サマータイム・ブルース〔新版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫 ハ 2-20)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (428ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150753702

感想・レビュー・書評

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  • 原田マハさんの『リボルバー』の文中に“ウォーショースキー ”の名前が出てきて興味を持ったので、こちらを手に取りました。
    本書は「ウォーショースキー ・シリーズ」の第一弾です。

    シカゴの私立探偵・V・I・ウォーショースキー 、通称“ヴィク”の元に、銀行家を名乗る男性が訪れて、息子の恋人が行方不明なので探してほしいと依頼してきます。
    早速調査を開始したヴィクですが、件の銀行家の息子・ピーターのアパートで彼の射殺死体を発見。さらに、依頼人の男が被害者の父親とは別人だったことが判明して・・・。

    “探偵モノ”といっても様々で、こちらはコツコツ推理を重ねて謎解きをするというより、ガンガン身体を張りまくる、所謂“ハードボイルド系”でございます。
    冒頭から、気の強さ全開のヴィクですが、ギャングにボコボコにされようが、自宅や事務所を滅茶苦茶にされようが、屈することなく立ち向かうタフさがカッコイイですね。
    ピーター殺害の真相を追ううちに、浮かび上がってくる、労働組合と保険会社が仕組んだ大規模保険金詐欺と、反社会的勢力との癒着・・・。
    こうした巨悪が絡む社会派な部分や、アクションシーンと併せて、ハードボイルドものではお約束(?)の“アバンチュール”もご用意されています(個人的には探偵の“火遊び”パートは特にいらないのですけど、まぁいいかww)。
    ということで、王道のハードボイルド・ミステリというかサスペンスを堪能させて頂きました。
    こちらは既に20作程出ている人気シリーズのようで、こういった系は巻を追うごとにキャラが練れてきて面白くなっていくと思うので、もうちょい追ってみようかなと目論んでおります~。

  • 女私立探偵のウォーショースキーが主人公のハードボイルド小説。依頼人から人探しを依頼されるが、その過程で男の死体を見つけてしまう。犯人は誰なのか、殺された理由を探しているうちに、ギャングと関わることになる。そこからのウォーショースキーの活躍が面白い。ハードボイルド探偵として、タフで芯が一本通った格好いい活躍をする。男の優しさとは違う女性ならではの優しさを見せるし、男以上のアクションもする。ウォーショースキーのキャラが映えていて楽しい。シリーズとして人気があるのも頷ける。他の本も読んでみたい。

  • シリーズの一作目。

    最初は主人公への共感ポイントゼロであまり好きになれなかったけど、だんだん慣れると面白い。
    向こう見ず過ぎるヒロインが繰り広げるアクションシーンが多く、映像化したら金ローで放送しそうな映画って感じ。

    探偵業は人脈がものを言うな。

    ウーマンリブ感溢れてて時代を感じた。

  • 麗しく勝気なヒロインが男共を悉く薙ぎ倒して無双するシリーズという先入観があり敬遠していたが、本の雑誌・ハードボイルド特集号の『サラ・パレツキーこそジャンル延命最大の功労者』という杉江松恋氏の寄稿に触発され、今作を読了。ハードボイルドの様式美にきっちり則った作品だが、1982年という刊行年による古臭さは全く感じない。白を切り通す痛快なワイズクラックや傷付いた少女への心遣いは女性探偵だからこそ光る個性であろう。戦闘能力の高さは些か設定過剰な気もするが、これがデビュー作とは到底思えない完成度の高さに魅了された。

  • おーフェミニズム小説だなーという強い印象。ただし安易さや甘さを徹底的に軽蔑しており、リバタリアニズムフェミニズムという感じ。
    特に面白かったのが、主人公のパートナーになりそびれた男、ラルフの弱々しさ。男性に特有の弱さを上手に掬い取って造形されていると思う。所属する組織を信奉してしまったり、自分の世界の秩序が脅かされるとヒステリックになってしまったり、といった彼の弱さは彼だけのものでなく男性全てが多かれ少なかれ持っていると思う。そしてかれが主人公を信用しきれなかった理由は女性の職業意識を無意識に軽視していたことだというのも、そのような偏見を持ってしまうため物事をフラットに見れなくなるという介錯をすれば男の弱点といえる。
    他方で抽象的な議論に淫する「過激派」女性運動家たちが愚か者として描かれるのも面白い。著者の価値観では、実際に行動して勝ち取った小さな陣地だけが女にとって意味のあるものなのだろう。極めて個人主義的だけど、個人として生き方を確立した強い女性同士の連帯は否定しない。個人的な有能さに支えられた甘くないシスターフッド。

  • 読書会の課題図書にて久しぶりに再読。
    初めて読んだときはヴィクの格好良さにどきどきした。
    そして時を経て、彼女が自分の脚で踏みしめ歩いてきた道が当たり前になったことに祝杯をあげたい気持ちになる。

  •  キンジー・ミルホーンと並び称される女流探偵V・I・ウォーショースキーものの初作。字面だけでは女性らしくないが、これはポーランド系の父方の姓とのこと。やさしげなニックネームじゃないところもハードボイルドっぽさを醸し出している。名は体を表すで、これまで読んだ3Fのなかでは一番タフでハードな活躍を見せてくれる。場所もシカゴで、ギャングがからんだ金融詐欺事件での連続殺人もの。ただし、労使関係という社会問題を据えた割には事件自体は単純というか雑なつくりでパッとしない。結末もありきたりだ。それに本人は颯爽と元気いっぱいながら、銀行家の家族など周囲の人物造型が稚拙でうすっぺらだし、ギャング弱すぎ。人気シリーズなのだからこれからエンジンがかかるのだろうが、これでは評価保留とせざるをえない。ついでながら、最初の部分で銀行家ジョン・セイヤーがジョンになったりジャックになったりして面食らう。何度登場人物表を見返したことか。この新装版は訳自体は旧訳のままのようだが、出すときに修正できないのだろうか。

  • ハードボイルドというには彼女には孤独が足りない。理解者と出来る友人が多すぎるし、父親を尊敬し、母親を愛してるから。まともな家できちんと育てられた女の子が、危険を顧みない私立探偵になったほんとの理由が知りたい。ちなみにこの小説を読んだのは多分2回目だけれど,ほとんど全部忘れてた。

  • 探偵、VIウォーショースキーの第1作目。
    タフな女性探偵が前面に出まくっており、事件があまり印象に残らない。主人公の人物が竹を割ったような性格で、好感が持てる。英文和訳のあのやたらと細かい描写が苦にならなければ楽しめるかもしれない。

  • ヴィクシリーズを読んだのははじめて。ハードボイルド女性探偵物としてはオーソドックスな造りだなあと感じたが、たぶんこの作品がジャンルの元祖だからだよね。書かれたのは1982年。いま、ハリウッドで「強い女性」が活躍する作品が増えているけど、こういう作品が源流にあるんだろうなあと感じた。ヴィクはかっこいい。

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