漂う提督 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

  • 早川書房 (1981年3月31日発売)
3.53
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感想 : 7
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Amazon.co.jp ・本 (480ページ) / ISBN・EAN: 9784150738013

感想・レビュー・書評

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  • クリスティー、クロフツ、セイヤーズ、ノックス、バークリーなど錚々たる豪華ドリームメンバーのリレー形式の長編本格ミステリー!!

    1つ前のレビューで書いた〈ディテクション・クラブ〉の黄金時代の巨匠たち13名が、各章を書き継いだ1作のリレー長編本格ミステリー。

    執筆にあたってのルールは、2つ。
    1つ目は、各担当者は「解決法」を考え出した上で、自分の担当する部分をその線に沿って構成しなければならない。(単に事件を難しくするだけのために複雑化させないため)
    その「解決法」は決して他の人に知らせてはならない。

    2つ目は、以前の担当者が設定したすべての問題点を忠実に取り扱うこと。

    他の作家たちが各々想定した「解決法」を知らないまま引き継がなければいけない、というめちゃくちゃ面白い設定。

    その担当者が「犯人」だと考えている方向に進むので、担当者が変わる度に怪しい人が変わっていく。
    普通はミスリードで犯人以外を怪しくさせるけど、このリレー形式の場合は各々が本気で犯人だと想定して書いているところが面白い。

    次の担当者が書きやすいようにする終わり方と、受け取る担当者の自然な繋ぎの書き出し。巨匠たちの巧みなバトンパスに痺れる〜。

    バトンが変わる度に「さぁ!続きはオレに任せとけ!!」みたいなリレーならではの巨匠たちの気迫を感じる。
    それぞれの特徴は出すけど、文体などは違和感がないのはさすが。

    そして推しのクリスティーとバークリーまで入ってる!最高!!
    クリスティーになった途端に登場人物の女性が生き生きして感じる(^.^)もっと読みたいのにすぐ終わっちゃう。

    バークリーは1番大事なアンカー担当!
    各章が進むほど複雑化していくので、まとめるのは鬼のように大変なアンカーをバークリーは匠の技できっちり見事にまとめている。
    さすが多重解決の巨匠!!格好良い!!

    最後に各々の解決法が掲載されていて、それを読めるのも楽しい。(クリスティーの解決法はクリスティーらしくて面白かった)

    〈ノックスの十戒〉のノックス様も入ってるので、他のメンバーは十戒を絶対に破ってはいけない圧を感じそう(^^)

    これは作家たちの娯楽と交友だけが目的で企画されたという。
    ディテクション・クラブは、何て先進的で知的でユーモアに溢れたクラブなんだろう。こういう遊び心大好き。

    巨匠たちが交流している姿を想像するだけで楽しくなってしまう。
    この小説についてみんなで盛り上がっただろうなぁ♡⁠(⁠>⁠ ⁠ਊ⁠ ⁠<⁠)⁠♡
    阿津川さんと斜線堂さんの競作『あなたへの挑戦状』の「競作執筆日記」のような、それぞれの巨匠の執筆後の感想が読みたくなる。

    巨匠たちが集まり、協力して1つの作品をつくっている感じがアベンジャーズっぽくて、最高に格好良い!!!
    こんな無理難題も楽しんでしまう作家たちに尊敬の念が更に深まった。

    未読の巨匠たちを読めたのも嬉しい。
    クロフツの倒叙なども読みたくなった。
    やっぱり英国ミステリが好きだー!
    作家さんって本当に格好良い!!と思う作品だった。
    (興奮して「!!」が多いのとレビュー長くて失礼しました^^;)

    小説★3+企画の面白さ★1+作家の格好良さ★1=★5

    • Naotyさん
      『探偵小説の黄金時代』すごく面白そう!!
      教えていただいてありがとうございます
      \(^o^)/

      この本を以前に111108さんの本棚で見た...
      『探偵小説の黄金時代』すごく面白そう!!
      教えていただいてありがとうございます
      \(^o^)/

      この本を以前に111108さんの本棚で見た時には、まだクリスティーしか読んでなくてディテクション・クラブのことを全く知らなかったのでよくわからなかったんですが、今はすごく興味があるので読んでみたいです(≧∀≦)

      ディテクション・クラブの暴露本みたいな本なんですね!
      111108さんでも未読の作家がたくさん出てくるなんて、私にはまだだいぶ早そうですがまた我慢できずに読んでしまいそうな気がします笑

      「皆で面白いものをつくって楽しもうとしていた」もうこういうエピソード大好きです♡
      3人の私生活まで読めるなんて(≧∀≦)

      私はまだセイヤーズは未読で何だか難しそうだなと思っていましたが、111108さんが大好きと聞いていつかチャレンジしたくなりました。
      2024/10/19
    • 111108さん
      『探偵小説の黄金時代』、確かに「読みたい!」という時に興味ある部分を拾う方がぐんぐん読めそうですね!Naotyさんの好奇心でどんどん読んでい...
      『探偵小説の黄金時代』、確かに「読みたい!」という時に興味ある部分を拾う方がぐんぐん読めそうですね!Naotyさんの好奇心でどんどん読んでいく姿、かっこいいです(≧∀≦)

      セイヤーズというよりピーター卿と仲間たち?というキャラクターに惹かれてます♪機会があれば覗いてみてください。
      2024/10/19
    • Naotyさん
      ありがとうございます(#^.^#)
      好きになるとつい熱中してしまうオタク気質なので、今はディテクション・クラブが気になって仕方ないです(≧∇...
      ありがとうございます(#^.^#)
      好きになるとつい熱中してしまうオタク気質なので、今はディテクション・クラブが気になって仕方ないです(≧∇≦)

      『漂う提督』に入会儀式のことがサッと書いてあるだけだったので詳細が気になるし、癖の強いバークリーの困ったちゃんも読むのが楽しみです♪

      こういう情報を教えて頂けて、一緒にお話できることも嬉しいです(≧∇≦)

      ピーター卿はキャラクターが楽しいんですね♪また楽しみが増えました^_^
      2024/10/19
  • 黄金時代にクリスティー、セイヤーズ、クロフツ、バークリー等の大物作家によって書かれた連作小説です。
    錚々たるメンバーの名前を見ているだけで期待感が高まります。
    事前の相談は一切なしで書かれたようですが、それでも面白く読めるものに仕上っています。
    内容はざっくり言うと川を漂っている提督の死体が発見され、ラッジ警部が事件を捜査をしていくというものです。
    各々の作家は自身の思惑で各章を書いたようなので、最後の章の解決編を担当したバークリーはさぞ大変だった事でしょうが、その手腕は素晴らしいものです。
    いろいろと出された謎や問題点に綺麗にスッキリとした答えを出しています。
    各章担当の作家がそれぞれで結末を予測した予想解決編が巻末にあるのも見所です。
    ただ、連作なので仕方ない事なのでしょうが、書く人によって登場人物の印象が若干違っていて、読んでいて少し違和感がありました。
    豪華なミステリ作家達の遊び心が楽しめる1冊です。

  • クリスティー、セイヤーズ、チェスタトンにクロフツ、バークリーと豪華な面々が揃ったリレー小説。
    まぁ、結末判らずに13名の方々がリレー小説書いていくので、冗長な感じは否めませんが、書き散らかされた割に、まぁまぁ綺麗に纏めてますね。さすがバークリー。
    クリスティーの描くお喋りおばさんが、クリスティーらしくて見事だったり、それまで誰もノータッチだった鉄道部分のネタに異様に食いつくクロフツ。ノックスに至っては、中国人を犯人にしてはいけない説を作者ノートで主張していたりと、各作家の色が出てて面白かった。

  • アガサクリスティをはじめとする「探偵倶楽部」に参加する推理小説家による連作。
    アガサクリスティの番に鳴ったら、途端に噂話の好きな人に話題がいき,アガサクリスティらしさが漂った。

    最初に訳者あとがきを読んだので、作者が変わることに対して、さほど違和感なく読み進むことができた。

    最後の方で,未整理な事もあるが,一人で書いた場合でもあることなので大目に見ると良いかも。

    新たに読む作家を知るのによい。

  • リレー小説集。
    豪華な面々がそろっています。

    事件はボートの上で
    一人の提督が殺されているところから
    はじまります。

    なぜボートに乗っけられているか…
    という不自然な状況が
    事件をさらに推理しにくいものにしています。

    ちなみにこの作品、
    完全な解決を見ません。
    そして物語が終わって
    その後を見ると、不自然にページが
    多いですね。

    実がそれがメインです。
    そう、いつもとは逆のことを
    しているのです。
    推理小説作家が事件を推理しているのですから。
    これは貴重ですよ。

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著者プロフィール

1931年東京生まれ。東京大学文学部卒業。訳書に、J・G・バラード『結晶世界』(創元SF文庫)、アンソニー・バージェス『1985年』(サンリオ文庫)などがある。

「2013年 『憑かれた女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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