女には向かない職業 (ハヤカワ・ミステリ文庫 女探偵コーデリア・グレイ)

  • 早川書房 (1987年9月12日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784150766016

みんなの感想まとめ

女性探偵コーデリア・グレイが主人公の物語は、彼女の成長と内面的な葛藤を描き出しています。共同経営者の自殺という悲劇を経て、コーデリアは一人で探偵業を続け、最初の依頼である息子の自死理由の調査に挑みます...

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった!22歳のコーデリアは共同経営者バーニーの自殺により一人で探偵業を続ける。最初の依頼は息子の自死理由の調査。生い立ちやお洒落好きなどコーデリアが魅力的。バーニーのセリフを回想しながらの捜査や最後の反転が上手い。

  • 古典ミステリーを読むシリーズ。女探偵コーデリア・グレイが主人公。最後にグレイのピュアさ故に不合理な行動をしてしまうのが、彼女の魅力になってるのかなとは思いました。謎がどうというより、グレイの心の動きを楽しんで読みました。

  • P.D.ジェイムズ『女には向かない職業』読了。中盤まではキャリアの浅い女性探偵が亡き共同経営者の教えに従い健気に1人で事件の謎を追うというオーソドックスな成長譚なのかと思っていたら、終盤以降事件の真相が明らかになってからの展開で本作の味わいが劇的に変わる。作品全体に散りばめられた喪失や欠落、そして陰鬱な雰囲気はこの展開にしてこの人生の苦味を結実させるためにあったのかと思わずにはいられない。
    早川80周年フェアで選ばれるのも納得の一冊。翻訳の古さが気にならないと言ったら嘘になるけれど、それを差し引いても余りある充実した読後感であった。

  • ハヤカワの『海外ミステリ・ハンドブック』より。お初の作者です。
    探偵事務所の共同経営者・バーニイが突然自殺したことにより、探偵業を引き継ぐことになった若きコーデリアの物語。普段なら、「可憐な女探偵のひたむきな活躍」にはあまり惹かれないのですが、表紙のイラストがすてきで手に取りました。

    ひとりで取り組む初めての事件として、”息子の死の真相を知りたい”という著名な科学者からの依頼を受けたコーデリア。
    なにより印象的だったのは、初仕事とは思えないコーデリアの実際的な様子、その冷静さでした。
    探偵としての作法はバーニイから教わったものの、ほぼ味方のいない中で調査を進める彼女。かなり危険な目にも遭うのですが、パニックに陥ることなく、また困難な状況で諦めようとした自分すら客観視して自らを鼓舞する姿には感心しました。
    また、普段読むような”名探偵もの”は実績も名声もある百戦錬磨の探偵たちがよく出てきますが、今作はコーデリアが直面する謎や戸惑いがストレートに書かれているのも新鮮でした。名探偵はなかなか考えていることを教えてくれませんからねぇ……。

    ところどころ、バーニイを飛び越して「かつての上司である警部」とやらが出てきて???だったのですが、あとから納得。作者のP.D.ジェイムズが作り上げたもう一人の名探偵、アダムス・ダルグリッシュのことなんだそうな。つまりこちらはスピンオフだったのですね〜。
    後半のあの場面は、ダルグリッシュシリーズを追っている方ならさぞテンションが上がったのではないでしょうか?

    冷静で行動力のあるコーデリアのおかげでストーリー自体はなんなく追えたものの、解説にもありましたが、おそらく作者の特徴でもある描写の細かさにはちょっと苦戦……(⁠^⁠^⁠;
    「彼or彼女」が誰を指しているのかわからなくなったり、一文の長さに主語と述語が迷子になったり。というか、感想を書いていて思いましたがなぜ事件を依頼したのでしょうか……?
    コーデリアのその後も気になりますが、本編ともいえるダルグリッシュシリーズも読んでみたくなりました。

  • 私立探偵事務所の共同経営者が自殺してしまい(この自殺は事件性はないもの)、22歳の女主人公コーデリアが1人で初めての依頼を受ける話。
    イギリスを舞台とする話の、食事や服飾の描写を読むのが楽しかった。(個人の感想です)
    事件の解決自体は、急にコーデリアがデキる奴になった感がありましたが、初仕事にしては上出来なんでしょうね。あとがきにコーデリア再登場のゴシックミステリが紹介されていたから、そこで彼女の成長を確認したいです。

  • コーデリア・グレイが探偵事務所を引き継ぎ、一つの事件を通して探偵として成長する私立女探偵ものであった。

    執拗とも言えるような風景や情景の描写により、くっきりと事件が目の前に現れた感じがして、怖くなった。

  • 読書の日々で、合間に海外ミステリーをはさみたいなって時期があり、今回はこの本をチョイスした。
    地味ーーーに話が続いていくけど、読むのが止まらない。

  • たぶん「強い女の子」には二種類ある。ひとつめは男の子たちの世界に突撃して行って「彼らと同じやり方」で成功を収められる女の子。もうひとつは、女の子として、「女の子のやり方」で戦っていける女の子。(決して女性性を武器にするっていう意味ではないよ)
    後者に好感を持てたのははじめてでした。
    ストーリーもものすごく噛み応えがあるのですが、なにより主人公であるコーデリアが素敵。彼女の精神性や強さや矜持が、とにかく眩しくてかっこいい。かといって決して完璧ではないのですが、それでも十分、いや、そういう部分すらも憧れるに足る女の子です。

    ただ、だからこそ終盤のダルグリッシュとのシーンでの彼女の言動は、個人的には解説にあったような女性性ではなくて、22歳という幼さの発露であったと思いたい、ような。

    それにしてもタイトルが完璧すぎて……完全にキラーラインです。

  • 物語の始まりに、共同経営者が自ら命を絶ったことを発見する主人公。
    なんという辛い幕開けなのよ、もう・・・といきなり重たい気持ちで、どんよりと読み始めたこの作品。
    最初は、なんか抑揚がなくてわからんなあ、と思いながら読んでいましたが、いつしか、主人公のコーデリアがとても好きになってしまっていた。孤独に奮闘するこの人のことを応援したくなる気持ちで、どんどんページをめくっていきました。

    それにしても、コーデリア・グレイだなんて、名前がいい!
    反則、反則~!
    わたしもこんな名前になってみたい・・・

    コーデリアの探偵としての独り立ちは、そんな形で突然やってきたのですが、パートナーの死の悲しみにひたっている暇もなく、あぶなっかしいけど毅然として仕事に立ち向かう姿は痛々しくて、そう、全編を通じて心が痛みながら、この作品を読み終えたのでした。

    捜査(探偵だから調査なのかな)の中で出会う人たちの、なんとも人間くさいところもいい。全員何かを隠していそうで、あやしいけど、かといって完全なワルにもなりきれそうにない人たち・・・
    コーデリアのひたむきさに心が引き寄せられ、コーデリアをみんな好きになっていくところがおかしかったな。
    本当は話さないで鍵をかけておくつもりでいたのに、ちょっとづつ、協力をしてくれるようになるあたりが、仕事に追われ、感情もあらわにできないコーデリアのかわりに、なんだか報われた気持ちになっていきました。

    はからずも単独での仕事を引き受けることになり、行き詰まったり、不安に思う事があっても、もはや相談できる上司もない中で、孤独に仕事に立ち向かっていくことは大変なことだと思うのです。自分だっらそんなことできるか?と。だけど、これまで仕事の中で教えられるともなく伝えられていた上司のポリシーを支えに、正しいことに向かって進んでいくコーデリアはとても可憐で爽快、あっぱれだったな。
    コーデリアのような「女」には、向かない職業じゃないと思ったよ!

    そういえば、以前、上司が、”「紳士であれ」ということはきみにはできないだろう?”と言っていたのがとても印象的で、そういうの、コーデリアもきっとくやしかったんだろうな~。
    でも、こじか色のスカートとグリーンの半袖スエーターを仕事着に選んでトランクに詰めるなんて、そんなおしゃれ、まさに紳士にはできないでしょう。おっちゃんには向かない女性探偵という職業(←当たり前だ)、ミニクーパーで疾走する彼女の活躍を、もっとシリーズものでたくさん読みたかった気もしますが、そこはかなわないからいいのだ、というような気もします。
    (あと一作あるので、つぎのお楽しみに。)

    読み終わって一息ついて考えてみると、これは探偵ものというより人間ドラマだったのだわ!と納得しました。探偵も警察も被害者も容疑者も証言者も、みなひとくせあって正直で、事情のあるなかで生きていて、味のある人達ばかり。そこがこの物語の魅力でした。

    こじか色のスカートとグリーンのスエーターのコーディネート。しっかり真似させていただきます。

  • 題名からしてずるい。「女には向かない職業」はなにを想起させるだろう。二項対立で考えるなら、少なくともP.D.ジェイムズには「女に向く職業」が思い浮かぶということだ。ビジネスパートナーの突発的な死によって、コーデリア・グレイは22才の若さで私立探偵として自立を決意する。その直後、名士の息子が自殺した理由を調査するよう依頼される。コーデリアは地べたを這うように調査を進めるのだが、その様子を「可憐」と口走らせることがP.D.ジェイムズの狙いだろう。「こういう女の子が好きなんでしょ?」とほくそ笑むのが透けて見える。青春小説でもある。コーデリアは特殊な青年期を過ごす設定になっている。父親はヒッピーのごとき詩人であり、愛情をかけて育てられていない。放浪生活を強いられたり、修道院生活を送らされたり、よくある友情を経験できていない。多感だが「浮いてる」彼女が、調査対象の息子が通う大学の友人たちと、舟遊びしたりパーティーするときに洩らす自己言及が、だいたいみんなが持つであろう孤独感と共鳴して印象的だ。トリッキーではないが、ミステリーのプロットとしても秀逸。コーデリアと境遇が似てるウィノナ・ライダーが若いときに演じてほしかった。名著です。

  • いわゆる「本格」で「古典」で難しいんだろうと思い込んで読んでいなかったんだけど、読んでみたらば、すごくおもしろくてびっくり。べつに難しくないし、ちっとも古めかしくない! 慣れないながらもあちこち聞き込みに行ったり調べたり、あげくに死にそうな目にあったりっていう、ヴィクやキンジーといった現代の女性探偵のまさに原型!って感じ。主人公の生い立ちや心理描写も細かくて、同じ主人公の「皮膚の下の頭蓋骨」も読みたいと思った。

  • 読んでいて状況を把握しやすく、変に奇をてらった点もない。にも関わらず、事件に対して皮肉の効いた解決の仕方をしてしまうところが面白い。

    主人公のひたむきさもとても好感触。主人公は師匠であり相棒でもある探偵が自殺し、回りから「女には向かない職業だね」と言われながら意地でも探偵を続けようと奔走する。二作しか出ていないのが勿体ない。

  • 意外におもしろかったです。ハードボイルドではないと思ったのに、結構コーデリアは探偵に向いています。彼女の出てくる「皮膚の下の頭蓋骨」はもちろん、アダム・ダルグリッシュ警視ものも読みたくなりました。

  • 某名探偵漫画の主要キャラクターの由来と知り、ミーハー心で読み始めました。
    キャラクター造形にコーデリアの容貌、性格もかなり参考にされていると感じます。
    古典イギリスミステリーが好きなので、訳も特段古く感じず、時代背景含めてとても楽しめました。

    一度も生きて登場しない仕事上のパートナーから受け継いだもの(物質的•精神的に)が最後まで物語の基軸となっており、この事件を通じてコーデリアがひとつのステップを登ることができたと感じました。読み終えて、主人公の精神面での回復•成長を見守ったような感慨があります。
    続編も読んでみます。

  • 昔からある小説だと思うけれど、装丁カバーが刷新されたのか、とても惹きつけられてやっと読んだ。いや、良かった~。女探偵のミステリー小説であることは間違いないんだけれど、主人公・22歳コーデリアの心理描写だけではなく他の登場人物の人物造形や設定がしっかり描写されているからか、場面を想像しやすく先が気になるいいエンタメ小説のようだった。 作者は寡作な作家だったらしいので同じ主人公の続編が1編しかないらしいのが残念だけれど、まああるだけいいか!と思うことにする。

    • miyacococoさん
      続き)続編読むの楽しみです♪
      続き)続編読むの楽しみです♪
      2023/11/05
    • 111108さん
      miyacococoさん、『皮膚の下の』ですね!私も今ダルグリッシュ警視物読んでます。分厚くて返却日までに読めるか心配‥
      miyacococoさん、『皮膚の下の』ですね!私も今ダルグリッシュ警視物読んでます。分厚くて返却日までに読めるか心配‥
      2023/11/05
    • miyacococoさん
      111108さん、そういえば以前コメントでおっしゃってましたよね。分厚いんですね~(((^_^;)やっぱ年末とかにしようかしら(笑)
      111108さん、そういえば以前コメントでおっしゃってましたよね。分厚いんですね~(((^_^;)やっぱ年末とかにしようかしら(笑)
      2023/11/05
  • イギリスの少し古めの推理小説に抵抗がなければ、楽しめる。
    出版が時代的に少し古いので、そのためか翻訳されている会話も少々堅苦しいセリフ回しが多い。また、文章も回りくどい。
    英語を忠実に、そのまま前から訳したような文章が、読むリズムをもたつかせる。

  • 初めてのP・D・ジェイムズ。とっつきづらいイメージに反してリーダビリティが高く、読みやすいじゃん!と思ったけれど、解説によればこの作品が例外的に読みやすいらしい。
    共同経営者を自殺でなくしたばかりの女主人公コーデリアが、自殺とみなされた青年の死の原因をひたむきに探る物語。年若い女探偵ものらしくスリリングなピンチもあり、真相を探るべくひたむきに頑張るいじらしさに胸打たれ、そして後半に至る怒涛の展開、最終盤のある意味でのどんでん返しには驚いた。本当に面白かった。ダルグリッシュ警視ものを他にも読んでみたいけれど、なかなか難易度が高そうだなぁ

  • 主人公は師を亡くしたばかりの若き探偵コーデリア・グレイ。推理小説ではあるが文学作品としても味わい深かった。師であるバーニイの名誉を守るため、ひたむきに調査を進めるコーデリアの姿が胸を打つ。強い師弟愛を感じる物語。

    作者は捜査の過程を丁寧に綴る。ひとつひとつの情景に愛を込めて。なぜならこの捜査はコーデリアにとって師への弔いであり、彼の名誉を守る行為でもあるからだ。淡く愁傷を帯び、エンタメ性も備えた上品な作品です。

    ちなみに本作の主人公、コーデリア・グレイは『名探偵コナン』灰原哀の名前の由来になっています。

  • 名探偵コナンのあのキャラ名の由来。ずっと読みたいとは思っていたが、ハヤカワ文庫が新カバーになったのを見てついに購入した。
    本書が著されたのはかなり以前で、ずっと新訳もされていないようなので、少し読みにくさを感じるのは仕方ないように思った。特に序盤は、一読して意味の取りづらいような箇所があった。それでも、物語が進んでいくにつれ、それほど気にならずに読み進めることができた。
    ミステリであり、もちろん、コーデリアが謎を追っていく過程も面白いのだが、舞台が大学都市?のイメージの強いケンブリッジであることや、随所に英国の文学者からと思われる引用があったり、ケンブリッジの川の風景描写が鮮やかだったり、安易に展開の面白さを追求しているというよりも、落ち着いた文学的な教養のある小説の要素も強いように感じた。
    おそらく一般的に、本書はミステリーとしての評価もさることながら、コーデリア・グレイという若い女性がたった一人で探偵としての最初の仕事をひたむきにこなしていく姿を描いていることに、より着目されて語られることが多いのではないか。
    そして確かに、率直に言って、コーデリアが悲運な状況にもめげずに、探偵という仕事を一人でこなそうと立ち向かっていく様子に好感を持った。一種の仕事小説のようにも読める。青山先生の灰原哀のイメージももしかしたらまさにコーデリアから取られている面もあるのではないかとも思った。
    ただ、コーデリアの魅力だけではなく、謎が明らかになる過程や、密かに持った銃で犯人側と渡り合ったり、何とか窮地を脱出したりする場面など、細部も含めてスリリングで飽きさせない作品であると思った。
    また、意外であったのは、一応の真相がすべてわかってから、コーデリアが亡きパートナーの仇とも言える警視と相対するまでの物語にも割と紙面が割かれていたこと。
    こんなに魅力的な女性の探偵はなかなか出会えないように思った。ただ、残念に思ったのは、コーデリア・グレイのシリーズはたった2作しかないことである。そして第2長編も購入したので、いつか必ず読んでみたいと思う。

  • コーデリア・グレイ探偵のデビュー作です。P.D.ジェイムズ作品中最も親しまれている1冊です。ほとんど経験もない若い女性には探偵なんて向いていない。どの人からもそんな言葉を浴びせられる中、コーデリアは一人で立派に初めての事件を終えました。そもそも探偵事務所の共同経営者だった元犯罪捜査官のバーニイが自殺してしまったことから、彼女の苦労が始まりました。一人で私立探偵をやっていこうと決意を固めたところに舞い込んできた仕事が、カレンダー卿の息子マークが自殺した理由を調べて欲しいというものでした。持ち前の才気と頭の回転の速さを最大限に活用して、全身全霊で事件に立ち向かう姿勢にはエールを送ってしまいました。調査や推理がたどたどしい分、読者もしっかりついていけて知らない間に取り残されているということがありません。コーデリアと共に一喜一憂し、殺人の恐怖に震えます。途中事件解決をあきらめそうになったり、危うく殺されそうになったりしますが、最後には殺人の偽装工作までやりきってしまいます。ミステリー初心者でも楽しめる作品だと思います。P.D.ジェイムズの他の作品に登場するダルグリッシュ警視も出てきます。

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著者プロフィール

1934 - 1985。推理作家、翻訳家。1963年に『弁護側の証人』でデビュー後、多くの作品や翻訳を手がけたほか、ミステリーに関するエッセイなども。歌舞伎好きとしても知られ、論考を残している。

「2023年 『不思議の国の猫たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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