セプテンバー・ラプソディ (ハヤカワ・ミステリ文庫)

制作 : Sara Paretsky  山本 やよい 
  • 早川書房
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本棚登録 : 77
レビュー : 12
  • Amazon.co.jp ・本 (682ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150753757

感想・レビュー・書評

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  • やっと読了。かなりのボリュームでした。

    高名な物理学者の血を引くクスリ中毒の
    女性を助けたロティに、ヴィクが助力する
    ところからお話が始まります。

    その女性、ジュディの息子、マーティンは
    母や祖母と違って、物理学の天才。
    IT企業でアルバイトをしていますが、
    失踪してしまいます。

    ジュディの母、キティに頼まれ、マーティンを探す
    ヴィクですが、なかなか彼は見つかりません…。

    第二次大戦中のロティに深く関わるお話。
    マーティンの一家は、かつてナチから迫害を
    受けていたり、マンハッタン計画に関わった
    学者が出てきたり、現代のシカゴと大戦中の
    ヨーロッパを舞台に、そう来るか!という
    歴史の謎解きも楽しむことが出来ます。

    前々から思っていたことですが、パレツキーの
    ライフワークの中には、第二次大戦を風化させない
    というものがあるのでしょうか。

    いま、NHKのドキュメンタリーでも見ない限り
    私達も、遠い記憶のように思っている戦争。

    それが本当に、もう起こる心配がないから
    遠い記憶になっていくならいいのですが…。

    むしろ北朝鮮の情勢などは緊迫し
    私達は戦争の影に怯えています。
    こういう警鐘の鳴らし方もあるのですね。

    個人的には、ヴィク、
    五十歳を過ぎても、お洒落好きで
    パワフルで、危険な現場に飛び込んでいく
    ヴィクは、一時期より若々しく、音楽家の
    恋人、ジェイクとも上手く行っているようです。

    一度

    「あら私、もう歳かしら…。」

    なんてところを通って、

    『年齢なんか関係ないわ。私は私。
    今の私を愛して、思うとおりに生きるのよ。」

    というふうに変化する…そしてもう一つ
    魅力的になる…というのは、この年齢の
    女性の、共通する心理的変化なのかもしれませんね。

    おばあちゃんなんかじゃありません。
    ヴィク、今が一番いい女なんじゃないかしら。

    すぐカッとなる感じじゃなくて、優しさも見せてる。
    怒らなきゃいけないものには、敢然と立ち向かう。
    そのバランスがいい感じ。

    彼女の、大きな権力にも屈しない強さ。
    本当のことが分かるまで、手を緩めないで
    事件を追う姿勢が、歴史の闇を解き明かしたり
    事件に関わった人々を、良い方向に向けていく
    姿は、見ていて痛快です。

    それだけじゃなくて…。上に書いたように
    大きなテーマが隠れていて

    時間が解決して、生活が変化するとか
    自分の人生史に新たな一ページが加わるとかは
    一人ひとりには大きな変化だけど
    歴史の中で起きる出来事としては、とても
    小さなこと。

    でも、それを通して…
    あの戦争を忘れたらダメよ。
    私達がそれを覚えてて、危機感を持ってること
    そのものが、大事なことなのよ…という
    メッセージも、伝わっていると思うのです。

    やっぱりこのシリーズ、大好きですね。

  • 「一寸した人探し」的な案件が、半世紀を超える「歴史の裏側」に絡む事案を含んだ、思わぬ大事件に発展してしまう。大変興味深く読了した…
    虚実入り交じった、半世紀以上に及ぶ“秘史”と、それを解き明かすヴィクの冒険…是非とも本書を紐解いてみて頂きたい!!

  • マルティナから続く家族や、ロティの祖父母の悲しみが心に重くのしかかり辛かったけれど、後半ダロウまでが登場してテンポ良く続くハッピーエンディングに泣いてしまった。

  • V.I.シリーズ第16作目。
    1930年代に宇宙線物理学の分野でパイオニア的な研究を行い、ウィーンの放射能研究所の研究員だったオーストリアの物理学者マリエッタ・ブラウの存在からインスパイアされて書かれた作品。
    今回はドラッグ絡みの事件かな?と思いきや、まさかこんな展開が待ってるなんて!なのはやはりさすがのサラ・パレツキーなのだ。

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