黒いスズメバチ (ミステリアス・プレス文庫)

  • The Mysterious Press (1999年6月18日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784151001376

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  • ルー・グリフィンの若いころが記される。「コオロギの眼」よりは何年か前の時点での回想という形式。「コオロギの眼」ではよくわからなかった人間関係のとっかかりが書かれている。ああ、そうだったのかと「コオロギの眼」の世界がより深まった。と同時にルーの若さを感じる。

    ここではルーはフリーランスの探偵をやっていて、フランキー・デヌーという探偵から仕事を回してもらっている。1964年とか68年あたりか。住処はニューオリンズの邸宅の裏にある「奴隷用住宅」。これが「コオロギの眼」ではなにを意味するのか分からなかったのだが、農場主の邸宅の裏の文字通り黒人奴隷が住んでいた家なのだ。訪ねてくる女性はラ・ヴァーンだ。

    無差別の銃乱射事件のあと、今度は白人のスーツ姿の若い男、白人のバス運転手、ドイツ人観光客が銃で撃たれ死ぬ。そしてルーと酒を飲んでいた新聞記者の女性が眼の前で額を銃で撃たれ死ぬ。ここでルーはその狙撃犯を、警官のドン・ウォルシュは兄であるバス運転手の狙撃犯を探し始める。そしてドンがそれらしき男を追い詰めたが撃たれてしまった所に、ルーが気配を見つけやってきてドンを助ける。とルーとドンの出会いが描かれる。

    最後はその狙撃犯が誰だかわかるのだが、またそれがルーのかかわった人の関係者だった。 というところで終わる。

    ルーのなんというか、寡黙な行動者、という性格が「ドライブ」のドライバーにも通じるものを感じる。

    映画化してもおもしろいんじゃないかと思うのだが。サリスは白人なのに主人公は黒人で、アメリカの黒人対白人の埋めようのない溝を描いている。

    ルーの結婚と離婚、息子の失踪もさらりと語られる。ルーはラ・ヴァーンではなく、図書館の司書のジェイニーと電撃結婚なのだ。「コオロギの眼」では息子はラ・ヴァーンとの子でないのは分かったが母親のことは書かれていなかったのだ。「コオロギの眼」では最も愛した女性はラ・ヴァーンだとあったが、とすると結婚はなんだったのか。

    「コロギの眼」よりは時間軸がすっきりして読みやすい。

    ルー・グリフィン シリーズ
    ・The Long-Legend Fly (1992)
    ・Moth (1993)
    ・Black Hornet(1994)「黒いスズメバチ」(1996)
    ・Eye of the Cricket(1997)「コオロギの眼」(2000)
    ・Bluebottle(1999)


    ・Drive (2005)「ドライブ」(2006)早川書房
    ・Driven(2012)

    短編
    ・ The Anxiety in the Eyes of the Cricket (1969)
     「蟋蟀の眼の不安」サンリオSF文庫(1979)
    ・Ukulele and the World's Pain (2002)
     「ウクレレと世界の縮み」(ミステリマガジン2005.7)




    1996発表
    1999.6.30初版 図書館

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