殿下と騎手 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

  • 早川書房
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感想 : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150747053

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  • ヴィクトリア女王の皇太子バーティが探偵役。
    ピーター・ラヴゼイの歴史ミステリ。
    ヴィクトリア女王の本を読んだので~手持ちの本の再読です。

    1886年11月、皇太子はすでに45歳。
    ヴィクトリア女王は68歳で即位50周年を前にしている。25年前に夫が亡くなった後は喪服姿で閉じこもり気味なのだが、皇太子には政治に参画させない。
    バーティことアルバート・エドワード(後のエドワード7世)は遊び上手で明るく、国民には人気がないでもないが~尊敬はされていないかも。
    ダービー優勝馬を3度も出しているというのは、たいした遊び上手!

    名騎手のフレッド・アーチャーが自殺。
    前月のレースで、本命視されながら、穴馬に敗れていた。
    腸チフスでの一時的錯乱という評決に疑問を抱いたバーティが、周辺を探ります。
    (この自殺事件は実際にあったことだそう)
    アーチャーは天才肌で、その性格描写は全く良い所なしで1ページも続くのだけど、自殺するようなタイプではないということ。

    莫大な物と思われた財産はその何分の一しかなかった。
    一体何に使ったのか?
    賭け事説、恐喝説も出るが…
    お忍びで、アーチャーと親しかったバックファスト大佐を引き連れて街へ出て証拠を探し、容疑者のライバル騎手アビントン・ベアードの愛人マートルの話を聞きに、場末の劇場へも出かける。
    マートルは、オウムを使う手品師だった。
    ベアードはアマチュア騎手だが柄が悪く、何をするかわからない男。アーチャーに憧れて近づいていたが、共同事業を断られたという。
    馬主のキャリー・モントローズ公爵夫人は、68歳だが、アーチャーとの結婚を考えていたらしい。
    (この女性も実在して、70歳で別な男性と三度目の結婚)

    捜査の渦中で手に入れたオウムを、王妃の誕生日プレゼントにちゃっかり流用するバーティ。
    これが「プリンス・オブ・ウェールズ万歳!」と叫ぶため、長いこと練習させたのは愛情の証しと、王妃を感激させることに。
    (これも実在したオウム!長生きしたそうです)

    気むずかしいヴィクトリア女王の機嫌取りに苦労するバーティ。
    信頼されない理由もあったんですけどね。しかし、次弟の方がまだ少しは権限を与えられていたとは。
    バーティの長男にはやや問題があり、新聞にも悪評が出ていて、憤慨したり。(この長男は切り裂きジャック事件の犯人説も出た人)
    けっこう苦労してるんですね。

    最初に読んだときには、王妃のアリックスとの間には愛情がないような印象でした。
    大人になってから読むと違いますねえ。ちょっと困った旦那さんだけど、夫婦愛はある様子。王妃の方に恋人がいるというのには驚き。プラトニックなので気にしないと皇太子。

    皇太子の性格から来るのか?軽やかな雰囲気で~ユーモラスな冒険物になっていて、史実を程よくちりばめていく着実さで、安定した読み心地。
    時代的には、まさしくホームズもの最初の作品発表(1887年)直前。この時代に興味があれば、なお面白いです。

    著者は1936年生まれ。
    「死の競歩」「マダム・タッソーがお待ちかね」とヴィクトリア朝を舞台にした作品からスタートしたラヴゼイ。
    歴史ミステリが多く、ほかに後のダイヤモンド警視シリーズでも知られます。

  • こちらもまた、先日からのめり込んで読んでいる
    丸谷才一さんの『快楽としてのミステリー』で知って、
    いてもたってもいられず、読んだ作品。

    ホームズシリーズや、ディック・フランシスの作品を読むにつけ、
    英国人にとっての、ねえ、競馬って言うのは…ねえ、
    …ほら…、ね?、なんだかすごいものなんでしょう?

    日本人で言うところの…
    野球と大相撲を足して割った感じで、どうですか?

    ストーリーは、
    名実ともに兼ね備えた騎手、フレッド・アーチャーが
    チフスの高熱から来る錯乱で自らの命を絶った、
    と言うニュースを聞いた皇太子バーティは、
    疑念を抱き、自らの手で真相を探るべく行動を開始する…

    探偵小説にはあるまじき展開になるにつけ、
    「…こう言うの、なんて言うんだったかな…?」と
    頭の片隅で…

    そして思い出した、「生兵法は怪我のもと」だ!

    実在の皇太子が探偵と言う斬新さ、
    英国王室、上流階級の秘密めいた部分がちょいちょいあって、
    自分では気付かない部分も解説で教えてもらえたけれど、
    詳しい人ならもっとクスクス出来るのでしょうね。

    いつも頼りにしている
    『東西ミステリーベスト100』(文芸春秋編1986年発行)には
    この本、チラリとも載っていないの。

    丸谷さんがこうして教えてくれなければ
    手に取らなかったはず!

    まだまだ、本当にまだまだ、私の知らない、面白い本が
    この世にはたくさんあるんだ!

  • ヴィクトリア女王治世の英国で、その長男アルバート皇太子が探偵役・物語の語り手となるミステリ。某MOOKで伊坂幸太郎さんが薦めてたので読んでみたのだけど、確かに伊坂さんが好きそうかも?なんだけど、ウッドハウスのジーブス物程、設定が活かされておらず、セイヤーズのピーター卿程トリックと話が出来ておらず・・な感じかな。続編に期待。

    登場人物が実在の人が多い、というのはちょっと面白かった。(ので、その背景も実際にあったこと、うわさされたものが多い)

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