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本 ・本 (656ページ) / ISBN・EAN: 9784150753771
作品紹介・あらすじ
老女優と共に姿を消した青年を追い、ヴィクはカンザス州へ向かう。かつてミサイル基地建設騒動のあったその街に渦巻く陰謀とは?
感想・レビュー・書評
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シカゴの女探偵ヴィクことV.I.ウォーショースキーのシリーズ。
カンザスでも旋風を巻き起こします。
前作で登場した女の子バーニーに頼まれ、窃盗の疑いをかけられた青年を探すことになったヴィク。
行方をくらませては疑いが深まってしまうのだが、老女優とカンザス州の町へ向かったらしいのだ。
老女優の故郷は、かって核ミサイル配備への抗議行動が行われた町。
初めてのカンザスでの捜査は勝手が違うが、愛犬ペピーを連れていったので、行く先々で可愛がられ、場が和んだり。
女優の暮らした地域を調べようとするが、いきなり死体を発見したのから始まり、次々に過去の出来事の不審な点を探り当てていく。
聞き込みに行った住人に「あなたが来てから新聞が面白い」と言われる始末。
さらに、世間知らずの元気なバーニーが追ってきてしまい‥?
作者は10年ほどカンザスで暮らしたことがあり、あまり良い経験ではなかったらしい。
それも作品に活かされている?
長い年月、町の人々をおおっていた重層的な事件の苦さ、切なさ。
60を過ぎてもすらっと若々しくパワフルで前向きなヴィク。
作品中の年月も現実とともに流れ、そんなヴィクを書き続ける作者のタフさとサービス精神に脱帽です☆詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
北朝鮮の核ミサイルが大きな問題となっているこの時に、アメリカの核ミサイル配備と反対運動を話の核にしたこの本が書かれたのは、偶然?
本が分厚く、途中までは五里霧中で一向に進んだ気がしなかったので、読むのに少し時間がかかった。
ペピーは賢くて可愛いね。ヴィクの疲れを癒やしてくれる存在なのがよく分かる。 -
グインに夢中になっていて、読むのを途中で一旦止めていた、ヴィクことV・I・ウォーショースキーのシリーズ。長いこと読んでいるシリーズだと、登場人物が自分の友人のように思ってしまうことがあるけど、このヴィクもそういう主人公のひとり。シカゴを本拠地に活動する私立探偵だ。
読み始めた頃は、憧れのお姉様って感じで、ほんとに身近でカッコいいと思った。こちらが社会人になって、親近感の質は変わっていくが、このシリーズ、作品の中でも時間が経ってるので、もう彼女は50代。でも相変わらずパワフルで美人で、熱い。行動派だ。
ヴィクの姪っ子、バーニーが友達と一緒に持ち込んだ依頼は、オーガストという、映画監督志望の青年を探して欲しいというもの。老女優、エメラルドと一緒にカンザスに行ったきり、行方がわからないという。二人を追ってカンザスに飛んだヴィクだが、女優の生まれ故郷の小さな町にたどり着いた。どうもそこでは、合衆国の空軍が、不可解な核、ないしは、正体のはっきりしない、危険な何かの実験をやっていた過去があるらしいが…。
核は怖い。いや、戦争に使われる兵器は全て怖い。だが、中でも怖いのは、核をはじめ、使っている側にも、使用後にどんな事態が引き起こされるか読みきれない、強大な武器たちだ。ヴィクは当初、行方不明の二人を探しているだけのはずだった。なのに気がつけば、過去の兵器実験にまつわる謎に、どんどん巻き込まれてゆく。
町の人物は、みんな典型的な、スモールタウンのいいひと。ゴシップもよそ者への排除論理も吹き飛ばすような、実に恐ろしいものに目を閉ざしている。だんだん謎が解明されると
「世界の何処かで、こんな恐ろしいことが、実際に起きているかも。」
と、背が凍る思いがする。作品のスケールも大きいし、読み応えがあるが、ふと、現実をなぞっているような恐怖を覚えるのだ。本当は、たった一人の私立探偵に背負えるような秘密ではない。著者は、フィクションを通じて、戦争や、人間の手に負えない兵器の使用への警鐘を、強く鳴らしていると思う。こういうリアルな恐怖への疑似体験を通して、社会に訴えるメッセージがあるのも、パレツキーの作品のの特色だ。
そんな中、敵ばかりの街で、味方が多少なりとヴィクにできると、それだから一層嬉しく、彼女の誠意が伝わると、ぐっと心でガッツポーズをしてしまう。一時期、ほんとにだいぶ前、ちょっとヴィクがパワーダウンしたかと思う時期があったのだが、これだけの事件を解決するとは、さすが。ファンとしては嬉しい。いつも彼女は、怒りも喜びも隠さない。悲しい思いをした人のために怒り、不当なことに怒り、命をかける。でも、その裏に、犬を愛する優しさや、心通じる人を求める温もりも持っている。繊細な一面がある。そこが良いのだけれど。
今回、以前に刑事の恋人と別れたと同じような理由で、スイスに行ってしまったチェロ奏者の恋人に、別れを告げられている。一人涙を見せるヴィク。どんなにかつらかっただろう。
次も既にあと二作。計四冊が上梓されている。同時期に4Fミステリの華として、ともに愛された、スー・グラフトンのアルファベット・シリーズが、作者の逝去によって、幕が下りた。これまた魅力的な主人公だった、キンジー・ミルホーンの活躍が読めなくなったことを思うと、ヴィクには元気でいて欲しいし、さよならしなくていい幸福にも、巡り合ってほしいところ。きちんと邦訳が出ているのはありがたい。山本やよいさんの訳も、相変わらずの冴え。次を読むのが楽しみだ。 -
オズの魔法使で知られるカンザス州ローレンスを舞台にした本作でも、お馴染みのメンバーは健在。ぺピーなどはいつもよりも登場場面が多いほど。いつもと違う生活で、ヴィクはいつも以上に絶体絶命の大ピンチ。恋人ともうまくいかず、八方塞がりの状態から、さてどうなるか。黒人差別や反核運動、土壌汚染など大きな社会問題に対しても、個人ができることは「信頼できる人と力を合わせる」ことだけなのかも…などと、ふと我が事として考えてしまった。
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懐かしいメンバーがみんな元気でよかった。
ただ、だんだん登場人物の名前が覚えられてられなくて困る。 -
また別れるの⁉︎?…でもミスタコントレーラスは元気そうだしいいかと思って読み進むうちに引き込まれ。
ウチもワンちゃんがきたばかりなのもあり、ペピーのお利口さんぶりに感嘆しながら読んだ。
家族同然のひとたちや、友人との関わりを大切にしながら、相変わらず正義を貫くカッコよさ。 -
ヴィク・ウォーショースキーシリーズ18冊目
マンネリ化してるかもしれないけど
それでもハードボイルドでシニカルな語り口は爽快だ
その反骨精神と仕事へのプライドのせいで
又々彼氏には去って行かれたけど -
古本市で購入。
650ページの長編。
シカゴに住む私立探偵ヴィグ。
窃盗の容疑をかけられた青年の行方を捜してほしいとの依頼を受ける。
青年はどうやら老いた女優と一緒にカンザスの田舎町に行ったらしいという情報を元にカンザスに向かう。
カンザスの田舎で行方不明の二人を捜すのだが、途中のストーリーはほとんど二人は関係なくなっている。
二人を捜すうえで、ヴィグが殺人事件、軍の隠蔽、出生の秘密などに巻き込まれ?ていく。
後書きで知ったのだが、私立探偵ヴィグ・I・ウォーショースキーはシリーズになっていて早川から何冊も出ている。
ちらっと調べたら、書作は30年以上も前に刊行されていて、その時のヴィグは携帯もPCも使っていないが、本作は21世紀もバリバリなのでSNSにスマホ、タブレットを活用している。
愛犬パピーはいつから出てくるのかな。
サラ・パレツキーの作品





