マダム・タッソーがお待ちかね (ハヤカワ・ミステリ文庫)

  • 早川書房
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本棚登録 : 121
感想 : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150747039

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  • クリッブ部長刑事は、すでに死刑が確定している毒殺事件の再捜査を押しつけられる。極秘捜査のゆえにたちはだかる難関の数々。そして、死刑執行の刻限が迫る。
    ヴィクトリア朝時代のスコットランド・ヤードを描くビンテージ・ミステリ。ラヴゼイのなかでもかなり好きなシリーズである。今回は重要なシリーズキャラクターであるサッカレイ巡査が登場しないのがちょっと寂しいが、それでもやっぱりおもしろい。死刑執行人の絡み方など、絶妙。
    ミステリは虚構を楽しむためにあるので、実人生からできるだけ遠い話が望ましい。生々しい話、苦手だし。その意味で、歴史を舞台にするのはたいへん趣旨に適ったことだと思う。それに、歴史ミステリにはハズレが少ないような気もするのだ。ある程度の力量がないと書けないからか。単に歴史が好きなのか。

  • 地味ながらさすがラブゼイというべきか。
    自白し死刑執行を待つ女ミリアム。ある決定的事実からクリップ部長刑事が再捜査するお話。
    『幻の女』彷彿とさせる…なんてことはなかった。

    2作目ながらラブゼイのある特徴がわかってきた。こういうのがお得意なのね…
    目が眩むような邪悪を潜ませ、ユーモアミステリとして包み込んだひねり具合ったらもう。
    時代に触れることが好きなのでヴィクトリア朝が生かされているのもまた堪らない。

    犯人の企みに死刑執行人がクロスしたまさにその時!!
    生ハムメロン的なカタルシスが…(なんのこっちゃ)

  • 海外ミステリは,「早川・ミステリハンドブック」を参考に,高校生時代に読みあさった。「マダム・タッソーがお待ちかね」は,当時から読みたいな…とは思っていたけども,読む機会を逸し,やっと読むことができた。
    高校時代はあまり気にならなかったのだが,海外ミステリは,人物の名前が覚えられない。ファーストネームで呼ばれたり,ニックネームで呼ばれたりするともうお手上げ。この人,誰だっけ?となってしまう。
    この作品は登場人物が少なかったのでなんとかなったかも。翻訳ミステリも,また,読んでいきたいなと思うのだが,この辺りの苦手意識をなんとかしないといけない。
    「マダム・タッソーがお待ちかね」は,殺人犯として逮捕され,自白に基づいて死刑判決がされたミリアムという女性についての話。内務大臣のところに,ミリアムが毒殺をできなかったと思わせる証拠となる写真が送付される。
    冤罪での死刑は御法度。死刑まで数日というところでクリッブ部長刑事に再捜査の依頼がされる。
    真相は,一度有罪になり,最後の最後でこの鍵の件で判決をひっくり返し,一事不再理の原則により未来永劫に有罪を免れようとした話というもの。一見,淑女のように描かれているミリアムという女性が,本当は悪女であるという意外性。この,女性に対する覚めた味方は,「苦いりんご酒」や「偽のデュー警部」でも感じられたので,ピーターラヴゼイの特徴なのかも。
    国産ミステリをたらふく読んだであろう日本のミステリマニアには物足りない部分もありそうだが,ラヴゼイの作品は分かりやすくて結構好き。もともと,高校時代から海外ミステリ好きだったという点から,評価が甘いのかもしれないが…。★3で。

  •  本日、ピーター・ラヴゼイのマダム・タッソーがお待ちかねを読了しました。

     内容は、自白し死刑囚となったミリアムが犯した殺人事件について、彼女が殺害できなかったとかんがえられる写真が送られてきた。クリッブはその調査について乗り出すが、調べていくうちにミリアムという女性や夫などについて、新しい事実が浮かび上がってくるが――。
     まず作品について触れる前に、末尾の解説から下記の文を引用させていただきたい。

    --------------------------------------------------------
    ゲームから小説へ。簡略にいえば、これがここ数十年の英米ミステリの流れである。~中略~ その中で、ゲームでなければ面白くないと主張するのは例えていえば、現代のプロ野球において「ピッチャーは先発完投型でなくてはダメだ。連投もやらなアカン。リリーフなんか無用」と唱えるのと同じぐらい、古めかしく、みすぼらしいことである。
    --------------------------------------------------------
     この作品を読んで思ったのは、まさにこのことでした。

     これまで、現代英ミステリを読んでいてほとんどの作品に対して、退屈さを感じてきました。それは、まさにこの文章が表している通り、意外性のある結末が据えられておらず、ゲーム性が失われているからなんだ、というのを本作で気付き、また、これが退屈してしまう原因なんだなと思いました。
     とはいえ、本作はそれがあまりない作品でした。クリッブ部長刑事が事件の内容について収集し、それをまとめあげた結末へとなるスタイルですが、それぞれの人物の会話だったり、描写が丁寧で読みやすかったです。
     上述したとおりのことがあり、意外性についてはイマイチだったりするのですが、最後の一手についがこの作品の集大成であり、伏線がちょこちょこと張られているのだなと気づきました。これを現代英ミステリで気づいたのが初めてで、ちょっと驚きました。
     こつこつと情報収集するタイプの作品でしたが、読みやすく面白い作品でした。

  •  死刑囚の犯罪に疑問を抱かせる物証が出てきて、クリップ部長刑事が事件を調べなおし、真相を探る話である。ミステリでも推理小説的でなく、社会派サスペンス的だった。
     題名にあるマダムタッソーとは蝋人形館であり、その死刑囚が処刑されるとき、その蝋人形を展示する場所である。話の舞台は19世紀であり、蝋人形を見るために2万人集まる。今から考えると異常に感じた。
     話の中でときどき絞首刑執行人が出てくる。事件に関わってくるのかと思えば、最後まで事件関係者には知られないまま終わる。思わせぶりに感じた。しかし、彼がいたから本の中の世界観が広がったように感じた。

  • 厚くて、読んでいる途中で話を見失った。時間のあるときにじっくり読みたい。

  •  例によって、エリザベス朝時代のイギリスを舞台にしたミステリ。今回は、毒殺とか死刑囚とか監獄とか蝋人形とか、ちょっとおどろおどろしいネタが盛り合わせてあって、その不気味さがなかなかいい味である。怖いというわけではなく、そこはかとなくブラックなユーモアが漂ってくる感じもいい。

     犯行を自白し死刑が決定した美女。彼女が死刑になる前に無実を証明し監獄から救い出すために、ごくかすかな手がかりをたくり寄せていく、冴えないけれど天才的な刑事。ある意味ありがちな設定なのかもしれないけど、エリザベス朝を舞台にしているだけに新鮮に感じる。

     なんて余裕を持って、まあいわば才人ラウゼイの「お手並み拝見」みたいな気分で読んでいたのだけど、いやあ、結末でひっくり返った。トリックというほどのトリックではないのだけど、見事に盲点にはまってしっていたのは確かだが、それ以上に意表を突かれたのは、プロット自体に密接に関わっている○○な犯人だろう。

     偶然の皮肉みたいなひねりも見事に決まっていて、そういわれてみれば、本のタイトル自体が、みごとにはまっている。

     傑作の名に恥じない印象的なミステリだと思う。
    2009/9/10

  • クリッブ刑事 ヴィクトリア朝1888年 ロンドン

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