題:The Last Escape)
     ■13 二つの顔を持つ男 (原題:The Man with Two Faces)
     ■14 親切なウェイトレス (原題:Case of the Kind Waitress)
     ■15 付け値 (原題:Make Me an Offer)
     ■16 眠りを殺した男 (原題:Sleep Is for the Innocent)
     ■17 処刑の日 (原題:The Day of the Execution)
     ■解説 《スレッサー劇場》へようこそ 濱中利信


    『1 逃げるばかりが能じゃない』
    投資信託から20万ドルを持ち逃げし服役していた「ミルト・ポッター」が15年の刑期を終えて出所… 彼は逮捕時に持ち逃げした金の隠し場所は絶対に話そうとしなかったが、出所後に金の隠し場所を問い詰めに行った「アーネスト・フィッシャー警視」には「どうぞ」と20万ドルを差し出した、、、

    えっ、なんで!?と思っちゃいますが、20万ドルを元手にしっかり財テクをして、服役中の15年間に利益を出していたなんてね。


    『2 金は天下の回りもの』
    もらったばかりの週給を仲間とのポーカーで巻き上げられた「アーヴ・ランドール」は、妻「フランシイ」に対し強盗に遭って奪われたと言い訳する… 妻の指示によりイヤイヤながら警察に届けたところ、警察からは犯人を捕らえてお金を取り戻したと連絡があり蒼くなる、、、

    別な人物が強奪されたお金を手にした「アーヴ」は罪悪感を感じるが… まさか、ポーカーで巻き上げられたお金が、まわりまわって自らの手に届いていたとはね。


    『3 ペンフレンド』
    姪の「マージ―」がペンフレンドにしている相手の無期懲役囚「ラウール・コリンズ」が脱獄したので気をつけるようにと言われた老嬢「マーガレット・ロウエン」… そして、その夜、「コリンズ」がやってくる、、、

    「マーガレット」は「コリンズ」を撃退するが… その後、刑務所に戻った「コリンズ」に宛てて「マーガレット」は手紙を書かずにはいられなかった… 真実は明かされずに済みましたが、将来のことを考えると、悩ましい幕切れでしたね。


    『4 信用第一』
    うだつのあがらない「ラリー・ファブリツィオ」は週給150ドルの仕事をやめ、親爺の友人のところで週給75ドルで働くことにした… ようやく現金をあつかえるようになったとき、「ラリー」はある計画を進めた、、、

    会社の資金3万ドルを手にした「ラリー」は… ちまちま横領するより、会社の信頼を得る方が長い目では儲かるってことですね。


    『5 犬も歩けば』
    失業中で借金に追われ、家賃滞納でアパートまで追い出されそうな「ジョー・ヘルマー」が、成果のなかった求職の帰り道、突然倒れた男の札入れを盗んでしまう… 男の息がないのを確認した上での行動だったが、札入れにに残されたカードに「私はてんかん性の持病があるので発作が起こると死んだように見えます」と記載があったことから、もしかしたら生きていたのではと気になって仕方がない、、、

    「ジョー」は勇気を出して正義を実行するが… まさか、倒れた男がスリだったとはねぇ… 正義の行動が幸運には繋がらなかったのは辛いですね。


    『6 41人目の探偵 』
    私立探偵の「わたし」は、「マンロー・ディーン」から妻を殺した男「オットー」を見つけたので、二人で会えるように手配してくれという奇妙な依頼を受ける… しかも、直前になって、「マンロー」は「わたし」に「オットー」を銃殺してくれとまで言う、、、

    「マンロー」の銃撃により復讐は成功したかに思えたが… 「オットー」の反撃により「マンロー」も深手を負ってしまう。

    そこで「オットー」から衝撃的な事実が告げられる… 妻殺しは、「マンロー」が「オットー」に依頼したのだった、、、

    自らの手を汚さない手口… しかし、傷口から流れ出る血を抑えた「マンロー」の手は汚れてしまっていた。


    『7 不在証明』
    不倫をしている娘「シャロン」を快く思わない初老の母親の「トロッター夫人」… 「シャロン」は、近々、彼が妻と別れて結婚できると言うのだが、「トロッター夫人」は反対する、、、

    娘がシャワーを浴びているとき、相手の男性から電話がかかり「トロッター夫人」が電話に応答したところ… 「妻が死んだから、おまえといっしょにいたと証言してくれ」と一方的にまくしたてて電話は切られた… 受話器を下した「トロッター夫人」は娘に反対の内容を伝言する。

    怖いですね… ゾクっとさせられました。


    『8 恐ろしい電話』
    共同電話でお互いの通話をチェックし合っている「ミセズ・バーチ」等の中年女性達… そんなある日、彼女たちの長電話のため医者が呼べず妻を亡くしてしまった男「ヘイワード・ミラー」が精神病院を脱走したという連絡が入る、、、

    「ミラー」は、妻の復讐のために、ここに向かっているかもしれない… 深夜、何者かが「ミセズ・バーチ」の自宅に侵入し、「ミセズ・バーチ」は助けを求めるために警察に電話をしようとしたが、長電話をしている近所の婦人たちは電話を切ってくれない… 因果応報の結末でしたね。


    『9 競馬狂夫人』
    夫に内緒で競馬にうつつを抜かす主婦「フラン」が、ある日、ブックメイカーから今日の夕方までに25ドルの借金を返済しなければ競馬のことを夫にばらす、と言われてしまう… しかし、手元にあるのはわずか1ドル半、、、

    そこで「フラン」はおしゃれをしてバス停にたち、財布を忘れたと言って、人々から小銭をせびることにより少しずつお金を増やしていく… それを目撃した男に脅されたりしながらも、なんとか結果オーライで25ドルを集めますが、後味の悪さが残る作品でした。

    その後も、すぐに競馬にお金を使っちゃうんですもんね… 全く懲りてない、ギャンブル依存症の怖さを感じましたね。


    『10 気に入った売り家』
    田舎の不動産屋「アーロン・ハッカー不動産事務所」によそ者の男「ウォーターベリイ」が現れ7万5千ドルで売りに出ている物件(開拓時代(1802年築)のおんぼろの家)が欲しい、という… その家は1万ドルの値打ちもないことから不動産屋は別な物件を紹介しようとするが、よそ者はその物件が欲しいと言い、不動産やは持ち主の老婆「グライムズ」を紹介する、、、

    「ウォーターベリイ」はおんぼろ家に住む頑固な「グライムズ」を口説こうとするが… 実は「グライムズ」は、この男の出現を待っていたのだった。

    二人の思惑が交錯するところが面白かったですね… 老婆の粘り勝ちでした。


    『11 老人のような少年』
    思わぬことから銀行強盗の手先になり服役していた「ジャッキー」は、出所後、刑務所の先輩の「アリー」の命令で、「アリー」の家に立ち寄る… 身寄りのない前科者の「ジャッキー」をおっかさんは自分の子供のように迎えた、、、

    しかし、それには、ある目的があったんですよね… 前科者の辛さが感じられる作品だったし、心に重苦しいものが残る結末でしたね。


    『12 最後の舞台』
    時代遅れと言われながらも一世一代の水中脱出を試みる脱出師「フェルリニ」… 不幸にも脱出は失敗、彼の葬儀が執り行われたが、葬儀の最中に衝撃な出来事が、、、

    「フェルリニ」の遺体が棺桶から消えてしまったのだ… これは「フェルリニ」が予め用意していた最後の舞台だったのだが、妻「ワンダ」は、そのショックで精神を病んでしまう… 「フェルリニ」の脱出失敗が、本人のミスだったのか、「ワンダ」が意図したものだったのかは明るみにされませんが、最後の舞台を見た「ワンダ」の受けた精神的なショックからすると、自ずと事実はわかりますよね。


    『13 二つの顔を持つ男』
    現金9ドルの入ったハンドバックをひったくられた「ワグナー夫人」は警察に届けに行き、犯罪者の顔写真をみることになった… 写真の束を順番に見ていた彼女は娘婿「レオ」の顔があることに気付く、、、

    娘の身を案じた婦人は警察にその旨を告げたが… 娘の手配写真を見ることになるよりは良かったのでしょうけどね。


    『14 親切なウェイトレス』
    ウェイトレスとして生計を立てる中年女性「セルマ」は、毎晩レストランに食事にやってくる老婆「マナーハイム夫人」に対し、親切に対応していたこところ、ある日「マナーハイム夫人」から「遺産はあんたに残してあげる」と言われる、、、

    しかし、90歳を超えていると思われる「マナーハイム夫人」は健康そうで、当分は死にそうにない… 焦り始めた「セルマ」は弟「アーサー」の口添えで食事に毒を混ぜることにするが、「マナーハイム夫人」は弱るどころか、徐々に元気になっていく。

    なんとも皮肉で、恐ろしい結末でしたね… 遺産相続のことを知ってから、「セルマ」の微妙に心が変化する様子にリアリティがありましたね。


    『15 付け値』
    夫婦仲の悪い男「モート・ボナー」が深夜に自宅で物音をきく… 階下に泥棒が侵入しており、「ボナー」にみつかった泥棒から「物を盗むより被害者と組んで保険金詐欺をした方がいい」と提案するが、「ボナー」は泥棒に「妻を殺し、強盗が襲ってきたように見せかけてくれれば、金をやろう」と逆提案をする、、、

    取引は成立したかに思えたが… 寝室に行った泥棒は、なかなか戻ってこない、、、

    気になって寝室に入ったところ… そうじゃないかとは思いましたが、恐ろしい結末でしたね。悪魔の取引だなぁ。


    『16 眠りを殺した男』
    「キャベンダー」の妻が火災事故で死んだあと、その弟「フレッチャー」が同じ町に引っ越してきて脅迫してきた… それ以来、「キャベンダー」は眠れなくなり、それを解決するために「フレッチャー」を訪問した、、、

    その後、二人は言い争いとなり、足が不自由で車椅子で生活している「フレッチャー」は拳銃を取り出し、争っている中で「キャベンダー」は「フレッチャー」を撃ってしまう… しかし、それにより「キャベンダー」は久しぶりに安眠でき、深い眠りにつくことができる。

    だが、「キャベンダー」の寝タバコがもとでホテルが出火… ぐっすり眠っていた「キャベンダー」は… 眠りに殺されちゃいましたね。


    『17 処刑の日』
    妻殺しの男の死刑を勝ち取った駆け出しの検察官「ウォーレン・セルヴィ」… だが、初めての大きな仕事を達成して満足する彼の元に「あっしが彼女を殺したんでさ」という老人「アーリントン」が現れ、「セルヴィ」は困惑する、、、

    しかし、処刑の当日、「アーリントン」が連絡してきて、真実を告白するために警察に行く決心をしたという… 慌てた「セルヴィ」は「アーリントン」を抑えようとするが。

    まさか、虚言癖のある老人だったとは… エリート検事の傲慢と弱さが自らの足元を掬ってしまいました。



    ホント、飽きずに愉しめる17篇でしたね… ちなみに、『アルフレッド・ヒッチコック劇場』における「アルフレッド・ヒッチコック」の哲学は、以下の5点だそうです、、、

     1 殺人はきれになものじゃない。
     2 暴力は、正当な理由がなければ退屈である。
     3 本当の気難し屋はひとりもいない。
     4 犯罪は引き合わないが、楽しいものであることは確かだ。
     5 遊びが大切だ。

    本作品に収録されている作品は、この哲学が体現できている作品ばかりなんでしょうね。

    特に印象に残ったのは、、、

    『2 金は天下の回りもの』、『7 不在証明』、『8 恐ろしい電話』、『10 気に入った売り家』、『14 親切なウェイトレス』の5篇ですね… 面白かったなぁ。

    『アルフレッド・ヒッチコック劇場』を観てみたくなりましたね。

  • 面白いですよ。なんと言ってもヒッチコックのお気に入りの短編集ですから。ぜひ読んでみて下さい。おすすめです。

  • ちょっと古い型のショートミステリー。
    ひねりが効いてて、私は好き。

  • ヒッチコックのお気に入りを集めたものだそうで。

    ヒッチコック劇場で見たらまた違うのかもしれないけど、うーん。面白くないわけじゃないけど、ラスト寸前でなんとなく結末が読めちゃうものが多くて。「どこかで読んだことある」「古臭い」感が・・・

    きっとこっちが元祖で、これらのパクリの方を日々目にしているんでしょうけど、21世紀の日本ではもっと過激に進化しているものに囲まれているせいで、感性が鈍っているのかもしれません。

  • <鮮やかにして爽やか、デリシャスサスペンス!>


    『うまい犯罪、しゃれた殺人』(1960)とは、広告代理店勤めで兼業作家&脚本家として活躍した、ヘンリイ・スレッサーの傑作集です★
     数あるスレッサーの短篇から、あのヒッチコック監督選りすぐりの17本がおさめられた<ベスト・オブ・スレッサー>的な趣向✧ すべてテレビドラマ化されたため、お気に入り作品を映像で探す楽しみもあります♪

     ヒッチコックはでかでかと自分の名前を載せ、堂々と序文を寄せていますが、この編纂は事後承諾だったとか。ヘンリー・スレッサーが『アルフレッド・ヒッチコック劇場』におけるメイン脚本家の一人だったからであり、また、自身が抱えるパルプ誌『ヒッチコック・マガジン』における大事な看板作家でもあったからで、要するに……ヒッチ氏は勝手な人です(笑)!

     中を開けると、この監督でなくても喜びそうな、うまいスリラー、よだれわき起こるサスペンスが、ぎっちぎちに詰めこまれています★
     犯罪者、殺人者、詐欺師、ギャンブラー、ワルい人々がいっぱい登場! 平凡な暮らしを営む人間としては、なるべくお近づきになりたくない類の人々です。
     ところがだ。スレッサーの抑制のきいた筆致、気のきいた描写——いっそ演出と言ってもよさそう——にかかると、彼らの立ち回りは不思議と近しく感じられてしまうのです☆
     こういった本を、血なまぐさい事件とは全く無縁の日々から、たとえばお風呂の中ででも呑気にめくる楽しみといったら格別。殺しを扱っても血なまぐささを感じさせない、スレッサーの「軽さ」の妙あってこそ、ですね。

     スパイスをたっぷり塗したラストも特徴的。あまり「オチ」とは呼びたくないです。話はオチるのではなく、最後の最後になって思わぬ方向に「フッ」とキレるような感じを受けます。キレる……ここでは称賛の意味で☆ 鮮やかにして爽やかさえあるブラックテイストは、まさに「うまい」「しゃれた」犯罪です★

  • 4

  • ヒッチコックが厳選した傑作集だそう。
    どの話も、オチが効いてて面白かった!
    しかし、犯罪者というやつは、ほんと安定した職に就いてコツコツ毎月決まった給料をもらうっていう生活が嫌いなんだね……。

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著者プロフィール

Henry Slesar

「2007年 『最期の言葉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ヘンリー・スレッサーの作品

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