凶手 (ハヤカワ文庫)

  • 早川書房 (1998年4月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784150796075

感想・レビュー・書評

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  • 彼の名はジョン、あるいはゴーストとも呼ばれている。
    一切の武器を持たないハートレスな殺し屋だ。
    精妙な感覚と異様な剛力を秘めた自分の両手が唯一の凶器。そのまがまがしい手で、請け負った仕事を確実にこなしていく。
    しかし、仕事以外のことには関心も知識もなく、しかもひどく無口なので、他人からは頭が弱いと思われている。
    そんな彼が初めてシェラと会ったのはシアトルのストリップ・バーだった。
    彼女は店の踊り子で、ふたりは互いに相手が同種の人間であることを嗅ぎ取り、美人局のコンビを組んで、デンバー、ヒューストン、ニューオリンズ放浪の旅をつづけた。
    ところが、タンパという町でふたりは殺人事件に巻き込まれ、シェラは失踪、ジョンは殺人犯として刑務所で三年間すごした。
    出所後ジョンは、姿を消したシェラを捜し出すことしか頭になかった。
    しかし、手がかりは全くない。何としてもシェラと会い、逃げた理由を直接聞き出したい彼は、どんな危険な仕事も引き受けながら、シェラ捜しの旅をつづけた…。
    どんな人間にも心をうつさず生きるジョンが、初めて愛した魂の双子のようなシェラを探し続ける旅を、バークシリーズよりも渇いたタッチで描いているだけに、劣悪な環境で育ったジョンとシェラの愛やジョンと潜入したネオナチ組織の一員マレルの友情が引き立ちます。
    ラストに明かされるシェラがジョンを置いて去った理由とシェラが命懸けでやっていた復讐は、切ない後味を残します。

  • これが良いんだわ。大好きな本。

  • 仕事のオフシーズンに、馳星周『不夜城』三部作を読み返そうと思い立ったところで、どうしてもこの作品を再読しなければ、という思いに駆られて。翻訳が出た時にペーパーバックで読んだのだが、今回は翻訳で読了。これぞノワール、これぞハードボイルドの文章。やっぱり痺れる。この最後の一行に、馳星周の『不夜城』の最後の一行が呼応しているのだと思う。

  • アンドリュー・ヴァクスは初めて読んだ。
    凶手=殺し屋であるが、主人公は素手で人を殺めるという、言葉のイメージそのもの存在。
    殺しをしないときはストリッパーの彼女と美人局をしながら稼いでいるのだが、ミスを犯して刑務所に入れられる。
    出所したときには、彼女は行方を消していた…
    因みに原書タイトルは「SHELLA」でその彼女の名前となっており、主人公が彼女を探し求めて、成り行きで人を殺し続けるといったもの。
    とはいっても、殺伐とした感じはあまり持たなかった。自分の欠片を捜し求めるという、その部分が琴線に触れたのかも。

  • 研ぎ澄まされた全く無駄がない文体に驚嘆する。
    物語のストーリーにはあまり重きを置かれてはいない。
    文章の傑作という表現が良いだろうか。
    重苦しい読後感を味わえる。


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