見えないグリーン (ハヤカワ・ミステリ文庫)

  • 早川書房
3.58
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本棚登録 : 192
レビュー : 22
  • Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150753023

感想・レビュー・書評

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  • 4+

  • 海外ものは登場人物の名前がカタカナなので覚えにくくてつらい。

  • 評価
     サプライズ ★★☆☆☆
     熱中度   ★★☆☆☆
     インパクト ★★★★☆
     キャラクター★★★☆☆
     読後感   ★★★☆☆
     希少価値  ★★★☆☆
     総合評価  ★★★☆☆
     
     バカミス的密室トリックで有名な作品。トイレで,ボートに空気を入れて大きくして窒息させるというトリックは…おそらく藤原宰太郎の推理トリックの本で読んだことがあったと思う。
     トイレでボートの一発トリックだけの作品かというとそうではなかった。犯行の動機は,社会的弱者を追い出すためのイヤがらせ行為をしていたことが叔母にばれないようにするためというもの。ゲスい。ばれるとよくて叔母の遺産の相続ができなくなる。下手をすると刑務所に入ってしまうと感じたマーティンがストークスをトイレにボートのトリックで殺害。しかし,叔母であるドロシア・フェアロウはその捜査を探偵役のフィンに依頼してしまう。
     思わせぶりな伏線がしっかり回収されているが,正当派のパズラーであり,意外性はそれほどでもない。素人探偵7人衆の集まりにストークスが参加すると,マーティンの写真を見て,「こいつがグリーンだ」と気付くとしても,なんとかごまかす手段があったような気がする。殺人までするかなー。
     後の殺人の動機はさらにひどい。ダンビの殺害は,なんだ?色のつながりを確定的なものにして自分への疑いをそらすためというところだろうけど…。こんな危険な状態で殺人はせんでしょう。
     ドロシア殺害も動機が弱い。ドロシアがマーティンを信頼してしまい,被害者と犯人が共犯関係になってアリバイが成立するというトリックは面白いのだけど,トリックのための殺人という感じ。
     トリックを楽しむ作品であり小説としての面白さはない。そういった部分が,発表当時あまり売れず,隠れた名作,マニア向け作品になっている原因だろう。
     バカミス的なトリックのため,インパクトは抜群。希少価値もありそう。持っておきたい作品ではある。評価は…★3だろう。

    メモ
    〇 登場人物
    〇 素人探偵七人衆のメンバー
    1 ドロシア・フェアロウ
    →マーティン・ヒューズの叔母。素人探偵七人衆で集まる機会を作ろうとする。3人目の被害者
    2 アントニー・フィッチ
    →准男爵。既に死亡している。死んだときにやや胡散臭いできごとがあった。
    3 レナード・ラティマー
    →化学者。モノフレーク社の研究担当重役
    4 エドガー・ストークス
    →もと軍人。「グリーン」という人物の存在を恐れている。最初の被害者。トイレの中で密室殺人として殺害される。
    5 デリク・ポートマン
    →弁護士。妻はアントニー・フィッチの娘。
    6 フランク・ダンビ
    →元警官。現在は世捨て人状態。二人目の被害者。
    7 ジャーヴァス・ハイド
    →画家。フェアロウと「タナカ」という日本レストランで会う約束をしていたが,フェアロウが殺されたために会えず。その後失踪。ウェールズにある友人のコテージで絵を描いていた。
    〇 警察・探偵
    1 サッカレイ・フィン
    →探偵。フェアロウの依頼を受け,捜査を始める。
    2 ゲイロード
    →主任警部。サッカレイ・フィンに理解を示す。ホームズモノにおけるレストラード警部的な存在。
    〇 その他
    1 マーティン・ヒューズ
    →ドロシアの甥。ブレンダの婚約者
    2 ブレンダ・ラティマー
    →レナードの娘、マーティンの婚約者
    3 シーラ・タヴァナ
    →ドロシアの女中。窃盗の前科があり,ダンビ殺人の容疑者となる。
    4 ミア
    →シーラの娘。ダンビ殺し際に現場でかくれんぼをしており,シーラの供述の裏付けとなる重要な証言(「ダンビは殺害の際に「誰だお前は」と言っていた」)をする。
    〇 つながり
    1 ストークス→「グリーン」を恐れる。
    2 ポートマン→オレンジを投げ込まれる。
    3 ラティマー→職業別電話帳を切り裂かれる(弁護士)
    4 ハイド→藍の化学式が記されたカード
    5 フィッチ→墓に青い絵の具
    6 フェアロウ→盗まれた花(スミレ色)
    7 ダンビ→赤潮騒ぎの後で殺害される。
    (色の手掛かり)
     グリーンという人物の存在に意味がないと思わせるために仕組まれた。実際はグリーンという人物に意味がある。犯人はグリーンと名乗り,ストークスを脅していた人物だった。
    〇 殺人・トリック
    1 ストークスがトイレで殺害される。密室殺人
    →トリックは,ゴムボートを膨らまして窒息死させるというもの。物理トリック
    2 ダンビが殺害される。フェアロウ,ラティマー,フィン,マーティン,シーラ,ミアが訪れたタイミングでの殺害。パン切りナイフでの刺殺。殺害されるときに「いったい貴様は誰なんだ」と言っていたことから,第三者が犯人と疑われるが…実は失明しており,盲目だった(その点の伏線は豊富)。
    3 フェアロウが殺害される。死体はフェアロウの家で見つかる。フェアロウは,自分が捜査をするために,自らラティマーの家に行く。ラティマー家で,猫が入るための入り口に頭を入れたときにゴルフクラブで殴打され,それから首をしめられて殺害される。それからフェアロウ家に戻された。
    4 マーティンは,猫がむごたらしく死んだことを知っていた。猫の死に方を知っていたのはフィン以外は犯人だけ

  • 評価の高い作品だが、正直それほど面白いとは思わなかった。語り口が下手で読みにくく、物語の進行がだらだらとしていて、盛り上がりに欠ける。人物も誰が誰なのか混同し、何度も一覧表を見直した。気になったのは、ダンビ殺しの際の人の出入りがわかりにくかったこと。トイレでの殺人トリックや最後の殺人トリックは独創的ではあるものの、読者に推理できるような代物ではない。「おまえはいったい誰だ」という発言を始めとするダンビの秘密にだけは驚いたが。総じて、傑作と言われるほどの作品とは思えなかった。

  • 有栖川有栖先生のおすすめにより手に取りました。
    ミステリ好きがにやりとするくすぐりの数々、論理クイズや暗号も仕込まれ、なにより明快な論理、そして意外性もばっちり。
    ミステリという共通点で集まったさまざな属性の登場人物や、言葉遊びの数々(有栖川先生は初読、原語で読まれたそう。原語で読めばもっと楽しいだろうな)など欧米ならではの妙味もあり。
    ただ翻訳の相性のせいか、私には読み進めにくかった。

  • ネットで見かけて。

    うーん、本格ミステリということらしい。
    それはそうなのかもしれないが、
    どうも登場人物の誰にも感情移入ができずに、
    終わってしまい、
    いやだからこその本格派なのか。
    よくわからない。
    ABC殺人と同じ動機だろうと検討がついたのも、
    興味を失った原因か。

    とりあえず、
    どんなに素人探偵会に参加するほどのミステリー好きで、
    好奇心旺盛だとしても、
    信頼している人からの依頼だとしても、
    ドアについている猫の入り口から、
    いい年の女性が頭を突っこんだりする?

  • 「ミステリ十二カ月」より。作者はもともとSF作家で、これとこの前作の『黒い霊気』が唯一の長編ミステリだそうだ。黒い霊気、読もうと思ったら地元図書館2か所ともなかった。残念。いかにも本格推理って感じで面白かった。最初はちょっと読みにくかったけど。最初のエピローグ的なものが、エピローグであるというのが分かるまで、ちょっと混乱。しかし、やっぱ最初のストークスの殺し方が秀逸。ストークスの狂人ぶりもすごいけど。ああいう妄想を持つ老人も大勢いるだろうな、実際。

  • 文春ミステリ東西ベストにて紹介されていた作品、読了に難儀するもやっと読み終えた。

    海外モノにありがちな、土地、背景に馴染みがなくイメージしずらい、ページを遅らせたが読み終えてみれば本格そのものな作品だった。ありとあらゆる事象が読者を迷わせるのだが、真相はいたってシンプル。事象の正確な取捨選択が読者を真相へ導くのだろう、こういった作風は日本では有栖川有栖氏が最も近しいんではないか?と個人的に思う。

  • ミステリ好きの素人探偵会が戦争を経て、35年ぶりに再会することに。しかしその直前、メンバーの一人である老人がトイレの中で不審な死を遂げる。
    やがて残りのメンバーのところに色にまつわるメッセージが届き…。

    はい。タイトルからゴルフ関連の小説だと思ってましたw
    読んだらきちんとしたパズルものでびっくり。
    伏線もきちんと貼ってあるし、謎解きの理屈も面白かった。
    犯人は目星がついていたけど、そんなこと気にもならなかった。
    ただ、パズルの構築に主眼を置きすぎて、キャラクタが薄かったのが物足りなく…。

  • 本格推理もの。これくらいのレベルの推理小説がもっとあればいいのだけど。観光案内を兼ねた「~殺人事件」はうんざり。

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著者プロフィール

1937-2000年。アイオワ州生。SF界随一の奇才。マッドでシュルレアリスティックな短編小説で有名だが、本作をはじめとするロボットSFも高い評価を得る。84年、BSFA(英国SF作家協会賞)受賞。

「2016年 『ロデリック (または若き機械の教育)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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