- The Mysterious Press (1996年3月28日発売)
本棚登録 : 115人
感想 : 6件
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (368ページ) / ISBN・EAN: 9784151000980
感想・レビュー・書評
-
「古い骨」から始まるスケルトン探偵、ギデオン・オリヴァーのシリーズ第7弾。
このシリーズもシリーズ開始時から読んでいるため、登場人物の人生を一緒に歩いているような錯覚を覚える。
大学で人類学教授として特に古い骨を専門にしているギデオンは、ひょんなことから警察の手伝いをするようになり、ついたあだ名が「スケルトン探偵」。
そんな彼がしぶしぶ引き受けたエジプトでの仕事。エジプト学研究所の宣伝用ビデオのナレーションとして出演することになり、妻とともにエジプトへ行く。
そんな中、研究所の所長がナイル川を進む豪華船で不審な死をとげる。研究所の裏に怪しい人骨が発見される。
所長の死は事故なのか、殺人なのか。現地警察との協力の元、ギデオンの捜査が始まる。
このシリーズの特徴は、世界各地に出かけるギデオン夫妻の目で見た各地の描写が美しいこと。まるで目の前がその土地になってしまうかのような錯覚を起こさせる。しかもただの観光ガイドのような描写ではなく、ギデオンの人類学的・考古学的見地からの歴史案内などもあり、観光ガイドを買うよりも情報はありそうだ。
二人が食べるご当地の食べ物は湯気が見えそうだし、結婚してもう長いはずの二人のアツアツぶりも見えてくる。
ただのミステリーとしてより、何かの知識も得ることができるのでお得?なシリーズです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
映像作品のナレーションを頼まれたギデオンは妻も連れてエジプトへ。
そこで博物館て起きた奇妙な事件に遭遇する。
いつにもまして個性的な登場人物達、事件以外の観光ガイド的なシーンもすごく面白かった。
しばらく読んでて、「あ、そういえば人が死んでないな…」と。
シリーズ7作目まで読んできて、毎回外れなく面白いし、何かしら発見があるのはいいなあ。
ハイテク感が無くてのんびりした雰囲気なのも私ごのみです。 -
エ、エイブがぁ。。
-
今回の舞台はエジプト。とうとう出るべくして出た舞台だ。どういう経緯で彼の地へ行くことになったかといえば、今度はエジプト学研究所の宣伝用ビデオにナレーターとして出演するためにその撮影に同行することになったという物。いやあ学者というのは色んな仕事があるもんだね。確かにアメリカの、例えばディスカバリー・チャンネルとかで、そういった類いの学者が時に斜め45度の角度から自分の研究所でインタビューに答えていたり、あるいはアフリカのサバンナにある岩に斜めに腰掛けてカメラ目線でしたり顔で解説する光景をよく見かけますな。
閑話休題。
物語は例によって例の如く、エジプトを訪れたギデオンとジュリー夫妻がロケ地に向かうナイルクルーズ中にその研究所々長が殺され、そしてさらにその研究所の裏で古い人骨が見つかるという、正にギデオン行くところ、常に骨ありを地で行く内容(ま、これが売りなので仕方が無いが)。
今までもそうだったが今回は特に観光小説の色合いが濃く、事件発生までが本当に長い。作者はエジプトの風景とエジプト人の奇妙な慣習と考え方に筆を多く割いており、恐らくこれは現地取材成果した賜物だと思うが、そのため、事件の部分が後ろに押しやられていると云える。これは近年の作品も同様で、特に『密林の骨』などはこの傾向がさらに推し進められ、骨の鑑定は最後の方に少しだけ出てくるような始末である。したがって本書における事件はなにやら添え物のような感じであり、後半駆け足のように解決に向かう感じがしないでもない。
ただこのシリーズは核となるミステリとは全く関係のないこの外側の部分も非常に面白いので、退屈しない。逆にこのまま事件など起きなければいいのにとミステリ読みとしては矛盾した気持ちにまで陥ってしまう。特に今回はアメリカ人ギデオンから見たエジプト人の考え方などが非常にウィットに富んで(ちょっとした悪意も味付けされて)、語られて、それが非常に面白い。この辺の特殊な考え方は現在アジアの異国の地に住むと、あまり不思議でもなくなってきている。それも一理あるなぁと逆に感心するくらいだ。ただやはりこういう考え方、文化の違いがあるからこそ、人は異国へ旅立つのだなぁと思っている。
最後に恒例となったタイトルについて言及しておこう。本書の原題は“Dead Men’s Hearts”。なるほど直訳すれば『死者の心臓』となるのであながち嘘ではないが、本書には骨は出てきても心臓については全く出てこない。本書の内容から見てもここは『死者の心』と訳すのが妥当だろう。まあ、心臓の方がインパクトあるけどね。 -
スケルトン探偵7作目
エジプトが舞台です。
アーロン・エルキンズの作品
