約束の地 (ハヤカワ・ミステリ文庫 110-3 スペンサー・シリーズ)

  • 早川書房
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感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (291ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150756536

感想・レビュー・書評

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  • スペンサー・シリーズの4作目。

    スペンサーの職業は探偵ではない。
    探偵は、
    家出した妻の居場所が分かったのに
    依頼主の夫に教えるのを拒否したり、
    その夫が高利貸しに苦しめられてるの察して
    助けの手をさしのべたりはしない。

    と言ってもハードボイルドにおける探偵にはよく見かける傾向だし、
    スペンサーは最初からこんな感じだった。
    そういう意味では「探偵」とは職業ではなく、
    生き様なのかもしれない。

    今回は警備員を殺してしまった銀行強盗と
    武器商人でもある高利貸しを同時に罠にかけ、
    依頼人と妻を窮状から救い出す。

    高利貸しに雇われていたフリーの暴力担当の男とスペンサーの、
    友情とは呼べないかもしれない関係性も良かった。

    それと、
    スペンサーが恋人のスーザンと諍いになって、
    手紙を書いて泊まっていたホテルの浴室に隠れていた場面は、
    ちょっと泣けた。
    結局、プロポーズしていて良かった。

  • このへんのスペンサーはノッていて、この作品も面白かったハズ。

  • 「初秋」の続編の「晩秋」にするか「失投」にするかこの「約束の地」にするか迷って、まず「約束の地」にした。
    依頼人の妻と同じ部屋に泊まっていても、抱かなかったり、依頼人とその妻を助けるために、ギャングと妻の仲間をだましたり、敵対するギャングの一人を、警察から救ってやったり。
    言い古された言い方かもしれないが、スペンサーは、自分のルールにのみ従って生きる人物である。
    そのように行動した結果、ラストで命を救われるのである。
    ハードボイルド小説を読むと、活力が湧いて来る。単純なのである。

  • 相変わらず面白い、スペンサー

  • 読み切れません。
    主人公の人でなし度と、セリフの古さに怖気をふるう事となりました。

  • 【再読】
    なんとなく調子が悪かったり、リズムがおかしいなぁと思う時はスペンサーシリーズを適当に再読する事にしている。

    ってことで、何気なく手に取った「約束の地」、ホーク登場の記念すべき回。

    それもエエんだが、この本で一番好きなシーンは、ホテル併設のジムでスペンサーが徹底的にトレーニングして体を鍛えるシーン。

    スーザンとごちゃごちゃしたスペンサーが、男はこんな時に泣くわけにいかないとばかりに、塩タブレットを必要とするほどに身体を動かして、涙の代わりに汗を流すところがカッチョ良い。

    心がサブかったり澱んだりした時は身体をグイグイ動かしてすっきりするのも手やで、と教えてくれたスペンサー、よーやくこの頃酒じゃなくて運動で気分転換ができるようになってきました。

  • 訳本としては、多少読みやすいかな。
    最後あたりは、ちょっと日本語としては「?」って思う箇所がところどころ・・・。

  • 1977年アメリカ探偵作家クラブ賞受賞
    原題は『Promised Land』

    私立探偵スペンサーの新しいオフィスでの最初の依頼は、ハーヴィ・シェパードからの家出した妻パムの捜索だった。
    翌朝、シェパード家でホークと再会する。
    ホークは金貸しのキング・パワーズの取り立てを手伝っていた。

    通話記録を調べ、ニュー・ベッドフォードでウーマンリブ運動家のローズとジェインと暮らすパティを見つける。
    彼女はこれまでの生活を嫌って、自分の意思で家を離れたとスペンサーに語った。
    スペンサーは、ハーヴィにパティの無事を知らせたが、居場所は教えなかった。
    ハーヴィは厳しい借金の取り立てにあっているようだったが、何も語らず、スペンサーをクビにした。

    ホークが訪ねてきて、ハーヴィから手をひけというパワーズの伝言を伝える。
    ホークはスペンサーの恋人で、カウンセラーのスーザンに「自分は利益と冒険を追う傭兵(Soldier of Fortune)。スペンサーも同じだ」と言う。
    スーザンは「スペンサーの目的は人を助けること」と言うが、ホークは「彼は人助けと同時にその仕事が好きなのだ」と告げる。

    翌日、パムから助けてほしいと電話がある。
    パムは、ローズとジェインが銃を買うために銀行を襲うのを手伝ったが、ジェインがガードマンの老人を射殺したという。

    今度はハーヴィから助けを求める電話がくる。
    事業資金をパワーズから借金していて、返済を迫られ、窮地に陥っているという。


    <解決編>

    ハーヴィをパワーズから解放し、パムが強盗殺人犯になるのを防ぐために一計を案じる。
    翌日、パワーズに会いに行き、銃の取引をもちかけ、手数料で借金を返済すると告げた。
    取引には相手が詐欺を恐れているので、パワーズ本人が来ることが条件だと話した。
    次に、ローズとジェインを呼び出し、銃器ブローカーを紹介すると言った。
    彼女らは、人質としてパムも同行するよう要求した。
    そして、警察、検事局にパワーズ一味と銀行襲撃犯と引き換えに、シェパード夫妻を引き渡すことを承諾させた。

    チェルシイの市場のトラック・ターミナルで取引は行われた。
    銃を積み込んでいるとき、ホークに警察がくることを教え、逃がした。
    そこへショットガンを持った警官が現れ、銃の不法取引現場を押さえた。

    スペンサーとスーザンは、ハーヴィにパムと話し合う機会を作る。
    パムは「みんなの生活の中心になっている負担に耐えられない」と言う。
    ハーヴィは「すべてパムのため、家族のためにやった」と言う。
    パムは「だからなにもかも私の責任だと思ってしまう」と告げる。
    スペンサーは「どうして自分自身のためになにかできないのか、それを自己犠牲と見なければならないのか」と問う。

    その後、シェパード家に夕食に招かれて行くと、ホークがドアを開けて銃口を向けた。
    居間には釈放されたパワーズが待ち構えていて、スペンサーの顔を殴った。
    スペンサーは彼の脇腹を強打した。
    倒れたパワーズはホークに殺せと命令する。
    ところが、ホークはパワーズの部下を追い出し、パワーズに「スペンサーと素手で戦え」という。
    出て行く部下にパワーズは「黒ん坊から命令をうけるんじゃない。俺の命令に従うんだ」と叫ぶ。
    おびえたパワーズにハーヴィが殴りかかった。

    助けてくれた理由を尋ねるスーザンに、ホークは「スペンサーや俺のような人間はあまり残っていない。彼がいなくなったら寂しくなる。それに口汚い奴は嫌いだ」と言って去って行った。
    スペンサーは「殺人未遂でおまえを訴えることができそうだ」とパワーズに言った。

  • 何となく図書館で借りて読みました。面白かったです。

    何が良いって主人公の料理の腕が上手なのが良い。出てくる料理もものすごく美味しそうでアオリイカのサンドイッチとか美味しそうだなあと食べたくなりました。恋愛は若者だけの特権じゃない、と言う感じも良かったです。また借りて読んでみようかなと思います。(シリーズが30冊以上出ていたことを後で知りました。楽しみ!)

  • 何年かぶりでの再読。
    スペンサー・シリーズの第四作目。

    エドガー賞・最優秀長編賞 受賞作。 (1976年)

    巻頭の登場人物紹介で「フリーの取り立て屋」で、ホークが登場します。
    ホークとスーザンと三人が、初めて顔を合わせる12章(P102~)が秀逸。
    この章を書き終えたことで、多分作者は、以後楽に印税を生み出すシステムを完成させたと、考えたのではないでしょうか・・。

    「スペンサーは、いったいいくつなんだろう」から始まる解説は不要。
    普通にシリーズを読みすすめた読者なら、一作目の「わたしは三十七歳で、愛校意識は薄いのだ」(ゴッドウルフの行方・P.11)をなんとなく記憶に留めている筈だとおもいますし、本作内にも「もう四十を超えた・・」とあります。

    「スペンサーは、いったいいくつなんだろう」から、無理矢理、解説者が己の薀蓄をひけらかしているだけに思えうんざりします。

    前作が北上次郎さんの素晴らしい解説であっただけに、つい比べてしまい腹立ちさえ覚えました。

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