暗闇にひと突き (ハヤカワ・ミステリ文庫 フ 10-2)

  • 早川書房
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150774523

感想・レビュー・書評

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  • 静か、ひたすら静か。
    それがたとい、酔っ払いで途中
    元刑事の勘で犯罪者予備軍(?)を殴ったとしても。

    まるで遠めで、
    セピアの風景を眺めているかのよう。
    現実なはずなのに、夢のごとく。

    酔いどれ探偵スカダーが挑むことになった
    9年前のアイスピック連続殺人で
    一例だけ異なったケース。

    特徴として、このケースだけは
    両目を貫かれていなかったのです。

    そしてこの女性には、
    ある事実も判明していますが…

    真相は意外な盲点を
    ついている犯罪です。
    私たち日本人ではわからないことでしょう。
    あ、元の国でもローカルだから無理か。

    犯行理由はあまり深く
    考えないほうがいいですね。
    なんだろう、狂気が招いた
    悲劇なんだと思います。

    うん、静かに始まり、静かに終わったね。

  • これはあれだ、地道にこつこつやってればいつか必ず道は開けるって話だ。いやー、地道にやって報われるってのは自分みたいな人間には、うんうん、いい話ダナーってなるけども。後は酒か。酒を飲んで地道にやってたら良いよねって話か。そして女か。でもってチンピラをワンパンできるくらいのワンパクさか。ってこのあたりでちょっとハードルあがるなー。やっぱ地道なだけじゃだめって事か。

  • アル中私立探偵マットスカダーシリーズ第4作。彼の人となりに慣れてきた上に、今回のストーリー展開は今までで一番良くできていて、ナイトキャップしながらチビチビ読むのに最高でした。

  • マットスカダー四作目。

    所々で味のあるフレーズが出てくる。
    そのうち原文で読んでみたい。

    毎回最後犯人が素直に自首なり自殺するのが、
    ちょっと納得いかないけれど。

  • 面白かった。
    ちょっと飲み過ぎじゃないかしら。

  • 主人公のことを好きになれないのに、
    筋立てがかなり強引なのに、
    きらりきらりと暗闇に光るナイフのように
    心につきささる言葉がそこここにちりばめられていて、
    読まずにはいられない。

  •  至高の私立探偵小説マット・スカダー・シリーズ第4作。
     どんどん作品の質が向上しているような気がします。

     まず、九年前の迷宮入り事件を追いかけるというストーリーが面白いです。まず普通に考えて、そんな昔の事件を掘り返すのは困難を極めるでしょう。ほぼ不可能といっても良いはず。(また、『頑張って』警官時代の頃を思い出すスカダー、思ったより貴重なことだと思いました。)どうやって調査を進めるか、そこに注目して読んでみました。
     本書の依頼人も腹に一物持っていて、なかなかスカダーの思ったとおりに事を運ばせてくれません。(一概に非難できないところが、ブロックさんのうまい人物描写なんだろうな……)

     そもそも今回の依頼の発端になったのは、かつての連続殺人魔が今になって逮捕されたから、という展開です。それなのに、依頼人の娘が殺された事件だけ、「俺、そいつは殺してねえ。アリバイもある」と否定したのです。この奇妙な展開が、その事件への興味を一層引き立てます。
     一体彼女は誰に殺されたのか?
     暗闇のなかの手探り状態でスカダーは調査を始めるのですが……。

     本書の見所は他にもあります。彫刻家の女性であるジャンとの絡みです。本作以降からちょくちょくと登場するとのこと。彼女の存在が、なかなかどうして本書の良いアクセントとなっているのです。

     犯人の告白、ジャンとの会話、スカダーの思い、どれもがやるせない。良作です。

  •  ボランティア(?お金はもらうけど免許は持ってない)で探偵めいたことをやっている元刑事スカダーがアル中であるのは(本人は自分がアル中であると認めていないけど)、出会う人それぞれが持つ切なさを自分の中に抱え込むからである。抱え込んでしまうのは、たぶんそういう切なさが、自分自身の持つ切なさと響き合うからだろう。

     9年前アイスピックでめっさ刺しにされて死んだ女性の事件を追いかけていく本作は、彼が主人公でなければ退屈な物語になったかもしれない。というより、彼が追いかけたのでなければ、あまりにも悲しい犯人は浮かび上がってこなかっただろう。傍観者であり続ける、たとえばリュウ・アーチャーとは異なる、胸を切り刻むようにして何かと向き合う主人公がここにいる。実際、彼がいつ「壊れて」しまうのかという怖さで読んでしまったのかもしれない。

     僕は、本作で現れる男女の関係が好きだ。寂しくて、でもその寂しさを舐め合うのではない感じが。やっぱり、読んでいてちょっと苦しくなるけど。あ、タイトルの苦さも、ほとんど最後まで読んで初めてわかる。僕は、体中が震えた。

     昔読んだ「八百万の死にざま」を読み返したくなった。本作の次である。たぶん、以前読んだときとはずいぶん違った読み方ができる気がする。
    2009/7/1

  • アル中スカダーにはこれではまった。これを読んでからコーヒーにウイスキーを入れるようになった。

  • アル中探偵マット・スカダーシリーズ。うーん、まだ、酒を飲んでる頃です。私としては、やはり、禁酒始めたマットの方がカッコイイ気がします。

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著者プロフィール

ローレンス・ブロック Lawrence Block
1938年、ニューヨーク州生まれ。20代初めの頃から小説を発表し、100冊を超える書籍を出版している。
『過去からの弔鐘』より始まったマット・スカダー・シリーズでは、第9作『倒錯の舞踏』がMWA(アメリカ探偵作家クラブ)最優秀長篇賞、
第11作『死者との誓い』がPWA(アメリカ私立探偵作家クラブ)最優秀長篇賞を受賞した(邦訳はいずれも二見文庫)。
1994年には、MWAグランド・マスター賞を授与され、名実ともにミステリ界の巨匠としていまも精力的に活動している。

「2020年 『石を放つとき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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