マルタの鷹〔改訳決定版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (380ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150773076

感想・レビュー・書評

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  • ハード・ボイルドの出発点となった作品。
    推理は特にしていないように思うが、その話し方なんかは以後の作品に大いに影響を与えただろう。
    今にしてみると、あまりにまんま過ぎて笑える部分もあるが。

  • マッチョイズムの主人公を探偵業の理想と作者が序文で述べているが、その主人公像が合わなかった。手巻きタバコの描写がかなり多かったのが印象的。ちょっと手巻きタバコを嗜んでいたおかげで紙にタバコ葉を巻く描写がよく理解できた。

  • サム・スペード男前だなぁ。ただただそんな感じ。ハードボイルドの何たるかはよく分かってないけど、筋は一本通すってことかな。完全無欠の正義の味方ではなくて、損得勘定と欲深さが臭う人間味のある探偵って感じ。ホームズみたく、世俗を超越してる不思議なキャラクターじゃなくて、まぁこんなギリギリダーティーなことやってる人いるだろうなぁってライン。
    出てくるやつ出てくるやつ、鷹の像が欲しくて仕方ない、罪深き大人ばっかり。
    パートナーのマイルズの死はあっけなさすぎてちょっと可哀想。

  • サム・スペードが格好良すぎて濡れる。この格好良さは「鍛えあげられた痩躯」「格闘最強」「女好きでだらしない」「感情の表出をコントロールできる」「迷い無き台詞回し」「一発で複雑な事柄を記憶できる」「料理をささっとこなす」などで出来ている。

  • 『マルタの鷹』を最初に読んだのは、小学生の頃。青少年向けにリライトされたミステリ叢書の1冊だったと思う。やたら強気で腕の立つ探偵、サム・スペードのことは覚えていたけれど、ディテールはほとんど覚えてないし、誤訳や解釈誤りを徹底的に見直した「改訳決定版」とのことで、手に取ってみた。装丁が意外とお洒落で驚く!

    スペードが金髪だなんて覚えてないし、探偵事務所の相棒や、いわゆる「ナイスガール」なアシスタントっていたっけ?でも、「『オショーネシー』ってヘンな名字やなあ…」と感じた記憶はあるぞ!と、ページをめくるたびに、ぽろぽろと記憶がこぼれてくるような、こないような…展開を追いつつ、自分の記憶と照合する作業が続いた。

    そういう作業を抜いても、ドライブ感のあるストーリーテリングだと思う。洗練されているようで半ば強引な言葉のやりとりと駆け引き、誰もが腹に一物抱えている登場人物と密かな関係、それに加えて二転三転する「敵・味方」関係など、意外と現代的だと改めて思う。スペードのこのタフガイっぷりってどうよ?と当時も今も思わないことはないけれど、序文でハメットがこのあたりを明晰に述べているので、この設定には納得がいく…というか、するしかあるまい。

    オスマン・トルコによってロードス島を追われた聖ヨハネ騎士団がマルタ島に城塞を構える際、時のスペイン国王に鷹を朝貢することを約束したというエピソードは面白く、タイトルロール(というか獲物というか)をめぐるその周りの事情が作りこんであって、西洋史好きには意外と楽しめる部分もあると思う。私もそうだったようで、少々記憶違いがあったものの、ここはきっちり記憶にあった(笑)。ワールドワイドな広がりが感じられる設定で、今でも好き。

    最後の場面は自分の記憶とまったく違っていて、「えっ、あの『見せ場』でラストじゃなかったんだっけ?」というものだったけれど、こちらもひとつの見せ場だし、今では納得がいく。要するに、コドモの情操教育上よろしくない場面はことごとくカットされていたということが明らかになった。ほかに、相棒の奥様が迫ってくるとか、アレとかソレとか…(笑)。

    改訳に関する細かいエピソードが解説で追加されていることを期待していたけど、そこは残念ながらハズレ。その場合には、関連図書として諏訪部浩一「『マルタの鷹』講義」を読むしかないということのよう。この本の横に並べて売られていたけど、そこまでハメットに愛着はないし…でも、翻訳の面白さと恐ろしさを知るには、そっちを読んでみたいとも思う。

  • 行動派探偵ーハードボイルド クールに事件緯容疑者に肉薄する。映画未見で探している。肝心の鷹はすでにすり替えられていた。実は本物だったという落ちにはならなかった。それぞれの思惑で動く容疑者たちとの駆け引きが見もの。

  • サム・スペードは、窮地を切り抜ける能力、胆力は抜群だが、やや利己的な感じ。出てくる登場人物が、くせ者ばかりだからしょうがないか。目まぐるしく変わっていく展開、意外な正体など、ハードボイルドの原型というのもわかる。
    映画も見ておかなくては。

著者プロフィール

1894 年アメリカ生まれ。1961 年没。親はポーランド系の移民で農家。フィラデルフィアとボルチモアで育つ。貧しかったので13 歳ぐらいから職を転々としたあと、とくに有名なピンカートン探偵社につとめ後年の推理作家の基盤を作った。両大戦への軍役、1920 年代の「ブラックマスク」への寄稿から始まる人気作家への道、共産主義に共鳴したことによる服役、後年は過度の飲酒や病気等で創作活動が途絶える。推理小説の世界にハードボイルドスタイルを確立した先駆者にして代表的な作家。『血の収穫』『マルタの鷹』他多数。

「2015年 『チューリップ ダシール・ハメット中短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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