残酷な土地 (ハヤカワ・ミステリ文庫 ハ 1-8 スペンサー・シリーズ)
- 早川書房 (1989年3月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (265ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150756581
感想・レビュー・書評
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スーザンとの関係が荒れるきっかけの一つらしい。あまりそんな感じがしなかったんだけど。
レイチェル・ウォレスといい今回といい、スペンサーは女性のボディーガードがうまくない。いや、そもそもボディーガードがうまくない。「拡がる輪」にもあるように、ボディーガード以上の事をせずにいられないからだろう。自分が強すぎる。誰かの黒子でいられないのだ。
そして、もたらされた結果に荒れるスペンサーが発動する。悩む男というより、不安定な男だ。
#スペンサーシリーズ全部読む詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
超人的ヒーローの探偵とイイ女の依頼人の、アクションあり洒落た会話ありの、軽いがまずは楽しめる一篇。
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少し前の長編で私立探偵スペンサーの依頼人だったレイチェルから紹介されたロスの女性レポーターが、今回の依頼人である。依頼内容もボディーガードだから、雰囲気としては「レイチェル・ウォレスを捜せ」によく似た感じで始まる。特に、スペンサーとレポーターであるキャンディの人生観の違いと、それを認めた上で生じる美しい友情という流れは、レイチェルの時と同様の流れである。
ただ、レイチェルとキャンディでは女性としての戦い方がずいぶん異なる。細かく書くことはできないけど、その違いのためにスペンサーの相手への対応は大きく異なっている気がして、自らの美意識を頑固なまでに貫くスペンサーだけど、実は相手の土俵で相手にわかるような形で対処する能力を備えているのかもしれない。とっても人間的で弱さもきっちりと見せてしまう彼が、意固地になっているような格好つけとあいまってなかなか好きである。
ボディーガードの仕事としては衝撃的な展開をする。初めて読んだときには、しばらくの間呆然とするほど驚いた。そしてそのあとのスペンサーの勢いのすごいこと。鬼と化した、といってよい。そちらにも正直言って唖然としてしまった。そういう点も含めて、スペンサーがすごく人間らしくて印象的である。途中にあるラブシーンも美しい。
スーザンの登場がないのも、この物語としては大正解だと思う。 -
何年かぶりでの再読。
スペンサー・シリーズの第八作目。