はなれわざ (ハヤカワ・ミステリ文庫 フ 8-3)

  • 早川書房
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感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (511ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150730031

感想・レビュー・書評

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  • ジュゼベルの死しか読んだことなかったけどコックリル警部のシリーズってこんなにおもしろかったっけ!

    イタリアの島へツアーに行ったコックリル一行。ホテルでツアー参加者の1人が殺される。容疑者となった面々が決裂したり結託したりするのがまずおもしろい。どの人物も隠し事があり、それゆえ誰もが怪しく見えるが同時に誰もが愛しく感じられる。コックリル警部も、言葉の通じない島民に目撃証言をとるために、変装したりモノマネしたりとお茶目なところも。


    フーダニットがよく出来ていた。また、コックリル警部の監視下をどう切り抜けたかという謎や、手すりに丸めて置かれていた水着の謎に対して、死亡時刻が予想より前だったいうからくりは見事だった。
    この本の太陽的存在に描かれているルーリーだが、本物が出てきていたのは最初の数十ページだけだったとは…
    また、真犯人が途中で自白しているのに周りが逆の意味にとったというのがよく出来ている。その部分を読み直すと、たしかに真犯人の自白の仕方はどちらの意味にもとれるのだ。


    真犯人のヴァンダレインがルーリーを演じはじめてから、周りの人達がなぜかルーリーに魅力を感じれなくなっていたというのはなんとも悲しい。

    それにしても、妻のいる前であんなに堂々と不倫出来るのはすごいな。

  • 世界ミステリ作家事典 本格派篇では、ブランドのほかの作品より若干落ちると紹介されているが、そんなことはない!確かに実現性という意味ではどうかと思う部分があるが、そんなの分かってのこのタイトルがつけられているのだろうし。他の作品に比べてサスペンス性が優れており、野球場で試合が始まったのも気にせずに一気に読んでしまった作品です。

  • コックリル警部が休暇でイタリアを旅行中に同じグループの旅行者が殺された事件。登場人物は限られており、コックリル警部自身がビーチで全員を監視できる立場にいて、全員のアリバイを証明するという異例の事件。まさに「はなれわざ」の殺人で、誰が、どうやってやったのかという謎。使われているトリックは二重の錯誤を使った巧妙なものだが、そのうちの1つの錯誤の方にはかなり無理があり、「普通、誰かが気づくでしょう」と感じる。実際に、コックリル警部ともう1人が気づいたわけだが、すぐに気づきそうなもの。
    真相を二転三転させており、事件の見せ方にも工夫が見られる。
    ただ、1つしか殺人事件が起こらないのに(傷害事件がもう1件起こるが)長々と引っ張って中弛みと感じることや、ルーヴァンとヴァンダの容貌が瓜二つであることが読者には随分遅くなってから明らかになること、コックリル警部から見られずに犯行を行いうる人物が実際にはいたことが後で明らかになるなど、不満点もあった。

  • 話しはまずまず面白いけど、そんなすごいトリックとは思えない。

  • 過去の既読本

  • 休暇をすごすため、イタリア周遊ツアーに参加したスコットランド・ヤードの名警部コックリル。だが、事件が彼を放っておかなかった。景勝で知られる孤島で一行のひとりが何者かに殺された。地元警察の捜査に不安を感じたコックリルは自ら調査に乗り出すが、容疑者であるツアーの面々は、女性推理作家やデザイナー、隻腕の元ピアニストなど一癖ある連中ばかり…ミステリ史上に輝く大胆なトリックで名高い、著者の代表作。

    このミスディレクションは効いた。解説にもあったが作者の厚かましさといったらもう。不可能犯罪、推理合戦、自白合戦、犯人の狡猾さ…今まで読んだ名作のいいとこどりしたような、素晴らしい作品だった。

    作者の計算高さには恐れいってしまう。ぜひとも皆様も騙されてほしい。
    挿絵がまたいい味をだしています。絶対不可能犯罪じゃんと保証してくれるのである。

  • 確かにはなれわざなんですが、予想できる感じです。翻訳だからかもしれませんが、文章も読みにくい

  • ハヤカワ書房のミステリ・ハンドブックで紹介されているのを見て,ずっと読みたかった海外ミステリ。なかなか売っている本屋を見つけることができなかったけど,ブックオフで発見し購入。2003年6月発売の初版本でした。手に入れることができたのはラッキーだった。ありがたや。
    著者のクリスチアナ・ブランドは,一般的な知名度以上に,ミステリマニアやミステリ作家の人気が非常に高い作家という認識。個人的には,創元推理文庫の「招かれざる客たちのビュッフェ」という作品を高校時代に読み,当たり外れはあったものの,なかなか雰囲気がいい作品を書くな,と思った作家である。
    「はなれわざ」は,そのブランドの代表作の一つ。スコットランド・ヤードのコックリル警部が探偵役を務めるシリーズの1作だが,物語の舞台はイタリアの架空の島,サン・ホアン・エル・ピラータ島。休暇を過ごすためにこの島を訪れたコックリル警部が殺人事件に巻き込まれる。クローズド・サークルっぽい雰囲気のフーダニット作品で,容疑者は6人。果たして誰が犯人なのか?
    物語を彩るのは,片腕を失ったピアニスト,レオ・ロッドをめぐる恋の物語と,ルーヴァン・パーカーという作家の秘密。トリックは,被害者と犯人の入れ替わりなのだが,その伏線としてレオ・ロッドの変心を持ってきたり,そもそも入れ替わりというトリックそのものをダミーの解決にっもってくるなど,まさにはなれわざ!
    ただ,翻訳物のさがなのか,訳者との相性が悪いのか,文章があまり肌に合わず,読みにくかったのが残念。読む前の期待度が高すぎたこともあり…★4まではいかず,★3で。

  • やられた!

    容姿が似ている二人が出たのなら疑うべき入れ替わりをうまい具合に逸らされた。容疑者それぞれに隠れた真実があるため、その秘密と人間関係の描写がこの作者の特徴らしい。
    次の作品もいつか読もう。

  • 「意外な結末」「どんでんがえし」のキーワードで良く紹介されるミステリ古典。
    気になってたので読んでみたけど・・・あれれ、全然意外じゃないよ・・・。
    1955年当時であれば斬新だったんだろうなぁ。
    そういう意味では、すっかりスレてしまった自分の感性が残念。
    でも、このトリックなら1/5の厚さで良いんじゃないかと率直に思う。

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著者プロフィール

Christianna Brand

「2007年 『ぶち猫 コックリル警部の事件簿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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