黄色い部屋の秘密〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

  • 早川書房
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本棚登録 : 337
感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (515ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150730543

作品紹介・あらすじ

完全密室からの犯人消失。これぞ密室ミステリの嚆矢。少年探偵の名推理を最新訳で贈る

感想・レビュー・書評

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  •  密室殺人ミステリーの古典的名作とされる一冊。初めて読んだが、「あ、なるほどね。」といういい意味で言われてみれば確かに、という盲点をつかれた。110年以上前に書かれたことも踏まえれば、今読んでも楽しめると思う。最後は結末が気になって一気に読んでしまった。
     ちなみに、主人公の少年記者ルールタビーユものは、本書の続編の「黒衣婦人の香り」を含めて数作あるが、必ずしもミステリーとして書かれているわけではなく、本書と上記の続編を除くと、邦訳もほとんどなされていないようだ。その辺の背景は、続編のネタバレ的に本書のあとがきに詳しく書いてあって、納得した。「少年記者ルールタビーユ」で本格ミステリーものが量産されていれば、結構人気が出たかもしれない。ルールタビーユのキャラは好き嫌いがはっきりしそうだけど。
     

  • 時代が時代なので情報の後出しや超展開、リアリティに欠くトリックなど突っ込みどころは多いが、ルールタビーユのいかにもな名探偵ぶり、それを盛り上げる議論、法廷場面の演出、巧みな話運びなど「探偵小説」として楽しめる。三津田信三など後世の作家への多大な影響も読み取れる点にも価値がある。

  • 完璧な密室に、目の前で消える犯人…
    絶対にありえないはずの状況に、あくまでも『論理』に従って謎を解いていくルールタビーユが最高にクール。
    歴史に名を残していることだけあって、これは間違いない名作です。トリックも期待以上のもの。
    新訳版を購入して正解でした。とても自然かつ秀逸な訳で翻訳物独特の読みづらさを全く感じなかった。こんなにページをめくる手がとまらなくなったのは、とても久々。読み終わったあとも後引く面白さに、にやにやしてます。

  • 真夜中、令嬢の寝室から助けを求める悲鳴と銃声が響いた。居合わせた父親らがただ一つの扉を打ち破って部屋に入ると、令嬢は昏倒し、部屋は荒らされ、黄色の壁紙には大きめの血染めの手形が……だが部屋は完全な密室で、犯人の姿はどこにもなかった!18歳の少年記者ルールタビーユが、この怪事件に挑む!密室ものの嚆矢として、常にオールタイムベストの上位に名を連ねる名作中の名作ミステリーが、最新訳でここに登場!
    (裏表紙より)


    ルールタビーユの物事の〈正しい論理の輪〉に物事を入れていくという考え方は、非常に参考になった。
    超自然的要素を取り入れない事、
    輪の中で事実や物証が必然的な繋がりを持ち、しかも互いに矛盾していない事。
    その様な考え方をみにつけたいものだ。

    令嬢の秘密を守るために、ルールタビーユが犯人の口を封じる事を目的としている場面が斬新だなぁと思った。

    (2016/4/21 読了)

  • ガストン・ルルーは当時ルブラン(ルパンの作者)と競う合うような作家だったのか。この小説にもルパンのような世間に知られた「怪盗」がでてくるし、高校生くらいの歳をした探偵ルールタビーユみたいなキャラクターは逆にルパンシリーズの「奇巌城」にも出てくる。

  • 初めて完全な密室を取り入れた歴史的価値のある作品。「黄色い部屋」の密室殺人未遂事件だけでなく、T字型廊下での瞬間人間消失事件も心理的な盲点を突いたトリックで素晴らしいと思います。
    しかし、読者が推理に参加するためのデータが全て提示されないですし、犯人が被弾しているのに身体検査をしない、わざわざ犯人を逃がす必要があるのかなど首を傾げたくなる部分があり、推理小説としての評価は今一つと言わざるを得ないと思います。

  • 完全な密室らしいのでとんでもないこじつけトリックが明かされるのかなと思っていたら、意外と常識的というか、現実寄りな真相だった。
    事件解決に至るまでの紆余曲折の中に予期しないストーリーが隠されていて、二重に楽しめた。

  • 新聞連載作品なので、引っ張る引っ張る。
    トリックが若干大雑把なのは時代的に仕方がないか?
    (アガサ・クリスティーの20年くらい前)

  • 2021/11/29日読了。フランス人のガストン・ルルーの作品。いやあ、読了に辿りつくのに時間がかかってしまった。古典とミステリー小説の原点とも言える密室事件の謎解き。本作の主人公はパイプをふかして…。なんと18歳の少年記者ルールダビーユー
    。彼の取り組み姿勢は、なんにあたっても論理を裏付ける(目に見える証拠)を見つけることだ。求める対象が『正しい論理の輪』に入っているかどうを追求する洞察力が何より大切と説く。まあ、時代背景も20世紀初頭あたりだから現代の化学捜査とは違って謎解き小説としては格好な時代でもある。まずは完読出来てほっと。

  • 古典ミステリを読もう企画。

    読みにくかった。
    いちいち「こんなことがあるなんて!」的な感情文が入るので全然文章が頭に入ってこない。
    探偵役ルールタビーユはキャラには合ってるけど、やっぱり同じような感じでセリフを言うので、謎解きも頭に入らない…

    密室の謎としては、今では王道トリック。
    当時は斬新だったのかな?だとしたら古典ミステリとして名が上がるのも理解は出来る。
    解説にもあったように、やはり文章の古臭さは批判されていたようだ。

    読みにくさと現在だと目新しくないトリックのため、面白いとは思えなかった。

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著者プロフィール

Gaston Leroux(1868-1927)
パリ生まれ。「最後の連載小説家」と称されるベル・エポック期の人気作家。大学卒業後弁護士となるが、まもなくジャーナリストに転身。1894年、《ル・マタン》紙に入社し司法記者となり、のちにこの日刊紙の名物記者となる。評判を呼んだ『黄色い部屋の謎』(1907年)を発表した年にル・マタン社を辞し、小説家として独り立ちする。〈ルールタビーユ〉〈シェリ=ビビ〉シリーズの他、『オペラ座の怪人』(1910年)、『バラオー』(1911年)等のヒット作がある。その作品の多くは、演劇、映画、ミュージカル、BDなど、多岐にわたって翻案されている。

「2022年 『シェリ=ビビの最初の冒険』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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